2015年2月定例会

わしの恵子議員の予算反対討論(2015年3月10日)

2015年度予算案に対する反対討論(3月10日) 
               わしの恵子議員

本会議録画リンク安倍暴走政治から市民を守る防波堤に。リニアを起爆剤にした大型開発をやめ、暮らし優先のまちづくりをIMG_1612s 

 私は、日本共産党名古屋市会議員団を代表して、一般会計予算案に対し反対する立場から討論を行います。

 安倍暴走政治をそのまま押し付ける予算
 反対する理由の第1は、安倍政権の消費税増税と社会保障解体路線が、市民の暮らしを直撃していますが、名古屋市は、社会保障改悪などの悪政をそのまま市民に押し付け、悪政からの防波堤となっていないことです。

7割を超える人が「生活が苦しくなった」4225 くらし
 約5000人から回答を頂いた党市議団の市政アンケートでは、7割を超える人が「生活が苦しくなった」と答えています。「年金は減る一方なのに、負担ばかり増えて困る」「これ以上消費税があがったらもう生活できない」などの悲鳴が一杯です。政府統計でも、実質賃金は19か月連続して低下し、家計の落ち込みも深刻です。いまこそ、名古屋市が、国の悪政から市民を守る防波堤となるべきです。雪だるま2015

保障の大改悪そのままに介護保険料引き上げ、利用料は2倍に
 安倍政権は、消費税の8%への増税で苦難にあえぐ中小業者・国民に対し、追い打ちをかけるように入院給食費の大幅値上げ、国民健康保険の都道府県化など社会保障の大改悪を始動させ、医療・介護・年金・社会保障の全分野での改悪を具体化しようとしています。2017年4月には、消費税率10%への再増税も狙っています。こういう事態にもかかわらず、名古屋市の今度の予算案にも、河村市長が公約に掲げていた、70歳から74歳までの医療費窓口負担の倍増を抑える助成制度の創設は盛り込まれておりません。年金が減らされる一方の高齢者に、負担増だけが押し付けられます。介護保険料 介護保険料の引き上げが提案され、基準月額で現在の5440円から5894円へ月額454円、年間では5448円の値上げです。65歳以上の市民の新たな負担は総額で42億2153万円です。市長の個人市民税減税は81億ですから、その半額分の負担増となり、しかも高齢者のみ負担を強いるものです。国は消費税を財源にするとはいえ、公費を投入しなければ、もはや介護保険制度は維持できないと、わずかですが負担軽減に踏み出しました。だから、名古屋市でも公費を投入し、介護保険料の値上げを撤回させるべきです。
 また、1万2千人を超える高齢者の利用料負担を1割から2割に引き上げることも、高齢者が安心して介護を受けられない大きな要因となるばかりです。

 危険なマイナンバー導入はやめ、 私学助成をの拡充を
 さらに、「社会保障と税・番号制度関連システムの開発及び改修」は、社会保障・税番号制度の本格実施に向け導入するものです。これは国民の社会保障と税の情報を国が一括管理し、徴税強化・給付抑制をねらうとともに、プライバシーの漏えいなどが危惧され、導入すべきではありません。
 また、私立高校生に対する授業料補助については、愛知県は補助額を増額したのに、本市は増額していません。そのため、補助対象となっている世帯については、公立高校との保護者負担の格差が拡大してしまいます。公私立学校間における格差を是正し、教育の機会均等の原則を確保するという本市の私学助成制度の趣旨に背く事態となっており、私立高校生に対する授業料補助を拡充するよう求めます。

リニアを起爆剤に大型開発次々と
 反対する理由の第2は、リニア中央新幹線の開業を起爆剤として、名古屋が「世界のナゴヤ」になるための空前のチャンスであると考え、名古屋駅周辺の大改造をはじめ、アジア最大級の国際展示場・1000メートルタワー・SL走行など、新たな大型開発推進の予算となっていることです。大型事業2015

職員を減らしながらJRのために  数十人規模で市の職員を充てるなんて
 リニア中央新幹線計画については、JR東海の前社長も「赤字で絶対ペイしない」と明言しているように、過大な需要予測による採算性の不安、トンネル工事による膨大な残土、多大な電力エネルギーの浪費、大量の温室効果ガスの排出、電磁波などによる健康と安全性への不安、大災害時への対応等々、環境都市を目指す名古屋のまちづくりとは相いれません。
 JR東海は、各地域での事業説明会においてあまりにも通り一遍の説明にどの会場でも不満の声が出ています。それどころか、JR東海は、HPや各地の説明会で、深さ40mを超える大深度地下では「認可を受け使用する場合には、地上の権利が及ばない」と、所有権が消滅するかのような誤った説明を行っていました。JR東海は、2月27日、説明が誤っていたことを認め、HPを更新しました。
 ことほどさように、JR東海はまちづくりのパートナーとしてふさわしくありません。本市は「名古屋まちづくり公社」に市職員を派遣してリニアのための用地取得を行う協定を結びました。予算案では職員を80人も削減しながらJRのために数十人規模で市の職員を充てるのは問題です。人員削減(全会計)名古屋駅周辺の大改造計画は、大企業・財界の要望に応えたもの
 加えて名古屋駅周辺への過度な一極集中はバランスのとれた市域の発展や、帰宅困難者対策など防災上も問題です。河村市長も予算提案の際、「経済界からも要求があった」と述べたように、名古屋駅への高速道路の乗り入れの整備など、名古屋駅周辺の大改造計画は、市民からの要求ではなく、まさしく大企業である財界の要望に応えたものです。
 日本共産党は、国民的な要求もないまま始まったリニア計画の中止を求めます。名古屋駅周辺には今でも超高層ビルが林立する一方で、老朽化した市営住宅の改修もままならないというような、ゆがんだ名古屋のまちづくりからの転換を求めるものです。

必要性のない巨大展示場やSL走行
 次に、大規模展示場の整備等に関する調査は、稲永ふ頭を軸に10万㎡の大規模展示場建設と名古屋市国際展示場合わせて14万m2もの大規模展示場構想をすすめるものですが、必要性については理解できるものではありませんでした。
 鉄道を活用した都市魅力向上策の推進は、SL走行にこだわって、大井川鉄道(株)からSLを借り入れることについて、両者で協議が続けられていますが、実験走行のときの環境問題など市民から寄せられた苦情など課題は残されたままです。さらに、28年度には、あおなみ線の全線をたった2日間走らせることにより、ATS設置とレールの改修費用などに3億円、SLの借入費用や車両整備費、機関士・整備士への人件費などに4000万円と多大な費用がかかること。大井川鉄道(株)への需要喚起策についても今後の協議にゆだねることなど多くの課題があることも明らかになりました。新聞報道でも「火付け約議員も疑問視」とあるように、今後の財政負担も見過ごせない問題です。
 これら、名古屋駅周辺開発を始め、アジア最大の大規模展示場、鉄道を活用した都市魅力の向上などは、とにかく東京に負けない名古屋をめざして、稼げるナゴヤ・世界のナゴヤであってほしいと市長が提案説明で述べているように、リニアを起爆剤とする巨額な公共事業を起こすことであり、新たな市民負担をおしつけることに他なりません。
ムダな巨大地下道や中空2本目滑走路など
 この他、笹島交差点からささしまライブ24地区方面に至る巨大地下通路を建設する「名古屋駅周辺地下公共空間整備」、航空需要の伸びが低いにもかかわらず、中部国際空港二本目滑走路の建設を促進する期成同盟会への負担金支出などの大型事業のムダを削ることを求めます。

減税財源のため、市民負担増とサービス削減
 反対する理由の第3は、市民税5%減税を継続し、その財源づくりのために、「行革」の名で市民負担増と福祉の民営化を進めているからであります。

格差拡大の金持ち減税はやめよ
 河村市長の「減税」は、納税額トップの個人では減税額が470万5千円、企業では1億1900万円、富裕層や大企業に手厚い減税です。庶民にはちょっぴりの減税であり、そもそも非課税者には何の恩恵もありません。2013減税額ベスト5(個人)
 河村市長は、「所得の高い人は辛抱してほしい」と言って、市職員の給与改定については、所得の高い管理職は賃上げの対象からはずし、私学助成については、一定の所得以上の世帯を対象とする本市の助成は引き上げない。それなのに、「減税」では所得の高い富2013減税額ベスト5(法人)裕層や大企業に恩恵がドッサリと、真逆のことをやっているではありませんか。河村市長の「減税」は、格差を拡大させるだけであり、きっぱりやめるべきであると申し上げます。

公立保育園を次々民営化
 また、減税による税収減少を口実に、「行革」と称して公的福祉の縮小・解体、行政サービスの民間任せを推進するものにほかなりません。来年度予算案でも、名古屋市立保育園のにじが丘、御田、南・氷室、振甫の各保育園を廃止し、民間移管されてしまいます。名古屋市が児童福祉の現場から手を引くことは、福祉にたいする行政責任の大きな後退であります。保育園民営化2015市民のフトコロを温め、地域経済を活性化する予算の組替えを提案
 先ほどわが党が提案した予算組み替え案は、河村市長が提案した大企業・大金持ち優遇の市民税減税を中止し、問題山積のリニア中央新幹線を起爆剤とした名古屋駅周辺の一極集中型開発をはじめ、アジア最大級の大規模展示場の整備やあおなみ線でのSL走行など新たな税金の浪費につながる予算などムダを削り財源を確保し、市民の切実な要求の実現と市民生活の向上を目指すものです。このようにして、市民のフトコロを温め、地域経済を活性化することが、名古屋の財政も豊かにし、好循環をもたらします。

組替え案の方向こそ自治体本来の姿
 わが党が提案した方向こそ、本市が、国の悪政から市民の暮らしを守る防波堤となり、「住民福祉の増進」という地方自治体の本来の役割を発揮することができると確信するものであります。             

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