2012年11月議会
岡田ゆき子議員の議案外質問① 保育料引き上げや民営化はやめなさい(2012年11月29日)
保育料の値上げや民営化をやめよ
保育料の値上げは許さない
【岡田議員】名古屋市の保育施策についてお聞きします。名古屋市は待機児童数が2年連続で全国最多となりました。河村市長は子育て支援である待機児童解消を重要施策と位置づけ、2013年度には待機児ゼロを目指すとして、入所枠の拡大を進めてきたはずです。しかし、教育子ども委員会の所管事務調査で示されたのは、「保育料の値上げ」と「公立保育所の民間移管の推進」でした。
保育料は、2010年2011年と値上げが提案されましたが、市民の「保育料上げないで」の声に応え、議会は2度とも値上げをストップさせています。
しかし今回の値上げ方針は、最後の料金改定の2008年にさかのぼり、それ以降に待機児童対策に要した費用を保護者に負担させる、または政令市で2番目に安い保護者負担を政令市平均に引き上げるというものです。これは最大で平均月2,450円から2,907円の値上げ、11億円から13億円の負担を保護者に求めるものです。
社会福祉審議会の「保育料等あり方検討分科会」が実施した市民アンケートで「保育所運営費に占める保護者負担の割合についてどう思いますか」との問いには、現状維持、または負担軽減が必要と答えた方が、72.3%もみえました。保護者からは「働いても収入はどんどん減るし、税金ばかり取られて、子育ての負担は大変です。」と、厳しい生活を告発する声がたくさん党市議団に寄せられています。「値上げしないで欲しい」という声が圧倒的な市民の願いではないですか。
市長。政令市の中でも、保護者負担の軽減では、トップクラスの名古屋市を維持するのか、それとも、政令市並の保育料に後退させてしまうのか。見解をお聞きします。
保育園へ行きたい人が負担すべき(市長)
【市長】精神的に言えば、保育料は一円も値上げしたくないんですけど国も30%くらいは受益者負担でという仕組みを持っている。保育園じゃなくて在宅でという人もお見えになり、全部税金でやれば保育園へ入れたくないという人たちのお金も行くことになる。一定の受益者負担は必要じゃないかと思います。
保育園へ行く人で、一定の負担をして新しい保育園を作っていく、ご負担をいただかないと、新しい保育園はできんだろう。その代わりに「庶民の負担はやめてちょう」というとりまして。一気のものすごう上げるのはやめてちょう、じわじわだで、という条件で、一定のご負担をしていくようにしていく。非課税世帯とか、そのちょっと上くらいまでは今のままでがんばろまいか、と話をしている。
待機児童対策は値上げの理由にならない(意見)
【岡田議員】保育料値上げの理由は、待機児童対策など保育の拡充にかかる費用が膨らんでいる為としていますが、では保育料を今のままならするなら、待機児童対策をしないということになるのか。そうではないでしょう。保育料は家計に与える影響を考慮して決めるものであり、市にとっては、子どもたちの健やかな成長と働く親の就労保障しっかりやることで、税収増と、経済活動を向上させることを期待するわけではないですか。そのための必要な対策、保育施策の拡充は自治体の責任で行うものです。保育料値上げの理由にしてはなりません。
公立保育所の民間移管はやめなさい
【岡田議員】「公立保育所のあり方と民間移管の推進」について質問します。
「子育てするなら名古屋で」といえる市政の実現は、市民の強い願いです。名古屋市の子育て施策の中心は、子どもの医療費助成と保育施策の充実です。その保育施策の3本柱が、国基準より低く抑えた保育料と、民間保育園への運営費補給金、そして中学校の数より多い公立保育園の存在です。
しかし、現在120ヶ所ある公立保育所を、78ヶ所まで削減し、「エリア支援保育所」と名称を変え、エリア各1ヶ所に公立保育所を集約化・再配置を図っていく」としています。全市でみると、公立保育所のないエリアは、10ヶ所。例えば、西区であれば、6つのエリアに分けられていますが、そのうち、2つのエリアには公立保育所がありません。当然、エリア支援保育所として、このエリアには、公立保育所を再配置するということが先だと考えますが、局長お答えください。
公立保育所の再配置をおこなう
【子ども青少年局長】「名古屋市公立保育所整備計画」で保育環境の整備を図る圏域として、概ね1~2中学校区、学齢前児童数1,000人から2,000人程度を基本としてエリアを設定している。今後の公立保育所は、エリア内の民間保育所等とネットワークを作りながら、エリア全体の保育の質の向上や、セーフティネットの充実を図るエリア支援保育所として位置づけ、市内78エリア各1か所に集約化・再配置していく。
そのため、体制強化や施設のリニューアルを進め、環境の整備を図っていく必要がある。エリア支援保育所は、社会福祉法人への移管等の進捗に合わせて、順次設置を進めたいが、公立保育所がない10エリアは、当面、他のエリアの公立保育所がエリア支援保育所としての役割を果たす。再配置は、今後の保育ニーズの動向等を踏まえ、その方策について慎重に検討したい。
公・民の保育所が力をあわせた待機児童対策を
【岡田議員】公立保育所を廃止することは、次の理由で問題です。
ひとつは、2007年に出した「保育施策のあり方指針」では、公立保育所は「行政が地域の子どもや家庭の状況を直接的に把握するアンテナの役割を果たしてきた」と評価しています。エリア支援保育所数は中学校数110より、かなり少ないわけで、公立保育所を廃止すれば、直接的に行政が家庭の実態を把握する機会は確実に減ることになります。子どもの貧困が言われ、経済的にも厳しく、支援が必要な家庭増え、抱える問題も複雑化している中、 行政のセーフティーネットの役割は重要であり、エリアに一ヶ所で救えることではありません。公立保育所の数こそ増やすべきです。
二つ目は、この間4園が民間移管され、運営主体が変わることの、そのしわ寄せは、何よりも、日中安定して過ごしていた小さな子どもの生活と保育実践を中断させ、子どもや保護者に対して精神的な苦痛や不安、職員にも過重な負担を強いるものとなりました。そのような負担をまた繰り返させ、経験豊かな職員を減らしていくなど、自治体がすべきことではありません。
三つ目に、何よりも名古屋市が取り組まなければいけない喫緊の課題は、待機児童の解消に力を注ぐことです。2011年度から2013年4月までに55ヶ所もの認可保育所を開設してきました。しかし、公立保育所は一切つくらず、開設は全て、社会福祉法人に担わせてきました。社会福祉法人も、開設のためには、少なくない自己資金を捻出し、保育士など働く人の確保が大変な中、全て自分たちで準備しなければなりません。この間の施設建設等で、社会福祉法人の体力は限界にあるといわれます。まだまだ子どもを抱えながら、働かなくてはいけない家庭が増えることも予測される中、保育所の新設も必要な中で、安定して運営され、保育士なども確保されている公立保育所まで、わざわざ廃止し、社会福祉法人にさらに引き継げというのは、あまりにも酷ではありませんか。
今必要なのは、公立保育所の廃止ではなく、公立も民間も一緒に待機児童解消に向けて力を合わせるべきではありませんか。子ども青少年局長に見解をお聞きします。
意欲ある社会福祉法人を選定、経営基盤強化につながる支援をしたい
【子ども青少年局長】平成22年度以降、平成25年度当初までに、3歳未満児の入所枠2,400人分を確保することを当面の目標として定め、積極的に対策を進めてきた結果、3歳未満児の入所枠を、目標を上回る2,819人分確保し、計画の最終段階として、平成25年4月には、25か所の保育所を一斉に開所する予定となっております。
この間、広く公募を行い、意欲ある社会福祉法人を選定した。今後とも増大する保育ニーズへの対応や、公立保育所の社会福祉法人への移管は、能力と意欲のある社会福祉法人などに対し、公募したい。そうした法人が、複数の保育所を運営することで、経営基盤の強化につながるよう適切に支援したい。
削減ありきの理由付けにすぎない(意見)
【岡田議員】エリア支援保育所について答弁いただきました。公立保育所がないエリアは、となりのエリアの公立保育所が役割を果たすという説明は、全く説明になっていません。エリアとエリア支援の重要な役割だけ決めて、当面は臨時対応では、公立に通う子の保護者に理解求めることができますか?結局、公立保育所削減ありきで、後付けの理由としか受け取れません。公立の廃止・民間移管はやめるべきです。