定数削減は報酬引き上げの口実に過ぎない(2016年2月定例会)
定数削減は報酬引き上げの口実に過ぎない
多様な民意を切り捨てる一方で報酬4億4000万円も増額
自民・民主・公明の3会派が提出した議員定数削減条例に対し、山口清明議員が3月8日に質問。公明党の議員が答弁に立ちましたが、無責任な答弁に終始しました。
何のための定数削減か
他の政令市でもやっている(田辺議員)
市民の暮らしが大変なので議会も「身を切る改革」かと思いきや、報酬引き上げとセットの改正。定数7減による経費削減額は、政務活動費込みで年間9800万円ですが、報酬引き上げの総額は7減の68人分でも年間約4億4400万円と焼け太りです。山口議員は「第一に、定数を削減する最大の目的は何か」と質問。
公明党の田辺議員は「他の政令市でも削減されている。政令市で一番の削減率だ」と民主主義を守る気の全くない答弁。
市政の監視機能が弱まる
議員の努力で民意をくむ(田辺議員)
市議会の大切な役割は、市政を監視し市長を暴走させない、市の仕事が適切に行われているかをチェックすることです。国会の定数削減の議論では安倍総理も「議員の削減の話をするのには抵抗を感じている。行政府の長としては、チェックする皆さんの数を減らすことについて、積極的にどんどん減らしたらいいと言うべきではない」。
監視するために現行の定数75でも決して多すぎる数ではありません。副市長は2人から3人に、局長も13人から16人に増えます。山口議員は「いま、議会を小さくする理由はありません。なぜ自ら、議会の機能を弱めるのですか」とただしました。田辺議員は、「議員一人ひとりが今まで以上に多様な民意を汲むなどの努力をして解決すべき」と答えました。
多様な民意が切り捨てられる
議員の努力・覚悟の問題(公明・田辺議員)
議会基本条例は「多様な民意を市政に反映させる」という議会の役割が明記され、「市民の多様な意見を議会審議に反映させることは、議会活動の基本」とあります。そして、議員定数は「各層の多様な民意を市政に反映させるために必要な人数を確保」するとしています。削減対象7区中4区で人口が増えているのに議員を減らすことは市民の声が届きにくくなり、いわゆる死票も17%から22%に、有権者の2割を超える声が切り捨てられます。山口議員は「定数削減は市民の多様な意見を切り捨てます。議会基本条例とは相いれないのではありませんか」とただしました。田辺議員は「議員の努力、覚悟の問題」とすり替え答弁。
切られるのは民意。撤回を
山口議員は、「身を切るといって報酬を引き上げる。定数削減は報酬引き上げの方便としか思えない。定数の減員率が政令市中トップになると言われたが、自慢する話ではありません。市民の民意反映度がワースト1になるだけです。市政の監視や民意の反映は、議員の努力の問題だといいますが、精神論にすり替えてはいけません。市民の声を市政に反映させる民主主義のツールを自ら削るのが問題だと言っているのです。二元代表制のもとで議会の役割をどう果たすか、との視点でもっと慎重に扱うべき」と自・民・公の暴挙を批判し、定数削減条例の撤回を求めました。
質問全文と答弁要旨はこちらを、動画は名古屋市会HPをご覧ください。
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