2016年2月定例会
さいとう愛子議員の個人質問 国保料引き下げを(2016年3月7日)
収納率の引き上げにまい進するより、国民健康保険料の引き下げや親身な納付相談を
高すぎる国民保険料の実態を認識しているのか。保険料はいくらになるか
【さいとう議員】2月定例会の冒頭、河村市長は予算提案説明において、「国民健康保険料の収納体制を強化し、収納率の向上に努めてまいります」と表明いたしました。
しかし昨年度の名古屋市の国民健康保険料の収納率は、現年賦課分で95.91%、すでに政令市で最高水準に達しています。いまでも高過ぎて払えない、と悲鳴があがっているのに、収納率をさらに上げようとするならば、いっそうの収納強化を図るか、それとも保険料を引き下げ、誰もが払える保険料にするか、そのどちらかしかありません。名古屋市の選択が問われています。
そこで以下、国民健康保険料について数点、健康福祉局長にお尋ねいたします。
名古屋市の(国民)健康保険加入は、平成26年度末現在約35万世帯です。市内104万世帯の約3分の1が加入しています。そのうち所得200万以下の世帯が20万5,000世帯、約6割を占めています。
国民健康保険は、全国どこでも、低所得者が多く加入する医療保険でありながら、保険料が高すぎるというのが共通の問題です。国保の負担軽減は、低所得者対策としても避けて通れません。
名古屋市の国保料はどうでしょうか。名古屋市では数々の独自減免、子育て中の世帯や障害者世帯への一定の配慮など、保険料の負担を抑える努力が行われています。それでもなお少なくない世帯にとって国保料は重い負担となっています。
例えば、35歳の夫婦と子ども2人で給与収入240万円の世帯では、年間約18万円、月額約15,000円の国保料。年収120万円の収入の非正規で単身労働者の国保料は、年間約47,000円で月額は約3,900円。この国保料を払い続けるのはほんとうにたいへんです。貯金もできません。病気になり働けなくなって、滞納したら、すぐ払えなくなってしまいます。
そんな国保について国もようやく支援に乗り出しました。今年度は低所得者対策として、保険者支援制度を約1,700億円拡充しました。これに伴い、被保険者の保険料負担の軽減やその伸びの抑制が可能としています。名古屋市では今年度、この支援拡充分約26億円を全額、保険料の引き下げにあて、他の要素とあわせて、平均保険料は3,213円引き下げることができました。この国の支援は新年度も引き続がれると聞いています。
そこで伺います。国保料は高過ぎるという認識をお持ちでしょうか。新年度も国からの支援金は、その全てを保険料の引き下げにあてることに変わりありませんか。そのことも含めて新年度の平均国保料はどうなるのか、お答えください。
高齢者や低所得者が多いので保険料が高くなる。保険者支援制度を活用して613円引き下げる(局長)
【健康福祉局長】加入者に高齢者が多いため医療費が高く、低所得者が多い実態で保険料が他の健康保険とくらべて高くなり、財政基盤が脆弱という構造的課題を抱えていると認識している。平成28年度も消費税財源による拡充分を含めた保険者支援制度のすべてを保険料軽減に充て、医療分と後期高齢者支援金とを合わせた国民健康保険料の年額は、平成27年度と比べ、1人当たり平均で613円の引き下げを予定している。
国民健康保険の負担軽減制度をもっとわかりやすく(意見)
【さいとう議員】国民健康保険料が高過ぎる点については、加入者が、高齢の方、低所得の方が多く、また、財政基盤が脆弱であるという構造的な課題があるとの認識を示されました。だからこそ、国の税金投入や一般会計からの繰り入れが必要です。
平成28年度も、保険者支援制度のすべてを保険料の軽減に充てることで、613円の引き下げを予定しているとのことでした。引き続き、高過ぎる保険料の引き下げを強く求めて行きます。
滞納世帯への冷たい対応が受診抑制や手遅れになっていないか
【さいとう議員】名古屋市は、独自の減免などを行っています。それでも現状は、平成26年度末において、国保料を滞納している世帯は3万4,000世帯余、加入世帯の9.8%です。加入者の1.2%の世帯が資格証明書ですが、治療費をまず10割全額払うとなると病院にすぐには行けません。こういう現状は「国民皆保険」とはとても言えない事態ではないでしょうか。
病院のソーシャルワーカーさんのお話です。糖尿病の治療をしていたAさんの場合。いっこうに治療効果が上がらないので、よくきいてみたら、お金がかかるからと薬はもらわず、資格証明書での受診だとわかった。また、Bさんの場合。70代のBさん夫婦と40代の息子さんの3人暮らし。保険料が払えず、資格証明書。最近、息子さんが目がかすむといって受診したら、糖尿病からだった。2週間後、Bさんの 妻が受診、重いリウマチにかかっていた。
2つの事例とも、処方された通りの医療をうけなかったり、我慢の末の受診だったりすると、結局、病気が重くなっていた。もう少し早く受診すれば、重症化せずにすんだのではないでしょうか。資格証明書を出すことでかえって医療費を増やすことになってはいないでしょうか。
国保料が払えずに受診の機会が奪われたり、遅れたりというケースが市内でも起こっているのではありませんか。答弁を求めます。
災害・病気・事業の休廃止などの特別な事情は、交付対象から除く(局長)
【健康福祉局長】資格証明書は、法により、交付が義務づけられている。催告を行ってもなお、納付資力に応じた納付を継続していただけない方に資格証明書を交付していますが、災害・病気・事業の休廃止といった「特別な事情」のある方は、交付対象から除いています。併せて、資格証明書の世帯のうち、世帯主または医療機関等の申し出により、緊急の医療的措置を必要とする場合など特別な事情に準ずる状況にあると判断される際には、短期被保険者証を交付する対応をとっている。
滞納者へは差押えを急ぐのではなく、もっと親身な相談などで対応を
【さいとう議員】それでもここ数年、短期被保険者証や資格証明書の発行は少しずつですが減っています。滞納世帯数も減少傾向にあります。
しかし、問題は、差し押さえ件数が増え続けていることです。平成16年度は32件でしたが、22年度は1,254件、昨年は3,286件と増えています。財産調査の件数も、25年度は約187,000件、26年度は約232,000件と大きくふえています。いま以上に収納率アップをめざすとなると、滞納者の実情を無視した差押えが行われるのではないかと危惧いたします。
差し押さえの手順はどうなっているでしょうか。保険料の納期限後40日くらいで督促状が郵送されます。その後、財産調査をしたうえで、差し押えが行なわれます。
ある人は、ガンの治療を続けながら、月々分納していたのに、滞納額が多いからと差し押さえが行われて、病院への支払いが困難になり、通院を止めてしまいました。催告状を送ったというのですが、身体の状態が悪いと区役所に相談に行くのも大変なのです。保険料の滞納があれば、なおさらです。
そこで、伺います。区役所ごとに滞納解消の目標を持つのは当然ですが、差し押さえ件数自体が目標にされてはいませんか。機械的な差し押さえは止め、ていねいな納付相談ができる体制こそ充実させるべきではありませんか。答弁を求めます。
納付困難な場合には減免を案内、納付資力に応じた分割納付を認めるなどの柔軟な対応を行っている(局長)
【健康福祉局長】差押えの前の様々な催告で、滞納世帯の方と接触の機会を、なるべく持てるよう努めています。
納付相談の際には、生活実態をしっかりと聞いたうえで、所得の減少などにより保険料の納付が困難な場合には、減免の適用などを案内し、納付資力に応じた分割納付を認めるなどの柔軟な対応を行っている。
差押えは、そのような度重なる納付相談・催告を行ってもなお、納付資力に応じた納付をしないかたに対して実施している。その結果が、現在の差押え件数となっている。引き続き、納付相談を中心としたきめ細かく、丁寧な対応を行います。
国民健康保険料のペナルティをやめさせその分で負担軽減を
【さいとう議員】国保の財源安定のためには、国の負担が最も重要です。そのうえで、一般会計からの繰り入れを維持・充実させて保険料の軽減を進めることです。国保は自営業者の保険というイメージが強かったのですが、いま加入者の多くは退職した高齢者であり、非正規の労働者です。国保は名古屋市全体で支えるべきセーフティネットの一つとして考えるべきではないでしょうか。
いま自治体が実施している子どもの医療費無料化に伴うペナルティの解消が一つの焦点となっています。平成26年度の名古屋市国保における療養給付費負担金に対するペナルティ、国による減額措置は、子どもの医療費が2億1,000万円、障害者やひとり親家庭等の医療費無料化などもふくめた総額は13億2,000万円にのぼります。この全額を国にきちんと負担させ、その分を保険料引き下げに使えば1人平均で約2,400円余りの引き下げが可能という計算になります。そこで伺います。
子どもをはじめとした医療費助成の実施に伴う国庫負担金の減額解消を国に強く求め、その分の一般会計繰入を国保料の引下げ財源に使うことは、いかがしょうか。
国には改善を要求している。ペナルティがなくなった時はその時に考える(局長)
【健康福祉局長】国民健康保険事業の安定運営のためには、国からの財政支援が大きな役割を持っていると認識し、従前から他の政令指定都市とも共同して、国庫負担金の減額措置の廃止を始めとした財政基盤の強化を国へ要望している。
医療費助成の実施による国庫負担金の減額分には、一般会計からの繰り入れで賄い国民健康保険料に影響が及ばないようにしているが、仮に国庫負担金の減額措置が解消された場合には、その時の予算編成の過程において、あらためて議論されるべき事項と考える。
郵送で申請など特別軽減制度の改善を
【さいとう議員】名古屋市独自の努力でできる負担軽減が特別軽減制度の運用改善です。昨年の2月定例会で、わが会派のさはし議員の質問に答えて、2,000円の特別軽減の対象となる該当世帯には保険料の通知とあわせて、よりわかりやすい、申請を勧める文書が送付されました。その効果もあって昨年12月末は、対象となる約20万3,000世帯のうち前年同月に比べ36%増の約5万3,700世帯が申請を行いました。しかし、それでもまだこの減免が可能な世帯の約4分の1しか申請が行われていません。運用をさらに改善し、申請数を増やすようとりくんでいただきたいと思います。
そこで、今年は、もう1歩すすめ、制度案内ではなく、申請書そのものを送る、申請も郵送で可能にするなどの運用改善に取り組むべきではありませんか。
周知方法の改善に努める(局長)
【健康福祉局長】今年度は、特別軽減の対象となる法定減額該当世帯の方に対して、より分かりやすいご案内となるよう送付文書の改善を行い、申請勧奨に努めた。減免制度を適切に活用していただくためには、加入者の方への周知が重要であると考え、引き続き、周知方法の改善に努めてまいります。
特別軽減制度のいっそうの改善を(意見)
【さいとう議員】特別軽減制度について、周知方法を改善し申請数が増えたことは、1歩前進ですが、残念ながら、まだ、なされるべき申請の4分の1にとどまっています。「引き続き周知方法の改善に努める」と言われましたので、「まだ改善の余地がある」と理解いたしました。先ほど提案した、申請書そのものを送る、郵送でも申請できるなどのいっそうの改善を強く要望します。
滞納者への丁寧な対応はできているのか(再質問)
【さいとう議員】「差押えの前に何度も文書を送るなど、対応を行っている」というふうに言われましたが、先ほどの事例の方は、がんの治療をやめざるをえないところに追い込まれています。ちゃんと会って話を聞いたんでしょうか。分納していたのに、差し押さえられた、これを機械的な対応というのではありませんか。
財産調査に多くの労力を費やすよりも、病気で働けなかったり、事業の状況を聞いたり、と滞納世帯の事情に応じたていねいな対応ができているのでしょうか。この点を再度質問します。
各世帯の状況を踏まえ、きめ細やかな対応を行う(局長)
【健康福祉局長】納付相談の際には、生活状況及び収入状況をしっかりと把握し、減免のご案内や納付資力に応じた納付相談など、各世帯の状況を踏まえ、きめ細やかな対応を行って参ります。
国民皆保険制度の原則を守るよう国に意見を(意見)
【さいとう議員】財産調査を232,000件も行って差押えが3,300件という現実から見えてくるのは、滞納者が頑張って納められるような納付相談になっているか。ということです。財産調査の労力よりも、直接会って話をする、訪問する、などの体制こそ必要なのではないでしょうか。今のまま収納率をさらに上げようとすれば、無理な収納強化となるのではないでしょうか。
国民健康保険制度が平成30年から、大きく変わろうとしている時だからこそ、「国民皆保険」の原則を堅持するよう、国の責任をしっかり求めてださい。
市民が、払える国民健康保険料に引き下げ、市民の立場に立った、「きめ細かく、ていねいな対応」を行っていただきますよう強く要望します。
高すぎる国民保険料の実態を認識しているのか。保険料はいくらになるか
【さいとう議員】2月定例会の冒頭、河村市長は予算提案説明において、「国民健康保険料の収納体制を強化し、収納率の向上に努めてまいります」と表明いたしました。
しかし昨年度の名古屋市の国民健康保険料の収納率は、現年賦課分で95.91%、すでに政令市で最高水準に達しています。いまでも高過ぎて払えない、と悲鳴があがっているのに、収納率をさらに上げようとするならば、いっそうの収納強化を図るか、それとも保険料を引き下げ、誰もが払える保険料にするか、そのどちらかしかありません。名古屋市の選択が問われています。
そこで以下、国民健康保険料について数点、健康福祉局長にお尋ねいたします。
名古屋市の(国民)健康保険加入は、平成26年度末現在約35万世帯です。市内104万世帯の約3分の1が加入しています。そのうち所得200万以下の世帯が20万5,000世帯、約6割を占めています。
国民健康保険は、全国どこでも、低所得者が多く加入する医療保険でありながら、保険料が高すぎるというのが共通の問題です。国保の負担軽減は、低所得者対策としても避けて通れません。
名古屋市の国保料はどうでしょうか。名古屋市では数々の独自減免、子育て中の世帯や障害者世帯への一定の配慮など、保険料の負担を抑える努力が行われています。それでもなお少なくない世帯にとって国保料は重い負担となっています。
例えば、35歳の夫婦と子ども2人で給与収入240万円の世帯では、年間約18万円、月額約15,000円の国保料。年収120万円の収入の非正規で単身労働者の国保料は、年間約47,000円で月額は約3,900円。この国保料を払い続けるのはほんとうにたいへんです。貯金もできません。病気になり働けなくなって、滞納したら、すぐ払えなくなってしまいます。
そんな国保について国もようやく支援に乗り出しました。今年度は低所得者対策として、保険者支援制度を約1,700億円拡充しました。これに伴い、被保険者の保険料負担の軽減やその伸びの抑制が可能としています。名古屋市では今年度、この支援拡充分約26億円を全額、保険料の引き下げにあて、他の要素とあわせて、平均保険料は3,213円引き下げることができました。この国の支援は新年度も引き続がれると聞いています。
そこで伺います。国保料は高過ぎるという認識をお持ちでしょうか。新年度も国からの支援金は、その全てを保険料の引き下げにあてることに変わりありませんか。そのことも含めて新年度の平均国保料はどうなるのか、お答えください。
高齢者や低所得者が多いので保険料が高くなる。保険者支援制度を活用して613円引き下げる
【健康福祉局長】加入者に高齢者が多いため医療費が高く、低所得者が多い実態から保険料が他の健康保険とくらべて高くなり、財政基盤が脆弱という医療保険制度における構造的課題を抱えていると認識している。平成28年度も消費税財源による拡充分を含めた保険者支援制度のすべてを保険料軽減に充て、医療分と後期高齢者支援金とを合わせた国民健康保険料の年額は、平成27年度と比べ、1人当たり平均で613円の引き下げを予定している。
国民健康保険の負担軽減制度をもっとわかりやすく(意見)
【さいとう議員】国民健康保険料が高過ぎる点については、加入者が、高齢の方、低所得の方が多く、また、財政基盤が脆弱であるという構造的な課題があるとの認識を示されました。だからこそ、国の税金投入や一般会計からの繰り入れが必要です。
平成28年度も、保険者支援制度のすべてを保険料の軽減に充てることで、613円の引き下げを予定しているとのことでした。引き続き、高過ぎる保険料の引き下げを強く求めて行きます。
滞納世帯への冷たい対応が受診抑制や手遅れになっていないか
【さいとう議員】名古屋市は、独自の減免などを行っています。それでも現状は、平成26年度末において、国保料を滞納している世帯は3万4,000世帯余、加入世帯の9.8%です。加入者の1.2%の世帯が資格証明書ですが、治療費をまず10割全額払うとなると病院にすぐには行けません。こういう現状は「国民皆保険」とはとても言えない事態ではないでしょうか。
病院のソーシャルワーカーさんのお話です。糖尿病の治療をしていたAさんの場合。いっこうに治療効果が上がらないので、よくきいてみたら、お金がかかるからと薬はもらわず、資格証明書での受診だとわかった。また、Bさんの場合。70代のBさん夫婦と40代の息子さんの3人暮らし。保険料が払えず、資格証明書。最近、息子さんが目がかすむといって受診したら、糖尿病からだった。2週間後、Bさんの 妻が受診、重いリウマチにかかっていた。
2つの事例とも、処方された通りの医療をうけなかったり、我慢の末の受診だったりすると、結局、病気が重くなっていた。もう少し早く受診すれば、重症化せずにすんだのではないでしょうか。資格証明書を出すことでかえって医療費を増やすことになってはいないでしょうか。
国保料が払えずに受診の機会が奪われたり、遅れたりというケースが市内でも起こっているのではありませんか。答弁を求めます。
災害・病気・事業の休廃止などの特別な事情は、交付対象から除く
【健康福祉局長】資格証明書は、法により、交付が義務づけられている。催告を行ってもなお、納付資力に応じた納付を継続していただけない方に資格証明書を交付していますが、災害・病気・事業の休廃止といった「特別な事情」のある方は、交付対象から除いています。併せて、資格証明書の世帯のうち、世帯主または医療機関等の申し出により、緊急の医療的措置を必要とする場合など特別な事情に準ずる状況にあると判断される際には、短期被保険者証を交付する対応をとっている。
滞納者へは差押えを急ぐのではなく、もっと親身な相談などで対応を
【さいとう議員】それでもここ数年、短期被保険者証や資格証明書の発行は少しずつですが減っています。滞納世帯数も減少傾向にあります。
しかし、問題は、差し押さえ件数が増え続けていることです。平成16年度は32件でしたが、22年度は1,254件、昨年は3,286件と増えています。財産調査の件数も、25年度は約187,000件、26年度は約232,000件と大きくふえています。いま以上に収納率アップをめざすとなると、滞納者の実情を無視した差押えが行われるのではないかと危惧いたします。
差し押さえの手順はどうなっているでしょうか。保険料の納期限後40日くらいで督促状が郵送されます。その後、財産調査をしたうえで、差し押えが行なわれます。
ある人は、ガンの治療を続けながら、月々分納していたのに、滞納額が多いからと差し押さえが行われて、病院への支払いが困難になり、通院を止めてしまいました。催告状を送ったというのですが、身体の状態が悪いと区役所に相談に行くのも大変なのです。保険料の滞納があれば、なおさらです。
そこで、伺います。区役所ごとに滞納解消の目標を持つのは当然ですが、差し押さえ件数自体が目標にされてはいませんか。機械的な差し押さえは止め、ていねいな納付相談ができる体制こそ充実させるべきではありませんか。答弁を求めます。
納付困難な場合には減免を案内、納付資力に応じた分割納付を認めるなどの柔軟な対応を行っている
【健康福祉局長】差押えの前の様々な催告で、滞納世帯の方と接触の機会を、なるべく持てるよう努めています。
納付相談の際には、生活実態をしっかりと聞いたうえで、所得の減少などにより保険料の納付が困難な場合には、減免の適用などを案内し、納付資力に応じた分割納付を認めるなどの柔軟な対応を行っている。
差押えは、そのような度重なる納付相談・催告を行ってもなお、納付資力に応じた納付をしないかたに対して実施している。その結果が、現在の差押え件数となっている。引き続き、納付相談を中心としたきめ細かく、丁寧な対応を行います。
滞納者への丁寧な対応はできているのか(再質問)
【さいとう議員】「差押えの前に何度も文書を送るなど、対応を行っている」というふうに言われましたが、先ほどの事例の方は、がんの治療をやめざるをえないところに追い込まれています。ちゃんと会って話を聞いたんでしょうか。分納していたのに、差し押さえられた、これを機械的な対応というのではありませんか。
財産調査に多くの労力を費やすよりも、病気で働けなかったり、事業の状況を聞いたり、と滞納世帯の事情に応じたていねいな対応ができているのでしょうか。
この点を再度質問します。
各世帯の状況を踏まえ、きめ細やかな対応を行う
【健康福祉局長】納付相談の際には、生活状況及び収入状況をしっかりと把握し、減免のご案内や納付資力に応じた納付相談など、各世帯の状況を踏まえ、きめ細やかな対応を行って参ります。
国民健康保険料のペナルティをやめさせその分で負担軽減を
【さいとう議員】国保の財源安定のためには、国の負担が最も重要です。そのうえで、一般会計からの繰り入れを維持・充実させて保険料の軽減を進めることです。国保は自営業者の保険というイメージが強かったのですが、いま加入者の多くは退職した高齢者であり、非正規の労働者です。国保は名古屋市全体で支えるべきセーフティネットの一つとして考えるべきではないでしょうか。
いま自治体が実施している子どもの医療費無料化に伴うペナルティの解消が一つの焦点となっています。平成26年度の名古屋市国保における療養給付費負担金に対するペナルティ、国による減額措置は、子どもの医療費が2億1,000万円、障害者やひとり親家庭等の医療費無料化などもふくめた総額は13億2,000万円にのぼります。この全額を国にきちんと負担させ、その分を保険料引き下げに使えば1人平均で約2,400円余りの引き下げが可能という計算になります。そこで伺います。
子どもをはじめとした医療費助成の実施に伴う国庫負担金の減額解消を国に強く求め、その分の一般会計繰入を国保料の引下げ財源に使うことは、いかがしょうか。
国には改善を要求している。ペナルティがなくなった時はその時に考える
【健康福祉局長】国民健康保険事業の安定運営のためには、国からの財政支援が大きな役割を持っていると認識し、従前から他の政令指定都市とも共同して、国庫負担金の減額措置の廃止を始めとした財政基盤の強化を国へ要望している。
医療費助成の実施による国庫負担金の減額分には、一般会計からの繰り入れで賄い国民健康保険料に影響が及ばないようにしているが、仮に国庫負担金の減額措置が解消された場合には、その時の予算編成の過程において、あらためて議論されるべき事項と考える。
郵送での申請など特別軽減制度の運用改善を
【さいとう議員】名古屋市独自の努力でできる負担軽減が特別軽減制度の運用改善です。昨年の2月定例会で、わが会派のさはし議員の質問に答えて、2,000円の特別軽減の対象となる該当世帯には保険料の通知とあわせて、よりわかりやすい、申請を勧める文書が送付されました。その効果もあって昨年12月末は、対象となる約20万3,000世帯のうち前年同月に比べ36%増の約5万3,700世帯が申請を行いました。しかし、それでもまだこの減免が可能な世帯の約4分の1しか申請が行われていません。運用をさらに改善し、申請数を増やすようとりくんでいただきたいと思います。
そこで、今年は、もう1歩すすめ、制度案内ではなく、申請書そのものを送る、申請も郵送で可能にするなどの運用改善に取り組むべきではありませんか。
周知方法の改善に努める
【健康福祉局長】今年度は、特別軽減の対象となる法定減額該当世帯の方に対して、より分かりやすいご案内となるよう送付文書の改善を行い、申請勧奨に努めた。減免制度を適切に活用していただくためには、加入者の方への周知が重要であると考え、引き続き、周知方法の改善に努めてまいります。
特別軽減制度のいっそうの改善を(意見)
【さいとう議員】特別軽減制度について、周知方法を改善し申請数が増えたことは、1歩前進ですが、残念ながら、まだ、なされるべき申請の4分の1にとどまっています。「引き続き周知方法の改善に努める」と言われましたので、「まだ改善の余地がある」と理解いたしました。先ほど提案した、申請書そのものを送る、郵送でも申請できるなどのいっそうの改善を強く要望します。
国民皆保険制度の原則を守るよう国に意見を(意見)
【さいとう議員】財産調査を232,000件も行って差押えが3,300件という現実から見えてくるのは、滞納者が頑張って納められるような納付相談になっているか。ということです。財産調査の労力よりも、直接会って話をする、訪問する、などの体制こそ必要なのではないでしょうか。今のまま収納率をさらに上げようとすれば、無理な収納強化となるのではないでしょうか。
国民健康保険制度が平成30年から、大きく変わろうとしている時だからこそ、「国民皆保険」の原則を堅持するよう、国の責任をしっかり求めてださい。
市民が、払える国民健康保険料に引き下げ、市民の立場に立った、「きめ細かく、ていねいな対応」を行っていただきますよう強く要望して、質問を終わります。