名港議会 一般質問③ 国際戦略港湾について(2014年3月26日)
国際戦略港湾について
コンテナでの名古屋港と三河港の機能分担は
【山口議員】名古屋港の国際競争力に関して、コンテナとバルクに関する国の国際戦略港湾戦略との関係で伺っていきます。まず、国際コンテナ戦略港湾政策との関係です。
国は、日本経済の国際競争力の強化を目的に、現在釜山港などで欧米向けの基幹航路に積みかえられている国内のコンテナ貨物を東京湾、京浜港と大阪湾、阪神港の二つの国際戦略港湾に集中し、基幹航路の我が国への寄港回数を維持する。そのために、いわゆる選択と集中路線を一層進化させて、東西二つの港湾に国家予算を重点的に投資するとしています。
そうした中、愛知県では、コンテナ貨物を取り扱う港として、名古屋港と三河港があります。コンテナの取扱量は、名古屋港266万個、三河港4万個、比率で66対1です。ちなみに完成自動車の取扱台数は153万対98万、3対2、総取扱貨物量では2億300万トン対2,200万トン、9対1、圧倒的な差があります。
ところが、港に関する公共事業費を単純に比較すると、もちろん単純な比較ですのでこの中には防災に関する事業なども含まれていますが、名古屋港への県の負担金は21億円、三河港は18億円、ほぼ同額となっています。
選択と集中というなら、ほかの県にポートセールスへ行く前に、県内のコンテナ貨物ぐらいは名古屋港に集中すべきではないかと単純に疑問を持ちます。名古屋港と三河港の機能分担についてはどのようにお考えなのか、答弁を求めます。
国際競争力を発揮できるよう両港がそれぞれの役割を果たす
【企画調整室長】本港は、基幹航路を初めとする多様な航路サービスを有し、我が国を代表する国際総合港湾として、中部地区に立地するものづくり産業の国際競争力を物流面で支える重要な役割を担っていれう。
一方、三河港は、中国、韓国、ロシアのコンテナ航路が就航し、その多くは三河港臨海部及びその周辺地域の貨物であり、三河港周辺地域産業の国際競争力を支える港として重要な役割を果たしていると愛知県から聞く。
国の基本方針では、国際海上コンテナ輸送網の強化に向け、北米や欧州向けの基幹航路とともに、アジア地域とのダイレクト航路による多頻度少量の輸送など、多様なニーズに対応することも必要とされ、高い国際競争力を発揮できるよう両港がそれぞれの役割を果たしていくことが重要である。
基幹航路の比重が相対的に下がっている現実をよく見よ(意見)
【山口議員】コンテナについては、三河港では基幹航路以外のコンテナを扱っているので、現実的には名古屋港へ集める、そういう集荷の対象にはしていないという答弁だったと思います。地域産業の国際競争力を支えるのは、今の答弁にもあったとおり、北米や欧州への基幹航路以外に、アジアなどとダイレクトに結ぶ航路が重要だと、こういう答弁でした。これは私もそう思います。いわゆる国際戦略港湾、選択と集中路線以外のところで、要するに基幹航路以外のところで国際競争力が問われると、こういう時代になってきている。名古屋港でも基幹航路の比重が相対的に下がっていると、この現実をよく見ていただきたいというふうに思います。
複数の事業者があるバルクは誰が一体的に運営するのか
【山口議員】国際バルク戦略港湾、特定貨物輸入拠点港湾について伺います。
港湾法の改正により、輸入ばら積み貨物を取り扱う拠点港湾を国が指定することになりました。水深14メートルを超える泊地を港湾計画に定めで、埠頭が同一の民間事業者により一体的に運営される、このこらの要件や規模、そして取扱量、その他の事情を国が勘案して指定するそうです。
事情を勘案して指定する、これは一体どういう法律なのか。国が恣意的に指定すると宣言しているようなものではありませんか。既に3年前、2011年に穀物、鉄鉱石、石炭で計11港を選んでおきながら、もう一度選び直すということなんでしょうか。
そこで数点伺います。
一つ、新しく要件とされた同一の民間事業者による埠頭の一体的運営とは、コンテナ埠頭の港湾運営会社とは全く別の会社なり組織を新たにつくれということなのでしょうか。穀物輸入業者も複数あり、港運会社も複数ある名古屋港でバルクを扱うとされる北浜ふ頭の一体的運営を担う同一の民間事業者とは一体誰のことなんでしょうか。
具体的な検討を行うまでには至っていない
【企画調整室長】現時点では具体的な検討を行うまでには至っていない状況です。
港湾法で定められた一元的なコンテナターミナルの運営を行う港湾運営会社は、輸入ばら積み貨物、いわゆる国際バルク貨物を取り扱う埠頭の一体的な運営も否定されているわけではない。
埠頭運営のあり方は、今後、穀物関連企業と協議するとともに、国の支援制度の内容をしっかり見極めながら、慎重に対応します。
拠点港湾に指定されるための新たな条件を設定した国の目的は何か
【山口議員】拠点港湾に指定されるための新たな条件を設定した国の目的は何でしょうか。3年前に名古屋港が国に提出した目論見書ではまだ足りない、不十分だとして、さらに高いハードルを設定してきたんでしょうか。それは選択と集中がまだまだ甘いとして、もっと拠点港湾を絞り込むためですか、それとも選定された11港の全てに大水深バースをつくらせるなど、一層の大型公共事業を拡大するためのなのか答えてください。
特定貨物輸入拠点港湾制度と国際バルク戦略港湾政策の目的は同じ
【企画調整室長】特定貨物輸入拠点港湾は、穀物などの輸入ばら積み貨物の輸入拠点としての機能を高めるべき港湾を国土交通大臣が指定するもので、船舶の大型化に対応した岸壁、泊地などのハード面と、大型船舶を活用した共同輸送などのソフト面と一体となった取り組みで、穀物などの安定的かつ安価な輸入を実現し、我が国産業の国際競争力の強化、雇用と所得の維持、創出を図ることを目指している。従って、国際バルク戦略港湾政策と目的は変わらず、実施に当たっての法制度が整えられたものです。
バルク拠点港湾にかかる整備費用はどれだけか
【山口議員】14メートルを超える水深が必要としていますが、名古屋港のバルクを担うとされる北浜ふ頭前の泊地は、3年前にバルク港湾に選定された後、2年前に港湾計画の一部変更で水深を12メートルから14メートルに変えたばかりです。拠点港湾に指定されるには、改めて港湾計画の変更が必要になるんですか。そうだとすると、バルク拠点港湾にかかる整備費用、伺っているところ、現行の予定額2,360億円ではまた足りなくなるんですか、これも答えてください。
ポストパナマックス船に対応するための2360億円。実施にあたっては精査する
【企画調整室長】現在の港湾計画では北浜ふ頭に水深14メートルの岸壁や泊地などを位置づけているが、特定貨物輸入拠点港湾の指定には、港湾計画の変更が必要となる。
全体事業費は、名古屋港国際バルク戦略港湾育成プログラムにおいて、パナマ運河の拡張を見据え、穀物輸送で将来登場し得る最大船舶であるポストパナマックス船に対応するための港湾施設や民間事業者による施設の整備も含め試算した。
今後、関係者との協議や港湾計画の変更に係る調整を行うとともに、事業実施に当たっては、整備内容や事業費を精査します。
現計画以上の大水深バースは関係者の合意形成も難しい(意見)
【山口議員】バルクについては、今の答弁聞いても、国の政策にはまだまだ不透明な部分が多いというふうに思います。現計画以上の大水深バースをつくることには、関係者の合意形成も難しいんじゃないかなというのが率直な感想です。
二つの戦略港湾については、委員会で引き続き議論したいと思います。
キーワード:環境と防災、まちづくり、大型開発・ムダ遣い見直し