2015年2月定例会
さはしあこ議員の個人質問①国保料の引き下げを(2015年2月25日)
2月議会 個人質問 2015年2月25日 さはし あこ
平成27年度の国民健康保険料の引き下げについて
国の保険者支援でいくら国保料が下がるか
【さはし議員】通告に従い、国民健康保険料について、健康福祉局長に、順次おうかがいします。私は、4年前の2011年3月議会で、払えないほど高すぎる国保料そのものが問題だと申しあげました。この間、本市は、独自減免などの取り組みによって、国保料は、ほぼ横ばい状態が続いています。しかし、依然として負担は重いと言わざるを得ません。
昨年、私たち市議団が行った市政アンケートの中で、「くらしが苦しくなった原因は?」との問いに対し、「国保料が高い」と答えた方が、約30%にものぼりました。20代においては、第2位に「国保料が高い」をあげています。20代の派遣社員の男性からは、「国保で毎月1万5千円の負担があって経済的に痛手です」と、日常生活に国保の負担がのしかかっている切実な思いが寄せられました。
年間収入300万円の場合で、世帯主40歳、配偶者、子ども2人のモデルケースで、保険料負担額は約25万円です。資産の有無は別としまして、生活保護基準と同程度の世帯まで、25万円を強いているのが現状です。今や国保問題は貧困問題ともいえます。
国は、2015年度から、約1700億円を投じ保険者支援を行います。この結果として、本市でも国保料が下がると思いますがどうなるのでしょうか。お答えください。
1人当たりの平均で3,213円の引き下げ
【健康福祉局長】国民健康保険は、高齢者が多いため医療費が高く、一方で低所得者が多いという実態があることから、結果として、保険料が他の健康保険と比べて高くなり、財政基盤が脆弱であるという医療保険制度における構造的な課題を抱えています。
国は、このような国民健康保険が抱える財政上の構造的な問題点を解決するため、公費によって国民健康保険料を軽減する「保険者支援制度」を拡充する方針を示しており、平成27年度においては、約1,700億円を投入することとしています。
この「保険者支援制度」の拡充などにより、平成27年度の本市の医療分と後期高齢者支援金分とを合わせた国民健康保険料の年槙は、前年度と比べて、1人当たりの平均で213円の引き下げを予定しているところです。
特別軽減減免は自動的に減免を行うことも考えたらどうか
【さはし議員】さて、高すぎる国民健康保険料の引き下げは、市民の願いであります。日本共産党も市民のみなさんとともに繰り返し求めてきました。また、新年度からは、あらたに、低所得者減額の対象拡大をするとして、5割、2割の法定減額の判定基準を引き上げます。
これも負担軽減なので評価できます。このことにより、減額適用世帯は、国民健康保険加入世帯34万2400世帯のうち17万5800世帯となります。加入世帯の約半分の世帯が何かしら減額、減免を受けなければならなくなっているのが実態です。
名古屋市民のくらしを守るために、もう一歩踏み込んでみませんか?
7割、5割、2割の法定減額適用世帯が対象となる本市独自の一人あたり2千円の特別軽減については、対象者に、周知は努めているとは思いますが、なかなか広がっていないのが現状です。本来、この制度の対象となるにもかかわらず、制度を知らず、申請をしないで、特別軽減を受けていない制度の対象者は約8割にものぼっています。せっかく一人2千円の特別軽減が受けることができる対象者が8割もいるのならば、このさい、特別軽減減免を受けることができる市民すべてに対して、自動的に減免を行うことも考えたらいかがですか?お答えください。
それぞれの世帯状況を確認したうえで減免したいので変えない
【健康福祉局長】本市の国民健康保険は、大変厳しい財政状況の中、一般会計から多額の繰入を行い、災害や収入の減少などといった特別の理由がある世帯に対して、本市独自の保険料の減免を実施しているところでございます。
そのため、本市では、加入者の方から申請をいただくことで、それぞれの世帯状況を確認したうえで減免することとしています。
したがって、議員ご指摘の特別軽減についても、申請をいただいたうえで適用しているものでございます。
このような減免制度を適切に活用していただくため、従来の周知方法に加えて、平成27年度から、特別軽減の対象となる法定減額該当世帯には、よりわかりやすい申請勧奨の文書を送付するなど、引き続き丁寧なご案内に努めてまいります。 減免に手間暇かけさせるな(再質問)
【さはし議員】答弁で、特別軽減の対象となる該当世帯には、よりわかりやすい申請を勧める文書を送付するなど、案内に努めていくとお答えいただきました。案内をもらっても、申請に行くのが大変な方々もみえます。申請に行きたくても身体的理由などで行けない方や、高齢になり、申請書の文章が難しくてわからない方も少なくありません。それだけ手間ひまかけて、対象者に、お知らせするならば、いっそ自動的に適用をするしくみにしたほうが、本市にとっても効率的で、市民に寄り添った対応とは思いませんか。
また、特別軽減の対象となる方は、特別な理由があって通常の保険料を納めにくくなった市民です。それだけで、すでに、十分申請理由になるのでは、ありませんか?減免は、国民健康保険条例の第22条で「申請書に減免をうけようとする理由を証明すべき書類を添付して市長に提出」とありますが、特定減免の場合は、もともと本市が対象者に7割、5割、2割の通知書を送付していて、通知書自体が法定減免を受ける証明となっているのではないですか。
申請して、その方が対象になるかどうか、市があらためて判断する必要があるのならばわかりますが、申告と申請と市民に二重の手続きをさせる必要はないのではありませんか?答弁を求めます。
申請で世帯状況を確認をしたうえで減免
【健康福祉局長】国民健康保険料の減免は、特別な理由があって保険料を納めにくくなった方に申請をいただいて保険料を減免するという制度でありまして、本市が条例規則の規定に基づき申請をいただくことにより、それぞれの世帯状況を確認をしたうえで減免を実施しているところでございますのでご理解賜りたいと思います。
簡単に申請できる方法を工夫しなさい(要望)
【さはし議員】それだけ、申請にこだわるのならば、そして、どうせ通知書を送るならば、申請書と返信用封筒を対象者に送って、郵送で申請してもらうなど、簡単に申請できる方法を、工夫したりする努力をしませんか。
国は、「保険者支援制度」の拡充により、一人あたり平均3,213円の引き下げをすると言っています。本市の特別軽減減免を受けていない方8割すべてが受けることとなれば、さらに2000円の引き下げとなります。高すぎて払えない国保料から、誰もが払える国保料に転換することこそが、市民負担も減り、本市にとっても払っていただく加入者が増える、今、必要なことだと思います。
広域化・都道府県化で減免制度は守れるのか
【さはし議員】国は、国保の根本的問題を解決するどころか、「広域化・都道府県化」を言い出しました。
2018年度から国民健康保険の「広域化・都道府県化」、いわゆる国保の財政運営を都道府県に移管する改革案が、明らかとなってきました。市町村は、都道府県が医療費の見込み額を算定したものを分賦金として市町村に割り当て、市町村が県に納めることになります。都道府県が運営するといっても、実務にあたるのは市町村です。つまり、保険料の取り立ては、市町村がひき続き行うことが想定されています。
都道府県は市町村に対して、一年間の決めた保険料の支払いを求めるだけです。都道府県が決めた分賦金を100%完納しなければなりません。市町村は不足する分を保険料に上乗せをする、県から示された賦課総額を高めに設定することも考えられます。
市町村が、これまで以上に収納を強化し、滞納に対するペナルティーとして保険証の取り上げがひどくなるのではという懸念さえでてきます。
広域化・都道府県化については、2012年6月定例会で田口議員が、「給付費が伸びている本市においては、徹底した給付削減を迫られる、あるいは、一般会計からの繰り入れで、保険料を抑えることに対して圧力がかかる。一般会計からの繰り入れをやめる動きが進めば、高すぎる国保料がさらに高騰し、収納率の悪化をもたらすことにならないか」など、問題点を指摘しました。その時の答弁では、「広域化が被保険者の負担増につながらないよう国に要望していく」と回答されています。危惧されることは、都道府県が、市町村に対して、確実に分賦金を納めさせるために、指導を強めることで、徴収強化につながりかねないかということです。
名古屋市が独自で行っている低所得者、高齢者、障がい者を対象とした減免制度、子育て世帯など社会的弱者に配慮した保険料算定方式など、今まで頑張ってきた施策が、引き続き今後も守られるのだろうか不安がよぎります。
広域化・都道府県化となることで、名古屋市の国民健康保険はどのようになるのか、また、その後、本市が工夫・努力してきた減免制度は、当然、守っていかれると思いますが、どういう姿勢で望むのか、あわせてお答えください。
まだ影響がわからないが、負担が過大にならないよう意見は言う
【健康福祉局長】・国は、平成27年1月13日に示した「医療保険制度改革骨子」の中で、国民健康保険を広域化・都道府県化する方針を打ち出したが、制度の詳細は、今後、国と地方の協議などを経て決定されることとなっており、現段階では、市町村の国民健康保険への影響は、明らかになっておりません。
本市としては、引き続き、情報収集に努めるとともに、加入者の方の負担が過大なものとならないよう、国や県に対して必要な意見を述べてまいります。
さらなる引き下げへ国や県に財源確保を求めよ
【さはし議員】高すぎる国保料の要因は、国の予算削減と加入者の貧困化です。国保はそもそも年金生活者や失業者が多く加入しており、最近では低所得者である非正規の方も加入する保険となっています。国保は、保険に事業主負担もないため、国庫負担なしには維持はできない制度です。このことは、かつて政府も認めており、そのため多額の国庫負担が設定されていました。それにもかかわらず、制度開始当初と比べ国庫負担は削減され、あわせて愛知県は1961年度から市町村に交付してきた国民健康保険事業費補助金を、2014年度から、補助金の額が一人あたりにすれば、たった24円だからという理由で市町村への補助金を廃止しました。県は、「市町村国保の状況は、65~74歳の被保険者の割合が約34%、無職者の割合が約40%、年間所得200万円未満の割合が約71%」と国保の構造的問題を指摘して、「市町村は医療費に見合う保険料収入の確保も困難である。」と認めています。
国もついに、公費の拡充を決断せざるを得ない状況にまで追い込まれています。しかし、負担が重すぎて払えないという根本的な原因を解決しなければ、国保による負担はなくならないと思います。
誰もが払える保険料へと転換するためには、国のさらなる公費投入と、県の補助金の復活が必要だと思いますが、国保料の引き上げをしないためにも、引き続き、国や県に対して財源確保を求めていくべきですが、いかがお考えですか、お答えください。
国及び県に対して、公費負担の充実を求める
【健康福祉局長】本市は、従前から、国民健康保険事業の安定運営と保険料負担の軽減を図るため、他の政令指定都市とも共同して、国に対して、国民健康保険への公費の投入を要望してきたところであり、平成27年度から実施される「保険者支援制度」の拡充についても、早期実現を求めてまいりました。
本市としては、引き続き、国及び県に対して、公費負担の充実を求めていきます。