2016年2月定例会

田口かずと議員の代表質問② 貧困と格差をただし、市民の暮らしを応援する取り組み(2016年3月4日)

貧困と格差をただし、市民の暮らしを応援する取り組みを

第3子からの小学校給食費助成制度の創設を
【田口議員】貧困と格差をただし、市民の暮らしを応援する取り組みについて、4つの提案を行い、市長並びに関係局長の見解を伺います。
第1は、第3子からの小学校給食費助成制度の創設であります。
 子どもの貧困が深刻になるなか、温かい夕食を提供する「子ども食堂」の取り組みが、名古屋市内でも始まっています。北区の「わいわい子ども食堂」には、「十分な食事をとることができない」という子どもも笑顔で通っているそうです。
 どの子にも温かい食事を保障しているのが学校給食です。その無料化は、「義務教育は無償」という憲法の原則からも、子どもの健やかな成長を保障するためにも、そして子どもの貧困予防対策としても大きな意義があります。第3子からの給食費無料化に踏み出した前橋市では、「子育て世代が抱えている経済的負担を軽減し、安心して子育てができる環境の整備を図り、少子化対策を推進することを目的」に実施されています。
 市長は、昨年の6月定例会でのわが党議員の質問にたいして、「大変格差社会が広がっていたる日本で、義務教育の無償化を拡大していくことは必要であり、給食費の無料化は泣かせる話です」と答弁されています。まずは小学校給食を第3子から無料にする。そのために必要な経費は約2億円です。これぐらいねん出できないはずはありません。
 市長、多子世帯が貧困に陥らないよう、経済的負担を軽減するために、第3子からの小学校給食費助成制度を創設すべきではありませんか。決断を求めます。

給食費を応援するというのはええですねえ。役所はいろんな制度で応援しているというので(市長)
【市長】義務教育は無償ということを解釈的に拡大しますと、こういうことになって、給食費を応援するというのはええですねえ。今のところは役所は、いろんな制度で応援しているので、ということになっている。

国の軽減措置拡大を活用し、保育料の無料化の拡大を
【田口議員】第2は、保育料の無料化の拡大であります。
 国は新年度予算案で、多子世帯に対する保育料軽減措置を拡充します。年収360万円未満の低所得世帯については、「保育所等を同時に利用している場合のみ」という要件を撤廃し、第2子の保育料を半額、第3子以降の保育料を無料にします。低所得のひとり親世帯については、第2子も無料にし、第1子は半額にします。こうした国の保育料軽減措置の拡充で浮いた財源を活用して、鳥取県では、年収360万円未満の世帯を対象に、第1子と第2子が同時在園の場合には、第2子の保育料も無料にする方針であると聞いています。
 本市ではこれまで独自に、同時在園という要件を設けずに、第3子以降の3歳未満児の保育料を無料にしてきましたが、国の保育料軽減措置の拡充によって、財源が浮くことになります。
その財源も活用して、年収360万円未満の低所得世帯の場合は、第2子も保育料を無料にするお考えはありませんか。市長の答弁を求めます。

まずひとり親のところからやったらどうか(市長)
【市長】教育を受ける権利、教育の機会均等というのは、庶民ほど厚くするというのがあって、全部バサッと無料化するという考え方はどうか。低所得者にはきわめて厚くしないといけないとは思いますが、もうちょっと検討させてください。
 まずひとり親のところからやったらどうかなと思います。

奨学金の返還に苦しむ若者たちの切実な思いを受け止め、奨学金返還支援制度及び私立高校給付型奨学金の創設を
【田口議員】第3は、奨学金返還支援制度及び私立高校給付型奨学金の創設であります。
 奨学金というのは、貧しい家庭に生まれた子どもたちが、貧困から抜け出し、教育を受ける権利を保障するための制度であるはずです。それが、貧困を加速するような制度に変質し、社会問題になっています。
 来年度の予算編成が市長査定の段階にあった1月29日、奨学金を返し続けている青年などが河村市長と面会し、奨学金返還支援制度の創設などを要望しました。青年たちからは、「僕は下に妹たちがいるので、大学へはバイトしながら通っていた。奨学金を毎月16000円ずつ返済していて、なかなか貯金もできず、将来設計も立てられない」、「私も夫も奨学金を借りており、私は、いまは育休中なので返還を止めてもらっている。子どもが大きくなっても奨学金の返還は終わらない。その子どもがまた奨学金を借りなければいけないのか不安です」といっ切実な声が出され、市長も直接聞かれたと思います。
 ところが、市民経済局が予算要求した奨学金返還支援制度を含む大学生の中小企業への定着支援事業も、教育委員会が予算要求した私立高校給付型奨学金も、予算計上されませんでした。
 市長は、奨学金の返還に苦しむ若者たちの切実な思いを受け止めたのではないのですか。どうしてこの2つの奨学金に係る事業を予算計上されなかったのですか。若者が貧困から抜け出すために、奨学金返還支援制度と給付型奨学金は、ぜひとも実施していただきたい。答弁を求めます。

やりたいが、国が新たな制度を検討しているので見守りたい(市長)
【市長】かっこええですね。やりたいですよ。勤労学生を応援するというのは。そこまで踏み込めたら、ほんとにすばらしいですよ。ということですのでもう少し待ってください。とりあえず、国が今やっとるというんで、どういうのを作ってくるかしらないが、これがやれたら素晴らしい名古屋だと思います。

耐震化などとセットで利用できる住宅リフォーム助成制度の創設を
【田口議員】第4は、住宅リフォーム助成の創設であります。
 住環境の改善と地域経済の活性化をすすめる一石二鳥の取り組みとして、住宅リフォーム助成を行っている自治体が、全国で600を超えて広がっています。
 北九州市では、「良質な住宅ストックの形成と活用を促進する」ことを目的に、「住まい向上リフォーム促進事業」が実施されています。この事業は、断熱ガラスや節水トイレなどのエコ工事、防犯などの安心・安全工事、手すりや床段差解消などの高齢化対応工事、そして地元企業の建築資材や製品を活用する地元応援工事を対象に、最大30万円まで補助するというものです。昨年度の実績は2033件で、経済波及効果は約21倍とのことです。
 本市でも、耐震改修助成、障害者住宅改造補助や介護保険の住宅改修費支給といった政策誘導的な住宅リフォームに特化した助成制度があります。しかし、耐震改修助成は昨年度、木造住宅は405戸の予算にたいして139戸、非木造住宅は何と実績ゼロ。十分な効果があがっていません。手すりや床段差解消などの工事は、要介護・要支援者や障害者がいる住宅しか対象になりません。特定の住宅を対象に、限られた工事しか助成対象にならないため、使い勝手が悪いのが、本市の住宅リフォームにたいする助成制度であります。
 そこで、北九州市で実施されているような住宅の性能向上に着目した住宅リフォーム助成制度を創設し、耐震改修助成などと組み合わせて利用できるようにしてはいかがですか。住宅都市局長の答弁を求めます。

現行の支援制度の活用にむけPRに努める(局長)
【住宅都市局長】住宅の性能向上を図り、既存住宅ストックの有効活用を促進することは重要な課題と認識し、その施策推進に向け耐震改修、省エネルギー対策など、政策誘導的なリフォームに対する助成制度を実施している。国の住生活基本計画の改定が進められており、この施策の方向性を踏まえ、市の住生活基本計画の改定の中で、良質な住宅ストックを次世代へ引き継ぐ住まい・まちづくりの形成に向けた議論を進めている。
 今後も、現行の支援制度がより一層活用されるよう、関係部局と連携した情報提供等に取り組んでいく。

奨学金返還支援制度と給付型奨学金の創設を(再質問)
【田口議員】天守閣復元やリニア開発をやってから福祉ではなくて、福祉や子育て・若者支援など、市民の暮らしを最優先で応援する――こういう行政運営が求められているのではないでしょうか。わが党は、こうした立場から4つの提案を行いました。
 そのうち、奨学金返還支援制度と給付型奨学金の創設についてです。
 低所得世帯の高校生の中には、修学旅行費が積み立てられず、修学旅行に行くのをあきらめたという生徒もいるそうです。高校生を対象にした給付型奨学金は、名古屋市以外の旧五大都市ではすでに支給されています。一方、奨学金返還支援制度は、名古屋市が実施すれば、政令指定都市では初めてになります。
 市長、奨学金返還支援制度と給付型奨学金の創設を実施し、若い世代に希望を与えていただきたい。決断を求めます。

奨学金はええことだ。ほんとにやりたい。調べます(市長)
【市長】奨学金はええことだ。ほんとにやりたい。去年も同じこと言っていて、言っているだけではいけませんので、真剣に考えて、ほかの都市も大至急調べて、働く子どもを大いに応援して、立派になってちょう、と応援したいと思います。

急ぐべきは、天守閣ではなく、貧困と格差を是正すること(意見)
【田口議員】奨学金の問題ですが、市長が1月29日、青年のみなさんから受け取られた奨学金に関する要望署名は、ネットでも集められていまして、賛同者からのこんなコメントが載っています。
 「『人は城』は、武田信玄の弁と伝わります。天守閣を整備する予算と労力が不要とはいいませんが、それより人を育てる方に注力するのが、為政者の務めではないでしょうか」。
 私も、天守閣の木造復元が不要とまでは考えていませんが、「東京オリンピックまでに」と急ぐ必要はありません。急がなければならないのは、貧困と格差を是正することです。そのための対策として、奨学金返還支援制度と給付型奨学金の創設、第3子からの小学校給食費無料化の実施、保育料の無料化の拡大などを強く要望します。

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