2014年9月議会
さはしあこ議員の個人質問①新制度での学童保育拡充の方針を示せ(2014年9月18日)
放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定について
名古屋市会議員 さはしあこ
資格をもった複数の専任指導員の配置を
【さはし議員】子ども青少年局長に放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定についてお伺いします。
放課後児童健全育成事業、すなわち学童保育は、子ども・子育て支援新制度において、地域子ども・子育て支援事業の一つに位置づけられました。そして、設備および運営について、条例で定めることが義務づけられましたが、議題となっている本市の条例案は、省令で示された国の基準をほとんど踏襲するものとなっています。
省令第3条で、市は最低基準向上させるように努めると努力にとどまっています。第4条(最低基準と放課後児童健全育成事業者)において、「事業者は、最低基準を超えて、常に、その設備及び運営を向上させなければならない。」など事業者は義務となっています。名古屋市における学童保育所の運営は、父母会が地域運営委員会より委託され運営主体となっているため、補助金給付という市の責任を明らかにし、体制・設備・運営において水準向上のために必要な基準は、市が具体的な改善を規定に盛り込む必要があると考えます。
そこで、学童保育の質を向上させるために、いくつかの改善点を提案します。
まずは、指導員の配置基準の引き上げについてです。省令第10条第2項では、放課後児童支援員、すなわち指導員の数は、2人以上としていますが、ただし書きで、そのうち有資格者が1人いれば、あとは補助員でよいとされています。さいたま市では、資格を有する専任指導員を複数配置しています。
ただし書きを削除し、資格を有する指導員を2人以上配置するようにすべきではありませんか、お答えください。
基準以上にすると運営できなるところが出るので基準通りにする(局長)
【子ども青少年局長】今回、新たに国基準が定められたが、国が示す基準以上の内容を設けると、現に運営している事業所の一部で、基準を満たせず運営できなくなる可能性があります。今回の基準について、国は最低基準と位置づけており、市としても、各事業者が継続的に安定した運営を行うに当たり、国基準が適当であると考える。
積極的に財政支援を行って有資格の指導員複数配置を(意見)
【さはし議員】どの問題も現状のままであるとしか思えない答弁です。
有資格者の指導員を2人以上設置することについて、ただし書きにあるように、資格を有する指導員を一人のみとするならば、その一人が病気になったり、育児休暇を取得した場合、責任をもてる指導員が不在となってしまうことが危惧されます。また、さまざまな環境、状況の子どもたちが一緒に生活をする第二の家庭であるため、指導員は一人ひとりに寄り添い、子どもたちの成長、悩み、変化に気づき、父母に伝えるなど大切な役割を持つため、専門性も必要です。助成金の拡大を含め、積極的に財政支援を行って有資格の指導員複数配置を進めることを要望いたします。
土地や施設の確保に対する支援の強化を
【さはし議員】留守家庭児童育成会の設置増に向けた対応についてですが、省令第10条第4項では、「支援の単位を構成する児童の数は、おおむね40人以下」とされています。ところが、本市の留守家庭児童育成会の学童保育では、40人を超えているところが21か所あります。条例案には経過措置「当分の間」が設けられています。市は、子ども子育て事業計画の中で「分割要件の緩和等、設置数増に向けた対応に努める」としていますが、分割要件をどこまで緩和するか、また、分割により新たな学童保育を設置するためには、土地や施設の確保が課題になります。いまでも立ち退きなどで、土地や施設探しに苦労している育成会があります。
そこで、分割や新設を促進するために、市が土地や施設の確保に対する支援を強化する必要があると思いますが、支援策を講じるべきではありませんか、お答えください。
様々な支援策について今後も検討したい(局長)
【子ども青少年局長】現在も、留守家庭児童育成会が常時40人以上の児童数となった場合には、分割ができることにしています。
育成会が分割する際の新たな運営場所の確保への支援は、これまでも、本市独自の支援策として、市が設置した留守家庭児童専用室を育成会に無償で貸与しており、借家で運営する育成会には家賃補助も行っています。
土地や家屋の提供の呼び掛けを広報なごやで行うことや、不動産関係団体を通じ、当該団体の会員へ土地や家屋の情報提供の呼び掛け等を行っています。また、土地や家屋を無償貸与した方には、国定資産税及び都市計画税を減免するなど運営場所確保へのさまざまな支援を行っています。
各育成会が基準を満たすよう分割等を行うにあたり、その運営場所を確保できるよう支援することは重要なものであると認識している。本市の特長的な支援策を活かしていくとともに、事業のより安定的な継続に向けた様々な支援策について、今後も検討したい。
市有地の斡旋や家賃補助の増額なども検討すべき(意見)
【さはし議員】これまでも土地確保が課題であることは申し上げてきており、2013年の2月の本会議で、私は「学童保育が一番困っていることは土地や施設を見つけることなので、土地や施設の確保は名古屋市が責任を持って行っていただきたい」と要望しました。市有地の斡旋や家賃補助の増額なども検討すべきだと申し上げます。
専用区画をきちんと確保せよ
【さはし議員】最後に、専用区画についてです。省令第9条第3項では、「専用区間(生活・遊び・静養の場)並びに設備及び備品等は開所している時間帯を通じて専ら当該放課後児度健全育成事業の用に供するものでなければならない」としていますが、ただし書きで、利用者の支援に支障がない場合は、この限りでないとされています。「この限りでない」は範囲がわかりにくく、この解釈では、支援に支障がなければ、学童の子ども以外が事業所に自由に入ることが可能になるなど、利用者のプライバシーの保護が守られず、あいまいな規定となります。
学童保育は、安心できる第二の家庭です。誰でも入れるような意味にもとれるただし書きを削除すべきではないでしょうか、お答えください。
児童同士で、仲良く遊び、交流しており、国基準が適当(局長)
【子ども青少年局長】専用区画や設備、備品等につき、開所時間中は、原則として専用とされているものの、利用者の支援に支障がない場合はこの限りでないとして、他の事業と共用できるとされています。共用できる場合の例として、本市でいう、「トワイライトルーム」を挙げています。留守家庭等の児童が過ごす専用区画を確保した上で、開設時間中、一定の時間は、専用区画においても、留守家庭等の児童はもちろん、参加するすべての児童同士で、仲良く遊び、交流するなど、放課後等の時間を豊かに過ごしています。したがって、国の規定の趣旨や本市の現状を踏まえますと、国基準が適当と考える。
トワイライトルームに対するただし書きは必要ない(意見)
【さはし議員】国は、放課後児童健全育成事業は、学童保育とトワイライトルームを一体的に進めようとしています。トワイライトルームは、学童保育の機能を十分にはたしているとは考えていないので、トワイライトルームに対するただし書きは必要ないと申し上げます。