2014年2月議会

「民営化だけは進んで、公立保育所の体制強化や役割の具体化は進んでいない」岡田議員が質問

 岡田議員質問議場2月25日の本会議で議案質疑が行われ、日本共産党の岡田ゆき子議員が質問に立ちました。補正予算に盛り込まれた、公立保育園の廃止・民営化問題では、公立保育園の強化はすすんでいないことを指摘。待機児童対策については、「数さえ減らせばよいのか」と厳しく追及しました。
各会派15分の質問時間が割り当てられましたが質問したのは岡田議員ただひとりでした。

 

2月補正予算 議案質問 (概要)

             日本本共産党 岡田ゆき子 2014年2月25日 

保育所の社会福祉法人への移管準備について

不効率な構造の築43年の老朽施設をなぜ放置してきたのか
【岡田議員】通告に従い、第4款子ども青少年局に関する補正予算についてお聞きします。初めに、「保育所の社会福祉法人への移管準備」についてお聞きします。これは、老朽化し建て替えが必要な状態にある、にじが丘保育園を民間移管の対象園とし、その代替地1256㎡の土地の購入費として、1億4千300万円を計上するというものです。名東区の「にじが丘保育園」は、母子生活支援施設「にじが丘荘」との合築で1970年に建設、築43年を経過した90人定員の公立保育園です。
 先日、現地を視察しました。耐震改修は済んでいるものの、老朽化はすすみ、構造上、各保育室への共用廊下はなく、保育室やトイレを経由しないと目的の部屋に行かれない。給食室で作 られた食事は、0・1・2歳児クラスへ運ぶために、一旦外のテラスを経由しないと運べないなど、日常的に不効率な動線が何か所か見られ、使いにくさのあるこの施設を職員が何とか工夫しながら使っておられました。 園舎の上階、2階から4階までが「にじが丘荘」となっていますが、ここも同様に大変古く、狭い共用の浴室しかなく、希望する時間に入浴できないこともあると聞きます。なぜ今までこの状態を放置してきたのか、視察をして率直に疑問を感じました。
 子ども青少年局長にお聞きします。にじが丘保育園は、なぜこの状態のままで放ってきたのですか。民間移管の計画がなければ、これだけ古い施設でも建て替えずに放っておくのですか。 

名古屋市公立保育所整備計画で、建て替えが必要になったら民間移管で改築することにしている(局長)
【子ども青少年局長】公立保育所につきましては、平成15年に社会福祉審読会から公民の役割分担や民間活力の観点から民間委託等を進めるべきとの意見具申をいただき、にじが丘保育園を含め、今後老朽化が進む保育所が増えていくことから、社会福祉法人への移管も含めた様々な方策について検討を進めてまいりました。
 その後、平成21年9月に名古屋市公立保育所整備計画を策定し、建替えが必要となった公立保育所の一部について、国の補助が期待できることから、社会福祉法人へ移管する手法により改築を進めているところでございます。
 一方、引き続き存続する公立保育所につきましては、名古屋市アセットマネジメント基本方針等を踏まえ、順次、老朽化対応を進めてまいりたいと考えております。 

母子生活支援施設との合築経験を活かせる支援保育園として継続を
【岡田議員】また、にじが丘保育園は、母子生活支援施設との合築だったことで、様々な困難を抱えた家庭や子どもたちへの支援をしてきた経験があり、移転先でもその経験を生かすことができると思います。にじが丘保育園を廃止民営化するのではなく、経験を生かし地域の支援保育園として公立で継続するべきではないですか。 

引継ぎ共同保育等で保護者や地域との関係性を引継ぐ(局長)
【子ども青少年局長】にじが丘保育園の移管の実施に当たっては、市内で保育所の運営実績のある社会福法人を対象に運営面などの条件を定めて公募するとともに、1年間の引継ぎ共同保育等により、にじが丘保育園の保育内容や子どもの育ち、保護者や地域との関係性を引継いでいただくこととしております。 

公立保育所の体制強化や役割の具体化は進んだのか(再質問)
【岡田議員】再質問します。名古屋市は、2009年に公立保育所整備計画を策定し、「民間移管の整備方針とともにエリア支援保育所としての公立保育所の役割」を定めています。そこでは公立保育所について「子育て家庭を取り巻く環境が複雑化する中で、公立保育所が担うべき役割を明確にする必要がある」と説明しています。それでは、2012年10月から実質開始されている公立保育所廃止・民間移管準備を進めているのに対して、公立保育所の体制強化や役割の具体化はどこまで進んだのでしょうかお答え下さい。 

エリア支援保育所の具体的な内容や体制等について現場の園長も交えた検討や民間保育所との意見交換を進めてきた (局長)
【子ども青少年局長】今後も存続する公立保育所につきましては、名古屋市公立保育所整備計画に基づき、エリア支援保育所として機能強化を図っていく方針であり、民間保育所や区役所、保健所等の関係機関との連携によりエリア全体の保育の質の向上や要支援家庭への支援などに取り組むこととしております。今年度におきましては、その具体的な内容や体制等について現場の園長も交えた検討や民間保育所との意見交換を進めてきたところでございます。 

「公立が減っても安心など」などととても言えない状況だ(意見)
【岡田議員】民間移管だけは先々まで移管計画を明らかにして、子どもや父母を巻き込み、どんどん進めながら、一方、エリア支援保育所に至っては、中身の計画は明らかになっておらず、園長レベルの検討でしかないわけです。これで、保護者に「公立を廃止して移転してもセーフティーネットは後からついてきますから安心ですよ」というのか。「公立が減っても安心など」などととても言えない状況だと指摘しておきたいと思います。

自席1s 

待機児童対策としての小規模保育事業実施施設の設置について

待機児童対策の算定根拠及び除外児童の取扱い
【岡田議員】次に「待機児童対策としての小規模保育事業実施施設の設置」についてお聞きします。
 本補正予算では、待機児童対策として、賃貸方式による民間保育所と小規模保育事業実施施設の設置、民間保育所の整備で、総数2630人受け入れ枠を拡大するとしています。局長に2点お聞きします。
 第1に、今回の対策数の根拠を教えてください。また、その対策数には、国の定義に基づき待機児童から除外される児童は含まれているかお答えください。 

一時保育の利用者や、特定の保育所のみの入所希望者は待機者から除く(局長)
【子ども青少年局長】本市では、待機児童の解消を重要な課題として位置付け、特に、待機児童の約9割を占める3歳未満児の保育ニーズや分散化にスピード感を持って対応してまいりました。
 今回、ご審議いただく待機児童対策の総数:2,630人分、うち3歳未満児:1,525人分につきましては、3歳未満児の直近の入所申込者数や就学前児童数の推計をもとに、平成27年4月1日時点での入所申込者数の見込みを踏まえ、新たな必要数を積算しております。
 なお、3歳未満児の入所申込率は平成25年4月には25.22%でしたが、平成27年4月には29.86%となると見込んだところでございます。
 待機児童対策数は、この必要数から、国の定義に基づき待機児童から除外される数、例えば、一時保育の利用によりニーズが満たされる方や、他に入所可能な保育所があるにも関わらず、特定の保育所のみへの入所を希望しており、その他の保育所等には入所する意向がない方などにつきましては、これまでの実績を踏まえて、差し引き、その不足数を計上しております。 

本当は保育が必要なのに待機児童から除外される児童がいるのではないか(意見)
【岡田議員】待機児童数について、国の定義に基づき待機児童から除外される児童数は、今回の対策数に含まないということでした。これまで入所申し込みの時は希望する園を第3希望まで書いていましたが、今年4月の入所分から、第6希望まで書かなくてはならなくなりました。そのため、ある保護者は、区の窓口で、「第6希望まで書かなければ、待機児童とみなさない」といわれたが、「6つも園を選ぼうとすると自宅からどんどん離れた園を選ばなくてはならずかけなかった」とか、「4月開所の園は内装もまだできておらず、見学もできない園をどうしてもかけなかった」という方は、入所調整はされても、自己都合で第6希望まで書かなかったためだとして、不承諾通知が2月に届いているといいます。待機児童から除外される児童は、本当に保育が必要ないといえるのか、数字上待機児童数が減っているように見えるだけではないか、中身を見ていく必要があると指摘しておきます

グループ実施型家庭保育室からなにが改善されたのか
【岡田議員】第2に、市は、待機児童解消の方法として、グループ型家庭保育室の設置を進めてきました。わが党は、グループ型家庭保育室は、職員の保育士割合が低いこと、給食の提供がないこと、園庭がないことを指摘し、それらの充実を求めてきましたが、今回新たに「小規模保育事業実施施設」という名称がでてきました。今までのグループ型家庭保育室では何が課題だったのか、今回改善される点はなにかをお聞きします。

保育従事者の配置数は認可保育所より手厚く、給食を提供(局長)
【子ども青少年局長】小規模保育事業は、今年度国から示された「待機児童解消加速化プラン」において、利用定員を6人以上19人以下と定める、比較的定員規模の少ない、3歳未満児の待機児童対策に特化した保育事業として、新たに創設されたものでございます。   その設備・運営基準等につきましては、児童福祉法において、児童福祉施設として位置付けられている認可保育所とは、法令上の位置付けが異なりまして、多様なスペースを活用して、保育を提供する事業として、国において検討が進められてきたところでございます。
 今回、本市における小規模保育事業の実施にあたりましては、従来から実施してまいりました利用定員15人のグループ実施型家庭保育室を原則踏襲し、例えば、保育従事者の配置基準につきましては、有資格者の割合を2分の1とする一方、配置数は認可保育所より手厚い、児童5人に対して2名の配置とするものでございます。
 また、これまで「グループ実施型家庭保育室」をご利用いただく場合、昼食を持参していただくことを前提としておりましたが、今回の「小規模保育事業」では、実施施設内での給食の提供を要件とする制度設計とし、そのための調理設備の設置及び調理員の配置を行うこととしたところでございます。 

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認可保育所は最低基準だけで保育しているのか(再質問)
【岡田議員】小規模保育事業について再質問します。今までのグループ型家庭保育室との違いは、給食の提供を義務付けるということでした。親にとっては大変な負担となっていたと思いますので、前進かと思います。ただ、人員については今までと変わらず、保育士は職員の1/2いればいいということで、その代わり、職員数は、認可保育所より手厚んだといわれました。では現在の認可保育所の保育士は、条例で定めた最低基準だけで保育しているのですか。確認します。 

市独白の加配も行っている(局長)
【子ども青少年局長】認可保育所の職員の配置基準につきましては、平成25年4月に施行いたしました「名古屋市児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例」により、0歳児3名に対して保育士1名、1・2歳児6名に対して保育士1名という、国の省令における配置基準と同様の基準としております。
 一方で、本市独白の施策として、保育の充実を図るため、0歳児を含む3歳未満児の入所児童が30人以上いる場合に保育士には、保育士1名の加配を行っております。
 また、中規模保育事業と同規模である3歳未満児15名を保育した場合には、1日3時間分、非常勤保育従事者を配置できる補助金を交付しているところでございます。
 認可保育所における保育士の配置数は、仮に、配置基準が一番手厚い0歳児が15名入所した場合においては、配置基準5名と3時間分の非常勤保育従事者の体制であるのに対して、小規模保育事業では、保育従事者6名を常時配置することとしているところでございます。 

小規模保育事業でも保育士の割合を充実できる(意見)
【岡田議員】保育の充実を図るためには、認可保育所はちゃんと加配をしているわけです。だったらさらに小規模保育事業でも、保育士の割合を充実することだってできるのではないでしょうか。
 時間がありませんので、問題点を指摘し、引き続き委員会での審議に委ねて質問を終わります。