田口一登議員が代表質問(3月7日)

富裕層・大企業優遇の「減税」をやめて、給食費の無料化など福祉・教育・暮らし優先に

                      田口一登議員

質問項目
1 河村市政の評価について
  ―日本共産党市議団の市政アンケートから
2 市民税減税について
  (1) 「富裕層・大企業優遇減税」の中止
  (2) 「減税」をテコにした「行革」の一環
   ―小学校給食調理業務の民間委託
3 巨大ハコモノづくりについて
  (1) 名古屋城天守閣の木造復元    
  (2) 空見ふ頭における大規模展示場の整備
4 子どもの貧困対策について
  (1) 小学校給食費の無償化      
  (2) 子どもの医療費無料制度の18歳までの拡大
  (3) 就学援助制度の入学準備金の前倒し支給
5 介護保険料の軽減について
6 公契約条例の制定について
7 「ヒバクシャ国際署名」への河村市長の姿勢について

河村市政の評価――日本共産党の市政アンケートから

8年間の市政運営、アンケート結果では40点だが自己評価は何点か
【田口議員】日本共産党名古屋市議団を代表して市政をチェックする立場から質問します。
 河村市長が名古屋市長に就任されてから8年が経とうとしています。市民のみなさんは、河村市政をどのように評価しているのか。私たち共産党市議団が昨年の秋から実施してきた市政アンケート、市内の60万世帯余りにアンケート用紙を配布したところ、1万7600通を超えて回答が返信されていますが、このアンケートでは、河村市政について「満足」と「ある程度満足」が合わせて39%、「大いに不満」と「少し不満」が合わせて37%と、評価が分かれています。
 河村市政に「満足」と答えた方はどこを評価しているのか。市政アンケートに記載された意見をみますと、市長給与を800万円に削減したことが評価を高めているのでありまして、河村市長が進めている政策が支持されているわけではけっしてありません。たとえば、市長がいま一番熱を上げている名古屋城天守閣の木造復元についても、私たちの市政アンケートでは、河村市政に「満足」と答えた人でも、「まずは耐震補強を行う」という回答が、「木造化」を上回っています。
 一方で、不満と答えた方からは、「品がない」「服装の有松絞は良いが、着方がラフすぎる」といった市長の品性や個性に関する意見が少なくありませんが、河村市長の政治姿勢については、次のような意見がありました。
 「目立つ経済系のことには力を入れているけれど、生活の本質的な部分、福祉系のことには力を入れていないように見える」「名古屋城木造化、SL運行など税金の使い方がおかしい。もっと福祉、教育に力を入れてほしい」。
 私は、こうした意見こそ、河村市政の本質を見抜いた意見だと考えます。
 そこで市長にお尋ねします。私たちの市政アンケートでは、河村市政に「満足」「ある程度満足」が39%でしたので、河村市政に対する市民の評価点数は40点程度ということになると思いますが、市長は、自身の8年間の市政運営にたいして何点の自己評価をつけられますか。お答えください。
共産党のアンケートでこんなええ点。自己評価はつけれない(市長)
【市長】共産党のアンケートで、「ぺけ(×)」が36.6%、「ええでないか」が39.2%。共産党さんのアンケートでこんなええ点をつけていただくというのは、むしろ大変驚いて感動している。点数をつけれる問題ではありません。正直、大変おどろきました。

市民税減税について

富裕層・大企業優遇の市民税5%減税の中止を
【田口議員】次に、市民税減税について質問します。
 私たちの市政アンケートでは、河村市政を評価する理由として減税をあげた人は少数でした。むしろ、「結局、金持ち減税ではないか」「低所得者には恩恵がない」「実感がわかない」という意見が少なくありません。
 昨年度、個人市民税の減税額が一番多かった人の減税額は393万円です。8,000万円近い市民税を納めたこの方の課税所得は約13億円だそうですが、この所得には分離課税の対象となる株の取引で得た利益は含まれていません。13億円もの課税所得がある人に393万円も減税するというのは、富裕層優遇ではありませんか。
 一方で、市民税減税の対象とならない非課税者・生活保護受給者と扶養家族等控除対象者を合わせた約117万人、市民の51.4%には減税の恩恵がまったくありません。しかも、減税された市民の半数は5,000円以下の減税です。
 昨年度の減税額がもっとも多かった法人では、1億4,600万円も減税されています。この法人は運輸通信業とされています。市内の運輸通信業の中には、国からはリニア建設に3兆円もの公的資金を出してもらう大企業もありますが、この企業も、名古屋市から巨額の減税の恩恵を受けています。一方で、約9万社ある課税法人のうち、92%にあたる約8万3千社は減税額が5万円以下。赤字で苦しむ中小企業の多くはわずか2,500円の減税です。

河村減税は富裕層・大企業優遇だ
 市長、あなたの減税は、富裕層・大企業優遇という認識がありますか。
 いま日本社会は、超富裕層がますます富み、国民全体の所得が低下するなかで、中間層が疲弊し、貧困層が拡大しています。
 一律5%減税は、富める者をますます富まし、貧困層にはまったく恩恵がない。格差を拡大するものではありませんか。富裕層・大企業優遇の減税はやめて、税収を確保し、福祉や教育、低所得者支援などの拡充に振り向けるべきではありませんか。市長の答弁を求めます。

地方税の単一税制をやめさせてくれ(市長)
【市長】違法だけど定率減税をやめて金持ちの減税を少なくして庶民の減税を多くしろ、ということを言わんと、市民が誤解する。
平成18年の時は民主と共産は反対したでいいけど、あの時のように地方税の単一税制はやめよ、もう一回国会で、累進税率にせよと主張してくれんと、今の制度の中で実現できると市民が誤解する。

民営化は「減税」をテコにした「行革」の一環
【田口議員】河村市長の減税のねらいの一つは、減税日本のホームページによると、「強制的に減税で財源を減らし、減少した範囲内で行政を運営せざるを得なくすることによって、行財政改革を推進する」というプライスキャップ政策の推進にあります。
 減税をテコにした「行財政改革」によって推進されているのが、公立保育園の民間移管、小学校給食調理業務の民間委託、図書館への指定管理者制度導入など、福祉・教育の分野にまで及ぶ民営化・民間委託であります。そこで、小学校給食調理業務の民間委託についてお尋ねします。

小学校給食調理業務の民間委託はやめよ
 小学校の給食調理業務の民間委託は、昨年4月から3校で始まりましたが、1学期に4件の異物混入事故が起き、教育長がわが党議員の質問に答えてお詫びする事態となりました。それにもかかわらず、今年4月からさらに5校に拡大する計画です。委託化が予定されている天白小学校の保護者の方から、この方は管理栄養士として働いていたそうですが、次のような手紙をいただきました。
 「委託業者では一般的にお給料が安く、仕事内容もきついことが多いので、……直営で就職されている方よりも離職率は高いように感じています。そのため、いつでも求人をしており、実際関わった経験からも言わせていただくと、人の入れ替わりも多く、人材の当たり外れがとても大きいと思います。その中で、学校給食に慣れたしっかりとした人材を選出できるかは少し不安です」
 この方も手紙の中で触れていましたが、委託業者の社員も、いい給食を提供したいと努力されていると思います。しかし、仕事が安定していて、経験や技能の蓄積ができるという点では直営の方が勝っているのではないでしょうか。
 調理員の退職者不補充を理由とする給食調理業務の民間委託は、市職員の削減によるコストカットを目的とするものであって、教育の一環である学校給食の質の向上とはまったく無縁のものです。学校給食の質を維持し、向上させるために、給食調理業務の民間委託は拡大すべきではありません。教育長の答弁を求めます。

直営、委託にかかわらず、安心・安全で安定的に提供していく(教育長)
【教育長】小学校給食の民間委託は、献立、食材、調理場所はこれまでと変わりがなく、学校給食の実績のある民間業者に、調理作業のみ委託しており、衛生管理も国や本市の基準に基づいて実施しています。従事する責任者等は、学校給食の経験があり調理師等の資格を持った正社員とし、技能経験のある者の配置を義務付けています。 従事者は、社内や教育委員会開催の研修に参加し、知識・技能の向上を図るようにしています。
 また、学校に栄養教諭を配置して、給食の出来上がり具合や味見、衛生管理の状況を確認しており、児童への食育指導も行っています。
教育委員会としては、直営校、委託校にかかわらず、給食を安心・安全で安定的に提供していきます。

巨大「ハコモノ」づくりについて

見通しのない収支見込みで名古屋城天守閣に505億円
【田口議員】次に、巨大ハコモノづくりについて質問します。
 私たちの市政アンケートでは、「名古屋市政に望むこと」も問うていますが、回答の第1位は、「無駄な公共事業の削減」でした。ところが、河村市長は二つの巨大ハコモノづくりに熱中しています。
 その一つは、名古屋城天守閣の木造復元であります。
 505億円という巨額の事業費がかかります。「税金は1円も使いません」といって河村市長が持ち出した収支計画は、木造復元後の入場者数が現在の2倍以上の400万人程度に増え、それが50年間近くも継続することを前提にしたものです。昨年2月定例会の代表質問で、わが党が、入場者数が400万人以上に増加する根拠を質すと、市長は、「熱田神宮の参拝者は初もうでを除いても年間450万人いる」と答えました。まさに神頼みであります。
 私たちの市政アンケートで名古屋城天守閣の整備について尋ねたところ、「まずは、耐震補強やコンクリート劣化に対する補強を行う」が52%でした。このアンケートを作成した当時に河村市長も言い出していた「リニア開業の2027年を目標に木造化する」という回答は、21%にすぎませんでした。
 現にある復元された天守閣を急いで壊すことに市民の合意はありません。天守閣の整備については、まずは耐震補強を行うべきではありませんか。市長の答弁を求めます。

市民集会のアンケートでは80%が 木造に賛成(市長)
【市長】市民集会のアンケートで、参加者および参加意欲のある人の80%が木造に賛成といっていた。コンクリートであれをもう一回修繕することは税金のむだ使いの極みです。

空見ふ頭での大規模展示場の整備は手順がおかしい
【田口議員】巨大ハコモノづくりのもう一つは、空見ふ頭における大規模展示場の整備です。 来年度予算案に大規模展示場整備に関する調査費が計上されました。これにたいして、大村愛知県知事が、「空見は適地ではない。県と市が一致してやるのでなければ、整備はできない」と認めない意向を表明したと伝えられています。
 空見ふ頭での展示場整備には、港湾計画の変更や臨港地区内の分区の変更が必要になります。大規模展示場の予定地は東邦ガスの所有地ですが、現在は工業港区に指定されているため、分区の変更をしなければ展示場を建設することができません。分区変更の権限は名古屋港管理組合にありますが、同組合には愛知県も関与しており、県の理解が得られなければ分区変更はできない。つまり大規模展示場の整備は不可能なのです。
 市長、愛知県との調整がついておらず、空見ふ頭での大規模展示場整備の可能性が見通せないなかで調査費を計上するというのは、予算計上の前提を欠いた独断的なやり方ではありませんか。
  この地域の国際展示場をめぐっては、本市が国際展示場「ポートメッセなごや」の4万平方メートルへの拡張移転を、2021年度の完了を目処に進めています。一方、愛知県は、中部国際空港の空港島に2019年秋頃の開業をめざして、6万平方メートルの大規模展示場の建設に着手しました。その上に、本市が空見ふ頭に整備しようとしている大規模展示場は5万平方メートルといわれています。市長は、「合わせて15万平方メートルという日本最大の展示面積となり、国際的な大規模展示会の開催ができる」などと言っていますが、果たして採算がとれるのでしょうか。
 愛知県が大規模展示場の整備を急いでいるのは、2020年の東京オリンピック、パラリンピックで首都圏の展示場が使えなくなるため、その受け皿としての利用を狙っているからですが、昨年9月から始めた事前予約は低調で、「人気薄」という報道もあります。オリンピック後には、11万6千平方メートルに拡張される東京ビッグサイトなどとの競合にさらされます。
 愛知県が大規模展示場建設に着手した今、市が類似の施設を競い合って建設することは、利用者を奪い合うことになるのではありませんか。過大な需要を当て込んだ、過大な投資になるのではありませんか。市長の答弁を求めます。

客の来ないままにしておくことほどひどいことはない。大きいのを作って世界からお客さんをとる(市長)
【市長】商売を盛り上げるというのは都市にとってはたいへん重要です。国際競争力のある展示場を作って、世界の展示場ビジネスを呼んでくる。そんな時に大きい展示場があってそこでみんな商売やっている人が新しいイノベーションに挑戦してもらう。そういう展示場を作らないとあかん。過大な投資というのは全く逆で、お客の来ないものをそのままにして置くことほどひどいことはない、税のムダづかい。それよりも大きいのを作って世界からお客さんをとってくる。新幹線で展示場に行きやすいものを作らないとはやらない。

子どもの貧困対策について

貧困家庭の問題ではなく、もう少し広い範囲にも目を向けて
【田口議員】次に、子どもの貧困対策について質問します。
 愛知県が子どもの貧困を把握するために行った調査の中間報告では、小中学生の保護者の3割が「生活が苦しい」と回答しています。子どもの貧困対策は、単に貧困家庭の問題ではなく、もう少し広い範囲で、暮らしにゆとりのない層にも目を向けて取り組む必要があると考えます。こうした視点に立って3つの対策を提案し、見解を伺います。

小学校給食費の無償化を
【田口議員】第1は小学校給食費の無償化です。
 学校給食の無償化は、「義務教育は無償」という憲法の原則からも、子どもの健やかな成長を保障するためにも、そして子どもの貧困予防対策としても大きな意義があることから、無償化に踏み出す自治体が増えています。「朝日新聞」の調査によると、公立小学校や中学校の給食費の保護者負担を全額補助して無償にする市町村が少なくとも55あり、そのうち半数以上がこの3年間で無償にしています。また、半額補助や多子世帯への補助など給食費の保護者負担を部分的に補助する市区町村が少なくとも396自治体あるといいます。
 昨年2月定例会のわが党の代表質問に、市長は「給食費を応援するというのはええですわね」と答弁しています。指定都市で学校給食の無償化を実施している都市はまだありません。名古屋で踏み出せば、その対象児童数からいって、「日本一子どもの給食費を応援するまち」になります。
 市長、第3子からといった一部補助、1学年ごとの段階的実施なども含めて、小学校給食費の無償化に踏み出すべきではありませんか。お答えください。

今でも安い。考えさせて(市長)
【市長】名古屋はどえりゃあ安い。今でも。いろいろ考えさせていただきます。

子ども医療費無料化の18歳までの拡大を
【田口議員】第2は、子ども医療費無料化の18歳までの拡大です。
 18歳までの医療費無料化は、義務教育終了後に子どもにかかる出費が増える保護者の負担を軽減するうえでも、青少年期の病気の早期発見・早期治療を促すことによる医療費の抑制にも大きな効果が期待されます。
 医療費無料化を18歳まで拡大する自治体も広がっています。愛知県内では、4つの自治体が入通院とも、2つの自治体が入院のみ、18歳年度末まで医療費を無料にしています。
 厚生労働省は、子ども医療費の窓口負担を軽減している自治体にたいするペナルティを「未就学児まで」ですが、廃止することを決めました。これによって、本市への国庫負担は1億2千万円余り増える見込みです。ペナルティ廃止によって生み出されるこの財源も活用して、18歳までの無料化に踏み出すべきです。
 河村市長は、2014年6月定例会でのわが党議員の質問にたいして、18歳までの医療費無料化について、「どえりゃあ熱心に研究している」と答弁されています。どえりゃあ熱心に研究された成果に立って、18歳まで無料化を拡大していただきたい。答弁を求めます。
なかなか泣かせるところがある。総合的にいろいろ考えたい(市長)
【市長】いろいろな自治体がやっている。なかなか泣かせるところがある。いっぺん総合的に、いろいろ考えていきたい

入学準備金(就学援助)の入学前支給へ
【田口議員】第3は、就学援助制度における入学準備金の前倒し支給です。
 経済的に苦しい家庭の小中学生が受けている就学援助の一つである入学準備金は、国の補助単価が約2倍に引き上げられることにともなって、本市の支給額も来年度予算案では同額に引き上げられています。これは評価できますが、改善が求められているのは、入学後とされている支給時期を、制服購入などで出資がかさむ入学前に前倒しすることです。支給時期を前倒しする自治体は近年増加しており、指定都市でも福岡市が昨年度の新入生から実施し、北九州市や熊本市が来年度の新入生から実施します。札幌市など中学校1年生のみ前倒し支給する指定都市も生まれています。
 今月から支給を前倒しする八王子市教育委員会の担当者は「『予算措置を伴う新たな貧困対策はなかなかできない。前倒しは事務手続きの見直しで可能なため決めた』と話す」と報じられています。入学準備金の前倒し支給には新たな経費は必要ありません。事務手続きの課題さえ解決できれば実施できるものです。
 昨年11月定例会でのわが党議員の質問に、教育長は「実施に向けた課題などを整理する必要があるため、まずは他都市の事例の研究を行いたい」と答弁しています。
 教育長、他都市の事例の研究によって、事務手続き上の課題の解決方向は明らかになりましたか。来年度早々には事務手続きを整えた上で、2018年度の新入生から、入学準備金の前倒し支給を実施するよう求めます。お答えください。

他都市の動向等を注視しつつ、引き続き課題を整理する必要がある(教育長)
【教育長】就学援助受給者への入学準備金の事前支給について他都市の状況を調査したところ、 近隣自治体では事前支給を行っている自治体はありませんでした。政令指定都市では6市において、事前支給を実施中、または実施予定となっています。6市について調べましたところ、事前支給を受けた後に市外転出をするなどした場合に、入学準備金の返還を求めるかどうか、あるいは、事前支給実施後に市外から転入してきた方に、入学準備金を支給するかどうかについて、都市によって取扱が異なっております。このため、転出前と転入後とで、入学準備金が2回支給される方や、一方で、一度も受け取れないケースも生じる恐れがあるといった実態があります。
 入学準備金の事前支給の検討を行うにあたっては、他都市の動向等を注視しつつ、引き続き課題を整理する必要があると考えます。

介護保険料の軽減について

公費の投入も検討すべき
【田口議員】次に、介護保険料の軽減について質問します。
 私たちが実施してきた市政アンケートでは、高齢者から「介護保険料が高くてたいへん」という意見が多数寄せられました。65歳以上の方の介護保険料の基準額は、介護保険制度が始まった当初は年額34,500円でしたが、現在は70,720円と2倍以上に引き上げられています。河村市長になってからも2回の保険料改定で、1.4倍以上も値上げされ、年間で2万円余りも負担が増えました。本市の介護保険料は、愛知県下の自治体の中で3番目に高い保険料となっています。高齢者の方から、「わずか年間数百円の減税よりも、介護保険料を引き下げてほしい」という声が上がるのも当然です。
 来年度は、2018年度からの3年計画である「はつらつ長寿プラン2018」の策定の中で、介護保険料改定についても検討が行われますが、保険料は、値上げなどとんでもない。むしろ引き下げるべきです。
 介護保険料の思い切った引き下げのためには、市の一般財源を投入する必要がありますが、当局は「厚生労働省から、市町村が独自に公費を投入して保険料を軽減することはできないとの考えが示されているため、制度上困難である」というかたくなな姿勢に終始してきました。しかし、厚生労働省の通知は、あくまでも地方自治法上の助言であって、かつて厚生労働大臣も、国は助言するけれど、公費投入をやめろとまでは言っていないと国会で答弁しています。
 健康福祉局長、介護保険制度発足当時と比べて2倍以上に引き上がった介護保険料の負担について、重いという認識がありますか。2018年度の改定に際しては、保険料を引き下げるべきではありませんか。そのために公費の投入も検討すべきではありませんか。お答えください。

高齢者の負担が大きくなっていると認識しているが、負担割合が法令で定められており一般財源は投入しない(局長)
【健康福祉局長】現在の介護保険料の基準額は年額70,720 円でして、介護保険制度が始まった平成12年からの基準額は、年額34,500円でしたので、約2倍となっており、 高齢者の負担は大きくなっていると認識しています。
 一般財源投入による保険料額の引き下げですが、介護給付費を賄う財源といたしまして、国・県・市の公費による負担割合及び被保険者の保険料による負担割合が法令で定められており、市としましては、この割合を超えて一般財源を投入し、保険料を引き下げるということは考えていません。
 国に対して保険料の更なる負担軽減策を講じるよう要望するとともに、平成30年度から32年度までの保険料額は、要介護・要支援者数や介護給付費等をしっかり見込み、算定したい。

公契約条例の制定について

賃金の下限額も定めた公契約条例を制定し、適正な労働条件の確保を
【田口議員】次に、公契約条例の制定について質問します。
 公共工事や公共サービスを受注した企業で働く労働者が低賃金に苦しみ、住民の税金を使った事業がワーキングプアを生み出す事態も生じています。公契約条例は、公共工事や公共サービスを発注する自治体と受注した事業者とのあいだで結ばれる契約に、生活できる賃金など人間らしく働くことのできる労働条件を確保し、公共工事や公共サービスの質の向上などを目的とするものです。
 豊橋市は一昨年12月、労働者に支払う賃金の下限額を定めた条例を制定し、昨年3月には愛知県が下限設定のない理念条例を制定しています。豊橋市の条例では、賃金が支払われていない場合や支払われた賃金が下限額を下回っている場合には、労働者が市や事業者に申し出ることができ、その場合に市は、事業者やその下請業者にたいして報告、資料提出の要求や立ち入り調査を行い、改善が必要と判断したときには、事業者にたいして是正措置を指導できるとなっています。
 本市でも、賃金の下限額も定めた公契約条例を制定し、市が発注する仕事にたずさわる労働者に適正な労働条件を確保すべきではないでしょうか。財政局長の答弁を求めます。

適切な公契約のあり方について検討したい(局長)
【財政局長】公契約条例は、労働者の賃金水準の確保に一定の効果があると考えられますが、一方で他都市の公契約や民間発注の契約には本市条例の効力は及ばないことから、その効果が限定的となり、さらには、地元企業の経営への影響など注意深く検討すべき課題もあることから、他の自治体の状況を調査しているところです。
 また、条例で賃金の下限額を定めることには賛否両論ありますことから、今後とも引き続き、低価格入札の防止などに努めながら、他の自治体の状況を適宜把握しつつ、適切な公契約のあり方について検討したい。

平和首長会議加盟都市の市長としての姿勢について

「ヒバクシャ国際署名」の趣旨に賛同を
【田口議員】次に、平和首長会議加盟都市の市長としての姿勢について質問します。
 平和首長会議は、核兵器廃絶の市民意識を国際的な規模で喚起し、核兵器廃絶を実現させることなどを目的に、2月1日現在で世界162か国7219都市が加盟しており、本市も2013年に指定都市では最後になりましたが、加盟しました。
 昨年12月、国連総会は核兵器禁止条約の締結交渉を開始する決議を採択し、核兵器禁止条約の制定をめざす交渉会議が、今月下旬および6~7月に市民社会の参加もえて、国連で開催されます。核兵器禁止条約に、かりに最初は核保有国が拒否したとしても、国連加盟国の多数が参加して条約が締結されれば、核兵器は人類史上初めて「違法化」されることになります。そうなれば、核保有国は、法的拘束は受けなくても、政治的・道義的拘束を受け、核兵器廃絶に向けて世界は新しい段階に入るでしょう。
 この動きを後押ししようと、「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」、いわゆる「ヒバクシャ国際署名」が、世界で数億を目標に取り組まれています。この署名の趣意書には、「被爆者は、核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことを、すべての国に求めます」とあります。平和首長会議は、昨年11月に開いた第6回国内加盟都市会議総会において、この「ヒバクシャ国際署名」の趣旨は、平和首長会議が取り組んでいる「『核兵器禁止条約』の交渉開始等を求める市民署名」と目的を同じくするとして、平和首長会議として「ヒバクシャ国際署名」に賛同・協力することを表明しました。愛知県内では16の自治体首長が「ヒバクシャ署名」に署名されたと聞いています。
 そこで、市長にお尋ねします。平和首長会議の加盟都市の市長として、核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことをすべての国に求めるという「ヒバクシャ国際署名」の趣旨に賛同されますか。答弁を求めます。

ミサイル実験は許しがたい(市長)
【市長】団体には入りましたけど。昨今のミサイル実験もあって、とんでもない話だ。こんな危ない話はない。たいへん許しがたい。唯一の被爆国として強く主張したい。

再質問(核廃絶)

核兵器廃絶という人類的課題の帰趨を決める署名にこそ賛意を
【田口議員】まず、「ヒバクシャ国際署名」についてですが、市長はこの署名の趣旨に賛同するとは明言されませんでした。
 北朝鮮のミサイル発射についてはわが党も強く非難し、抗議しています。北朝鮮の核・ミサイル開発への対応という点からも、今月下旬に国連で始まる「核兵器禁止条約に関する国際会議」の成功が重要となっています。
国際社会が「われわれはもう核を捨てる。だからあなたも捨てなさい」と迫ることが、北朝鮮に対して、一番強い立場に立つことになると思うのです。
 河村市長には、リコール署名にばかり気を取られていないで、核兵器廃絶という人類的課題の帰趨を決める署名にこそ賛意を表していただきたいということを申し上げておきます

再質問(大規模展示場)

県との調整もないままでの調査費計上は独断的だ
【田口議員】県との調整がついていない中では臨港地区内の分区の見直しなどできない。空見ふ頭で市が大規模展示場を作ることはできないのではないか。そのもとで調査費を計上したのは独断的ではないかと聞いたが答えがなかった。

いろいろ言うなら調査させて(市長)
【市長】大村知事とは1年以上も事あるごとに空見のことでも話をしてきまして、この話も調査をやってちょうよ、ということだった。それからいろいろありましたが、土地がどうの、駅ができるか、といってみえたもので、それなら調査させてくださいよと言うことで矛盾ない。

県と市が何の調整もせずに張り合って進めるのはたいへん問題(意見)
【田口議員】知事は市が予算案に調査費を計上したあと、それについて今のままではできないよと言っている。建設の是非は別にして、本来なら県と調整したうえで調査費を出すならわかる。手続きとして。県と決裂して出してきたことが問題だ。委員会でしっかり議論してもらいたい。
 今、国際展示場で3つの整備が進んでいる。莫大なお金がかかります。ポートメッセなごやの拡張移転では、330億円余りの概算額が示されており、加えてコンベンション施設の建設費などがかかります。空港島の県の国際展示場は建設費が340億円余で竹中工務店が受けた。加えて用地取得費がかかります。空見ふ頭の国際展示場については、まだ概算額が示されていませんが、稲永ふ頭における市の調査と同様の単価で試算すると、500億円は下りません。あおなみ線に新駅を築造することになれば、さらに20億円から30億円かかります。この3つの国際展示場の整備に要する費用は、県・市あわせて1200億円を優に超えるでしょう。
 そんな時に、愛知県と名古屋市が何の調整もせずに張り合ってことを進めるというのはたいへん問題だと言っておきたい。

再質問(減税)

市長には富裕層・大企業優遇という認識はあるのか
【田口議員】市民税減税について市長に伺いたい。一律減税が富裕層・大企業優遇という認識はあるのか。ないのか。
 河村市長が最近、接近を強めている東京都の小池百合子知事は、都議会の代表質問で個人都民税の一律減税への認識を問われて、「高額所得者ほど減税額が大きくなる」「個人都民税が課せられない方々に対しては効果が及ばない」、だから「税の公平性の観点から課題がある」という認識を答弁されています。これがまっとうな常識的な考えだと思います。

【参考】2017年2月28日東京都議会代表質問
「個人都民税の減税」質問(自民党)と答弁
【自民党 高木けい議員】(前略)東京都議会自由民主党は直接都民生活、都民福祉向上につながるあらたな政策シリーズを準備し、本日はその第一弾として、個人都民税の10%減税を知事に提案したいと思います。(中略)個人都民税の10%減税について知事の所見を伺います。

【小池知事】歳出削減の成果を個人都民税の減税という形で都民の皆様方に還元するということはすなわち、高額所得者ほど減税額が大きくなります。
 そして個人都民税が課されない方がたに対しては効果が及ばない、などの指摘が従来よりあることは、ご承知のことと存じます。税の公平性の観点から、課題があるものと認識しております。
 また、都市と地方との税収格差が問題視されるなかで、都が独自に都民税の減税策を講じることによりまして、東京の富裕論を背景とした財源調整の動きに拍車をかけることにもなりかねないなど、これまで御党がご指摘になってこられたような様々な課題がございまして、慎重に、そして戦略的に対応すべきものと考えております。

市長には、こういう認識はないのか。公平性を欠く減税だという認識はないのか。

単一税率になったからどうしようもない(市長)
【市長】平成18年に法律が制定されて、市民税は6%単一税率になったから、減税も同じ定率減税しかできない。

一律減税の持つ本質的な問題を市長は認識しているのか
【田口議員】法律が変わって、累進性がなくなって定率税率になったからしかないという言い訳だ。言い訳を言っているだけだ。聞きたいのは、こういう一律減税が持つ本質的な問題点として、富裕層や大企業がどっさり減税で、庶民は減税になる人もちょっぴりと、こういう減税額の大小からすれば不公平な減税になるわけです。そういう点を認識しているのか。減税ができるできないのではなく、減税をやるとかやらないとかの話ではなく、一律減税、定率減税の持つ本質的な問題を市長は認識しているのか。

年収200万、100万円台の人がちょっとでも減税されるのはやさしい(市長)
【市長】そもそも違法になってできんことを強制されてはかなわん。生活費の負担の多い人、年収200万とか100万円台とかの人がちょこっとでも減税されるというのは、それは低所得者にやさしい考え方です。これが税の根本ですよ。できんことをりきんだってしょうがない。

給食費を無料にした方が減税の何倍も負担軽減になる(再々再質問)
【田口議員】年収100万や200万の人が減税になりますか。100万円では非課税じゃないか。答えるならきちんと論理的に答えなさい。
 市長は、減税やめれば増税というが、生活に一番困っている人、非課税の人、生活保護の人、暮らしに困っている人にとっては一律減税をやめても増税にはならない。中間層にとっても減税をやめればもっと負担が軽くなることを言いたい。
 たとえば、小学校給食費を無料にするための必要経費は、教育委員会に試算してもらったところ、40億8千万円だそうです。減税で税収減は約117億円の予算ですから117億円の税収減をもたらす減税をやめれば、給食費無償化の財源は十分確保できます。小学校の給食費の保護者負担は月額3,800円、年間で41,800円ですから、給食費が無償化されれば、小学生一人につき年間4万円余りも保護者の負担が軽くなります。市長、年間数千円の減税よりも給食費無償化の方が、子育て世帯にとっては、はるかに生活支援になるのではありませんか。お答えください。

できもしないことを言われても(市長)
【市長】減税施策をやる場合は減税で可処分所得をあげて、経済をあげる。実際、名古屋はあがった。GRPが。そういう流れの中で社会を作っていこうというのを共産党以外が選択した。

減税は見直すとき。福祉・教育・暮らしの優先を(意見)
【田口議員】あなたはやる気がない。金持ち大企業優遇減税を続けたい。こういう減税より110億円余りあれば、ほかの生活支援、福祉や教育や低所得者支援に回した方がよほどいいではないか。可処分所得がが増えるというが、増えた可処分所得はどこに使っているか。2014年のアンケートでは36%の方が何に使ったかわからない。こういう減税はいよいよ見直すときにきていると思います。
 富裕層・大企業優遇減税はやめて、税金は福祉・教育・暮らしに回す。天守閣木造化や大規模展示場建設といった巨大ハコモノづくりよりも、福祉・教育・暮らしを優先する。こうした方向へと市政を転換することを求めます。

 

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