2016年2月定例会

くれまつ順子議員の個人質問① 若者の朝食欠食(2016年3月7日)

朝食を食べない若者が増えている。実態調査や啓発を(名古屋市食育推進計画(第3次)の推進について)

増加する若者の朝食欠食。実態調査や普及啓発を行うべきではないかIMG_演台7618t
【くれまつ議員】本市では、2005年に施行された食育基本法に基づき、食育推進計画を策定し、食に関する様々な事業にとりくんできました。第3次の計画案を読んで、非常に気にかかることがありました。朝ごはんです。第2次の計画では「考える」から「実践へ」というコンセプトでしたが、「朝食を毎日食べている市民の割合」が下がっています。特に10代から30代の若い世代で朝食の欠食傾向が増えています。
 本市が一昨年に行ったアンケートでは、毎日朝食を食べる若者、20代男性は38%、30代男性は53%、20代女性は67%、30代女性は66%でした。第2次計画のスタート時より20代女性だけは増えましたが、20代30代の男性に至っては、約4ポイント減っています。若い世代の欠食傾向が改善しないのはなぜでしょうか。
 私がまわりの若者に朝食を食べない理由を聞いてみると、「時間がない」「食欲がわかない」「面倒だから」「お金がない、お金を浮かせたい」といった回答です。夜遅くまで仕事やアルバイトをして、夕食時間が遅くなって朝食を抜くケースや、経済的な問題も大きな理由です。
 ある30代の女性は「自分の親が食事を作らなかったため、食事のイメージもわかず、料理教室に行きたくても収入がない、友達もいないため料理を覚える環境がない」と話してくれました。食の貧困も世代を超えてつながっていくのです。
 若者の貧困やブラックな働かせ方を変えなければ根本的に解決できません。朝食を食べたいと思っていても、食べられないのです。そんな若者たちに、いくら朝ご飯を食べよう!と声をかけても聞いてもらえません。でも食べなければ、健康を壊します。健康を壊せば、前向きに生きていくこと、社会を変えていくことも困難になります。若者の置かれた状況に寄り添いながら、朝食の大切さを伝えていく、時間がなくても簡単に作れる朝食レシピの普及がまず必要ではないでしょうか。
 金沢市では、大学生の協力のもと、「朝ごはん食べたかな~勉強も仕事も能率アップ」というタイトルのDVDを作成し、朝食の効果をわかりやすく説明するとともに、手軽に作れる料理も紹介して朝食の啓発に取り組んでいます。本市でも、若者に寄り添ったとりくみが必要です。
 そこで、健康福祉局長に2点伺います。若者の朝食欠食の傾向が改善しない原因はどこにあると考えていますか。同世代の若者たちの力を借りましょう。栄養関係の学生の力も借りて、若者の朝食欠食の実態調査や、朝食キャンペーンなどの普及啓発を行ってはどうでしょうか。お答えください。
大学との連携など効果的な普及啓発方法を検討したい(教育長)
【教育長】若い世代の方が朝食を欠食する理由として、「時間がない」、「食欲がわかない」、「作るのが面倒」といったことが多くを占めており、ライフスタイルや家庭環境の多様化などが、こうした原因にあるのではないかと考える。第3次の名古屋市食育推進計画では、大学や企業などと連携し、大学生や若い世代を中心とする働く世代の方々に向け、朝食の摂取をはじめとする、のぞましい生活習慣や食習慣に関する知識の普及啓発に、重点的に取り組んでいく。
 栄養関係の学生の力を借りることも、若い世代への食に関する関心を高めるには効果的なことであると考えますので、大学との連携を進める中で、実態の把握や効果的な普及啓発の方法について検討したい。
 若い世代に、朝食をはじめとする望ましい食習慣を身につけていただくことは大切なことですので、様々な工夫をしながら、重点的な普及啓発に取りくむ。
雇用環境や家庭の貧困が大本。丁寧な実態調査、啓発を(要望)
【くれまつ議員】若者の朝食欠食の問題。欠食が改善しない原因は、ライフスタイルや家庭環境の多様化などにあり、若者の実態調査を行うという答弁でした。ライフスタイルの問題でしょうか、雇用環境や家庭の貧困が大本にあるのではないでしょうか。若者の2人に1人が非正規労働者、あるデータでは非正規で働く若者の2割が食事回数を減らしているとのことです。
 ライフスタイルの多様化と片づけずに労働・雇用の実態や育ってきた家庭の状況などにも目を向けたていねいな実態調査を行ってください。その上で、学生たちの新鮮なセンスも取り入れた朝食の啓発に取り組んでいただくように要望します。
学校における食育の充実を。栄養教諭の配置による成果は
【くれまつ議員】若者の朝食欠食傾向を改善するためにも、子ども時代の食育が重要です。学校では、学校給食を生きた教材として進める食育と、家庭科、保健体育、総合学習など授業により食育が行われています。この2つの食育を学校の中で中心になって推進していく栄養教諭制度が2005年から始まりました。栄養教諭とは、栄養教諭免許資格をもった正規の教員です。本市では栄養職員が免許取得などで、栄養教諭は76名になりました。
 栄養教諭は、どんな仕事をしているのか、小学校給食においては、栄養管理と衛生管理、調理指導を行い、担任や給食調理員と協力をして子どもたちの食の指導を行っています。また、担任と栄養教諭が2人で、「1日のスタートは朝ごはんから」「健康な生活と病気予防」などのテーマで授業を行うなど、年間の学習指導計画に食育指導が組み込まれています。
 栄養教諭と栄養職員の自主的な研究会があります。毎年学校における食育推進と学校給食の充実というテーマで活動しています。この研究会のレポートには、栄養教諭・栄養職員の配置校では、朝食を毎日食べる児童が増えている、という報告がありました。
 栄養教諭の配置で食育の活動が進み、健全な食生活習慣も身につくのではないでしょうか。そこで、教育長にお伺いします。栄養教諭を増やし、学校における食育の実践でどのような成果があったのか、お答えください。
給食が好きな児童が増加(教育長)
【教育長】栄養教諭の配置で、給食の時間には、献立の食材についての理解を深めさせ、残さず食べる意欲を高めたり、各教科や学級活動などの時間には、体に良い食事とはどのようなものかを考えさせたりするなど、特色のある指導に努めている。また、給食だよりや献立表を活用して保護者へ啓発を行うなど、家庭や地域と連携し学校外での食生活のサポートも行っている。こうした取り組みを積極的に進め、子どもたちの食に関する関心や理解を深めることができ、食育の推進が着実に図られた。
 隔年で行っているアンケートでは、給食が好きな児童は8割と、10年前と比べて約1割増えており、食育推進の成果が反映されている。近年では、子どもたちのダイエット願望や肥満などの問題、食物アレルギーへの対応など、新たな課題も出てきており、食に関する指導の充実は、今後さらに重要になってくる。
今後の栄養教諭増員計画は
【くれまつ議員】今後、栄養教諭を増やしていく計画はどうなっているのか。
栄養職員からの任用替えをすすめる(教育長)
【教育長】学校栄養職員から栄養教諭への任用換えを確実に進めることで指導体制を整え、子どもたちが望ましい食習慣を身につけ、生涯にわたって心身ともに健康な生活を送っていく基礎を築いていくことができるよう努めたい。
中学校の栄養教諭はたった2名。増員の計画は(再質問)
【くれまつ議員】小学校では、栄養教諭の配置により、給食が好きな児童もふえて食育の活動が広がったと評価する答弁でした。一方、栄養教諭は、栄養職員から任用換えにより配置をふやしていくとの答弁でした。小学校は263校です。職員の任用換えでおそらく栄養教諭は100名ぐらいまでは増えると思われますが、栄養教諭はせめて全小学校へ配置されることを要望します。
 さて、小学校5年生では約9割の子が朝食を毎日とっています。ところが中学2年では80%に下がります。20代では男性38%、女性でも68%に下がっています。小学校での栄養教諭の活動実績を踏まえて、思春期を迎えるこどもたちへの食育も充実させるべきです。
 まず、中学校において栄養教諭を増やすべきと考えます。中学校の栄養教諭は今わずか2名です。中学校における栄養教諭の配置を充実する考えはないか、再度教育長に伺います。
中学校は調理場がないので配置しない(教育長)
【教育長】中学校では、自校調理場のある3校に栄養教諭2名、学校栄養職員1名を配置しているが、残り108校には自校調理場がないため、法律上、栄養教諭等の配置の対象とはなっていない。
中学校も給食を実施すべき(意見)
【くれまつ議員】 法律上の理由で、中学校の栄養教諭を増やしていく考えはないという趣旨の答弁でした。108校に自校調理場がないために栄養教諭が配置されていないという現状から考えれば、中学校においても、小学校給食のように学校給食にしていくべきと考えます。

若者の食育は各局で連携を
 今回、中高生、若者の食育について、健康福祉局長、教育長に質問しましたが、若者の食育という点では、こども青少年局と連携したとりくみも大事です。食は人が生きていく上での大事なことです。食育、食の安全、学校給食について、これからも、私はとりあげていくことを申し上げておきます。

 

くれまつ議員の個人質問と答弁要旨は下記PDFファイルをご覧ください。

 160307くれまつ質問と答弁要旨

キーワード: