高橋ゆうすけ議員の個人質問①臨時的任用職員について(3月9日)

臨時的任用職員の再雇用禁止期間について

高橋ゆうすけ議員

再雇用禁止期間の根拠はなにか
【高橋議員】小・中・特別支援学校教職員の給与負担や定数決定の権限などが、本年4月から県から市へ移譲されます。それに伴い、問題となっていた正規教員の欠員解消や、少人数学級の教員確保など、本市の教育環境整備が進むものであると評価してきました。ところが先日、本市で働く臨時的任用の教員、いわゆる臨時教員からこのようなお話をお聞きしました。「4月の権限移譲に伴って、早ければ2年後には名古屋市で働く臨時教員が2か月雇用されない期間が作られる」。これは一体どういうことでしょうか。
 臨時教員は、地方公務員法22条によって任用される「臨時的任用職員」で、総務省によると臨時的・補助的な業務に任期を限って任用するものと解されています。
 本市では、多くの臨時的任用職員が任用されていますが、あくまで臨時的な仕事であることを理由に、一度任用された職員については、新たな任用を行うためには、2か月間雇用してはならないとしています。なぜ2か月の再雇用禁止期間を設けているのか、総務局長、お答えください。

本来は特例的措置であり任期も最長1年。月の途中までの任用で翌月に雇用しないため2か月になる(局長)
【総務局長】臨時的任用は、緊急やむを得ない事情等で正規任用の手続きをする時間が無いときに行われる特例的な任用であり、任期も1回の更新を含み最長1年とされている。同一の者が長期にわたって同一の職務内容にくり返し任用されることは、身分の固定化などの問題を生じさせる恐れがあり、再雇用禁止期間を設けている。
 再雇用禁止期間を2か月としているのは、月の途中で任期を終えた場合でも翌月の初日から月末まで雇用されないこととなるためです。

権限移譲で禁止期間が1日から2か月になる影響をどうするのか
【高橋議員】臨時教員には常勤と非常勤がありますが、今回は常勤の臨時教員について取り上げます。常勤の臨時教員は出産育児、病気などで休まれた正規教員の代わりに担任、校務分掌を持って働くなど、正規教員と同様の働き方をしています。
 県教育委員会は、臨時教員の任用に際して再雇用禁止期間を1日に設定しています。これまで県費で任用されていた名古屋市の臨時教員も同様でした。しかし権限移譲に伴い、これまで県費で働いてきた臨時教員にも、市の制度が適用されることになります。育休代替の場合は2回、担任業務を行っている場合や病気休職代替の場合は3回までは1日の再雇用禁止期間となるなど、一定特例は設けられるものの、早ければ2年後には現場で働く臨時教員を2か月間雇用できない事態となります。  現在、名古屋市では、約1万人の正規教員がいます。そして常勤の臨時教員は約1,000人。もし本市の教育を支えてきた臨時教員を2か月でも任用できないとなれば、本市の学校教育の質の保障の点から見て、大きな影響が出ることが予想されます。
 臨時教員として36年働いてきた方からは「2か月も働けない期間があるのなら、市外の自治体で働く」、20年働いた方からも「仕事があっても働けないというのは納得いかない」、2年目の若い臨時教員からは「こんな条件なら正規採用される可能性が高い大阪か東京へ行く」と。実際に県内の他の自治体に登録に行ったという方からは「また名古屋からの登録者ですか」と言われたそうです。すでに臨時教員の市外への流出が始まりだしているのではないですか。
 もしこのまま流出が止まらなければどうなるか。子どもたちも楽しみにしている4月の担任発表で、自分のクラスだけ担任がいない。先生が産休を取ったけれど代わりの先生が誰も来なくて授業が進まない。そんなことになるのではと、保護者から不安の声が聞こえます。また、ある保護者からは「教育は継続が大事。子どもの健康状態や家庭環境を知ってくれている人でないと」「免許さえあれば誰でもいいというものではない」と。当たり前の声です。
 これまでは1日だった臨時教員の再雇用禁止期間が、特例措置はあるものの、特例が切れた後には2か月となることで、教育現場でどのような問題が生じると思いますか。またその問題をどのように解決するつもりですか。教育長の見解をお聞かせください。

臨時的任用の教員確保に努めたい(教育長)
【教育長】臨時的任用の教員は、育児休業者等の代替として、学級担任など重要な役割を担っていただいている。教育水準の低下を招かないよう、臨時的任用の教員の確保に努めていきたい。

市立保育所における臨時保育士不足は2か月禁止が影響していないか
【高橋議員】再雇用禁止期間は臨時教員の問題だけかと思って調べてみたら、他にも人手不足で困っているところがありました。それは何か。公立保育所で働く臨時保育士です。臨時保育士は、正規の保育士が出産育児で休む際の代替などとして任用され、正規保育士と組んで担任を持っています。しかし、本市の臨時保育士確保は厳しい状況。昨年4月時点では25人の欠員、年間を通して欠員状況が続いていますが、今年1月には67人、2月には71人の欠員と大幅に増えています。その理由は、やはり特例はあるものの、多くの臨時保育士が年末で雇用期間が終了し、1月から2か月間、再雇用禁止期間となるためです。子どもを預ける親からしたら、先生が足りないというのはありえない話です。
 子ども青少年局長、臨時保育士の再雇用も、特例措置はあるものの、特例が切れた後には2か月間再雇用を禁止としてきたことで、これまでどのような影響がありましたか、またどのように解決策を講じてきましたか。安定的な人材確保のため募集案内に努めてきた(局長)
【子ども青少年局長】市立保育所の臨時的任用職員は、正規職員が産前産後休暇、育児休業等を取得した場合の代替等として配置され、保育所の運営において欠くことのできない存在です。1月から2か月間、再雇用禁止期間となる臨時的任用職員が増えるが、再雇用禁止期間でも安定的に人材を確保していくことが大切と考えており、募集案内等、力を入れて取り組んできた。

なぜ臨時教員や臨時保育士の再雇用禁止期間に特例があるのか(再質問)
【高橋議員】再雇用禁止期間について、教育長からは、臨時教員が本市の教育に重要な役割を担っていると、そして子ども青少年局長からも、臨時保育士は保育所の運営において欠くことのできない存在であるという答弁がありました。本当ならば正規で採用すべき仕事だと思います。
 また総務局長からは、再雇用禁止期間の根拠について、「長期的、計画的な人材育成・人材配置への影響や、臨時の職員としての身分及び処遇の固定化などの問題を生じさせるおそれ」から再雇用禁止期間を設けているとの答弁がありました。本来、長期にわたる仕事は正規で行うという視点に立てば、それは当然の回答だと思います。
 しかし、本市は、臨時教員、臨時保育士については、再雇用禁止期間の特例を設けているわけです。なぜ特例を設けているのですか。総務局長、お答えください。

教員や保育士の業務の性質や円滑性を踏まえて弾力的に扱う(局長)
【総務局長】総務省通達で「特にフルタイムの臨時的任用をくり返すことによって、事実上常勤職員と同様の勤務形態を適用させるようなことは避けるべきである」とされ、同一人物のくり返しの任用を避けるよう再雇用禁止期間を原則2月としているが、教員や保育士に関しては、校務運営の円滑化と業務の性質等を踏まえ、年末年始の休業の期間等に短縮する特例措置を設けて弾力的な取り扱いをしている。

臨時の職でも必要な期間はきちんと任用を(再々質問)
【高橋議員】教員や保育士については、特例措置を設けていると答弁をいただきました。それだけ教育、保育は継続性が大事だということを認めているのだと思います。本来そのような仕事を臨時で繰り返すこと自体が問題です。実際には学校現場で20年、30年と働き続けている臨時教員がいます。繰り返し任用されるような仕事は本来、正規で採用すべきである、このことは強く指摘をしておきます。
 本年2月21日の衆議院総務委員会で、我が党国会議員が臨時教員の再雇用禁止期間について取り上げています。そこで「担任等の恒常的な業務には、・・・臨時の職でも、業務の遂行に必要な期間、先生としての仕事のある期間はきちんと任用するということ、そして無意味な空白を設定する必要はない」のではないかと質問。その質問に対して総務省政府参考人は「ご指摘いただいた形で、地方公共団体に対し助言をしている」と答えています。総務局長、子どもたちのためにも、総務省も必要ないと言っている再雇用禁止期間、特例の制限回数の見直しを検討すべきではありませんか。

現行の取り扱いが妥当(局長)
【総務局長】法律等の趣旨を踏まえ現行の取り扱いが妥当である。

担任のいない教室を生み出さないよう実態に応じた対応を(意見)
【高橋議員】現行の取り扱いが妥当という答弁でした。しかし先ほど、校務運営の円滑化と業務の性質等を踏まえて、特例措置を設けていると答弁もされています。業務の性質を踏まえていくのであれば、担任のいない教室といった事態を生み出さないためにも、現場の実態に応じた対応をしていただきたい。困るのは子どもたちです。本市の教育・保育の質を守るためにも、この問題については総務局、教育委員会、子ども青少年局で話し合いを進めていただきたい。そして現在進められています地方公務員法の見直しも視野に入れ、しっかりと検討し、制度を見直していただきたいと強く要望をします。

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