2014年2月議会
田口一登議員の空き家対策条例への質疑(2014年3月7日)
防災、防犯、衛生、景観などの観点から、空き家の所有者の実情を踏まえた適切な対応が必要
2月議会で自公民が提案した「空家等対策の推進に関する条例(案)」について田口一登議員が質問しました。答弁は公明党の近藤議員が行いました。
名古屋市の空き家の実態をしめせ
【田口議員】少子高齢化の進展などにより空き家が増加し、それに伴って管理不全な空き家が、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしている事態が広がっています。
適正な管理が行われておらず、防災、防犯、衛生、景観などの観点から対応が求められている空き家は何件あるのか。そのうち所有者が特定できていないものは何件か。住宅都市局において老朽空き家の実態調査が行われていますので、その調査結果も含めて、本市における空き家の実態についてお示しいただきたい。
空家総数約14万7千戸、腐朽・破損は約4万戸
【近藤議員】総務省調査で平成20年10月1日時点、名古屋市の空家総数は約14万7千戸、うち腐朽・破損のあるものが約4万戸と推定されている。
住宅都市局の実態調査で、現在、熱田区のみの結果が出ており、屋根や壁に大きな穴があくなど全体の劣化・損傷が相当程度進んでいる建物が12件、建物の老朽化が進み、部分的な劣化・損傷が進んでいる建物が90件だが、所有者の特定の有無等も含め、対策が必要な空家の実態は、必ずしも把握できていない状況にある。
空家の実態把握が必要不可欠であり、調査や市民からの情報提供に関する規定を定め、市当局において、空家の実態把握に努めるよう求めている。
条例案の特徴はなにか
【田口議員】各地の自治体が講じている空き家対策の方向性としては、第一は、外部不経済をもたらすような空き家の撤去を促進するという方向性であり、第二は、活用可能な空き家について、その利用を促していくという方向性であるといわれています。たとえば、仙台市の条例は、空き家の適正管理に特化し、代執行も明示して撤去を促進する内容となっており、一方、京都市の条例は、空き家を地域コミュニティの有用な資源として位置づけ、その積極的な活用をうたっています。
それでは、本市の条例案にはどういう特徴があるのか。他都市の条例にはない点も含めて明らかにしてください。
国の空家等対策特別措置法(案)との整合性に配慮
【近藤議員】本条例は空家問題について、総合的、体系的な対策を推進しようとするもの。
著しく保安上危険となるおそれのある状態等にある特定空家等に対して、立入調査や除却、修繕等の措置の助言・指導、勧告、命令が可能となり、特定空家等認定基準の策定・公表を義務付け、悪意的運用による市民の財産権侵害を防止するとともに、特定空家等の情報提供が市民からもできるようになる。命令に関する基準の策定・公表、専門家の意見聴取に関する規定も盛り込んでおります。
特定空家等の発生の未然防止のための必要な措置も規定し、空家自体の減少に資するよう、空家等及び空家等の跡地について、市民、事業者等と連携し、空家等の活用に関する措置に関する規定もある。
現在国において検討されている空家等対策特別措置法案との整合性についても配慮しており、法案成立後は、他都市の条例とは異なり、将来的には、円滑に法律と一体となった運用が可能となるよう配慮した。
倒壊の危険や衛生上有害な廃屋等に対する代執行はどうするのか
【田口議員】「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態又は著しく衛生上有害となる恐れのある状態」の特定空家については、所有者にたいして撤去も含めた対応を促すことになります。管理不全な空き家を強制的に撤去する手段としては行政代執行があります。仙台市の条例では、空き家の管理不全な状態の解消を促すにあたって、あらかじめ市が取り得る措置について市民に示すことが重要との理由から、代執行の規定が盛り込まれたようです。
しかし、本市の条例案では、代執行については明記されていません。代執行の規定を設けなくても、命令による義務が履行されない場合、行政代執行法により代執行が可能とされていますが、あえて代執行の規定を設けなかったのは、いかなる理由からか、お答えください。
たとえ廃屋化した空き家であっても、個人の財産であることには変わりなく、その取り壊しは財産権への大きな侵害となり、また厳格な手続が要求されることから相当な期間を要します。所有者の資金不足のため、代執行による撤去費用を自治体が回収できない事例も全国にはあります。ですから、行政代執行が空き家問題の抜本的な解決方法とはならいと、私は考えます。
空き家の適正な管理は、所有者への粘り強い相談と説得を通じて、合意と納得を得て進めるべきものではないでしょうか。特定空家等に対する措置においては、助言や指導が中心になると考えますが、いかがでしょうか。
財産権に配慮した当局の総合的な判断に基づく対応が必要
【近藤議員】特定空家等の解消について、行政代執行は、抜本的な解決方法とならず、本条例では、特定空家等の未然防止に関する規定、市民、事業者等と連携した空家等の活用に関する措置を講ずる規定を盛り込んだ。所有者の財産権に配慮した対応がとられるべきものと理解しており、代執行のみが、有効な空家対策であるとは考えておりません。
特定空家等の解消は、当局の総合的な判断に基づく対応が必要であり、確認規定としての代執行に関する規定を盛り込んでおりません。
空き家の適正な管理への市の支援策は
【田口議員】条例案では、市の責務として、所有者にたいし、情報の提供、助言その他必要な援助を行うよう努めることが明記されています。
空き家が管理不全な状態に陥ることを防止するためには、有効活用や適正管理について、所有者の相談に親身に応じる必要があると思います。不適切な管理状態を解消するためには、たとえば空き家の解体や立木の伐採などが必要な場合に、専門業者を紹介するなどの情報を提供することも有益でしょう。個々の空き家や所有者の実情を踏まえた適切な対応に努めることが求められます。
空き家の適正な管理を促進するための市の支援策の必要性、およびその具体的な内容についてどのようにお考えか、お尋ねします。
所有者等への情報の提供などの支援が必要
【近藤議員】空家問題は、複雑多岐にわたる問題が原因となっており、それらの解決には、所有者等への情報の提供など、市の支援の必要性がり、空家等の活用に係る規定を盛り込んだ。
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(答弁が長々と続いたため、ここで時間切れ。議長がとめました。)
キーワード:環境と防災、まちづくり、田口かずと