4年間で3度も名古屋高速コンクリート片落下事故、市議団が調査し委員会で追及
2月10日、名古屋市北区黒川付近で、名古屋高速一号楠線の高架壁からコンクリート片 が落下し、走行中の救急車の屋根を直撃する事故が発生しました。同様の落下物事故は、2010年に山王カーブ付近で、2012年に丹後カーブで起きており、この4年間で3度目です。市議団は2010年と2012年の事故の時も現地調査をしました。名古屋高速道路公社は「再発防止に取り組む」と3回とも同じ回答です。
13日、日本共産党の山口清明市議、岡田幸子市議が現地を調査。高速道路公社職員から事故の説明を受けた調査結果を踏まえて、山口市議は14日の市議会都市消防委員会で、高速道路公社の役員に事故の経過と対応などを質問しました。今回も緊急点検と当面の安全対策を繰り返しながら抜本的な対策を怠ってきたのではないかと指摘し、緊急点検後にあらためて報告を受け、この問題を審議する機会を設けるように委員長に求めました。
落下したコンクリート片は2個。大きい方は10㎝×6㎝×3㎝、重さ130g。 もう一つは30g。高架部分は高さ3m。たまたま救急車の屋根に落ちただけで人身事故にはなりませんでしたが、フロントガラスを直撃したら大惨事になりかねないところでした。コンクリート片は高架橋のジョイント部分のコンクリート製の壁高欄です。継ぎ目に隙間があるのでステンレス製の遮水板で覆われた内側のコンクリが劣化し落下したのです。
この高架は1992年建設され、95年に供用開始されて20年です。設計時には50年くらいは持つはずだったコンクリは予想以上に劣化が進んでいます。劣化が予想より早いのは何故かと訊ねると「凍結防止剤を多用し水分と塩分による影響が大きいと考えている、特に北部の高架は冷えるので」という回答です。
公社は年に4回の目視検査と5年に一度の近接目視、打診検査状況によって はエコー検査を行っています。しかし、山口市議の質問で、この遮水板で覆われた部分は外気の影響が少なく大丈夫だろうとの判断で事実上検査対象から除外されていたことが明らかになりました。この点を指摘すると、公社からは「遮水板の構造も含めて検討する」との回答がありました。
当面の安全対策は、同構造の部分を緊急点検し、メッシュネットを設置する、建設から20年経過した路線の緊急点検、新しい路線でも同構造部分をチェックする、というものですが、つなぎ目部分は約2000カ所にもなります。メッシュネットを張ったらますます目視しにくくなるのでは?とたずねると、そういう問題はある、と認めました。問題はコンクリートの劣化そのものへの対策が何もないことです。点検だけでは根本的な解決にはなりません。