2015年6月定例会
西山あさみ議員の議案外質問① 奨学金返還支援制度について(6月25日)
若い世代の雇用と暮らしを応援する施策について(6月25日)
奨学金返還支援制度の創設の検討状況はどうか
【西山議員】上がり続ける学費と、親世代の所得減少などを背景に、いまや学生の2人に1人が奨学金を借りています。学ぶ権利を保障し、若者の夢と希望を後押しするはずの奨学金ですが、多額の返還額と利子、取り立ての厳しさで、若者の人生を狂わせる事態が起きています。
学生の奨学金への依存度が上がり、奨学金を利用する学生は20年前と比べて3.7倍、1人当たりの貸与額は平均295万円にものぼります。大学院に進学すれば1000万円にもなります。そして、奨学金を借りる学生の10人に7人が有利子です。約300万円を有利子で借り、最大利子3%で返す場合には、そこに85万円の利子がつくことになります。
平均所得が減り、非正規雇用が増大する中、卒業後に迫られる多額の返還と利子は若者には大変な負担です。「奨学金返還に行きづまり自己破産」「夫婦で奨学金を返還中。子どもをあきらめた」という若者たちが生まれています。
近年では奨学金返還支援を謳う業者が、実際には奨学金立替可能な男性を紹介したり、風俗業を斡旋したりするなどという異常な事態となっています。
私自身も約210万円の奨学金を返さなければならず、毎月約1万5千円をあと12年間、37歳まで支払い続けなければなりません。さらに我が家は兄2人も奨学金を借りなければならなかったため、3人で700万円以上もの奨学金の借金を抱えることになりました。
奨学金返還が社会問題となり、学生を支援するために政府も対応を始めました。「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(平成26年12月27日閣議決定)において、「奨学金を活用した大学生等の地元定着や、地方公共団体と大学等との連携による雇用創出・若者定着に向けた取組等を推進する」ことが提起され、これを受けて、地方自治体と地元産業界が協力し、地元企業に就業した方の奨学金返還を支援するための基金づくりがすすめられています。
すでに、山口県や鳥取県では、地元に就職した学生を支援する奨学金返還の支援制度ができています。山口県では産業戦略部をつくり、今年度は20人と少ないものの全国から募集を始めています。県(27年度予算2200千円)、産業界、金融機関、経済団体、大学、その他各種支援機関による基金を創設しています。対象は、日本学生支援機構の無利子奨学金を受けている理系大学院と薬学部の学生。県内製造業への通算8年以上の就業で奨学金返済額(2年間の貸与額)を全額補助、8年未満でも4年以上従事した場合は半額以上を補助するとしています。
わが会派の山口きよあき議員が2度にわたりこの問題を提案し、市長も「いいことだ。研究する」と答弁されましたが、研究している間に、もう県レベルでその制度ができはじめています。他県でこの取り組みが進んでいけば名古屋の若者も外に出て行ってしまうのではないでしょうか。市長は2015年2月定例会で「ちゃんと検討するように昨日指示しておきました。」と答弁されました。そこで、市長に伺います。具体的にどの局にどのような指示を出されたのでしょうか。
応援することはつとめ。市民経済局長に指示した(市長)
【市長】戦後の苦しみを経て、世界一ともいえる産業地域となったこの地域からすれば、応援することはつとめではないか。といことで調査してやろまい、ということを検討している。市民経済局長に指示した。
奨学金返還支援制度の創設の見通しはどうか(再質問)
【西山議員】市長から市民経済局に指示をしたとの答弁がありました。市民経済局長に伺います。奨学金返還支援制度の創設について、今年度、来年度の見通しについてお聞かせください。
地元産業界との協議や県との調整が必要(局長)
【市民経済局長】国の要綱で、奨学金返還支援制度の実施には地元産業界との協議が必要であり、市町村が実施するときは支援対象者が重複する恐れもあるため県とも十分に調整することとされている。愛知県は現時点では対応が未定で、今後も産業界の要望を聞き、県とも情報共有をしていきたい。
早期に奨学金返還支援制度の創設を(意見)
【西山議員】今、市民経済局長は、地元産業界と協議し、県とも情報の共有をしていきたい。とのご答弁でしたので、地元産業界とも協力し、ぜひ早期に奨学金返還支援制度を創設していただきますことを強く求め、この問題についてはまた次回に引き続きとりあげていきます。
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