2016年2月定例会

自民公提出の報酬引き上げ議案への江上博之議員の質疑(2016年3月8日)

市民の理解を得たとは言えないのでは江上 質疑3s
【江上議員】今回の議案は、提出日である3月8日現在、条例の制度値で議員一人あたり年収1630万円余の報酬を月額15%削減して、年収1450万円余にするというものです。現在の年収は、特例で800万円ですから、650万円余引き上げるというものです。
 「お手盛りで勝手に決めるな」との声が巻き起こり、定数削減とセットであることから「市民の声を削って、議員の身を太らせるのか」と市民から批判が出ています。
 このような批判の中で、なぜ、引き上げを今行うのでしょうか。理由としてお聞きしているのは、政令市の中での比較、削減率は政令市で一番だ、というものです。しかし、これは、引き上げる額についての説明であり引き上げる理由ではありません。
 5年前、全会一致で年800万円の報酬が可決されました。昨年の市会議員選挙で、引き上げを選挙公報やマスコミのアンケートで公約した候補者は一人もいませんでした。マスコミアンケートで、議案提案者は、「報酬等審議会または第3者機関に検討をゆだね判断」とか「一定期間内にさまざまな方途での検討が望ましい」という回答があっただけです。
 そこで質問します。このような回答であったと理解してよろしいですね。そうだとすれば、市会議員選挙で、報酬引き上げの市民の理解を得たとは言えないのではありませんか。お答えください。

市民からいつも意見を聞く(金庭議員)
【公明・金庭議員】日々の議員活動を通じ、市民からさまざまなご意見を伺ってきた。議会改革推進協議会では、傍聴や報道機関の撮影・録音を認めるなど、開かれた形で運営してきた。
 こうした市民の意見や、議会改革推進協議会での議論などを踏まえつつ、特別職報酬等審議会が議員報酬のあるべき額として答申した制度値から、旧五大市、更には政令指定都市の中で最大の削減率とするとともに、議員の職責をしっかりと果たし、その職責を踏まえた議員報酬とするための提案です。

800万円では、どんな支障が生じるか
【江上議員】あれから1年、引き上げる理由は何か、例えば、生活費が上がったとか、議員活動を行うために必要だとか、市民に分かる説明も行われていません。市民は、この4年間、物価上昇で、実質賃金が連続して下がっているだけに、きちんとした説明が必要ではないでしょうか。今回の議案提案者の方が、議会改革推進協議会の場で、「制度値から削減率をもとめていくということで前回は50%だった。しかしながらこの50%があまりにも行き過ぎているということで、議員としての仕事に支障が出ているのではないか」という発言がありました。
 そこで質問します。現在の年800万円の報酬でどのような支障が出ているのかお示しください。

旧五大市との比較で提案した(金庭議員)
【金庭議員】議員の活動は、それぞれの議員で異なっており、一概に論じることはできないが、旧五大市や愛知県の議員報酬と比較して、本市だけが大きく乖離しているからです。

参考人・公聴会制度を、どう活用するか
【江上議員】議案審議の続きについて質問します。「勝手に決めるな」という声にこたえる必要があります。6年前、私たちは、市民に開かれた議会づくりのために、「名古屋市議会基本条例」を制定しました。その第16条で、議員報酬について、「地方自治法の趣旨を踏まえ、本市の財政規模、事務の範囲、議員活動に専念できる制度的な保障、公選としての職務や責任等を考慮して」定めること。条例の制定または改廃するときは、「民意を聴取するため、参考人制度、公聴会制度等を活用することができる」としています。できる規定ですが積極的に活用すべきです。
 そこで質問します。この基本条例を踏まえて、参考人制度、公聴会制度等をどのように活用するお考えでしょうか。端的にお答えください。

市長が諮問して、議会が判断(金庭議員)
【金庭議員】本条例の提案に先立ち、名古屋市特別職報酬等審議会、すなわち報道機関や労働界などの公共的団体の代表者や住民の代表等によって構成された第三者機関への諮問を、御党も含めた全会一致で求めてきた。
 国の通知によれば、同審議会は、必要に応じて公聴会の開催、参考人の意見の聴取等の方法を取ることが例示されています。今般は特別職報酬等審議会の意見がうかがえない中、議員報酬月額の15%削減を特例条例により提案する。
 市長さんが、特別職報酬等審議会に適正に諮問するとともに、その必要に応じて公聴会の開催、参考人の意見の聴取等の方法をとっていただき、その上で議会としても判断すべきと考えています。

選挙中、誰も報酬引き上げを主張しなかった
【江上議員】昨年4月の選挙の際、選挙公報やマスコミアンケートで、報酬引き上げをかかげていませんね。その確認の回答を。もう一つ、議会基本条例での、条例の制定・改廃で民意を聴取するため参考人制度、公聴会制度等を活用するということを認めますね。

審議会への諮問を市長に求めた(金庭議員)
【金庭議員】議員報酬については議会改革推進協議会で議論をすすめるとともに、名古屋市特別職報酬等審議会への諮問を市長に求めてきた。昨年の統一地方選挙における立候補者アンケートも、そうした趣旨でお答えしている。

提案理由の説明すらできない条例案は、撤回を
【江上議員】引上げの理由については明確に答弁されませんでした。手続きについても議会基本条例の内容について触れられませんでした。
私は報酬審議会のことは一切申し上げておりません。
 二元代表制の中で、私たち議会が市長に対してきちんと対抗できる議会をつくろうじゃないかと、そういう思いで議会基本条例をつくりました。その思いの中で第三者機関に代わるものとして、参考人制度やあるいは公聴会、こういうものを使ってやろうと決めました。こういう手続きも踏まずに委員会審議もやらない、こんな非民主的なことでは、本当に私たちの思い、無視されていると思います。
 信頼される議会をつくるという点でも、条例案の提案説明でも理由を述べられないようでは、議案の撤回を求めます。このことを求めて私の質問を終わります。報酬制度値比較

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