名港議会 山口議員の一般質問① 港湾整備目標(2015年11月4日)
上半期港湾統計数値と港湾整備目標について
輸出・輸入が減少した品種、地域とその要因はなにか
【山口議員】10月1日に名古屋港管理組合が公表した「平成27年名古屋港上半期港湾統計速報」を見させていただきました。入港船舶の隻数16,851隻は前年同期比0.4%増ですが、船舶の大型化が言われるなかで総トン数1億1582万tは前年同期比0.5%減です。港勢をふりかえると、総取扱貨物量は9940万tと前年実績比で5.5%もの減少です。
外貿貨物では、輸出では完成自動車、自動車部品等が△3.6%と前年実績を下回り、輸入も液化天然ガスや鉄鉱石の減少などで前年同期比△7.2%の減です。
コンテナ貨物も、輸出は自動車部品の減などで△3.9%、輸入では衣類、身廻品、はきもの、自動車部品等の減少で△5.6%、全体で2310万t、前年同期比△4.8%です。
国別では、輸出入とも中国の減が大きいですが、中国だけではありません。オーストラリアやアメリカ、中東諸国のマイナスも少なくありません。
これらはかなり深刻な数字ではないでしょうか。
今議会には港湾施設使用料の補正予算が提案されていますが、そもそも今年度予算では港湾施設使用料は前年比△8.5%とかなり厳しく見積もっていました。入港船舶数も取扱貨物量も、ここ数年、一直線の右肩上がり、とは言えない状況が続いているのではないでしょうか。
その一方で、10月2日の名古屋港審議会では、港湾計画の改定案が了承されました。総取扱貨物量は10年後に約1.2倍に増える、目標取扱コンテナ貨物量は約1.4倍と想定して、飛島ふ頭の水深15m岸壁整備等の計画を立てています。半期だけの統計で一喜一憂することはないのかもしれませんが、過大な設備投資になりはしないか、と正直、懸念を覚えます。そこで二点うかがいます。
まず、輸出・輸入が大きく減少した品種や地域について、その要因についてどのように考えているか、示してください。
輸出は自動車部品、輸入は鉄鉱石、相手は中、米、豪、カタールなど
【企画調整室長】輸出の取扱貨物量は、2,692万トンで前年同期比96.4%、大きく減少した品種は、自動車部品が10.1%減、完成自動車が2.5%減となっている。
輸入の取扱貨物量は、3,791万トンで前年同期比92.8%、大きぐ減少した品種は、鉄鉱石が17.3%減、LNGが5.9%減となっている。
取扱貨物量が大きく減少した国は、輸出では、中国が完成自動車、鋼材等で8.8%減、アメリカが自動車部品、完成自動車等で10.3%減、輸入では、オーストラリアが鉄鉱石、石炭等で14.5%減、カタールがLNG等で14.5%減となっている。
要因としては、輸出は、北米西岸港湾の労使交渉をめぐる混乱により荷動きが減少したことなど、輸入は、自動車分野の在庫調整の影響による、鉄鋼需要の減少などによるものと考えている。
こんな状況でも今後も予定通りに 港湾整備事業を進めるのか
【山口議員】世界経済が不透明感を増しているなか、それでも名古屋港の港湾整備事業は予定通り進めていくのか、見直す考えはないか。
ものづくり産業を支えるために不可欠な事業であり着実に整備を進める
【企画調整室長】名古屋港の背後圏には日本経済を牽引するものづくり産業が集積しており、本港は、今後も引き続き、それらを物流面からしっかりと支える重要な役割を担っている。岸壁や航路・泊地などの港湾整備事業は、ものづくり産業を支えるために不可欠な事業であり、社会経済情勢の変化や港湾利用者の要請に的確に対応し、中長期的な視点で着実に整備を進めていく。
過大とならないよう慎重に(意見)
【山口議員】労使交渉の混乱や在庫調整の影響で、こんなに減るのでしょうか。予算編成では港湾施設使用料など厳しめに見積もるものとは思いますが、予算編成時から貨物の動向についてはあらかじめ厳しく見積もっていたのではありませんか。
とくに世界経済の減速傾向、内需・消費の低迷ぶりなど、よく見ておく必要があります。貨物量の減少は一時的なものなのか引き続き注視していきたいと思います。
港湾施設の整備についても、需要に応じた整備はきちんと行いながら、過大とならないよう慎重に検討していただきたい。港湾計画が改定されますが、状況に柔軟に対応していくよう要望しておきます。
キーワード:大型開発・ムダ遣い見直し、山口清明