名港議会 一般質問② 身の丈に合った整備を(2015年6月11日)

取扱貨物量の伸びに見合った施設配置を

≪外貿コンテナ≫ 国の補助もない。既存バースの有効な活用を演壇s
【山口議員】次に、取扱貨物量の伸びに見合った施設配置となっているか港湾計画を改定する現時点で数点チェックしていきたいと思います。はじめに外貿コンテナについてうかがいます。 名古屋港が取り扱うコンテナ貨物量は昨年で256万9千TEU、ピーク時の8年前(2007年=平成19年)の263万8千TEUをいまだに回復していません。コンテナバース別の取扱量でもその伸率でも鍋田ふ頭が圧倒的です。
 ここに2バース増設するという港湾計画改定案には一定の根拠があるとは思います。でもその前に、飛島ふ頭(東側、南側)にもまだ余力があるのではないでしょうか。
 航路別のコンテナ貨物の推移をみると東南アジア航路の伸びが際立っています。港湾計画改定案では飛島ふ頭南コンテナターミナルや飛島ふ頭南側コンテナターミナルの施設拡張計画などが掲載されていますが、現在97万TEUまで伸びた東南アジア航路はいまどこのターミナルを使っているのでしょうか。
 北米・欧州との基幹航路は飛島、中国・韓国の近海航路は鍋田など、コンテナターミナルは基本的に航路別に決まっていると聞いてきました。これからは一つの運営会社で一元的合理的に管理できるようになるといいます。コンテナターミナル
 ならば利用が減少あるいは伸びなやんでいる航路のターミナルを、需要が多く今後も伸びそうな航路用のターミナルに転換することは可能ですよね。一つの会社にしたのなら、いくつものコンテナターミナルをトータルとして効率的に取扱えるようにできないのでしょうか。鍋田が多いからそこに新たなバースをつくるという前に、飛島ふ頭エリアでも近海航路を受け入れるべきではありませんか。
 国の国際コンテナ戦略港湾の予算687億円について、わが党は過剰な公共事業の典型として厳しく批判していますが、その予算は今年度予算では一円も名古屋港には投入されません。公共事業として新たなバースばかり計画せずに、既存バースをもっと有効に活用すべきではありませんか。以上、外貿コンテナについて答弁を求めます。
既存ターミナルの活用、既設岸壁の増深や背後用地の拡張、新たなコンテナターミナルの増設を適切に計画
【企画調整室長】水深16mの飛島ふ頭南側コンテナターミナルや水深15mの飛島ふ頭南コンテナターミナルでは、大型のコンテナ船が就航する基幹航路を中心に、飛島ふ頭北コンテナターミナル及びNCBコンテナターミナルでは、東南アジア航路を中心と、鍋田ふ頭コンテナターミナルでは、近海航路を中心に取り扱っている。
 また、飛島ふ頭内のコンテナターミナルでも近海航路を取り扱うなど、全てのコンテナターミナルにおいて、柔軟に対応している。 今回の港湾計画改訂では、近年の貨物動向や企業へのヒテリング、今後の経済社会情勢の見通し等を踏まえて、本港の平成30年代後半におけるコンテナ取扱個数を推計し、基幹航路、東南アジア航路、近海航路とも増加を見込んでいる。コンテナ貨物の増加やコンテナ船の大型化に対応するため、既存コンテナターミナルの活用はもちろんのこと、既設岸壁の増深や背後用地の拡張、新たなコンテナターミナルの増設を適切に計画し、コンテナ機能の強化を図っていく。外貿コンテナ ターミナル別推移外貿コンテナ 航路別推移

≪穀物バルク≫ 名古屋港の国際バルク戦略港湾計画は破たんしたのではないか
【山口議員】穀物バルクについてもうかがいます。今年の予算には、国際コンテナ戦略港湾はおろか国際バルク戦略港湾の事業費もまったく計上されていません。今までの調査は何だったのでしょうか。
 国際バルク戦略港湾に選定された北浜ふ頭は現在、水深12mです。国際バルク戦略港湾の国の選定基準では2015年つまり今年には14m程度、2020年には水深17m程度としていました。名古屋港が提出した計画書では今年14m、5年後には17mにするはずでした。
 ところが港湾計画では現行でも改定案でも北浜ふ頭係留施設の水深を14mとしています。つまり10年後にようやく14mになるかどうかという計画です。コンテナでは戦略港湾になれなかったが穀物バルクの戦略港湾には選定されたと鼻高々の報告を何度も聞かされてきました。
 しかしはっきり言って、港湾計画にすら反映できない名古屋港の国際バルク戦略港湾計画は破たんしたのではありませんか。
 港湾計画の前提となる貨物量の推計ではどうでしょうか。港湾計画改定案では取扱貨物量が現在の2億762万トンから約10年後(平成30年代後半)には約2億5000万トンへと約20%伸びる推計が示されました。
 ではそのうち穀物バルクについてはどのように推計しているのでしょうか。
 需要の伸びが見込めないから水深14mも実現していないのではありませんか。それなのに埋立だけは進めるつもりですか。
 港湾計画の改定に際しては、北浜ふ頭の埋立計画そのものを見直すべきではありませんか。 以上、答弁を求めます。北浜ふ頭
トウモロコシを50万トン増の約200万トンと想定。動向等を注視しながら取り組む
【企画調整室長】国際バルク戦略港湾として選定された後、平成24年に港湾計画の一部変更を行い、大型船舶を活用した企業間連携を促進するため、穀物関連企業との協議や意向調査、新食糧コンビナートに係る埋立計画地周辺の環境影響評価調査等を実施し、また、地元関係者や関係業界団体と一体となって、国への支援要望を行ってきた。
 今回の港湾計画改訂では、国際バルク戦略港湾の対象品目であるトウモロコシの貨物量を、現状の150万トンに対し、約200万トンと想定しており、引き続き、名古屋港基本計画検討委員会を始め、関係者の意見を聞きながら進め、今後も、名古屋港の国際バルク戦略港湾施策の実現に向け、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定を始め、穀物輸入を取り巻く動向等を注視しながら取り組んでいく。企画調査費
国際バルク戦略港湾の計画を中止、埋立計画も断念を(再質問)
【山口議員】コンテナ貨物への対応は飛島ふ頭エリアも柔軟に対応しているとの答弁がありました。私の頭もまだ国際コンテナ戦略港湾の議論から抜け出しきれていない質問だったかな、とも思います。
 でも先ほどの答弁、逆に言えば、運営会社がなくともコンテナターミナルの統一的な運用は名古屋港では民間事業者の連携で十分に対応できていた。ならばわざわざ新会社に一元的な運用を委ねる必要もなかったのではないですか。
 コンテナ貨物についての対応は、新会社の動向も注視しながら引き続き議論していきたいと思います。
 問題はもうひとつの戦略港湾である穀物バルクです。
 答弁では、名古屋港の穀物バルクの取扱貨物量が、計画通り150万tから200万tに伸びると推計したとのことでした。しかし推計通りとしても、2億tを超える名古屋港の総取扱貨物量に占める比率はわずか0.72%から0.8%になるだけですよ。国際バルク戦略の破たんは明確です。バルク戦略と港湾計画が大きくずれている。1%にも満たない貨物のために67haもの広大な面積を埋め立てるのは税金のムダ使いそのもの、あまりにも不経済な計画です。国の支援も不明確なままです。コンテナとはちがいます。
 いまなら間に合います。国際バルク戦略港湾の計画はきっぱり中止し、埋立計画も断念すべきです。副管理者の決断を求めます。

多彩な製品に使用されるコーンスターチ用トウモロコシの輸入シェアは5割以上。国民生活を支えている(専任副管理者)
【専任副管理者】トウモロコシ輸入量は、全国第3位、中でもコーンスターチ用のトウモロコシ輸入量は、衣浦港と合わせると全国シェアが約5割で、コーンスターチに加工する工場は、東海地区に多く集積している。コーンスターチは、食品、工業製品、医薬品など1,000種類を超える製品に使用されており、本港は中部地域のみならず、我が国の国民生活を幅広く支えており、このような役割を、引き続き果たしていく必要がある。
 北浜ふ頭地先の約67ヘクタールの埋立計画は、バルク船舶の大型化に対応した公共埠頭とともに、その背後に、海外から輸入された穀物を取り扱う保管機能や生産機能を集約・拠点化する。これで効率的な運用や輸送コストの低減が図られ、穀物産業の競争力強化や地域経済の活性化に資する。今後も、国際バルク戦略港湾施策の推進に当たっては、穀物輸入を取り巻く動向や社会経済情勢等を注視するとともに、関係者の意見を聞きながら、取り組んでいく。

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