2015年6月定例会
西山あさみ議員の議案外質問② 高校生が「ブラックバイト」から身を守るための取り組みを(6月25日)
若い世代の雇用と暮らしを応援する施策について(6月25日)
高校生が「ブラックバイト」から身を守るための取り組みを
~市立高校生のアルバイトの実態をつかんでいるか~
【西山議員】若い世代にブラック企業から身を守る知識をしっかり身につけるさせることは、教育の重要な役割です。私自身、3年前まで大学に通いながらいくつかのアルバイトを経験してきましたが、「着替える時間は業務時間に含まれなければいけない」「アルバイトを休む学生は自分で代わりを探す必要がない」「お給料は1分単位で支払われなければならない」このことを知らなかったために違法な働かせ方の中で働いていましたが、自分がブラックな働き方だという認識は全くありませんでした。
街頭で対話した若者たちは、「アルバイトには有給休暇などないと思っていた」「アルバイトを休む時には自分で代わりを探すのはどこのバイト先でも当たり前だと思っていた」など、具体的な働くルールの知識がありません。中には、「仕事を辞めたいといったら20万円の違約金を払えと言われ、サラ金からお金を借りて払った」というとんでもない話もありました。
昨年の11月議会で、わが会派の岡田ゆき子議員は高校生の間に働くルールを学ぶ機会が必要だとブラックバイト問題を取り上げ、市としての具体的な対応を求めました。
そこで、3つのことについて教育長にお聞きします。第1に、市立高校のアルバイトの実態調査の実施です。教育長は「今後は、各高校で生徒からの届け出を徹底し、アルバイトの正確な実態把握に努めてまいりたい」と答弁されました。現時点で明らかになっている市立高校生の実態について答弁を求めます。
全日制の生徒で370人(3%)が届を出している(教育長)
【教育長】市立高校でアルバイトの届を出している生徒の割合は、6月時点で、全日制が370人で3%、定時制が348人で37%、合計718人で6%と把握しております。
働くルールの実践的な勉強の機会を
【西山議員】第2に、働くルールを学ぶ機会の提供について、「教科書で学ぶ以外に、労働基準監督署と連携をいたしまして、生徒の実態に応じて労働法に関する学習の場を設けてまいりたい」と答弁されました。昨年度は市立工業高校で社会保険労務士を講師に、働くルールの実践的な勉強の機会を設けたと聞いております。今年度の具体的な計画について答弁を求めます。
「働くルール」の出前講座を昼間定時制の全生徒と全日制の2校で実施予定(教育長)
【教育長】社会保険労務士や弁護士による「働くルール」の出前講座は、27年度は中央高校の昼間定時制の全生徒に対し、全日制については2校で予定している。
すべての市立高校で「働くルール」の出前講座の実施を(意見)
【西山議員】教育長からは「働くルール」の出前講座を3校で予定していると答弁をいただきましたが、すでに実施された学校や今後予定されている学校での感想等を集め、ぜひ市内すべての市立高校で「働くルール」の出前講座を実施していけるように進めていただきたいと思います。
啓発パンフレットによる指導内容はなにか
【西山議員】「アルバイト従事生徒に対して違法な働かせ方があった場合の対処方法について、相談窓口の紹介を含めて啓発パンフレットを使った個別指導を行ってまいりたい」と答弁されました。どのようなパンフレットを、どのくらいの冊数、どのようにして高校生に届くようにしているか答弁を求めます。
相談窓口の紹介を含めた啓発パンフレットを全校で413部配布(教育長)
【教育長】今年1月から、アルバイトを申し出た生徒に対して、各校で個別指導を行う中で、違法な働かせ方があった場合の対処方法について、社会保険労務士会や厚生労働省の相談窓口の紹介を含めた啓発パンフレットを配布。これまで全校で、413部を配布しました。今後も、違法な働かせ方によって、生徒の学業に支障が生じることのないよう、指導を継続したい。
すべての生徒にパンフレットを(再質問)
【西山議員】たとえ進学校であったとしても、近い将来働くようになるのですから、アルバイトを申し出た生徒だけでなく、違法な働かせ方があった場合の相談窓口があるという認識を持たせるために、すべての生徒にパンフレットを配布すべきだと思いますが、教育長の考えはいかがでしょうか。
学業が本分。アルバイトはやむを得ない場合だけなので、その子には配布(教育長)
【教育長】高校生のアルバイトは学業が本分ということで、やむを得ない場合にかぎって、学校に申し出て働くということにしていますので、個別指導の中で違法な働かせがあった場合の対処方法を掲載したパンフレットを配ることにしている。働くルールの出前講座は継続したい。
すべての生徒に働くルールの徹底を(意見)
【西山議員】出前講座であっても、アルバイトを申し出た生徒以外の子も受講するのだからパンフレットもすべての生徒に配るべきです。
私も働くルールを知らなかったんです。一度働きはじめると、社員に言われる通りに働き、改めて働くルールを学んだり、相談窓口を探そうという発想はありませんでした。私もアルバイトをし始める前に働くルールや、相談窓口のこと知っていればと悔しい思いです。ぜひ、すべての市立高校で出前講座を実施していただくとともに、すべての生徒にパンフレットを配布していただきますよう要望いたします。
「ブラック企業」に関する相談窓口の設置を
【西山議員】今、若者を劣悪な環境で働かせ、使い潰し、使い捨てる、ブラック企業が大きな社会問題となっています。友人からは「朝から深夜まで働くのは当たり前の生活」「有給休暇は本来会社が休みであるお盆やお正月休みに勝手に消化され、有給休暇をとることができない」という話も聞きました。
こうしたひどい労働環境の中でも、奨学金返還のためや生活のために仕事を辞めることができず、体を壊し心を病んでしまう若者が生まれています。
日本共産党は、若者をはじめ働く人間を、過酷な労働に追い立て、モノのように「使い捨て」「使いつぶす」ブラック企業を国政の大問題として訴えてきました。政府も、ブラック企業の実態調査や、求人票への離職率の記載、ブラック企業の求人を全国のハローワークで受理しない制度の創設など、ブラック企業の規制を強めざるを得なくなっています。
名古屋市としても、市民の命と健康を守る立場から、ブラック企業から若者を守る施策を行うことは重要だと考えます。
ブラック企業やブラックバイトなどでトラブルや困難を抱えた若者が、相談しやすい窓口をつくることも大切です。
市民経済局長に伺います。現在若者が相談できる窓口はありますか。どのような利用状況でしょうか。
ブラック企業とは、働く権利について知識のない若者に、ルールを無視した異常な働き方を押し付け、働く人の心や身体を壊してしまう犯罪行為を繰り返す企業です。この犯罪企業から名古屋の若者を守るためには、より踏み込んだ対策を求めます。
市役所西庁舎の市民相談室に専任の相談員。昨年度は474件(局長)
【市民経済局長】市役所西庁舎の市民相談室において、専任の相談員により、メール、電話、面談で相談を行っています。平成26年度の取扱件数は474件、そのうち労働時間などの就業規則に関するものが124件、賃金に関するものが49件です。
役所内とは別に繁華街などで相談を(再質問)
【西山議員】公的な相談窓口の多くは役所の中にあるため、そもそも相談窓口があることすら知らない若者も少なくありません。役所の窓口に行くこと自体、敷居が高いというのが私の同世代の率直な思いです。そういう若い世代の気持ちに寄り添った対応が求められています。
そこで、市民相談室とは別に、月に数回は、若者の集まる中区栄のクリスタル広場や金山のコンコース、そして名駅のナナちゃん人形の下などで、仕事のトラブル相談会を開くなど行政が若者の中に入っていくことを提案します。その際、相談員の服装もスーツにネクタイではなく、若い世代が気軽に声をかけられるようなラフな服装にするなど、若者目線で対応する努力をすべきだと考えますが、市民経済局長、いかがでしょうか。
プライバシーに関わる内容もあるので配慮が必要(局長)
【市民経済局長】相談内容がプライバシーにかかわる内容等に及ぶことで配慮が必要な場合が多いと思われる。相談できる窓口を若者に積極的にPRすることは重要であり、ホームページなどでの広報のほか、金山などの若者が集まる繁華街での啓発活動など様々な機会を捉え、情報発信していくよう検討したい。
行政が進んで若者の中に入っていくべきだ(再々質問)
【西山議員】私が街頭に立ちブラック企業のアンケートや話しをしていると若者が自分の会社はブラックだと話をしに来てくれます。それほどひどい働き方の中で、助けを求めていたり、相談する場所を求めているのだと感じました。
行政が進んで若者の中に入っていくことにより、名古屋市がしっかり若者をサポートしてくれているんだ、との思いで常設の窓口に足を運びやすくなると思います。
この点について市長にお聞きします。今ある役所の中の窓口とは別に若者が集まる場所に行政が自ら入っていき、市長が着ておられるような若者が相談しやすいラフな服装で対応するという新しいかたちの相談会を月に1回でも開催するということについて、市長はどう考えますか。
賛成です。外に出かけないかん(市長)
【市長】賛成です。それくらい、外に出かけて、市民の中に入って活動せないかん。それが仕事だと思います。私は賛成です。
本気で若者をサポートする気持ちがあるのであれば、まず始めて(意見)
【西山議員】市長からは賛成だとの前向きな答弁でした。こうした相談会や相談窓口などでブラック企業で働く若者の実態を掴み、国や県に情報を提供して、国や県と連携して取り組むことが全国的にブラック企業をなくしていくことにつながるのではないでしょうか。本気で若者をサポートする気持ちがあるのであれば、まず始めてみることが重要だと考えます。市長もぜひ、私と一緒に繁華街でブラック企業に苦しむ若者の声を聞き、現状を掴み、若者をサポートする行動を始めてみませんか。このことを最後に述べて、私の質問を終わらせていただきます。
キーワード:西山あさみ