2013年9月議会

さはしあこ議員の議案外質問 ・敬老パスをまもれ (2013年9月13日)

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経済効果も抜群の敬老パス
 一部負担金引き上げはやめなさい

敬老パスの効果とそれを活かす方策は
さはし 自席1s【さはし議員】9月9日に開かれた「今後の高齢者の生きがい施策の在り方検討分科会」において、敬老パス制度についての最終報告がまとめられました。10月には、名古屋市社会福祉審議会の答申として市長に意見具申される予定です。
 最終報告では、高齢者の一部負担金について「引き上げは避けられない」とされました。
 ところが、今年3月に名古屋市が実施した市民アンケートでは、対象年齢も一部負担金も利用限度額・上限額を設けることについても、高齢者も若い世代も「現状のままでよい」との回答が多数でした。
 さらに、この市民アンケートをもとに、民間研究所が分析した結果では、敬老パスには絶大な効果があることが、あきらかとなっています。分科会を傍聴した私としては、まとめられた報告は、市民の声や敬老パスの効果を棚上げしたものと言わざるをえません。敬老パスグラフ
 そこで、まず敬老パスの効果について、市長におうかがいします。
 民間研究所の報告では、「敬老パスの交付事業は、高齢者の社会参加を支援し、福祉の増進を図るといった制度本来の目的達成だけではなく、経済の活性化や環境への負荷低減など社会経済に対しても様々な効果をもたらしている」とし、効果が定量的にあきらかにされました。主な効果は、「社会参加効果」「健康効果」「経済効果」「環境効果」などです。
 「社会参加効果」では、敬老パスがあることで外出回数が増えた割合は28%、外出する高齢者の割合は16%にのぼり、敬老パスを利用することで外出機会が増えることがあきらかとなっています。
 「健康効果」では、自宅から最寄りの地下鉄・バス停等まで歩くことによる歩数は1400歩増加し、さらには目的地での歩数もプラスされることから健康効果はさらに大きくなると報告されました。
 また、「経済効果」においては、外出にともない買い物などでお金を使うことで、一人あたり1回の外出で、約4200円の消費をすることがわかりました。
 「経済効果」は、「直接効果」として316億円、「波及効果」も加えると約500億円と推計されました。地域経済の活性化にも大いに貢献しています。
 以上のように、敬老パスはさまざまな効果をもたらすことについて、市長はどのように受け止めておられますか。そして、その効果をより一層発揮させるために、どうすればよいとお考えですか。お聞かせ下さい。

経済的効果があることは、よお認めております
【河村市長】敬老パス、11月3日に5000円支払って、私も受けようと思っております。まあ、わしもとしくったなあと、しみじみ、考えておりました。
 まあ、歳くってから家に引っこんどらんと、栄のほう出てきて、いろいろ消費してちょうよと、楽しくという、まあこういう経済的効果も、やっぱりこれは大きいと思います。
 交通局をもっと大胆に変革して、車が動いてますので、どちらにしろ空気を運んどる。ほんだったら、ようけの人に利用してもらったほうが、ええんでないかという気持ちも、実はあるんです。
 調整も図らなかんし、まあ、4割の人が使っとらんというと、使っておられるかたは大変ええと思いますけど、この4割のかたにとっては、ちょっと一こと言いてゃあことがあるのではないかと、いうように、考えんでもにゃあと、いうことでございます。
 経済的効果があることは、よお認めております。
 交通バウチャーはいかん言っとる人もいますけど、タクシー乗って行きたいという人も、ようけござるんじゃないかと。福祉タクシーとは別に。
 歳くってから、出てきてもらって、楽しんでもらう方法ってのは、いろいろ考えてええのではないかと思っています。

今見直す必要があるのか
【さはし議員】健康福祉局長に、見直しの方向性についておうかがいします。
 分科会の最終報告では、「高齢者が急速に増加し、事業費がさらに増大することが予想」されるので、「敬老パス制度を維持していくためには何らかの見直しが必要な時期となっている」とされています。
 しかし、一部負担金を導入した当時も「年間130億円を超えるこの事業の予算は、高齢者の伸びにより今後も増加することが明らかであるため、制度を存続するためには何らかの検討が必要である」と、社会福祉審議会から意見具申がありましたが、一部負担金が導入されて以降の9年間、高齢者は急速に増加していますが、敬老パスにかかる事業費は約130億円で推移しており、税金の投入額も、ほぼ120億円と増加していません。税投入額が増加傾向にあるならともかく、横ばいで推移している今、財政負担を抑えるための何らかの見直しが必要な時期といえるのでしょうか。お答えください。

交付者数が増加し、事業にかかる費用の大幅な増加が見込まれる
【健康福祉局長】団塊の世代が、次々と65歳以上となり、交付者数は平成23年度から24年度にかけ、年間約7千人が一挙に増えるという、過去に例を見ない増加となっており、今後も続くことが予想され、事業費の大幅な増加が見込まれる。
 敬老パス制度を、持続可能な制度としていくための検討をおこなう。

引き上げは大きな負担になり、交付率の低下をもたらすのではないか
【さはし議員】分科会の最終報告では、「持続可能性を担保するためには、一部負担金の引き上げ幅について検討を進めることが必要」とされています。今は、千円、三千円、五千円の負担額で利用することができますが、いくらぐらい引き上げたら「持続可能」となるのでしょう。
 民間研究所の推計では、平成37年における税投入額は147億円と、現在の117億円よりも30億円増加すると予測されています。
 仮に、この予測通りに推移するとすれば、税投入額を現在と同程度の120億円程度に抑えるためには、現在は10億円程度の一部負担金を4倍ほど増やさなければならないでしょう。例えば、5千円を負担している方は、パスをもらうのに2万円を支払うことになるのではないでしょうか。「5千円でも高くて、もらうかどうか迷っている」という方もいらっしゃいます。
 一方で、最終報告では、「引き上げにあたっては、低所得者に対する配慮を行うことも必要である」とされています。こうした低所得者の配慮をするならば、4万円の負担でも足りなくなるのでありませんか。最終報告の考え方にそって、一部負担金を引き上げるならば、中高所得者には、何万円もの負担増を強いることになるのではありませんか?お答えください。
 一部負担金の引き上げは、敬老パスの交付率にも影響を与えると思います。無料だった時期には91%を超えていた交付率は、一部負担金が導入された平成16年度には74.3%に低下し、その後も年々低下し続けて、平成24年度は、63.2%と見込まれています。民間研究所の推計では、今後も交付率が低下すると予測されていますが、一部負担金を引き上げれば、交付率の低下に拍車をかけることになるのではないでしょうか。
 制度を見直すというのなら、交付率を向上させて、敬老パスの様々な効果がより発揮できるようにすべきであり、利用を抑制する方向での見直しは、敬老パス制度の効果を低めるものではありませんか。お答え下さい。

社会福祉審議会からの意見を踏まえ、市としての結論を出す
【健康福祉局長】専門分科会での検討結果をふまえ、今年10月には社会福祉審議会から、意見具申を予定しており、その意見も踏まえ、市としての結論を出したい。

負担金を引き上げれば出かける人が減るのではないか (再質問)
【さはし議員】市長さんも、敬老パス使って、栄に高齢者のかたがでてきていただいて、消費していただくということが非常に大切だと、非常に経済効果もあるとおっしゃっていただきました。
 お年寄りが栄のほうにでていくのに、市長は、常々、お年寄り、高齢者のかたの原宿とか、トゲぬき地蔵を栄にしたいとか言われていますけども、そういったところをつくってやっていきたいといっても、負担金が2万円、3万円と増えていけばですね、敬老パスをもらうのをやめようという高齢者もでてくるのではないか。受け取る人が減っちゃって、でかける人、でかける高齢者が減ってしまうということについて、どのようにお考えですか。おこたえください。

これから悩みながら考える
【河村市長】まだ、これから悩みながら考えるということですわ。これ、結局ね。
 4割が使っとらんという、そういう人がようさんおるもんで、まあ、こういう人たちにも喜んでもらえる方法、政策がとれたらええなあと、思っております。
 敬老パスいう名前、感じ悪いで名前変えてちょと、いう人は多いです。たとえば、金シャチパスとかですね。

高齢者への負担増と給付減少の時に、さらに負担を増やすのか (再再質問)
【さはし議員】名前はね、ご意見あると思うんですが、4割使ってもらっていないかたも、様々な理由があると思うんですよ。
 今、本当に、高齢者のかたに対する負担金の引き上げは大変なことなんです。
 昨年度、名古屋市の介護保険料は大幅に引き上げられて、後期高齢者医療保険料も値上がりました。来年には、医療制度改革として、70歳から74歳の医療費窓口負担が1割から2割に引き上げられます。高所得者の国保料の引き上げ、さらには、消費税増税もせまっています。高齢者の負担増は止まらないわけです。一方で、年金は減り続けています。
 このような時に、今回、まとめられた最終報告のように、敬老パスの負担を増やしていいんですか。市長さん、どのように思われますか。

負担が増えんように努力する
【河村市長】介護保険はけしからんですよ。まあ、そういうなかで、負担が増えんように、それは努力する。
 だけど、やっぱり、経済を盛り上げないかんもんで。それを主眼にして、年寄りが、栄でも名駅前でも大曽根でも金山でもええけど、出てきてもらって、楽しくお金を使っていただける、そういう視点から考えることは、非常に重要だと思っております。

市長選公約にもとづいて、一部負担金も堅持を (再再再質問)
【さはし議員】努力していただけるということはおっしゃられましたけど、河村市長は、市長選で、敬老パスについては「堅持と拡大」ということを公約にされていました。堅持ならば、当然、一部負担金も今まで通りだと受け止めた市民も大変多いというふうに思いますが、一部負担金もやっぱり堅持をするということにしていただいたらどうでしょうか。お答えください。

あげんほうが普通はええけど悩んどる。大いに議論しましょう
【河村市長】上げんほうが、そりゃあ、普通はええですけど、まあ、いろいろ悩んどるところですわ。ようけの人に使ってもらうことも大事だでね。だで、これから大いに議論しましょう。

一部負担金の引き上げは容認できない (意見)
【さはし議員】市長も、一部負担金を上げるのは、あまりよくないと言って、本当に、この敬老パスを、もっと皆さんが使えるように、ということは、おっしゃっていただけましたけども、私は、この一部負担金の引き上げは容認できないというふうに思っています。

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