名港議会 高橋議員の一般質問②ポートアイランド(2017年3月27日)
莫大な費用のかかるポートアイランドへのアクセスルートに実現の可能性はあるのか
【高橋議員】現在、ポートアイランドは、名古屋港の航路及び泊地で毎年約100万㎥発生しているしゅんせつ土砂を受け入れるために、国が埋め立てを行っている区域です。現在は、埋め立てが進められているところであり、区分上は水面となっていますが、将来において、物流・産業・交流・環境などの利用が想定される空間だと認識されています。
そのポートアイランドへのアクセスルートを検討するため、本年度予算において調査が行われ、先日議員への調査結果が報告されました。その調査では6つのアクセスルートについて報告されており、橋りょうならば長さ3,400mから7,300m、桁下高は水面上69mで1,000億から1,800億円。トンネルの場合は長さ2,200mから8,300mで天端高は水面から-18mから-69m、費用として1,300億から3,700億という調査結果が出されました。これは、支持層の深さなどの地盤条件による下部構造や施行方法等により金額変動の可能性もあることから、これ以上の金額がかかる可能性もあります。それだけの費用をだれが負担するかによって、今後のポートアイランドの在り方について大きく左右することになっていきます。
私はこの結果を見て、率直に言って実現可能性は薄いと思いました。管理組合としてはこの結果についてどのように受け止めているのでしょうか。
そこでお聞きします。この莫大な費用のかかるアクセスルートの実現可能性について、どのように考えていますか。また、もし建設するとなった場合、負担を含め管理組合が事業を進めることになるのでしょうか。
大型船舶の航行など名古屋港の機能維持には大規模な施設が必要(室長)
【企画調整室長】今年度の「ポートアイランド地区へのアクセス基礎調査」は、港湾計画等の基本的な条件を基に、多様なルートの抽出、類似した他事例等の情報収集を行い、アクセス方法の基礎的な整理を行ったもので、大型船舶の航行を始めとする名古屋港の機能維持を図るためには、大規模な施設が必要になることとなりました。
アクセスルートや事業主体等は、今後、ポートアイランドの利活用の検討が進められていく際に、議論がなされていく。
ポートアイランドの活用には解決 しなければならない課題がある
【高橋議員】ポートアイランドは、現在しゅんせつ土砂の受け入れを行っています。しかし、本来予定されていた5.31mを超えた16mの高さまで土砂が積み上げられています。国土交通省によると、毎年約100万㎥を受け入れた場合、あと数年しか受け入れることができない状況となっています。また、当初予定よりも高く積み増しています。土砂受け入れのため、現在よりも高く積み上げた場合、地震などの発災時に港内へ土砂が流出、航路をふさぐ恐れなども指摘されています。この仮置きされている土砂について、管理組合は昨年3月の定例会での私の質問に、「土地の利活用方法の検討などと併せて、国と連携し適切に対応してまいりたい」と答えています。
また、ポートアイランドを活用するとしても、埋め立てに使っている土砂はしゅんせつ土砂ですので、一定の地盤改良も必要となってきます。他にもどの自治体の所属になるのか、発災時のライフラインや避難経路の確保など、まずは課題を整理しなければ、将来の利活用は到底できるものではありません。
将来、ポートアイランドを土地として活用するには、アクセス問題以外に解決しなければならない課題があるのではないですか。その点についてどのように認識していますか。また、課題解決のための検討は進めていますか。
仮置き土砂の取り扱いが大きな課題(室長)
【企画調整室長】現在、埋立計画高さから最大で10mを超える高さのしゅんせつ土砂が仮置きされ、国の「名古屋港で発生する汝渡土砂の新たな処分場計画の環境影響に関する検討書」では、平成30年代前半には仮置きが限界に達する見込みとされ、まずは、仮置き土砂の取り扱いが大きな課題と考えている。
現在、国で検討されている新たな処分場計画の中で、仮置き土砂の取り扱いについても検討が行われており、国を始め関係機関と連携し、適切に対応していきたい。
費用対効果も考え環境問題への取り組みなど船によるアクセスでの活用も視野に入れ(意見)
【高橋議員】ポートアイランドの調査結果については、アクセス方法の基礎的な整理を行ったものであり、ルートの建設やその負担については今後の検討ということでした。あまりにも莫大な金額がかかるものです。作ったはいいけれど過大な負担にならないか非常に心配するところです。費用対効果も考え、作らないという選択肢もあるということは意見として述べておきたいと思います。
また、ポートアイランドの抱えている課題については、仮置きされているしゅんせつ土砂をどうするかということが一番大きな課題であるという認識を持っているという答弁でした。あと数年で仮置きも限界となる、その後のことをこれからしっかりと検討していかなければいけない時期になってきているのではありませんか。
ポートアイランドの利活用のことが言われています。しかし計画が作られるのは今すぐのことではありません。その間、この区域が放置されたままなのはもったいないという声も聞こえてきます。
アクセスは何も橋やトンネルだけではありません。船によるアクセスを行うこともできます。そうすれば、今後のポートアイランドの利活用が決まるまでの間、今すぐにでも、ポートアイランドを何らかの形で利用できるのではありませんか。
実際に今、ポートアイランドにおいて、しゅんせつ土砂による干潟の実証実験が行われています。他にもや広大な土地を利用した菜種の栽培、メガソーラーを含めた再生可能エネルギーの施設整備など、現時点でも活用することもできるはずです。
本格的な利用計画ができるまでの間、この場所を活用できるように、管理組合としてぜひ検討をしていただきたい。このことを要望しておきます。
キーワード:大型開発・ムダ遣い見直し、高橋ゆうすけ