2014年11月定例会
わしの恵子議員の議案外質問 ② 女性が活躍する名古屋に(2014年11月28日)
女性が活躍できる名古屋市について
名古屋市会議員 わしの恵子
女性の管理職比率は30%が目標なのに11%。どうするのか
【わしの議員】安倍内閣がさかんに宣伝している「女性が輝く社会」という言葉。しかし、日本の女性がおかれている地位は、男女の格差指数で142か国中104位と非常に遅れています。
順位を下げているのは、「政治への参加」や「職場の進出」です。名古屋市の女性のおかれた実態はどうでしょう。社会全体における男女の地位の平等感についての意識調査では、名古屋市では女性の78.7%、男性の68.6%が社会全体において男性の方が優遇されていると答えています。全国では、女性の74.8%、男性の64.3%が社会全体において男性のほうが優遇されていると答えています。
また、「非正規の職員・従業員」の割合は男女ともに上昇が続いていますが、本市では、2012年度が男性での21.6%と比べ、女性が60.2%と6割以上が不安定雇用となっています。また男女の賃金格差は、国が73.5%に対し、市は66%と女性にとって働くことが非常に不安定となっています。
また、子育て世代の女性の有業率も、ほぼ65%と低く、子育てしながら働く環境が整っていません。市がおこなった調査では、女性の離職者の割合がもっとも高いのは「出産・育児のため」、介護による離職も増えています。女性が男性と平等に働ける労働条件の整備はまったなしの課題です。
名古屋市には、女性の生活を守り権利を向上させるための独自の努力が求められます。そこで数点質問します。第1に、女性が政策・方針決定の場に参加する割合を高め、女性の意見が職場や社会、政治の面で反映されにくい現状を解決することです。2020年までにあらゆる分野で指導的地位にしめる女性の割合を少なくとも30%にするという政府目標がありますが、名古屋市でも数値目標・スケジュールの設定をふくめた計画策定・実施を進めることが求められています。
市の職員における管理職の女性比率については、少しずつ増え、25年度11.5%になり、政令市における女性比率を上回っています。しかし、行政職の管理職における女性比率は6.4%と、政令市の8.9%を大きく下回っています。
いずれにしても、政府の30%目標から見れば一層の努力が求められます。そこでお聞きしますが、市職員の管理職に占める女性の割合を高めるために、どのように進めていくのか総務局長に伺います。
男女の地位の平等感に関する調査結果
上が全国(H24年10月内閣府)
下が名古屋市(H25年市民アンケート)
女性の活躍推進に係る全市的な検討会議を設置した(局長)
【総務局長】これまでも適材適所の観点から積極的に取り組んできた。国は、日本再興戦略改訂2014の1つとして「女性の活躍推進」を掲げ、女性の活躍推進に係る新法や行動計画策定に関する指針を制定する。
こうしたことを受け、女性の活躍推進に係る全市的な検討会議を設置した。今後、国の動向も踏まえながら、引き続き取り組みたい。
審議会等における女性委員の登用率35%をどう40%に引き上げるのか
【わしの議員】また、市政における方針決定過程に女性の参画が確保できるよう、審議会における委員の女性比率を高めることも重要です。現在、市の審議会の女性の登用率は35%程度で、女性の委員がゼロという審議会も残されたままです。審議会における委員の女性比率を目標値である40%以上にするためにどのように進めていくのか合わせてお答えください。
女性登用の選任規定や選任方法など具体的な方策を見直している
【総務局長】「男女平等参画推進協議会」などを活用し働きかけをすすめ、平成26年4月時点で女性委員の登用比率は34.8%、ここ数年は横ばいで推移し、男女平等参画基本計画2015に掲げる目標値には到達していない。今年度の取り組みとして、女性登用の促進に関する運用の方針を新たに設け、委員改選時における関係局との協議において、選任規定や選任方法などの見直しについて、より具体的な方策を話し合うなど、女性委員の登用促進に向けて取り組んでいる。
新たな取り組みとして、名古屋市立大学や名古屋大学などと連携して、女性研究者の人材情報データベースを作成し、関係局へ情報提供することにより、審議会等への女性登用の促進に一層取り組んでまいりたい。
働く女性、特にひとり親世帯の貧困を解決するための支援強化を
【わしの議員】第2に、働く女性の貧困を解決する問題については、シングルマザーの経済的支援を拡充することは急務です。OECD(経済協力開発機構)のデータでは、日本の場合、就労していないひとり親世帯の貧困率は50.4%となっています。ところが就労しているひとり親世帯の貧困率は50.9%と逆に上昇してしまいます。働くと逆に貧困率が高くなるような国は世界で日本だけです。その原因はシングルマザーの5割以上が非正規雇用で働いているからです。市独自のひとり親手当もありますが、縮小されて今では、ひとり親になってから3年間という期限が定められ、手当額も全部支給で1年目9000円、2年目4500円、3年目3000円と減らされて打ち切りとされます。これに対し東京都では、ひとり親家庭に対し児童の福祉の増進を図ることを目的として児童育成手当を子どもが18歳になるまで、子ども一人につき月額、13500円が支給されています。
そこでお聞きしますが、名古屋市でも東京都のように、市独自のひとり親家庭への経済的援助をして、児童の福祉の増進を図ることは喫緊の課題だと考えますがいかがですか。子ども青少年局長にお聞きします。
「ひとり親家庭手当」は今のままでいく。正規雇用につながる支援をしたい
【子ども青少年局長】実態調査の結果からも厳しい状況にあり、原因の一つに非正規雇用が増えているという雇用形態の問題があると認識している。
第3期「ひとり親家庭等自立支援計画」の柱の一つとして、正規雇用など、より安定的な収入確保のための就業支援を掲げ、資格取得に向けた就業支援講習会の充実などの施策を進めたい。
手当の給付などの経済的支援は、就労収入を補完するものとして必要と考える。市独自の「ひとり親家庭手当」を見直し、支給期間を短くする代わりに給付額を増額し、ひとり親となった直後に集中的に給付することで、自立へ向かうステップ゚を支援する施策として位置付けた。他都市は交通遺児だけなど、対象が狭くなっている例が多く、離婚までを対象としている政令指定都市は他に2都市のみであり、独自の手当の給付は現行のまま継続しながら、正規雇用につながるような一層の就業支援や、育児や家事などの生活支援、子どもへの支援など、総合的な支援策を展開することにより、ひとり親家庭の自立を図りたい。
キーワード:平和と人権、市民生活