2013年11月定例会

田口一登議員の議案外質問①(11月26日) 買い物弱者支援について

 買い物弱者への支援について

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買い物弱者支援のため、まず高齢者の買い物環境の調査実施を田口パネルs2

【田口議員】近隣の商店やスーパーが撤退し、高齢のため車が運転できないなどの理由から、日常の買い物に困難を感じている買い物弱者が、とくに郊外の大規模な団地などで増えています。私が住んでいるURの相生山団地もその一つです。数年前に団地の隣にあった生協の店が閉店し、今年7月には地下鉄相生山駅前のスーパーも撤退し、学区内には生鮮食料品を扱う店が1軒もない地域になりました。その一方で、学区全体の高齢化率が32%と、高齢化が進んでいます。

団地の高齢者から「買い物に困る」という声が続出したことを受けて、団地自治会――私が会長を務めていますが――では、生協が始めた移動販売を誘致しました。先月から週1回、団地内2か所と離接する生協のステーションで始まった移動販売は、毎回100人ほどが利用されており、買い物にお困りの方の一助となっています。

天白区内では他にも、魚や野菜などの産直市を毎週実施している県営住宅の自治会や、民間の移動販売を誘致した市営住宅の自治会など、買い物困難を解決するための自主的な取り組みが増えてきています。こうした地域の協働による買い物支援の取り組みをさらに進めるために、行政も支援していく必要があるのではないでしょうか。

日本共産党市議団は先日、北九州市の買い物弱者支援の取り組みを調査してきました。北九州市は、市内の高齢者の人口分布や徒歩での行動範囲、生鮮食料品を扱う商店・スーパーなどの分布状況など、買い物支援を考えるために必要な情報を集約し、分析した「高齢者の買い物環境に係る基礎調査」を実施しています。調査した結果は、小学校区ごとの買い物環境地域カルテ、市内を27エリアに分けた買い物環境マップ、買い物支援の取り組みに関するヒヤリング調査として公表されています。

これは、八幡東区の一部の買い物環境マップです。マップには、個人商店、スーパー、コンビニ、バス停の位置が印してあります。高齢者の人口分布に生鮮品取扱店舗の分布を重ね合わせて、赤色は高齢者の買い物困難度が高いところ、緑色が低いところです。どこが買い物困難地域かイメージできるマップになっています。買い物地図八幡東区サイズ小

買い物弱者への支援を進めるためには、まずはこうした高齢者の買い物環境に関する調査を行う必要があると思います。本市でも、実施すべきではありませんか。健康福祉局長の答弁を求めます。

高齢者等のご意見等をお聞きする等、実態の把握に努めたい

【健康福祉局長】国の資料によると、高齢者が生活の中で困っていることとして、「買い物」を挙げられる方が比較的高い比率になり、買い物を含めた高齢者の生活全体を支えるために、さらにどのようなことが必要なのかについては、検討すべき課題であると認識しています。

昨年3月に、民生委員児童委員連盟の守山区支部と守山区役所、守山区社会福祉協議会の連名で、「高齢者の外出に関する調査結果」がまとめられ、守山区社会福祉協議会において、平成24年度から瀬古学区をモデルに「おでかけ安心バス」事業が行われており、一定の成果があがっていると聞いている。この取り組みの実施状況について、十分検証するとともに、今後、買い物に不安を感じている高齢者の方々の支援のために、必要に応じ、高齢者や関係者の意見を聞く等、実態の把握に努めてたいと考えている。

 市バス路線の見直しは、買い物困難地域とスーパーを結ぶ観点を

【田口議員】私は先日、守山区社会福祉協議会が実施している外出支援の「おでかけ安心バス」に乗車させていただきました。

この事業は、瀬古学区などにお住いの一人での買い物が困難になった65歳以上の方を、社協のデイサービス車両で最寄りの大型店まで送迎するサービスです。高齢者の方が、介助ボランティアさんとおしゃべりしながら、1時間程度の買い物を楽しんでおられました。

バスの中では、「宅配を頼んだけれど、商品がよくなかった。やっぱり目で見て買うのがいいね」という声が上がっていました。私の団地でも、「買い物送迎バスを走らせてほしい」という声も出ましたが、とても自治会でできることではありません。スーパーなどへの移動手段の確保は、第一義的には交通局にあると思います。

交通局長、高齢化が急速に進む中で、市バスには、買い物などの「おでかけ交通」としての役割がますます求められているのではないでしょうか。市バス路線の見直しにあたっては、買い物困難地域とスーパーなどとを結ぶという観点を重視する必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 市バスサービスの維持、充実に努めていきたい

【交通局長】移動手段の確保は、市バスの大きな役割の一つで、市バス路線は、そうした観点も踏まえて、これまで整備を進めてきた。具体的には、バス路線の間隔を1km程度とすることや、概ね500mでバス停に到達できること、利用が少ない場合でも毎時1回の運行に努めることなどを基本的な考え方として、バス路線の整備を進めてきました。

現在、市域のほぼ全域をカバーしております市バス路線網と地下鉄によるネットワークにより、スーパーなどへの移動も含め、市民の日常生活に必要な移動手段は、基本的には確保されていると考えていますが、今後とも、市民の日常生活を支える身近な移動手段を確保するため、市バスサービスの維持、充実に努めていきたい。

 中小小売業者やNPO法人などの買い物支援事業に補助拡大を

【田口議員】京都市では、今年度から「買い物環境支援事業」と銘打って、買い物弱者の生活利便性を向上させるための移動販売や新規開店など、いわゆるソーシャルビジネスへの補助を始めています。

本市では、買い物支援も兼ねて朝市などを行っている商店街振興組合にたいする補助はありますが、商店街振興組合に限らないで、中小小売業者やNPO法人などが行う買い物支援事業にも、補助を拡大してはどうでしょうか。お答えください。

 商店街が福祉団体やNPO法人等と連携する事業に対して支援したい

【市民経済局長】買い物弱者に対する支援は社会的な問題であり、地域毎の状況にあわせて、福祉団体やNPO法人、民間事業者など様々な主体が取り組んでいるほか、商店街においても、買い物支援を兼ねた朝市などを行っている。

買い物弱者をなくしていくという、地域の課題の解決につなげるために、商店街が福祉団体やNPO法人等との関係を深めるのは有益なものと考えており、市としてはその仲立ちに努めるとともに、両者が連携して行う事業に対し、補助制度を活用するなどの支援をしたいと考えております。

 関係局が連携しながら取り組みを(意見)

【田口議員】買い物弱者支援については、健康福祉局、市民経済局、交通局など関係局が、連携しながら取り組んでいただくことを要望させていただきます。

 

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