2015年6月定例会

くれまつ順子の議案外質問②敬老パスの利用拡大について(2015年6月26日)

敬老パスの利用拡大について

 

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名鉄などへの利用拡大を
【くれまつ議員】敬老パスは、「名古屋市民の宝もの」、65歳になるのが待ち遠しいと、多くの市民から歓迎されています。私の近所に住んでいるある高齢者の方は、敬老パくれまつ 自席sスがあるからという理由で、退職後にわざわざ長久手市から名古屋市に転居されてきました。敬老パスを使って、趣味のハーモニカ教室に通われて、生涯学習センターの講座や学習会にも出かけて、とても元気にすごされています。
 敬老パス条例には「敬老パスを交付することにより、高齢者の社会参加を支援し、もって高齢者の福祉の増進を図ることを目的とする」とあります。敬老パスの目的は、あくまでも高齢者の社会参加を支援することです。条例第三条では、利用できる交通機関は規則で定める、としています。現在は市バスと地下鉄、あおなみ線とゆとり―とラインに利用できる交通機関が限られています。2012年度の本市の公共交通機関の利用状況をみると、市バスと地下鉄の利用割合は64%、一方、JRと名鉄、近鉄は36%を占めており、公共交通機関利用者のうち三割を超す人が敬老パスを使えない状態です。敬老パス条例の本来の精神にたてば、利用できる交通機関を拡大することが求められます。
 ご承知のとおり、守山区には地下鉄の駅が一つもありません。名鉄やJRで敬老パスが使えるようにと対象となる交通機関を広げてほしいという声は守山区民の切実な声です。とりわけ区民の身近な足である名鉄瀬戸線で敬老パスが使えるようになれば、生涯学習センターや福祉会館にもいきやすくなる、もっといろんなところにでかけられる、と声があがっています。守山区では、敬老パスの充実を求める会というグループができ、主に名鉄瀬戸線の駅や沿線住宅街で、敬老パスの利用拡大を求める署名を呼びかけています。
 敬老パスは、高齢者の外出を促すことで、元気で健康な高齢者を増やします。外出先での食事や買い物などによる経済効果は316億円、敬老パスにかかる経費の2.61倍にもなると名古屋市がシンクタンクに委託して行った調査でも明らかにされています。
 敬老パスで利用できる交通機関をJR・名鉄・近鉄に拡大すると経費がおよそ52億円かかるとの試算があります。現状の敬老パスの経費140億円が約190億円になりますが、その場合、単純計算ですが、現行の交通機関の場合の経済効果316億円が約500億円になるわけです。利用できる交通機関を拡大することで、費用も増えるが経済効果も増える。名古屋の地域経済の発展にも大いに寄与するのではないでしょうか。
 そこで、健康福祉局長に伺います。敬老パスが利用できる交通機関について、民間交通機関に拡大をすべきと考えますが、答弁を求めます。

ICカード導入で利用実態を把握し、使い勝手を検討する(局長)
【健康福祉局長】対象交通機関拡大は大きな課題だと認識している。現行の制度を前提に対象を拡大する場合、相当な追加費用がかかるほか、利用実績を記録するシステムの構築などにも課題がある。現行の制度が持続可能なものとなるよう、事業費に暫定上限額を設け、その額を超えると見込まれる場合には新たな見直しを行うとした。
 平成28年9月から順次ICカードに切り替えることで、より詳細な利用実態を把握できるようになり、より使い勝手のよい敬老パス制度となるよう、平成29年度を目途に今後の方向性をまとめたい。

費用ばかりに目を向けず、社会的効果の広がりの検証も(再質問)
【くれまつ議員】敬老パスの対象交通機関の拡大については「大きな課題だと認識している」とくに「運賃分としての相当な追加費用がかかる」「敬老パスの利用実績を記録するシステムを新たに構築しなければならない」など費用負担の増大が大きな課題だという回答です。
 大切なことは、敬老パスの目的を達成するうえで有効なのかどうか、ではないでしょうか。
 しかも昨日の同様の質問で局長も答弁されましたが、敬老パスの社会的効果としては社会参加効果以外にも、健康効果、経済効果、環境効果、と様々な効果があるという調査結果が出ています。利用できる交通機関の拡大により社会的効果も拡大しますね。いまでも316億円の経済効果が生まれ、それによる市税収入が6億円とも試されています。費用だけに目が向くような検討は問題ではないでしょうか。 
 この四つの社会的効果が、敬老パスの対象交通機関を拡大することによって、どれだけ大きくなるのか。費用の試算だけでなく、社会的効果の広がりについても試算すべきです。 そこで健康福祉局長に再度うかがいます。「平成29年度目途に今後の方向性をまとめたい」との答弁がありましたが、敬老パスの今後の検討すべき材料に、敬老パスの社会的効果の広がりについても入っていますよね、また今後予定されている住民への説明会、意見聴取会において、社会的効果についてもきちんと市民に説明し、回答できる担当局も参加すべきと考えますがいかがでしょうか。

市民に丁寧な説明をし、意見をききながら方向性をまとめる(局長)
【健康福祉局長】敬老パスの持つ様々な効果を含め、現状や課題など、市民に丁寧な説明をし、率直な意見をうかがいながら今後の方向性をまとめていく必要がある。意見をうかがう際には責任を持って説明を行いたい。

 費用が増えても実施に踏み切るべき。それ以上の効果がある(意見)
【くれまつ議員】敬老パスの対象交通機関の拡大は、敬老パス条例の本来の目的である「高齢者の社会参加を支援し、高齢者の福祉の増進を図る」ことです。住んでいる場所や利用できる交通機関で大きな格差がある現状を改善し、全ての市民に平等に敬老パスの素晴らしい効果を及ぼすために有効だから提案しております。追加のサービスを求めているのではありません。
 条例の本来の目的を果たすための提案です。そのためにはたとえ費用が約50億円増えても実施に踏み切るべきです。費用をかけた以上の効果が必ず生まれると私は確信します。
 敬老パスの利用交通機関の対象拡大を実現するまで、引き続き取り上げてまいります。

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