後期高齢者医療広域連合議会 2月定例会①議案質疑(マイナンバー) くれまつ順子(2017年2月8日)

《第3次愛知県後期高齢者医療広域連合広域計画の策定についての質疑》
マイナンバーシステムの不具合・トラブルに対して、どう対応するのか
       くれまつ順子議員

個人情報の適正な管理及び利用について
【くれまつ議員】第3次愛知県後期高齢者医療広域連合広域計画の策定について、「個人情報の適正な管理及び利用に関して、お伺いします。
 今回提案の第3次広域計画は、2017年から5年の総合的な計画がまとめられています。第2次広域計画と比較しますと第3次広域計画には、国の社会保障・税番号制度、いわゆるマイナンバー制度にもとづき、個人情報の管理および利用の事務が新たにもりこまれております。そこで、前回も質疑をさせていただきましたが、マイナンバー制度に関して3点伺います。

マイナンバー制度で医療の抑制を 狙っているのではないか
【くれまつ議員】1点目は、マイナンバー制度の医療への影響についてです。
 マイナンバー制度の利用により、被保険者の方が必要とする医療が受けられなくなり、一方で保険料負担が増えていくのではないかという懸念があります。 税・保険料の額と、社会保障として給付された額を比較し、“この人は負担にくらべて給付が厚すぎる”などと決めつけて、医療、介護、福祉などの給付の削減が日本経団連から国に提言しています。そうした経済界からの要請のもとで、社会保障の給付抑制がマイナンバー制度の真のねらいではないかと考えます。マイナンバー制度による高齢者の医療への影響についてお伺いします。

公平な負担のあり方を実現するために活用が検討されている
【事務局長】経団連は、国に対し、金融資産等を勘案して負担を求める仕組みを、マイナンバー制度等を活用し、医療・介護の全般にわたって適用することを検討することとしておりますが、給付の削減には触れられておりません。
 国では、マイナンバーの導入等の正確な金融資産の把握に向けた取り組みを踏まえつつ、引き続き医療保険制度における負担への反映方法について関係審議会等において検討し、その結果に基づき、平成30年度末までに必要な措置を講ずるとしています。
 このように、マイナンバー制度は、公平な負担のあり方を実現するために活用が検討されているものであり、高齢者が必要な医療を受けることを控えなければならないような状況につながるものではないと認識しています。

各自治体へ提供する個人情報は
【くれまつ議員】2点目は、各自治体への情報連携として、どのような個人情報を提供していくのか、お伺いします。

「資格取得日」「資格喪失日」「有効期限」などや「葬祭費」「高額介護合算療養費情報」を提供
【事務局長】内閣府・総務省令において、資格情報として「資格取得日」「資格喪失日」「有効期限」など、給付情報として「葬祭費」「高額介護合算療養費情報」を提供することになり、提供する情報の中にはマイナンバーは含まれません。
 地方公共団体が条例で定める独自利用事務については、国の個人情報保護委員会へ届出がなされ、適当と認められたものが公表されることになるが、現在のところ、公表されてないので、主務省令で定める以外の情報は現時点ではありません。

必要な経費はどれだけか
【くれまつ議員】3点目は、情報連携のために必要となる経費について伺います。

中間サーバの運用経費73,285千円(来年度は9か月分)など
【事務局長】平成29年度予算では、医療保険者向け中間サーバ運営負担金及び回線利用料を見込んでいます。後期高齢者医療広域連合は国の方針により、協会けんぽ、健康保険組合、国民健康保険組合とともに、社会保険診療報酬支払基金及び公益社団法人国民健康保険中央会が「取りまとめ機関」としてシステム構築、運用を行う「医療保険者向け中間サーバ」に専用端末を接続することとなっております。
 この中間サーバの運用に係る必要経費について、加入者数の割合に応じ各保険者が負担することとされており、当広域連合では平成29年度予算に情報連携が開始される7月から9か月分の経費73,285千円を見込んでおります。
 また、この中間サーバと接続をするために平成28年度に新たに敷設した専用回線の年間利用料162千円を見込んでおります。

新たに「個人情報・・・」を追加した理由は(再質問)
【くれまつ議員】マイナンバー制度により高齢者への医療給付抑制の懸念は考えられないとの答弁をいただきました。
 第3次広域計画と前の第2次広域計画をくらべてみますと、第2次広域計画にはなかった「個人情報の適正な管理及び利用」が新しく加えられています。なぜこの項目を加えたのか、あらためて伺います。

マイナンバーの利用が開始された
【事務局長】これまでの広域計画は後期高齢者医療制度を安定的かつ円滑に実施するために広域連合と構成市町村の役割分担を定めることを目的に策定しました。個人情報の取扱いは、広域連合と市町村に差が無いことから記述していませんでしたが、これまでも適正に情報の管理及び利用を行っています。
 今回の第3次広域計画においては、より一層、事務の安定的かつ円滑な処理に資する計画とするため、新たに「現状と課題」及び、それに対応するための「基本方針」を加えました。 平成27年度のマイナンバー制度の導入により、後期高齢者医療制度を含めた社会保障の分野でマイナンバーの利用が開始され、個人情報の取扱いについて、より厳格な管理が求められていることから、「個人情報の適正な管理及び利用」を基本方針の一つとしたものです。

国への対応を求めるべきだ(再質問)
【くれまつ議員】マイナンバー制度は一昨年から施行されましたが、昨年1年だけでも「通知カードが届かない」「従業員から集めたマイナンバーが盗難にあい流出した」などのトラブルが全国で発生しています。マイナンバーのシステムそのものもストップするなどトラブルも発生していると聞いております。マイナンバーを口実にした詐欺などが頻発している中で、プライバシーを守ることが不十分であると考えます。個人情報の漏えい、なりすましなどの犯罪などが発生、マイナンバーのシステムそのものの不具合トラブルに対して、広域連合として国に対応を求める必要があると考えますが、見解を伺います。

マイナンバーそのものの不具合トラブルは、後期高齢者医療制度におけるマイナンバーの利用とは関係ない
【事務局長】マイナンバー制度施行後、マイナンバーカード発行の遅延や、企業におけるマイナンバー紛失事案等発生していることは承知しておりますが、マイナンバーのシステムそのものの不具合トラブルは、後期高齢者医療制度におけるマイナンバーの利用等に関する問題ではございませんので、広域連合は国に対応を求める立場にありません。

マイナンバーの活用を計画に盛り込む必要はない(意見)
【くれまつ議員】第3次広域計画に新たな項目として「個人情報の適正管理及び利用」を加えた理由は、マイナンバー制度導入により「厳格な管理」が求められているために、追加したとのお答えでした。一方でそのマイナンバー制度施行後、内ナンバーカード発行の遅延、企業におけるマイナンバー紛失事案、そしてマイナンバーシステムの不具合トラブルの状況を広域連合において認識されているが、広域連合は国に対応を求める立場にはないとのお答えには、残念です。マイナンバー制度は個人情報の漏えいやなりすまし詐欺などを発生させる危険性のある制度と考え、廃止すべきという立場です。個人情報はきちんと管理するのは当たり前のことですが、マイナンバー制度導入で被保険者のプライバシーを守れなくなる危険性はぬぐわれておりません。従いまして、第3次広域計画にあえて、マイナンバー制度活用を前提にした「個人情報の適正管理および利用」の項はもりこむべきではないと考えます。
以上で質疑は終わります。

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