名港議会 一般質問② 防災対策について(2014年3月26日)

防災対策について演壇s2

名古屋市が新たな被害想定を公表
【山口議員】南海トラフを震源とする巨大地震及び津波について、名古屋市は新たな被害想定を公表しました。しかしながら、愛知県の被害想定はいまだ公表されておらず、名古屋港のさらなる防災対策の強化については、この県の被害想定と地域防災計画の改訂待ちになっています。2月には6回目となる名古屋港地震・津波対策検討会議が開かれました。そこへの提出資料も踏まえて、以下数点質問いたします。

老朽化・陳腐化した物流施設の避難施設、避難誘導を
【山口議員】第1に、避難施設、避難誘導についてです。国土強靭化基本法及び南海トラフ地震対策特別措置法の成立を受けて、国は新たに避難施設の整備について、避難機能を備えた物流施設の整備に対する民間事業者への支援制度、これはわかりやすいと思いますけど、それと老朽化・陳腐化した物流施設の再編・高度化に対する補助制度、この二つを設けるとしました。この新制度の補助対象になる老朽化・陳腐化した物流施設は一体名古屋港には幾つあるのか、この制度を名古屋港ではどのように具体化するのかお答えください。
中部地方整備局からの情報収集に努める
【企画調整室長】物流施設の再編・高度化に対する補助制度は、コンテナ取扱量の多い名古屋港を含む18の港湾を対象として、臨港地区に立地する2社以上の民間企業の老朽化・陳腐化した物流施設を再編整備することにより、防災機能の向上及び物流の効率化を図ることなどが要件となっています。具体的には、物流施設におけるランプウェイや敷地内道路、緑地などの施設に対して、国が直接民間事業者に3分の1の補助を行うもの。
 補助制度は平成26年度からの新制度であり、現時点では対象施設の詳細は明確になっておらず、また、対象となる施設は特定されてない。中部地方整備局からの情報収集に努め、当該補助制度の利用について関係者への情報提供に協力していきます。
名古屋港堤外地の従業者の津波避難対策は
【山口議員】飛島村では、昨年3月に津波避難計画をつくり、さらに現在一時避難施設を増設中です。東海市では、昨年9月に津波避難計画の概要を示し、市民意見を募集しました。名古屋市ではまだまとまった形での津波避難行動計画はありませんが、港区では津波避難ビルが地域住民の何パーセント収容できるのか、収容率として数値を示して整備を進めています。ちなみに現在は64パーセント、一番厳しい大手学区は9パーセントです。
 検討会議には、名古屋港堤外地の従業者数として、ガーデンふ頭などの内港地区に3,400人、金城地区では3,700人、飛島、鍋田、弥富など西部地区には9,200人、南部地区、知多市、東海市の方面には1万8,800人、合計3万5,000人が1,100の事業所で働いているという数値が示されました。
 それでは、各地区に津波からの一時避難施設は一体幾つあり、収容可能人数は何人になっているのか、収容率では何パーセントか、現状及び今後の整備目標についてお答えください。
一時避難施設は鍋田ふ頭1棟674人、飛島ふ頭5棟2,600人の収容可能
【防災・危機管理担当部長】一昨年に名古屋港所在市村防災連携会議でアンケートを実施。この結果、多くの企業が津波避難場所を自社内に確保するなど、企業みずからが従業員の避難対策に取り組んでいる。西部地区は、自社内に津波避難場所を確保できていない企業の割合が高いことや、立地企業の従業員でないコンテナトレーラーが多く通行することから、各市村と連携しながら津波避難施設の指定に向けた取り組みに努めており、現在は、堤外地の一時避難施設として鍋田ふ頭で1棟674人、飛島ふ頭で5棟2,600人が収容可能となっている。
 現時点は津波浸水想定区域が決定していないため、避難対象地域の避難対象者数が明確になっていません。今後、避難対象者全員を収容できるよう、民間企業や各市村と連携して津波避難施設の拡充などに継続して取り組みます。
コンテナトレーラーとドライバーへの被害想定と対策は
【山口議員】従業者数にはコンテナトレーラー等の運転手さんは入っているんでしょうか。依然としてドライバーの避難誘導対策が立ちおくれていませんか。コンテナを積んだトレーラーを放棄して逃げろと避難誘導するのが原則だと思いますが、放置されたコンテナトレーラーが路上にあふれます。コンテナトレーラーとそのドライバーについて、どんな被害想定と対策を立てているのかお答えください。
トレーラーをとめて最寄りの津波避難施設に退避する必要がある
【防災・危機管理担当部長】巨大地震が発生した場合、道路やコンテナヤードでは液状化現象が起こり、トレーラーの走行に支障を来すことが想定されることから、原則はトレーラーをとめて最寄りの津波避難施設に退避する必要があると考える。トレーラーのドライバーへの周知は、各市村と連携を図りながら防災マップを作成するなど、情報提供に努めます。
耐震強化岸壁の整備はいつまでに
【山口議員】第2に、耐震強化岸壁の整備です。今の港湾計画では、耐震強化岸壁を14バース整備するとしています。うち4埠頭7バースは既に供用済み、あと4埠頭7バースの整備が残されていますが、そのうち飛島ふ頭南側や北浜ふ頭はまだ岸壁そのものの整備がいつになるのか、これめどが立ってないんじゃありませんか。ガーデンふ頭と稲永ふ頭については既存岸壁を改良する、こういう港湾計画ですが、新年度予算には影も形もありません。耐震強化岸壁をいつまでに整備するのか、これさえも県の地域防災計画と整合を図らなければ実施しないんでしょうか。
  特に緊急性を有する施設は計画変更して 早期整備を目指す
【企画調整室長】名古屋港港湾計画に位置づけている災害時の物資の緊急輸送や、国際海上コンテナ物流機能を維持するための耐震強化岸壁の整備は、これまでも鋭意取り組んできた。今後は、愛知県地域防災計画との整合も図りながら、耐震強化岸壁の配置や必要バース数などを港湾計画において再整理します。
 なお、特に緊急性を有する施設は、平成26年度内を目途に計画の一部変更を行い、早期整備を目指します。
基幹的広域防災拠点を整備すべきだ
【山口議員】第3に、基幹的広域防災拠点の整備です。金城ふ頭と空見ふ頭の間の海面を埋め立てて整備する計画のようですが、これはいつまでに整備するのか。東京湾や大阪湾では既に供用されています。基幹的広域防災拠点、名古屋港が遅過ぎませんか。これ整備主体は国だと思いますが、埋め立てには時間がかかります。空見ふ頭なども活用して、暫定的にでも基幹的広域防災拠点、港に整備すべきではありませんか。答弁を求めます。
金城地区を候補に整備計画を検討
【企画調整室長】中部圏の基幹的広域防災拠点は、東海・東南海・南海地震対策中部圏戦略会議で、司令塔機能の三の丸地区、静岡県庁と高次支援機能を担う名古屋港、県営名古屋空港、富士山静岡空港の合計5カ所とされ、金城地区を候補地として整備計画の検討を進めている。
 国の南海トラフ巨大地震などの防災対策に関する計画に中部圏戦略会議の議論が反映された後、速やかに港湾計画に位置づけたい。しかし整備には期間を要するため、既存のオープンスペースの活用などによる当面の運用方針について関係者と協議している。
 基幹的広域防災拠点は大規模な災害時に広域的な支援を円滑に実施するための重要な拠点ですので、早期運用に向けしっかり取り組みます。
県や市の地域防災計画を踏まえないと具体化できないものは何か(再質問)
【山口議員】耐震強化岸壁については、愛知県がこれから改訂する地域防災計画も踏まえて、配置計画を再整備する、その中でも緊急性を有するものは早期に整備するという答弁がありましたが、特に緊急性を要する場所はどこかが問題です。
 港湾でのさまざまな防災対策が県の地域防災計画の改訂を待っているという状態ですが、その中で基幹的広域防災拠点だけは、金城地区を候補地として整備計画の検討が進められているという答弁でした。ここだけは県の計画に先んじて国レベルで具体化が進んでいるということだと思います。
 そこで確認したいと思います。名古屋港の防災に関Lで、県や市の地域防災計画を踏まえないと具体化できないものは何でしょうか。金城地区への基幹的広域防災拠点の整備は、愛知県や名古屋市の地域防災計画の改訂を待たずにここは進められるものというふうに理解してよろしいのか、室長さんの答弁を求めます。
港湾計画を見直すことで事業は推進できる
【企画調整室長】現在、地域防災計画は県において見直し、検討が進められており、同計画の中で地域の被害想定や想定地震などが定められることとなっている。
 耐震強化岸壁は、同計画における被害想定を受け、必要量や配置を港湾計画に位置づけ、その実施に当たっては、同計画に定められた想定地震に対応した施設を早期に整備する。
 一方、基幹的広域防災拠点は、国の定める防災計画に関する計画に基づき、県が地域防災計画を、また本組合が港湾計画を、それぞれの立場や役割を踏まえて整理するものであり、地域防災計画及び港湾計画の改訂時期の若干の相違はあっても、港湾計画を見直すことで事業は推進できると考える。
金城ふ頭にこそ耐震強化岸壁を早期に整備すべきだ(再質問)
【山口議員】臨海部の基幹的広域防災拠点には耐震強化岸壁が不可欠です。ところが、現在の港湾計画には、この金城ふ頭地区に耐震強化岸壁を設ける計画がありません。基幹的広域防災拠点の整備予定地であると思うんですが、違いますか。これはどういうふうに考えたらいいのか、専任の副管理者に答弁を求めたいというふうに思います。
 金城地区に耐震強化岸壁を計画し 早期の整備を目指す(副管理者)
【専任副管理者】国が整備を行う基幹的広域防災拠点は、南海トラフ巨大地震発災直後に広域支援活動を効率的に実施するため、各地域の防災拠点と一体的に機能する必要がある。このうち港湾の基幹的広域防災拠点に求められます最も重要な役割は、船舶で輸送された大量の緊急支援物資を荷さばき、保管するとともに、広範囲にわたる被災地へ必要な物資を迅速に配送することです。そのためには、被災後も使用可能な耐震強化岸壁と、大量の物資や機材及び支援部隊のためのオープンスペースが必要となる。
 しかし、現在その対象となる金城地区には耐震強化岸壁の計画がないため、基幹的広域防災拠点が国の防災対策に関する計画に反映されました後、平成26年度を目途に耐震強化岸壁を港湾計画に位置づけ、早期の整備を目指します。
名古屋港から必要な防災対策を県や市に提起を(意見)
【山口議員】耐震強化岸壁について専任副管理者から、金城ふ頭地区、念頭に置いて耐震強化岸壁を早期に整備すると、この点では明快な答弁をいただいたというふうに思います。
 耐震強化岸壁に限らずですね、県や市の被害想定、地域防災計画の改訂待ちにならずに、名古屋港からこそ必要な、こういうものが必要だ、こういう避難誘導計画立てたんだけどどうだろうという形でですね、名古屋港からこそ必要な防災対策を県や市に提起していただきたい。それぐらいの積極的な姿勢で防災対策にはぜひ臨んでいただきたい、これも要望しておきたいというふうに思います。

 

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