名港議会 山口議員の一般質問② バルク戦略港湾(2015年11月4日)
国際バルク戦略港湾について
とうもろこしの国内需要及び 輸入をめぐる動向はどうか
【山口議員】港湾統計速報には、アメリカからの前年同期比4.9%の輸入減について「とうもろこし等の減少により」と書かれています。
TPPが大筋合意と発表されましたが、国内農業への影響は深刻です。とうもろこしは既にほぼ100%が輸入されており関税が問題ではありません。問題は何か。日本のとうもろこし輸入について用途別でみるとその65%が飼料用、つまり畜産農家向けです。TPPの影響をまともに受けます。コーンスターチの需要が多いといわれる名古屋港ではありますが、とうもろこしの国内需要がバルク国際戦略港湾の目論見通り推移するのか、先行きに大きな不安を覚えます。
それに加えて、先の議員総会では、昨年度の埋め立て予定地における地盤調査の結果、軟弱な地盤の存在が確認されて護岸整備費が200億円から600億円に3倍に増えるとの試算が示されました。
この数字も深刻です。6月定例会でも申し上げましたが、傷が浅いうちに、国際バルク戦略港湾計画から撤退すべきです。
そこでうかがいます。とうもろこしの国内需要、輸入動向はどうなっていますか。
25年までの3か年は、全国、本港とも微減傾向、本港の平成26年は微増
【企画調整室長】とうもろこしは、国内消費のほぼ全量を輸入に依存しており、年間輸入量は、港湾統計では、平成25年、全国で約1,400万トン、本港は約150万トンです。
年間輸入量の平成25年までの過去3か年の推移は、全国、本港とも微減傾向ですが、本港の平成26年は、約160万トンと微増しています。
穀物バルクに関するTPPの影響を どうみているのか
【山口議員】穀物バルクに関するTPPの影響について、進出を予定している穀物関連企業はどう見ているのか。名古屋港管理組合としてはどうとらえているのか、あわせて答えてください。
穀物輸入を取り巻く動向の把握に努める
【企画調整室長】とうもろこしは、実質、現状の無税での輸入が引き続き維持される。飼料用とうもろこしの輸入に大きく関係する牛肉、豚肉などの品目には、関税が10年以上の期間をかけて、段階的に引き下げ、又は、撤廃されるものもある。また、現時点で、発効の時期は明らかになっていない。複数の穀物関連企業にヒアリングを行ったところ、現時点では不明であり、情報収集を行いながら、影響を見極めていくとのことす。
本組合としては、今後とも国等を通じて、今回の大筋合意内容や今後の動向に係る情報収集を行うとともに、穀物関連企業にも、引き続き、ヒアリングを行いながら、穀物輸入を取り巻く動向の把握に努める。
埋立計画を撤回し、国際バルク戦略港湾から撤退すべきではないか
【山口議員】いさぎよく埋め立て計画を撤回し、バルク国際戦略港湾からの撤退を決断すべきではありませんか。
護岸整備費の試算が3倍に増加したので計画内容の検証が必要
【企画調整室長】今回、埋立計画地の護岸整備費が約600億円に増加する試算となったことから、全体行程や事業費削減などを含めた計画内容の検証が必要と考えている。
こうした状況も踏まえ、社会経済情勢等を注視するとともに、十分に関係者の意見を聞きながら、取り組んでまいりたい。
大規模な埋め立て工事は中止すべき(意見)
【山口議員】バルクについては、とうもろこしの全国的な輸入動向は微減傾向とのことでした。バルクについては、費用対効果、国内需要の動向などから、冷静に検討すれば、撤退しかありません。少なくとも大規模な埋め立て工事は中止すべきです。名古屋港の面子の問題ではなく、経済的な観点からもいさぎよく決断していただきたい、重ねて要望しておきます。
キーワード:雇用と地域経済・中小企業、大型開発・ムダ遣い見直し、山口清明