2015年2月定例会
田口かずと議員の個人質問①相生山の道路廃止について(2015年2月26日)
2月議会 個人質問 2015年2月26日 田口一登
市長の決断については、歓迎する
【田口議員】弥富相生山線の道路事業について、河村市長は、昨年12月26日の記者会見で、「弥富相生山線の道路事業は廃止する」と表明されました。
日本共産党は、河村市長ともっとも厳しく対決している野党だと自覚していますが、今回の市長の決断については、歓迎するものであります。同時に、弥富相生山線建設については、地元住民の間で、長年にわたって賛成、反対と意見が分かれてきた問題であることから、道路事業廃止という判断にたいしては、地元住民の間で、歓迎する声がある一方で、反発する声もあります。したがって、地元住民にたいして丁寧な説明を行い、相生山緑地の保全や近隣住宅地への通過車両の入り込み対策などについて、住民の理解と合意を得ながら進めることが大事だと思います。
議会の中には、この廃止表明について様々なお考えがあると思います。議会は、昨年2月定例会において、「弥富相生山線の建設工事については、市民に責任を押しつけることなく、市長の責任で決定をすること」との附帯決議を上げています。この附帯決議を踏まえるならば、市長の責任でくだされた道路事業の廃止という判断を、議会としても尊重すべきであると考えます。
こうした立場から、関係局長に2点質問します。
道路事業の廃止に向けた都市計画変更の手続きをどのように進めるか
【田口議員】1点目は、道路事業の廃止に向けた都市計画変更の手続きについてであります。
市長の見解表明では、「相生山緑地は、道路部分を含めて都市公園及び緑地として都市計画決定し、建設済みの道路部分は壊すことなく、公園施設として活用する」ことなどを「速やかに名古屋市都市計画審議会に諮問し、ご審議頂く」とされています。
この市長表明を受けて、都市計画を所管する住宅都市局長は、道路事業の廃止、および建設済みの道路部分を含めて都市公園及び緑地として都市計画決定する手続きをどのように進めていくお考えか、伺います。
必要な行政手続きとしての都市計画手続きを厳正に進めでいく
【住宅都市局長】道路事業の廃止に伴う諸課題が十分に整理された段階において、必要な行政手続きとしての都市計画手続きを厳正に進めでいく。
近隣住宅地への通過車両の入り込み対策への私案について
【田口議員】2点目は、近隣住宅地への通過車両の入り込み対策についてであります。 市長は、「例えば、近隣住民には通行許可書を発行して住民の自動車通行を確保しつつ、一部区間の道路を通行止めにする」など、「住民にとって最も使いやすい措置を愛知県公安委員会・警察に要請する」と表明されました。「通行止め」がよいかどうかはさておいて、通過車両対策は、弥富相生山線の開通ではなく、「別の道」があるという見解には、私も同感します。
私は、今から10年余り前、弥富相生山線の着工前に、コミュニティ道路や一方通行規制などによる「コミュニティ・ゾーン形成事業」の実施を本会議質問で提案しました。そして、こうした「別の道」によって通過交通問題が解決すれば、道路を建設する必要はないと、建設計画の凍結を求めたのですが、当局は聞く耳を持たず、着工してしまいました。そこで、改めて道路建設に頼らない「別の道」を提案したいと思いますが、その前に、通過車両の入り込みの現状を確認しておきます。 パネルをご覧ください。お手元にも同じものを配布させていただきました。相生山緑地の北側の住宅地、山根小学校がここにありますが、その周辺地区の交通量については、名古屋市が何度も調査しています。その調査にもとづく入り込み車両の主要な経路は、青色のルート、相生山緑地の北端を北西から南東に進むルートです。久方交差点西1および久方交差点西2の地点は、7時から9時まで都心方面行きは一方通行規制がかかっています。違反車両もありますが、時間規制を厳格に守らせれば、朝方は徳重方面行きだけになります。
この「入り込み車両主要経路」については、市の調査では、夕方の5時台、6時台が、朝方よりも通過車両が多くなっています。そこで私は、今月4日、近隣の住民の方の協力を得て、山根小学校の西側の2つの地点で、夕方の5時から6時までの交通量を調査してみました。山根町Aおよび山根町Bの2つの調査地点の南行きと北行きを合わせて、1時間で102台が通過しました。調査に協力してくれた住民の方は、「苦になるほどの台数ではない」と言っていました。
朝方の入り込みにはもう一つの経路があります。一つ山住宅口交差点を西に進んだ車両が、名古屋女子大の前を通って、次の信号を避けるために、海老山町1、2、3の3か所の地点から海老山町内に入り込んでいます。海老山町2では、2時間半で101台、3か所合わせて188台です。パネルの黄色のルートが主要な入り込み経路です。
以上の調査結果を踏まえて、通過車両の入り込み対策を提案したいと思います。こちらのパネルをご覧ください。まず、朝方の入り込みが多い海老山町については、7時から9時まで一方通行規制をかけて、入り込みをシャットアウトします。相生山緑地の北端に沿った「入り込み車両主要経路」については、山根小学校の西から二手に分かれるルートを一方通行にして、写真のような歩車分離のコミュニティ道路にします。車両の入り込みをなくすことはできませんが、歩行者の交通安全は確保できると考えます。さらに、海老山交差点から南東の交差点の先に至る部分については、山根小学校の児童の通学路と重なっています。この部分については、歩道の改良など交通安全対策を講じます。
これは一つの試案ですが、コミュニティ道路や一方通行規制などによって車両の通行を抑制するという私の試案についてどのようにお考えか、緑政土木局長の見解を求めます。
私案も含め、地元のご意見を伺い、県警とも相談しながら、慎重に検討
【緑政土木局長】拝見したばかりですので、見解を答弁することは差し控えます。
今後、相生山緑地の具体的な姿などを庁内で検討する予定です。市長の案や今お示しいただいた田口市議の私案も含め、地元のご意見を伺い、県警とも相談しながら、慎重に検討を進めます。
庁内で検討していく諸課題としてはどのような事項か(再質問)
【田口議員】弥富相生山線の道路事業の廃止についてですが、両局長からは、たいへんあっさりした答弁をいただきました。市長にもお尋ねしたいと思いますが、まずは緑政土木局長に再質問します。
道路事業の廃止に向けては、「今後、相生山緑地の将来の具体的な姿などを、関係部局を構成員とする庁内で検討する予定」との答弁でした。まだ、諸課題の検討にとりかかろうとしている段階のようです。
そこで、お尋ねしますが、庁内で検討していく諸課題としてはどのような事項があるのか、お示しください。
課題抽出から早急に着手し、対応方法についても検討
【緑政土木局長】関係局が多岐に渡るので、課題抽出から早急に着手し、その対応方法についても鋭意、検討を進めます。
いつまでに通過車両対策の案を作成するのか、明確に時期を示してほしい(再々質問)【田口議員】緑政土木局長、まだ課題の抽出にも着手していないのですか。市長が廃止を表明してから2か月経つんです。対応が遅いと言わざるをえません。
検討すべき課題として、はっきりしている事項はあります。その一つが通過車両の入り込み対策です。市長は、代表質問への答弁で、通過車両対策などについて一定の案ができたら住民説明会をやりたいとおっしゃいました。通過車両対策の案をつくるのは緑政土木局です。
市長も「通行止め」という案を当局に示されているし、私も試案を示させていただきました。緑政土木局は、一体いつごろまでに通過車両対策の案をつくるつもりですか。市長は、地元説明会の開催時期について、「年度があけた、ちょっとしたぐらい」と答弁されていますので、明確に時期を示していただきたい。
鋭意検討を進めます
【緑政土木局長】今後の庁内検討で鋭意検討を進めます。
市長は調整役に徹する覚悟で(再再々質問)
【田口議員】第1問目の「慎重に検討」から「鋭意検討」へと、局長の姿勢は、ちょっとは変わりましたが、立案する時期については明言されませんでした。
市長、これまでのやり取りを聞いておられて、どのようにお感じになったでしょうか。市長は、代表質問への答弁でも、通過車両対策やユニバーサルデザイン都市公園化などについて、熱心に持論を展開されていました。緑政土木局長も、道路事業の廃止に向けて対応していくという立場で答弁されましたが、市長のような熱意が感じられません。それは無理もないことです。これまで緑政土木局は、「道路は必要」と建設を進めてきた立場なのですから。
都市計画を変更する、しかも、すでに着手している事業を中止するという方針転換には、相当の覚悟がいります。ところが、ある新聞が書いていましたが、市長は、昨年暮れの記者会見の内容について、事前に担当職員とも、副市長ら幹部とも話し合わなかったといいます。突然の廃止表明に、担当職員は戸惑ったのではないでしょうか。この新聞記事は、「現場と一体でないがゆえに言葉の重みがない」と書いています。それでも担当の職員の方々は、市長の方針転換を何とか具体化しようと模索されているのが、今の局面だと思います。
そこで、河村市長に求めたい。弥富相生山線の廃止に向けて、市長と当局が一体となって取り組んでいただきたい。そのためには、通過車両対策一つとっても、「通行止め」という市長の持論を押しつけないで、私が提案した試案も押し付けるつもりはありませんけれども、市長は当局の立案作業が速やかに進むよう調整役に徹する。そういう覚悟で取り組んでいただきたい。市長のお考えをお聞かせください。
いろんな案があると思いますので、一刻も早くやっていかないかんし、改めて局長に指示をしたい
【市長】某記事ですけど、話し合わなかったとかいってますがそれは全く間違い。何度話あったかわかりません。本当は住民投票やりたかったんだけれども、議会から市長の責任で自ら決せよと言われましたんで、自ら責任をもって決しました。自ら責任を決すると言う場合には、ただ漫然と道路を通すことはありえないということを申しまして、そのためには中の道路をどうするのかということについて当局と話あっとったんです。それでも長年道路を通すとやってきましたんで、困難があることも承知しております。
ですから、道路を通す通さんにかかわらず、通過交通の問題は本当に解決せないかんと思います。田口さんの話ききまして、こういういろんな案があると思いますんで、一刻も早く大至急、地元の皆さんの交通の安全を守るためにやっていかないかんし、改めて局長に指示をしたいと思います。
調整役として覚悟をもってとりくむという市長の姿勢を聞いている(再々再々質問)
【田口】新聞記事の中身は 12月26日に記者会見したペーパーについてどうだったのかということでありまして、今この場で真意を問うつもりはありません。ただそういう記事が書かれるというところに、ほんとに 事前に市長が 提案された、記者会見で配られた内容について緑政土木局のほうも承知していて、腹に落としていたのかどうかと、これはやっぱり疑問でるんです。真意は別にしても。どちらにしても、そういう記事が書かれるようなことがあるんですよ。だから僕がいったのはやっぱりこれ、本当は事業を廃止する、方針転換しようと思ったらいろんな課題があると思いますよ。一つ一つ乗り越えなきゃいけない。そのためにはやっぱり、市長が調整役として、行政の責任者として本当に覚悟をもって、とりくんでいただきたい。そういう市長の姿勢を聞いたんですけれど、どうですか。
勝手にやったように書かれて、冗談じゃない。とにかくしっかりやる(市長)
【市長答弁】ペーパーそのものは、直前に新開さんに見せました。内容につきましては相談しておりまして、最後をどうするかということは、一つの判断がいりますので 市長の責任で解決しろといった場合にはバーバーバーバーしゃべるというふうにはなりません。こういうふう方向にいくということは相談しとったんです。
(ヤジに反応して)まあええわそれは。ええことない、私が勝手にやったように書かれて、冗談じゃないですよ、ほんとにまあ。とにかくしっかりやります。
建設のための議論は終わりにして生活環境の改善を話し合え(意見)
【田口議員】住民が、道路建設の是非をめぐって議論をたたかわせるのは終わりにして、相生山緑地の保全と周辺地区の生活環境の改善に向けて住民が議論を交わせるようにする。そのために、市長には覚悟して取り組んでいただきたいし、私も地元で覚悟して取り組む決意を申し上げて、質問を終わります。
キーワード:大型開発・ムダ遣い見直し、平和と人権、市民生活、田口かずと