2015年6月定例会

柴田たみお議員の議案外質問② 国民健康保険制度改革について

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国民健康保険制度改革について          2015年6月24日 柴田 民雄
保険料及び減免制度の権限は市にあるのか
【柴田議員】次に、国民健康保険料について、健康福祉局長に、おうかがいします。
 国は、国保の根本的問題を解決するどころか、「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」で「広域化・都道府県化」を決めました。
 これに伴いIMG_3181、都道府県は市町村に対して、都道府県が決めた一年間の納付金の支払いを求め、市町村は都道府県が決めた納付金を100%完納しなければなりません。本市は、現年賦課分収納率がH25年度決算で政令市トップの95.43%とたいへん高いことから、愛知県への納付金を下回る恐れは低いかもしれません。しかし、依然として国の制度の詳細が未確定であることから、もし本市の収納した保険料が、愛知県への納付金を下回った場合に、保険料を増額してつじつまを合わせるような手段に出るのではないか、あるいはこれまで以上に収納を強化し、滞納に対するペナルティーとして保険証の取り上げがひどくなるのではという懸念も市民から寄せられています。
 健康福祉局長に伺います。まず第一にこの「都道府県化」が行われても、引き続き、名古屋市民の国民健康保険に関する保険料や減免制度の決定権は、本市にあるということについては、間違いありませんか。

保険料の決定や減免制度は、引き続き、市町村の役割(局長)
【健康福祉局長】保険料の決定や減免制度の実施につきましては、引き続き、市町村の役割とされているものでございます。

本市独自の減免制度を維持するのか
【柴田議員】第二に、この「都道府県化」によって愛知県が名古屋市に対する納付金を決定するとされています。しかし本市は65歳以上や障がい者など、独自のすぐれた減免制度を実施しており、愛知県はこれらを配慮せずに納付金を決めてくる可能性もあります。もしそのようなことがあっても、引き続き、これらの独自の減免制度は守ってゆくお考えでしょうか?

国との協議で具体化されるので、その状況を十分に見極めてから(局長)
【健康福祉局長】今後、政省令の整備を始めとして、国と地方の協議において具体化されていくものでございますので、その状況を十分に見極めて参りたいと存じます。

県のきめた交付金を下回っても市民負担への影響を行わないか
【柴田議員】第三に、もし本市の収納した保険料が、愛知県が決定した納付金を下回るようなことになったとしても、保険料の値上げや、滞納に対するペナルティーの強化など、市民に対する負担強化は行わないというお考えでしょうか。

まずはこの3点を確認します。

加入者の負担が過大にならないよう、国や県に対して意見をいう(局長)
【健康福祉局長】本市といたしましては、引き続き、情報収集に努めるとともに、加入者の方の負担が過大なものとならないよう、国や県に対して必要な意見を述べて参りたいと考えています。

 また、本市の滞納対策につきましては、加入者間の負担の公平を図る観点から、納付相談を中心としたきめ細やかな対応を行っているところでございまして、引き続き、納付資力や生活状況をしっかり把握し、丁寧な対応を行って参りますので、ご理解賜りたいと存じます。

子どもの均等割保険料の軽減措置の実施を
【柴田議員】続いて、子どもの均等割保険料減免制度の新設についてお伺いします。今国会の5月19日の参院厚生労働委員会での論議の中で日本共産党の小池晃参院議員が「応益割、特に均等割が、子どもの数が増えていくほど増えていく……子どもが増えるほど保険料が上がっていくわけですよ。これ、子育てに対する逆行じゃないですか。人頭税ですよ。これ、制度の見直しが必要じゃないですか」という質問をしたのに対して、塩崎厚労大臣は「子どもに係る均等割保険料の軽減措置の導入については地方からの提案が行われておりまして、……引き続き検討しようということになっている」と答弁しています。

 所得割保険料の算定において子育て世帯に配慮した控除を実施している、とのことですが、所得が低く子どもが多い世帯にとっては7割減額をされたとしても、均等割保険料、医療分38,100円と支援分12,700を合わせた約51,000円の3割15,300円が、子どもが一人増えるごとに負担増となる点が大問題なのです。しかも支援分というのは後期高齢者医療制度を支援するための保険料です。それを所得もない0歳の子どもから負担させているのです。

 この子どもの均等割保険料の減免制度として、他都市の例では、一宮市では、法定減額の対象外であっても、18歳未満の児童については、全員均等割保険料を3割安くする減免制度を申請不要の制度として施行しています。

 健康福祉局長にお伺いします。国の制度改革で引き続き検討課題に挙がっているという、この子どもの均等割保険料の軽減制度を、さらに前進させる圧力を国にかけてゆく意味でも、本市でまず開始するお考えはありませんか?こういった、子どもが増えれば増えるほど負担が大きくなる部分を、公費によって負担軽減を図ってしっかり応援する制度は、少子化対策としても実効性は高いと考えられます。お考えをお聞かせください。

以上で1回目の質問を終わります。

国で協議しているので見守る(局長)
【健康福祉局長】本市では、加入者の方の保険料負担を抑制するため、本市独自に、国民健康保険料均等割額の3%引き下げを行うほか、所得割保険料の算定において、子育て中の世帯などに配慮した独自の控除などを実施しているところでございますので、まずは国と地方の協議について情報収集に努め、慎重に議論を見守るべきものと認識しておりますので、ご理解賜りたいと存じます。

国庫負担をふやせと国に要求せよ(再質問)
【柴田議員】また、国民健康保険については、再質問させていただきます。

 本市独自の減免制度は引き続き行えるといいながら、国の動向によって未確定な部分があると、しかし、加入者の保険料負担を急増させたり過大になったりすることの無いように、引き続き努力もするし、必要な意見を国にも言っていくというご回答でした。

 一見受け身に聞こえる答弁ですが、たしかに、都道府県化の詳細な内容について、今国と地方の協議が始まったところであり、今の時点でご回答いただける限界がこの答弁なのだろうということはわかります。

 しかし「大規模化・都道府県化」が、国民健康保険制度の社会保障としての機能を後退させ、国庫負担を減少させ、国民に負担を押し付けようとする圧力の下で進行してきたことは確かです。

 これまで、本市は、独自の減免制度の実施をはじめ、様々な努力で国の仕組みの不十分な部分を補ってこられました。今後も、引き続き、これまで市民の暮らしを守ってきた姿勢を堅持し、「社会保障制度」としての国民健康保険の役割を守っていくため、新しい制度を悪い方向に変えさせないように全力で奮闘していただくことを要望します。

 そこで市長に伺います。都道府県化について協議が始まる今だからこそ、本市独自の減免制度など市民の負担軽減の立場を堅持し、誰もが払える保険料に引き下げてゆくこと、そのために、しっかり国庫負担を増やしてほしいと、はっきりと、きっぱりと国に意見を言っていただきたいと思います。

 また、愛知県に対しても、子どもの均等割減免など名古屋市独自の保険料減免制度を率先して拡充することで、市民の負担軽減のための努力をはっきり示して、愛知県の制度として、保険料の負担を抑制するように強く迫るべきではありませんか。市長の答弁を求めます。

国や県にはしっかりいう(市長)
【市長】名古屋も努力しているので、国や県にはしっかりいう。

国民の命を守るライフラインとしての機能を後退させるな(意見)
【柴田議員】国保そのものの負担の大きさ、市長の実感を伴った発言をいただきました。個人事業主や非正規雇用の労働者など立場の弱いものが国民健康保険に大勢加入している、高齢者も多い、所得の低い人も多い、まさに国民の命を守るライフラインとしての、「社会保障」の機能が国民健康保険の果たす役割であるということを、決して機能を後退させることなく、前進、発展させていただくことを強く求めて、私の質問を終わります。