2015年9月定例会
高橋議員が正規教員確保と保育所入所基準について議案外質問
高橋ゆうすけ議員は本会議にて9月16日、正規教員の確保について、保育所への入所基準について、議案外質問を行いました。保護者から信頼されていた教員が非正規の臨時教員だったため続投できなかった事例など示し、正規教員の採用増をうったえました。保育所等の利用調整については、居宅内就労者が相対的に利用しづらくなっている実態を示し是正を求めました。動画は名古屋市会HPを、質疑応答の全文意訳は下記をご覧ください。
2015年9月16日 高橋ゆうすけ
9月定例会 議案外質問と答弁
正規教員の確保について
正規採用の人数が足りない
【高橋議員】子ども・保護者に寄り添えるように教員採用人数の増加をすべきではないかという視点で質問します。
ある保護者の方から「4月に新しく学校に来た先生がうちの子の担任になりました。障害もあるので本当に大変だったと思いますが、一年間落ち着いて学校に通うことができ、感謝の気持ちでいっぱいでした。3月になって来年も先生にいてほしいとお話したら「私は臨時教員で来年はこの学校にいられないんです」と言われ、衝撃を受けました。なんでこんなにいい先生が臨時なのか、来たばかりなのになぜ1年でいなくなってしまうのか、わかりませんでした」。こういったお話をうかがいました。
このような問題が起きる背景の一つには正規採用の人数が足りないということがあげられます。今年度の教員の正規採用は376人、しかし、正規採用が足りなかったため、1年間の期限で採用した臨時教員が89人います。これらの人数はここ数年、ほとんど変わりがありません。現在、本市の教員採用は、一定の基準を満たした教員を採用するという方式ではなく、総合的な判断によって何人の教員を採用する、という形になっています。そのため、教員としての力量が備わっていても試験では不合格となるケースが見受けられます。しかしながら実際には、正規教員だけでは教員定数に足りず、名古屋市教育サポートセンターにて面接を受け、登録した方の中から臨時教員を任用して、正規教員と同じように担任をもって働くという状況となっています。このような実態があることを知った保護者の方からは、「子どもにとっては大事な一年なのに、なぜ正規の先生が足りないのか」「臨時教員は採用試験に落ちた先生と聞いて不安もあった。実際には正規の先生と同様、子どものために一生懸命働いている。なぜ正規の先生じゃないのか」という声も寄せられてきています。
そこでお聞きします。保護者が安心して子どもを学校へ送り出し、子どもたちが学べる環境を充実させていくためにも、正規教員が足りないという現状について、改善をしていく必要があると考えますが、教育長の見解をお聞かせください。
非正規教員の任用減らす努力はしている
【教育長】県からの加配増や年度当初の急な児童生徒数の増加による学級増等により、やむを得ず教員に欠員が生じた場合には、常勤講師を任用している。毎年度、次年度の児童生徒数ならびに学級数を精査して推計し、欠員補充の常勤講師の任用数を減らす努力をしている。
権限移譲を契機に少人数学級を拡充するためにも臨時職員を正職員に
【高橋議員】現在、多くの保護者の方から少人数学級の実施をしてほしいという声がたくさんあがっています。本市では市独自に小学校1・2年生に30人学級を実施していますが、市教育委員会自身が「基礎的な計算力の向上が見られた」「欠席する児童の割合が減った」「学校生活への適応を図るという事業の狙いが達成された」と、高く評価をしています。この事業は現在、少人数指導のために市が独自予算で任用している非常勤講師と常勤講師によって進められていますが、これらは本来、臨時教員ではなく正規教員を配置して手厚く進めていくべきものではないでしょうか。
2017年度からは県費負担教職員の定数などが愛知県から名古屋市へ権限移譲されることとなっていますが、このことについては国会で我が党の田村貴昭衆議院議員の質問で、政府参考人から、「義務教育の実施に影響を及ぼすことがないよう的確に対応する必要がある」と答弁がありました。また、名古屋市独自の施策を充実させていくことができるようになる、このことは教育長も昨日の議案外質問においてご答弁されました。
そこで、教育長にお聞きします。今後、県費負担教職員の権限移譲を契機に少人数学級を拡充するお考えはありませんか。また、少人数学級だけでなく、いじめや不登校対応など様々なニーズに対応するためにもきちんと見通しを立てて、非常勤講師や常勤講師といった臨時教員で配置するのではなく、正規教員の採用増を進めていくべきと考えますが、どのようにお考えでしょうか。
少人数学級は現行水準でいく
【教育長】今後も現行の水準を維持したい。また、様々な教育課題に対応するために、必要となる教員数の確保に努めたい。
平成29年4月の権限移譲後は、本市の加配定数について、県を介さなくなることで必要数の推計がしやすくなることから、欠員を減らすことが期待できる。
少人数学級は正規教員で必要数の確保を(意見)
【高橋議員】教育長から少人数学級については権限移譲後、現在の水準を維持していきたいと、そして様々な課題に対応するために必要な教員を確保したいとご答弁がありました。しかし、必要な教員を確保と言いつつも、正規教員でとは明確にお答えになりませんでした。権限移譲を契機に、保護者のニーズに応えるためにも、今までの水準の維持だけではなく、水準の向上を図るためには正規教員で必要数を確保することが必要だということを強く要望いたします。
少人数学級は正規教員で必要数の確保を(再質問)
【高橋議員】欠員の問題については、権限移譲を契機に本市で推計しやすくなることから欠員の人数を少なくできると期待している、という趣旨のご答弁がありました。期待だけではなく、しっかり進めていかなければならないことだと思いますが、欠員があるという状況についてはよろしくないと考えているという認識だと思います。しかし現実問題として、学級増等読み切れないという問題もあり、この欠員をなくしていくということについてなかなか改善されてこなかった。これが、これまでの経緯だったのではないでしょうか。そこで教育長に再度質問いたします。
今後権限移譲によって、名古屋市独自で採用人数を決めていくこともできるようになるわけですが、そのことも踏まえ、クラス数の決定に際してクラスが分かれるかどうか、ぎりぎりの児童生徒数となっている学校には、あらかじめ教員を配置しておき、クラスが増えた場合にはそのまま担任に入る、増えなかったとしても、少人数指導対応などの担当として配置できるようにする、こうしたことを進めてはいかがでしょうか。教育長の見解をお伺いいたします。
欠員を出さないよう努めていきたい
【教育長】現行の制度では、定数以上の定数枠の配当は認められていない。権限移譲後も定数以上の配当は認められないと認識している。次年度の児童生徒数ならびに学級数を精査して、より正確に推計することで、欠員を出さないよう努めたい。
教員定数等は独自で進められるはず(意見)
【高橋議員】教育長からは、あらかじめ教員を加配することについてできないとご答弁がありました。しかし、権限移譲後は教員定数等についても本市が独自で進めていけるようになるはずです。現行の制度ではできない、ということでしたが、それは愛知県の基準であり、今後について国は定数以上確保することは認めているわけです。ここ数年、欠員状況が全く改善されていない、こういったことをいったい何年続ければいいのでしょうか。欠員をなくすように努めるとおっしゃっておりますけれど、もっと抜本的な改善が必要ではないでしょうか。ここに関しては当局のやる気が問われていると思います。子どもにとって学校にいられる期間は限られており、一年一年がとても大切な時間です。子どもたちがしっかりと学び、育つ環境を作っていくことは保護者の願いであり、行政の責任です。将来の名古屋を、日本を担っていくことになる子どもたちの学ぶ権利をしっかり守るためにも、雇用の不安定な臨時教員ではなく、正規教員を増やして、様々なニーズに応えられるようにしていくことを要望して私の質問を終わります。
保育所への入所基準について
居宅内就労だからとランクBになるのは納得できない
【高橋議員】現在、名古屋市では保育所の入所について、その必要度に応じてAから順にHまで、8ランクに区分し、更に世帯の状況を調整指数として加減点を行って入所承諾の順位を判断しています。一日8時間、週5日以上働くサラリーマンなどであればランクはAとなっているわけですが、サラリーマンと同様に一日8時間、週5日以上働いていても、お父さん・お母さんのどちらかが居宅、自宅で働いているということであればランクはBから始まることになっています。現在、ランクAであってもなかなか希望する保育所に入所することができない実態があり、その結果希望しない保育所への入所や保留児扱いとなってしまうケースも多い中、居宅で働く方の子どもが入所することは大変難しい状況にあるのが実態です。
居宅で働いている人はいつでも子どもの面倒を見られるからいいじゃないか、と思われる方もいるかもしれませんが、実態は大きく異なります。自宅兼工場で働く方は「仕事場で子どもの面倒を見るということは危険もあるので一緒にいられない。子どもがぐずった時には作業の手を止めなければならないのでノルマをこなすことも難しくなる」とお話をされ、また自宅でアクセサリーの制作をされている方は「家で働いているといっても営業などがありずっと家にいられるわけではない。先方の都合もあるので緊急に出かけることもあり、いきなり子どもを預けるということもできない」と話しておられました。私の住む南区でも町工場をはじめ自宅で自営業を営まれる方も多く、切実な思いがあります。
しかし、このように切実な要望があるにも関わらず、居宅内就労であることだけを理由にランクが下げられていることに納得できない、こうした声も寄せられてきています。
市長自身よく「わしも零細企業出身だで、いろいろ大変なんだわ」と、よくおっしゃっています。だからこそ大変な小規模事業者・中小企業への支援を進めるために、本市では2013年に中小企業振興基本条例を制定したのではないでしょうか。条例の前文で「中小企業の発展は、就業、女性の社会参画、消費生活などの様々な面で市民生活の向上をもたらすものであり、都市としての魅力を高めるものである」と述べています。しかし居宅で働こうにも子育ての負担が大きくのしかかってしまえば、小規模事業者の発展の足かせとなってしまい、条例の理念から離れてしまうのではないでしょうか。
そこで、子ども青少年局長にお聞きします。中小企業・小規模事業者を応援し、子育てしながらでも働きやすい環境を作っていくためにも、保育所への入所基準については居宅内就労であるかどうかではなく、就労の実態に応じた保育所への入所審査を行えるように改善をしていくべきと考えますが、子ども青少年局長の見解を求めます。
利用調整の基準表に基づいて判断
【子ども青少年局長】保育所等の利用調整は、平成26年度より客観的な基準表に基づく利用調整、いわゆる点数制を導入した。平成27年4月からの子ども・子育て支援新制度でも、客観的指標に基づく利用調整を行っている。
自営業等の居宅内就労の場合、子どもの近くに保護者がいるので、体調不良時や緊急時の対応が可能であることや、通勤で時間が割かれることが無いことなどから、保育所等の利用調整の基準において、就労場所の観点からは、居宅外就労の方の点数を優先している。最終的な利用の決定は、就労場所だけではなく、就労時間や家庭状況など他の条件も含め決定している。
適切な制度の運用に努め、より多くの方が利用できるよう、引き続き保育所等の整備を進めたい。
自営業者応援のため希望する保育所へ(意見)
【高橋議員】保育所の入所基準について、子ども青少年局長から、居宅内就労の場合、子どもの近くに保護者がいるから緊急時の対応が可能、通勤時間が割かれることがないということから居宅外就労の方を優先しているというご答弁がありました。しかし、子どもを育てながら仕事を行うということは非常に大変なことだというのは、実際にその現場を見てみればわかることではないでしょうか。居宅で働く方々の子育てを支えられないで、子育て日本一の名古屋といえるのでしょうか。そもそも自営業の方は国民健康保険への加入であり、子どもが増えれば増えるほど保険料負担なども増えていくことになります。自営業の方を応援していくためにも、子どもたちを区別することなく、平等に希望する保育所へ入所できるようにしていくべきだということを意見として申し上げたいと思います。
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