名港議会 一般質問⑤ 国際コンテナ戦略港湾政策と運営民営化(2014年6月11日)
国際コンテナ戦略港湾政策と港湾運営会社について
「選択と集中」で東西二港を特別扱いする国策は破たんした。名古屋港を含む各地の重要な港湾それぞれにみあった整備を行うよう港湾政策の抜本的転換を国に対して求めるべきではないか
【山口議員】国の国際戦略港湾政策は、「選択と集中」の名のもとで、東京湾と大阪湾の東西両港湾に多額の税金を注ぎ込んできました。これまでに国がスーパー中枢港湾に投資した事業費はこれには名古屋港も含まれますが5100億円です。
しかし東西の両港湾では、基幹航路を維持することやトランシップ貨物を釜山から取り戻すことも達成できませんでした。北米向けコンテナでは京浜港では2008年に159万TEUだったのが2012年には107万に3割減っています。阪神港は47万TEUが同じく37万TEUに2割以上の減。これが現状です。 ところが国際コンテナ戦略港湾政策に国は、今度は2011年(平成23年度)から2020年(平成32年度)までの10年間でまた約5500億円を、今度は名古屋港はありません。東西両港湾の大水深バースの整備などに注ぎ込み始めています。
そればかりか、港湾民営化で国際競争力の強化といいながら、民営化でと言いながら、今度は特例港湾運営会社に国が出資する法改正まで行い、さらに東西二港と他の地域の港湾整備に格差をつけていく。
しかし港湾の国際競争力が落ちているという問題は港湾のハード整備の遅れが根本的な要因ではありません。「日本の製造業の海外生産シフト、荷主のニーズの中国へのシフト、地方港湾の海外港湾との連携」この三つだと、これは日銀神戸支店の神戸港についてのレポートが分析した結果です。こんなことを言っています。「日本の産業構造の変化にこそ問題の根本がある」と。そこから目をそらして特定の港湾に税金をつぎ込み、いくら深いバースをつくっても船は来ません。
管理者に答弁を求めます。国際コンテナ戦略港湾の政策、「選択と集中」との名目で東西二港を特別扱いする国策は破たんしています。いまこそ、東西二港の特別扱いを改め、名古屋港を含む各地の重要な港湾について、それぞれの地域の需要に合った適正規模での整備が行えるよう、港湾政策の抜本的転換を国に対して求めるべきではありませんか。管理者の見解をお聞かせ願いたい。
少しでも安く利用してもらって世界に冠たる港にしていく(管理者)
【管理者(河村市長)】選択と集中の政策は、国策を誤った、失敗したと思いますね。その大きな理由が、本当に借金だ、思っとったんです、あのとき民主党の多くの人たちが。金がにゃあという前提から入っておったから大失敗した。で、増税だと言いかけた。同じように、投資するについても2港に選択と集中をせないかんということになったけど、実際は膨大な金が余ってます。庶民はないけど銀行に。
わないかんけ。
それから価格競争をして行革をする。名港管理組合はようけ人ござるけど、どうなってるんですかね。聖域をなくしてやった分は、ちょこっとでも安く名古屋港を利用してもらって世界に冠たる港にしていく方向が必要じゃないかと思います。
港湾運営会社化で、港湾で働く人たちの労働条件が影響を受けるのか
【山口議員】港湾民営化と称して名古屋港埠頭株式会社を特例港湾運営会社にして国際競争力の強化を図るという名古屋港の路線について、最後にうかがいたいと思います。
この春、管理組合から多くの職員がこの会社に移籍しましたが、彼らの待遇は公務員時代と変わらない、と聞いています。港湾労働者にしわ寄せする形でのコスト削減は、私は当然認められない。質の高い安定した労働力の確保が、ユーザーに選択される港湾、つまり港湾の国際競争力にも不可欠です。
そこでうかがいますが、港湾運営会社をつくることで、港湾で働く人たちの労働条件にはどう影響があるのか。端的に答えていただきたい。
港湾労働者の労働条件には、影響しない
【企画調整室長】名古屋港埠頭株式会社は、ガントリークレーンなど上物施設に対する無利子資金の借入れによる整備費の縮減、コンテナターミナルの一体運営によるスケールメリットを活かした維持管理費等の削減及び国有岸壁を始めとする港湾施設の低廉な貸付により、利用者に対する施設使用料の低減を実現していくもので、港湾で働く人たちへの労働条件には影響しないと考える。
新会社に変わって比較検証する仕組みを整えておくべきではないか
【山口議員】新しい施策の成果を検証するためには現行のコスト、労働条件、港湾の効率性などをまず私たちに現状をわかりやすく示していただきたい。新しい会社に変わったらそれがどういうふうになったのか、きちんと比較検証する仕組みをいまから整えておくべきではないでしょうか。答弁を求めます。
コスト削減やサービス向上での効果は、コンテナ取扱い個数で検証
【企画調整室長】いろいろあるが、コスト面では、無利子貸付制度を措用することでガント栄―クレーンなど上物施設の整備費が15%程度削減できる。また民の視点による利用者ニーズへの柔軟な対応や迅速な経営判断など、サービス面での向上が図られる。これらの取り組みで船会社や荷主に選ばれ、利用してもらえることが重要であり、その結果として現れるコンテナ取扱個数の増加等の成果を検証する。
自民も民主も東西二港の特別扱いに賛成。日本共産党だけが反対。競争だけでなく協調してネットワークをつくらないと港の発展はありえない(意見)
【山口議員】戦略港湾の問題ですが、東西の2港湾と名古屋港を同様に扱ってくださいよ、と私はこういう陳情とか低姿勢のお願いではだめだと思う。
はっきり言って、東西2港を特別扱いにしたのは民主党政権下の戦略です。しかし今度、自民党政権にかわったら、今度の国会で成立した港湾法の改正は東西両港をもっと特別扱いしようという法改正ですよ。名古屋・愛知出身の国会議員で誰か反対しましたか。みんな賛成しているじゃないですか。
港湾法の改正にわが党は反対の態度を国会でもとりましたが、東西港で基幹航路の取扱量が伸びない原因は日本の内需の低迷、大企業の海外生産推進による産業空洞化の進行。大水深バースの建設や集貨事業にいくら巨額の税金をつぎ込んでも基幹航路の維持ができる保証はない。これがわが党の港湾法の改正への反対理由の第一です。
私たちは何度か、日本海側の港も見せてもらいましたが、海外との直接的なネットワークをもう地方の港は築いてきています。名古屋港はむしろ、地方港全体の代表のつもりでそれぞれの地域の需要に見合う整備をそれぞれの港湾が自主的にすすめられるように、国に対して政策の変更を求めるべきだ、この点は重ねて申し上げておきたい。
特別扱いする港が二つになるのか三つになるのか、バルクのように十数港になるのか、ともうそういう発想自体を変えてもらわなければいけない。
貿易なのですから、競争するだけではなくて、貿易相手国の港を含めて協調して、ネットワークつくっていかないと貿易の発展もありえない、という点だけは強調しておきます。
キーワード:環境と防災、まちづくり、山口清明