名港議会 山口清明議員の一般質問①親しまれる港づくりへの提案(2017年3月27日)

親しまれる港づくりへの課題
―金城ふ頭~ガーデンふ頭~中川運河―

【山口議員】金城ふ頭にはもうすぐ大型テーマパークのレゴランド及び大型商業施設メーカーズピアがオープンします。名古屋市の予測では年間来場者数150~200万人とされており、人の流れ、車の流れが大きく変わります。
 名古屋港管理組合としては、この機会をとらえてこの地域の回遊性を高めて金城ふ頭のにぎわいを、中川運河の水上交通の整備やガーデンふ頭の再開発とあわせて、港全体のにぎわいにつなげたい、と考えているようです。そこで以下数点うかがいます。

金城ふ頭の位置づけと交流機能と物流機能を両立させるための課題はなにか
【山口議員】名古屋港基本計画では、「金城ふ頭について、商業開発等とクルーズ船やフェリーなどが連携した交流拠点の開発が求められている。また、名古屋港水族館などの賑わい施設が立地するガーデンふ頭、都心部とガーデンふ頭を結ぶ中川運河等について、港湾の特性を活かした身近で親しまれる交流空間の形成が求められている。」としています。
 同時に現在、自動車関連産業の国際競争力の維持・強化をめざすとして国による金城ふ頭再編改良事業が着手されています。水深12mの耐震強化岸壁をつくり、レゴランドの約2倍にあたる16.4haを埋め立て、自動車保管場所を45ha確保し、年間57万台の完成自動車を取り扱うというものです。
 名古屋港において金城ふ頭はどのような場所として位置づけられているのか。交流機能と物流機能を両立させるための課題についてどうお考えか、まずお答えください。

一般車両と物流車両の適正な  分離を図る(担当部長)
【総合開発担当部長】交流拠点開発の進展に伴い増加する一般車両と背後地とふ頭内を往来する物流車両が適正に分離され、訪れる県民市民の安全の確保とふ頭内における円滑な港湾活動を実現していきたい。

人と車が増える金城ふ頭での大気 環境が保てるよう、測定と監視を
【山口議員】金城ふ頭の開発によって、2.4haの中央緑地が失われました。8.9haのレゴランドのうち1.6haなどが緑化されたと聞きました。植栽は確かにありますが基本的に舗装された空間です。緑が減るのに来場者と入り込み車両が増えます。
 自動車の排気ガスによる大気汚染が心配です。
 一昨年に行われた金城橋南交差点交通量調査によると平日一日の通過車両は約1万7千台、うち大型車が約6千台、休日では約1万2千5百台、うち大型車が約2千5百台です。
 レゴなどの来場予測ではこれに休日一日当たり8200台が加わります。さらにふ頭の再編改良事業に伴う工事車両が加わるでしょう。小さな子どもたちが野外で過ごすのにふさわしい環境が保てるでしょうか。
 大気汚染の常時監視は、大気汚染防止法にもとづき愛知県や名古屋市が行うことになっていますが、この法令では、臨港地区は「住民が生活しているとは考えられない地域」として測定値の評価対象から除外されており、金城ふ頭は名古屋市の測定対象から外されています。
 このままでいいのでしょうか。臨港地区ではありますが、金城ふ頭でも大気汚染について必要な測定と監視を行うべきです。
 車両の通行量についてはモニタリングが行われるとは聞いていますが金城ふ頭における大気環境について、管理組合自ら汚染状況を測定するか、または名古屋市に測定を要請するなどして、大気環境の把握と保全に努めるべきではありませんか。金城ふ頭の大気環境の現状をどう認識しているのか、答弁を求めます。

大気の監視や測定は市がやることで、必要性を判断する立場にはない(室長)
【企画調整室長】名古屋市域は、名古屋市が常時監視を行う責務があり、測定局の配置も決定しているが、金城ふ頭では測定されていません。金城ふ頭における大気環境の測定の必要性は、本組合が判断する立場にはない。
 金城ふ頭における測定を名古屋市に要請することは、現時点では考えていないが、今後の交通量を注視していきます。
 組合としては、名古屋港内における緑地の整備や渋滞緩和に向けた臨港道路の改良を進めていく。

金城エリアにおいても測定するよう 名古屋市に要請してはどうか。(再質問)
【山口議員】金城ふ頭での大気環境の測定の必要性について「本組合が判断する立場にない」と言われた。名古屋港管理組合には企画調整室に環境問題を担当する部署がありますよね。
 先ほどの答弁でも「港湾活動による大気環境の負荷を軽減するために、緑地の整備や渋滞緩和に向けた道路の改良を引き続き進める」とおっしゃった。環境負荷を軽減できたか否か、その効果は自分たちで測定しないのですか。費用対効果の検証抜きで管理組合は仕事をしているのですか。
 金城ふ頭ではレゴのオープンにあわせて、緑地が減り、道路は改良された、その結果も測定しないで自分たちの仕事の成果をどう評価するのですか。
 先ほどの答弁には、全然納得できません。
 5年前になりますが、2012年6月議会で私は、臨港地区は大気汚染の規制対象区域外だが、公害患者団体の要望も踏まえて、大気汚染の測定が必要ではないか、と質問しました。当時の企画調整室長は、「本組合の要望に基づき、愛知県が飛島インター北側で、名古屋市は臨港地区隣接地の南陽プール駐車場で、窒素酸化物や浮遊粒子状物質等について測定した。」と答弁しています。
 残念ながらこの時は、臨港地区内では測定されませんでしたが、県と市に測定するようには要請していただきました。
 この時の答弁と比べて、さっきの答弁は後退してはいませんか。
 そこで専任副管理者にうかがいます。
 物流と交流の二つの機能が交差する金城ふ頭及びその周辺の大気環境について、自らの環境対策の効果を検証する意味でも、管理組合自身が主体的に測定すべきではありませんか。
 臨港地区は大気汚染防止法令では「常時監視の評価の対象外」とされていますが、測定は禁止されていませんね。この点も確認したい。
 少なくとも管理組合から名古屋市に対し、金城ふ頭に隣接して住民が居住するエリアでありながら、観光客と物流業者の車両がどちらも通過する汐止交差点付近をふくめ、金城エリアの大気汚染の測定を要請すべきです。いかがですか。責任ある答弁を求めます。

県や市に要望し、臨港地区の隣接地(南陽プール)で測定されている。交通量増大の懸念に応じて要望する(副管理者)
【専任副管理者】本組合は、交通負荷の軽減策として、臨港道路の改良等に取り組んでいるところですが、平成22年に港湾管理者として可能な対策を検討するため、臨港地区での大気環境調査を愛知県及び名古屋市に要望いたしました。
 これにより、名古屋市においては、毎年、臨港地区隣接地の南陽プールの駐車場において、大気環境測定車により測定が行われております。
 臨港地区における大気環境の測定については、禁止されているものではありませんが、その必要性については、環境行政を所管する名古屋市が判断するものと考えております。
 また、名古屋市からは、一般的に道路環境が変化し地域住民から要望があれば、大気環境測定車による測定について検討すると聞いております。
 本組合といたしましては、今後、交通車両のさらなる増大が懸念されるようであれば、金城エリアにおける測定につきまして、名古屋市に要請することを検討してまいります。

車両増大に備えて巨大駐車場も作った、物流拠点の発展も目指すというなら積極的に環境測定を(意見)
【山口議員】専任副管理者からは、金城エリアでの大気環境の測定について、名古屋市への要請を検討する、との答弁をいただきました。
 ただし、交通車両のさらなる増大が懸念されるようであれば、と言われたが、交通車両が増大するから6千台収容の駐車場をつくったんでしょ。物流の拠点としてもさらに発展させるんでしょ。新たな開発に伴う新たな課題にもしっかり対応してください。
 かつて深刻な公害の発生源であった臨港地区から、環境面でも安全ですと胸を張れるように、積極的に取り組んでいただくよう強く要望します。

レゴランドのオープンでシートレインランドなどガーデンふ頭への影響は
【山口議員】休日には一日当たり37,000人が金城ふ頭に来場する予測ですが、新たなテーマパーク、アミューズメント施設の開業によるガーデンふ頭地区への影響はどうでしょうか。
 名古屋みなと振興財団が編集・発行したパンフレット「名古屋港ガイドマップ=GoGo名古屋港」には、みんなで楽しめるアミューズメントパークとしてシートレインランドが紹介されています。
 来訪者にとってはガーデンふ頭とセットと思われている遊園地、シートレインランドへの影響についてはどう考えていますか。

競合もあるが、レゴランドからガーデンふ頭へ誘導、波及させる機会になる(担当部長)
【関連事業担当部長】名古屋港水族館を始めとしたガーデンふ頭に立地する観光施設と競合することもありますが、広域からの集客力を有するレゴランド・ジャパンに訪れる来港者を、ガーデンふ頭へ誘導することにより、名古屋港全体のにぎわいに波及させる絶好の機会でもあります。

レゴランド水族館の計画は知っていたか、名古屋港水族館への影響はないか
【山口議員】レゴランドが水族館シーライフを2018年にオープンする予定だとの発表に正直、私は驚きました。管理組合はこの計画を知っていたのですか。名古屋港水族館の集客に与える影響は検討されたのですか。それぞれ答弁を求めます。

一時的な影響もあるかと思われるが、更なる魅力向上で、金城ふ頭からの来港者を呼び込みたい(担当部長)
【関連事業担当部長】平成30年開業予定のホテル内に併設される比較的小規模な体験型水族館「シーライフ」のコンセプトや展示内容等の詳細は明らかになっていないが、一時的に名古屋港水族館の集客への影響もあろうかと思われる。
 名古屋港水族館としては、更なる魅力向上の施策やレゴランド・ジャパンとの連携を進め、金城ふ頭に訪れる広域からの多数の来港者を呼び込みたい。
そのため、レゴランド・ジャパン株式会社、名古屋港水族館の指定管理者の公益財団法人名古屋みなと振興財団、名古屋市及び本組合の4者で、レゴランド・ジャパンと名古屋港水族館が連携した事業展開やPRの取組の検討を進めている。

金城ふ頭の開発をガーデンふ頭にぎわいにつなげるための課題と来訪者増加に向けた取組はなにか
【山口議員】レゴランドと名古屋港水族館、それぞれにそれなりの料金とそれなりの滞在時間が必要です。レゴランドの1デイパスポート大人6900円、3歳から12歳5300円。水族館は大人2000円、子どもは500円から1000円。お金をかけたら、長く楽しみたい、またそれだけの魅力がある施設でしょう。
 金城ふ頭とガーデンふ頭間の移動手段も検討されていますが、もちろん料金が必要で、時間もかかります。
 シャトルバスは片道30分、大人500円、小学生以下300円。水上バスもブルーボネット経由で片道約30分ちょっと、大人900円、子ども450円です。もちろん市バス地下鉄で使える一日乗車券、土日エコキップは使えません。
 回遊性を高めるといいますが、そんなに簡単ではありません。
 金城ふ頭の開発をガーデンふ頭のにぎわいにつなげるための課題は何か。ガーデンふ頭地区と水族館への来訪者を増やす目標と手立てについても答弁を求めます。
30%が遠来客と想定するレゴランドからのアクセスを拡充する(担当部長)
【総合開発担当部長】「平成27年度名古屋市観光客・宿泊客動向調査」によると、名古屋港水族館への訪問客は、愛知県内からが約54%、東海4県からが約78%を占めています。一方、レゴランド・ジャパンによれば、年間入場者数200万人のうち、60万人が海外、または関東、関西をはじめとする遠方の国内からの訪問を想定しています。
 今後の課題としては、広域からの集客力を有するレゴランド・ジャパンに訪れる来港者をガーデンふ頭へ誘導することであると考え、両ふ頭を結ぶ交通手段の拡充として、民間事業者によるシャトルバスの運行や、名古屋港水上バス「トリトンライン」の平日運航が本年4月より開始されることに加え、10月からは、堀止と結ぶ水上交通の試験運航も開始する予定です。

中川運河における水上交通の運航計画と課題等はなにか
【山口議員】中川運河の水上交通についてうかがいます。新年度予算では、水上交通モニタリング調査に係る負担金など、中川運河に関して16億円を超える事業費が計上されています。そこでうかがいます。
 予定されている水上交通について、どんな運航計画になっているのか。検証すべき課題はなにか。また、水上交通の運行は民間会社が自力で行うのか。船の運航そのものへも公的な助成を行うのか。答弁を求めます。

堀止~ガーデンふ頭を6往復/日、堀止~ガーデンふ頭~金城ふ頭を3往復/日、土日祝日と夏休み期間の平日など年間約170日を予定(担当部長)
【総合開発担当部長】名古屋市と連携して実施する水上交通のモニタリング調査では、ささしまライブ24地区のまちびらきに合わせ、本年10月から試験運航を実施し、名古屋市と採算性について検証します。運航計画は、堀止~ガーデンふ頭間を日6往復程度、堀止~ガーデンふ頭経由~金城ふ頭間を日3往復程度運航し、運航日は、土日祝日と夏休み期間の平日など年間約170日を予定しています。
 港区港明地区において、平成30年秋に「みなとアクルス」のまちびらきも予定され、需要動向の変化も踏まえつつ、モニタリング調査として将来の民間事業者による定期運航の実現に向けた検証を進めたい。
 調査スキームは、名古屋市発注の委託業者が運航事業者とともに運航計画に基づく試験運航を実施し、今後の定期運航に向けたデータの取りまとめや課題の抽出等を行う。
 試験運航結果を踏まえた採算性の検証を名古屋市とともに厳正に行い、定期運航の実現に向けた取組を推進したい。

中川閘門や中川橋などを生かした取り組みを
【山口議員】運河の水上交通にとって、通過に時間を要すネックでもあり、しかしまた運河ならではの魅力的な空間、観光スポットにもなるのが中川口通船門です。
 通常、中川運河の水位は名古屋港よりも低くなっています。通船門は、2つの水門で前後を仕切られた空間内の水位を上下に調整することで船の通行を可能にしています。このような構造の水門を閘門といいます。パナマ運河と同じ仕組みです。
 閘門と言えば中川運河と堀川を結んでいた松重閘門が有名です。かつて「東洋のパナマ運河」と呼ばれたほどの存在でしたが、もう現役ではありません。
 中川口通船門は現役の閘門です。生きた産業遺産を体験できる貴重なスポットでもあり、もっと光を当てる価値があります。そこでうかがいます。
 貴重な閘門である中川口通船門について、動画のアップはもちろん、現地やガーデンふ頭などでも案内を充実させる、閘門の模型をつくり、ポートビルや水族館、名古屋駅などに置いて、子どもたちも作動体験できるようにする。
 またガーデンふ頭から歴史的遺産である赤いアーチの中川橋を通り、通船門まで護岸沿いに歩ける遊歩道を整備するなど、この機会をとらえて積極的にPRに取り組むべきだと考えます。いかがですか。

中川口緑地の案内看板以外にもパンフレットへの掲載でPRしたい(担当部長)
【総合開発担当部長】中川口通船門は、水上交通の体験乗船においても、参加者から「通船門の体験は楽しかった」「運河の仕組みが理解でき貴重な体験でした」など多数の意見をいただいています。普段経験できない貴重な観光スポットになりえる中川口通船門は、隣接する中川口緑地に案内看板、閘室内に水位表示を設置するなど、通船作業を紹介する施設を整備してきました。
 今後は、水上交通のモニタリング調査における乗船客からの意見も参考にしながら、関係するパンフレットに中川運河の魅力を掲載するなど、県民市民にしっかりPRしていきたい。

埋もれた資産を観光に生かす積極的な発信を(意見)
【山口議員】親しまれる港づくりについて、交流機能と物流機能の両立、金城ふ頭とガーデンふ頭の両立、金城からガーデンへの観光客の誘導、それぞれ課題が多い。ていねいに取り組んでいただきたい。
 中川運河についても、護岸の整備や水質改善などを直実に進めることが大前提ですが、そのうえで中川口通船門など、埋もれた価値を再発見し、その魅力を積極的に発信していただきたい。愛知県には、木曽三川公園に国の重要文化財に指定された船頭平(せどひら)閘門もあります。
 ゼロメートル地帯として防災問題にどうしても力が入りますが、水運で栄えたこの地域ならではの観光資源にもぜひ光を当てていただきたくよう要望します。

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