名港議会 山口議員の一般質問④ 防災対策(2015年11月4日)
防災対策について
高潮防波堤の改良工事の遅れについて国へ厳しく抗議せよ
【山口議員】この10月に、名古屋港災害対策アクションプランが策定されたとの報告がありました。災害対策の着実な進展を期待します。今日は現時点で残されているいくつかの気になる点について質問します。
一つ、高潮防波堤の改良工事が遅れているのは由々しき事態です。国に強く抗議すべきではありませんか。名古屋港は甘く見られているのではありませんか。管理組合のこれまでの対応は十分だったのか、あわせてうかがいます。
(2015年11月6日 中日新聞)
入札不調で計画を見直すといわれたが、整備推進を国に申し入れている
【企画調整室長】国において特に整備効果が高い海上部区間を平成26年度末に概成し、平成27年度の完成に向けて整備が進められてきたが、国から、「一部工事の入札不調等による事業計画の見直しにより、平成28年度の事業完了を目指す」との報告を受けた。
直ちに、遺憾の意を国へ伝えるとともに、平成28年度中の、早期の完了に向けて整備を推進するよう、文書で強く要請しており、今後も働きかけていく。
津波災害警戒区域の指定を県に求めよ
【山口議員】津波による浸水被害想定は愛知県から示されましたが、「津波防災地域づくりに関する法律」では都道府県が津波災害警戒区域を指定し、そこで各地点の「基準水位」(津波がどこまで到達するかを示す水位)が示され、その基準水位以上の避難場所を設けることが求められています。しかしいまもって愛知県からは基準水位も示されていないし、津波災害警戒区域の設定も行われていません。
基準水位の検討抜きでも港の防災対策は十分なのですか。県による津波災害警戒区域の指定は名古屋港の災害対策にとっても重要な問題だと考えますが、いかがですか。
近隣府県の動向や県内市町村の意向を 勘案しつつ、適切に対応するという
【防災・危機管理担当部長】愛知県は、津波浸水想定を平成26年11月に設定し、公表しておりますが、現在、県内では、津波災害警戒区域の指定はされておりません。
愛知県からは、津波災害警戒区域の指定について、今後、近隣府県の動向や、県内市町村の意向を勘案しつつ、適切に対応していくものと聞いております。
本組合においては、引き続き、所在市村と連携して津波一時避難施設の確保を推進するなど、津波避難対策に取り組んでいきます。
コンテナトレーラーの運転手なども含めた津波避難訓練を
【山口議員】アクションプランには「確実な避難実現のための避難対策の確立」とありますが、アクションプランにある港湾利用者とはいったい誰のことを指すのでしょうか。コンテナ輸送中のドライバーは含まれるのでしょうか。何度も指摘してきましたが、トレーラー運転手の避難誘導はどうするのか、これまでどんな訓練を行ってきたのか、アクションプランでは新たな対策があるのでしょうか。
継続的な津波避難訓練を実施していく
【防災・危機管理担当部長】コンテナターミナルでは、これまでにコンテナターミナル勤務者などと連携して、衛星携帯電話などを活用した情報伝達訓練や発災時における避難指示から避難誘導までの役割分担に基づく津波避難訓練を実施してきた。
また、金城ふ頭のポートメッセなごやが津波一時避難施設に指定されたことを受け、現在、同施設を活用した津波避難訓練の実施に向けて関係者と調整を進めている。
今後も、港湾利用者や一般来訪者等が冷静かつ的確な避難行動がとれるよう、継続的な津波避難訓練を実施していくとともに、津波一時避難施設の拡充に合わせ、より多くの人達が訓練に参加できるよう鋭意取り組んでいく。
津波災害警戒区域の指定は、様子見ではなく厳しく県に求めよ(再質問)
【山口議員】津波災害警戒区域の指定が全国的に進んでいません。愛知県も近隣府県の動向、県内市町村の意向を勘案して、というだけ。はっきり言って様子見じゃありませんか。こんな指定は名古屋港管理組合には必要ないなら「いらない」と、必要なら指定を急いでほしいと、はっきりさせるべきです。
津波にもっとも敏感な関係自治体の一つとして、県に対してもっと迫るべきではありませんか。
津波災害警戒区域が指定された場合は、所在市村に協力する
【副管理者】本組合としては、今後、津波災害警戒区域が指定された場合には、所在市村が実施する具体的な施策について協力していきます。
コンテナトレーラーの運転手が参加する避難訓練やトレーラーは(再質問)
【山口議員】コンテナトレーラーの運転手の避難訓練、動いている貨物、車両をどうするのか、運転手が避難した後の車両と貨物は路上に放置されたままなのか、災害発生時、及び災害からの復旧時のシュミレーションができていません。個別アクションに掲げてはありますが、依然として災害対策上の弱点です。「多くの人達が訓練に参加できるよう鋭意取り組む」との答弁はあまりに一般的です。
コンテナトレーラーの運転手が参加する避難訓練、運転中のトレーラーはどうするか、という避難計画の作成、この二つを実施すべきではありませんか。
コンテナターミナル内のトレーラーの退避を含めた津波避難訓練を今月9日に実施する予定
【副管理者】コンテナトレーラーの運転手が参加する津波避難訓練は、命を守る観点から重要と考え、これまでに名古屋港運協会ターミナル部会と協議を重ね、コンテナターミナル勤務者と連携した津波避難訓練を実施しています。
今年度は、これまでの訓練に加え、愛知県トラック協会の協力も得て、コンテナターミナル内のトレーラーの退避を含めた津波避難訓練を今月9日に実施する予定です。
今後も、港湾運送事業者やトラック事業者など関係者と連携して津波避難対策の推進に取り組んでまいります。
専任副管理者には積極的なリーダーシップの発揮を(意見)
【山口議員】副管理者から、コンテナターミナル内のトレーラーの退避を含めた訓練が行われると、ようやく具体的な答弁をいただきました。一歩前進だと思います。しかし、コンテナはターミナルの中だけを走っているのではありません。公道走行中を想定した訓練も必要だと指摘しておきます。
津波災害警戒区域についても、避難訓練についても、管理組合だけでは完結しない課題であり、他の自治体との協力が欠かせません。でも一方で、管理組合がイニシアチブをとらないとなかなか具体化できない課題でもあります。専任副管理者には積極的なリーダーシップの発揮を要望しておきます。(2015年11月7日 中日新聞)
キーワード:環境と防災、まちづくり、山口清明