藤井ひろき議員の個人質問① 路上での「客引き」の早期規制を(2016年9月14日)
市繁華街における客引き行為等の防止について
~誰もが安心して食べて飲んで楽しめる、まちのにぎわいを守るために Ⅱ~
飲食店客の92%が「規制が必要」-飲食店がアンケート調査
【藤井議員】通告に従い、順次質問を行います。まずは繁華街における客引き行為等の防止についてです。
昨年の11月議会で、「繁華街における『キャッチ』の実態を踏まえた安心・安全の確保について ~誰もが安心して食べて飲んで楽しめる、まちのにぎわいを守るために~」と題して議案外質問を行いました。
しかし、ニュース番組の報道によると名駅、栄、金山あわせて約1000人いると言われる居酒屋店などの客引き、いわゆる「キャッチ」は、今も変わらず、繁華街を訪れる皆さんに客引き行為を行っています。客引き行為により影響を受けている地元のお店や企業の方からは、「客引きを何とかしてほしい」との声をこれまで多く寄せられ、前回の質問でも、その声を紹介しました。
同時に私は、客引きに声をかけられる繁華街を訪れた皆さんは、客引き行為をどのように思われているのか。名古屋の繁華街のにぎわいに影響が出ているのではないかと危惧しておりました。
では実際、繁華街を訪れる皆さんは、このような客引き行為をどのように思われているのでしょうか。
この夏、名駅や金山周辺で客引き行為等に悩んでいる飲食店の皆さんが、お店の利用者に対して、「路上での『客引き』に関するアンケート」を行いました。そのアンケートによれば、繁華街を訪れた376人の声が寄せられています。
このアンケートの質問項目は3つです。まず1つめの問いが、「路上での飲食店等を紹介する『客引き』を見たことがありますか?」。この問いに対し、見たことがあるが99.2%の373人。そのうち声をかけられた人が287人、全体の76.3%、客引きを見たことがない人は、わずか3人でした。
次の質問は、「路上での『客引き』行為についてどう思いますか?」。この質問に対し回答は、次の6つの項目から選び、複数回答OKです。パネル、資料(下のグラフ)をご覧ください。 回答結果は「歩いていると、次から次へと声がかかり、しつこい」が297人、「路上に客引きが多く通行の妨げになる」が255人、「マナーが悪い(路上喫煙やポイ捨てなど)」が212人、「繁華街のイメージダウンになる」が177人、「夜の繁華街を安心して歩けない」が158人、「便利だ」は5人でした。
アンケート最後の質問は「路上での『客引き』行為について、何らかの規制が必要かと思いますか?」。この質問に対し、「はい」が345人 91.7%、「いいえ」が1人、「どちらともいえない」が26人、無回答が4人となっています。
アンケート回答者は、名古屋市民や愛知県内各地にお住いの方以外にも、北海道、東京や大阪、広島など県外から仕事や観光で繁華街を訪れた方も含まれています。40代男性は名駅周辺での客引き行為に対して、「お店の雰囲気を見て決めたいのに、落ち着いて見られない。楽しめない」とアンケートに記入されていました。
繁華街を訪れる人の立場にたって、早急に「客引き」規制条例の制定を
さて、市内では複数の客引き行為を行っている会社があります。今年、そのうちの一社の代表取締役と直接、お話をする機会がありました。代表取締役は「同業他社の客引きも増えてきて、こちらも客引きを増やさざるをえなかった」と話されていました。客引きが増えるから、こちらも負けずにさらに増やす。また客引きの会社以外にも、名駅周辺の店舗の中には、店で雇ったアルバイトに客引きをさせるなど、まさに悪循環に陥っています。
では他都市の繁華街ではどうでしょうか。この間、客引き行為を規制する条例を設けた他都市を視察してきました。視察先は、東京の新宿区、豊島区、渋谷区。大阪市、川崎市です。
大阪市の担当者からは「客引きを利用する側からは、『営業の自由だ』の声が一部あった。しかし営業の自由と言えども客引きが増加し、異常現象となり、繁華街の通行妨害に発展した。そのため、条例をつくる際は、繁華街を訪れる皆さんの立場に立ってつくった」との説明がありました。この繁華街を訪れる皆さんの立場に立ってという、この捉え方は非常に重要だと考えます。
そこで市民経済局長にお聞きします。すでに本市でも条例実現に向け検討を始めているところですが、今なお繁華街には多くの客引き行為が見受けられ、繁華街を訪れる市民や観光客からの苦情も絶ちません。本市として現在、条例制定へ向け、どのような取り組みを始めているのでしょうか?
また今後、客引き行為の実態について、市として本格的な調査を実施するお考えはあるのでしょうか。繁華街を訪れる皆さんの立場に立って早急に条例を制定してはどうですか。お尋ねします。
条例制定を含め、しっかり検討したい
【市民経済局長】市民経済局に繁華街における客引き行為等についてお尋ねをいただきました。
繁華街における客引き行為そのものへの規制は、善良な営業活動や宣伝活動などについても規制しかねないという面もございますが、路上における客引き行為によって、周辺住民や通行人等が不安を感じているとの意見も伺っておりまして、市民や市を訪れる方々が安心して公共の場所を通行し、利用することのできる、安心・安全で快適なまちづくりのために、一定のルール作りが必要であると認識しております。
これまで本会議におきまして、客引き行為に対する規制に関する質問を頂いております。本市としてもこの間、愛知県警察との情報共有や他都市の施策状況の把握に努めるとともに、この7月から8月にかけましては、金曜日の夜間に、栄、名古屋駅、金山などの主要な繁華街におきまして、職員の目視による客引き行為の実態把握を行ったところであります。
今後は、休日を含む、より詳細な実態調査や、すでに条例を制定している他都市の調査を行い、地域の方々とも協議をさせていただきながら、課題等の整理を行った上で条例制定を含め、対応についてしっかりと検討してまいる所存でございます。
「罰則規定」がなければ「客引き」は減らない(意見)
【藤井議員】答弁をいただきました。まずは客引き行為等の防止について、意見を申し上げます。
市民経済局長から「今後は、休日を含む、より詳細な実態調査や他都市の施策状況の把握」を行っていくとの答弁でした。そこで先月視察で訪れた、川崎市の状況を紹介します。
川崎市では今年4月1日から「客引き行為等の防止に関する条例」が施行されました。そして今月1日から重点区域においての客引き行為に対して、「指導」「勧告」「命令」ができるようになり、繰り返す違反者に対して、氏名や店名、住所などの公表や、5万円以下の過料を科せるようになりました。
私が視察したのは先月です。川崎市の担当者からは「4月に条例が施行され、川崎駅東口周辺では、以前より客引きは減りました。しかし、いわゆる『罰則適用』が9月からのため、まだ客引きを続けている店もあります」と、説明がありました。
実際、夜の川崎市の繁華街を歩きますと、次々と客引きから声が、かかりました。客引きは、市のパトロール隊が近くに来ますと、条例違反ですから一度は散りましたが、パトロール隊が別の場所へと移動すると再び現れ、客引き行為を再開していました。いわゆる「罰則適用」がないと、客引き行為等も減少しないと痛感しました。新宿区、豊島区、渋谷区。大阪市でも同様の罰則規定が設けられています。
「名古屋の繁華街は、ようけ客引きがおるでよ」では、繁華街全体のイメージダウンになります。客引きが名古屋名物になるのはいかがなものでしょうか。「訪れたいマチ、ナゴヤ」と言うのであれば繁華街を訪れる市民、観光客の立場に立って、一刻も早く条例制定を。と強く申し上げて、繁華街における客引き行為等の防止についての質問を終わります。
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