西山あさみ議員の個人質問 ①LGBT(2017年6月22日)
パートナーシップ宣誓制度を/民間賃貸住宅への家賃補助制度の創設を
西山あさみ議員
LGBTの取り組みについて
当事者へのヒアリングでどんな声を聞き、どのような対応を進めてきたのか
【西山議員】通告にしたがい、まずLGBTの取り組みについて質問します。
LGBTとは、女性を好きになる女性のレズビアン(L)、男性を好きになる男性のゲイ(G)、両性愛のバイセクシュアル(B)、心と体の性が一致しないなどのトランスジェンダー(T)の頭文字をとった総称です。
2016年にある民間団体が約9万人を対象におこなった調査では、LGBTを含む性的少数者は8%という結果が出ています。これは左利きの人、AB型の人、と同じくらいの割合と言われています。本市に当てはめると単純計算で18万4千人程度となります。 1997年には同性愛者団体に対して青年の家の宿泊利用を拒否したことを違法とした東京高等裁判所判決、2003年には、一定の条件の下で性別の変更を認めた『性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律』が制定されるなど、判例や国内法の整備の動きが出てきています。
国際的には、2008年に性的指向や性自認に関わらず、人権がすべての人に平等に適用されることを求めた無差別の原則を再確認することなど、LGBTへの人権保護の促進を求める「人権と性的指向と性自認に関する声明」が国連総会で提出され、日本政府もこの声明に賛同の意向を示しています。
本市では「名古屋市男女平等参画基本計画2020」の中で“性別にかかわる人権侵害の解消”に取り組むとありますが、年に1回のセミナーや数回のパネル展示が啓発の主なものとなっています。
2015年9月定例会において「市長はセクシャルマイノリティに対する支援・理解促進に対してどのようにお考えでしょうか」の質問に対し、市長は「大至急一遍当事者のみなさんのヒアリングをやります。」と答弁されていますが、そこから約2年が経とうとしています。
そこで、市長に伺います。
当事者の方へのヒアリングでどんな声を聞いたか。その声に対し今日まで本市でどのような対応を進めてきたのかお答えください。
市長室でも会い、居酒屋のようなところで一杯飲みながら話を聞いた。関市の宣言を勉強するように言ってある(市長)
【市長】市長室では平成27年11月17日に。また、居酒屋のようなところで15人ぐらいと思うが、一杯飲みながら話を聞いた。性別欄を廃止してほしいとか、子どもさんの悩みがあるでちゃんと対応してほしいとか、何とかパートナーとか、とりあえず法的仕組みに行く前の仕組みがあるのという話が出てきまして。私は、のびのびと自分の人生だから生きればいいというほうですので。関市がパートナー宣言をやりましたんで、関市の市長は私が国会の時の公設秘書だったので、資料を出してくれと電話した。役所には勉強してよと言っている。
当事者の思いを受け止め、パートナーシップ宣誓制度を名古屋市で
【西山議員】昨年、学生団体ivoteが主宰した企画に参加させていただき、LGBT当事者の方々と学生のみなさんと一緒にLGBTについて学び考えを深めました。
企画では、愛知県や名古屋市で実現できたらいいな。というLGBTの取り組みをいつくかのチームに分かれてマニフェストという形でそれぞれ出し合いました。
・選挙の投票時に戸籍上の性別と見た目の性別の違いで、必ず確認のために止められることが辛くて選挙に行けなくなった人が多いという当事者の声から、投票時の性別確認廃止。
・行政機関に提出する書類について、男・女と分けず、性別欄を自由記述にする。
・相談窓口をつくり、専門家を置き常に相談できる体制をつくる。
など、学生さんの自由で柔軟な発想でさまざまなマニフェストが完成しました。
その中で、多くのチームがマニフェストにしていたのが、パートナーシップの制度でした。パートナーシップ制度とは、法的な権利や義務は生じないものの、LGBTカップルが宣誓書を自治体に提出し、自治体から受領書等を交付するというものです。
全国的にはすでに、(東京都)渋谷区、世田谷区、(三重県)伊賀市、(兵庫県)宝塚市、(沖縄県)那覇市が制度を実施しています。そして、政令市で初めて札幌市もこの6月からパートナーシップ制度を開始しました。市には1500件の賛成意見が寄せられ、受領書の交付が開始される6月1日までに17件の予約があり、初日は4組が宣誓しています。
私は先日、すでに制度を実施している東京都世田谷区、三重県伊賀市でお話を伺いました。東京都世田谷区では、同性間のパートナーシップに関して当事者である区民からの、地域社会の一員として「存在を認めてほしい」ということへの対応として、区が同性カップルの気持ちを受け止めるために制度を実施しています。宣誓書の受理件数は制度を開始した2015年度に25件、その後2年弱で累計50件となっています。その後宣誓をしたカップル37組の方々にアンケート調査をおこない、宣誓の前後で変化はありましたか。の問いには、
・同僚、家族や友人たちに祝福された。
・生命保険等の受け取りを法定相続人からパートナーに変更できた。
宣誓をしたことでよかったことはなんですか。の問いには
・区がおこなったことにより「LGBT」や「同性婚」という言葉が、一般的に浸透したように感じる。
・パートナーシップ宣誓のことを踏まえて自分たちのことを説明すると、伝わりやすく、伝えやすくなった。
と、制度ができたことで周囲の理解が進み、カミングアウトできる、祝福されるという一番効果的な啓発活動となっていることもわかります。
伊賀市では、LGBT支援団体もおらず、とくに当事者からの要望があったわけではないが、同性カップルの認知、生活上の困難の解消、LGBT当事者への支援を表明、「性の多様性」について市民への正しい理解の啓発を目的に制度が始まり、この制度が始まると聞き伊賀市へ引っ越してきたカップルもおられるそうです。
また、当事者の「公営住宅に家族やパートナーとして住みたい」「医療や福祉で、法律上の夫婦・家族と同等のサービスを受けたい」の思いに応えて、パートナーシップ宣誓を行ったカップルの市営住宅への入居申請を可能にし、市民病院でも家族同様の扱いをしています。
企業の理解も進んでいます。株式会社Yahooは今月1日、社員の同性パートナーや婚姻関係のない内縁のパートナーに対し、配偶者と同様の福利厚生制度を適用すると発表しました。社員が自治体発行の証明書などを提出すれば、結婚休暇や育児・介護休暇、結婚時の祝い金など、社内のほぼ全ての福利厚生サービスを提供するというものです。
制度を始めた自治体では、LGBT当事者の気持ちを受け止める、当事者への支援の気持ちを示すなど、まずは自治体が理解する姿勢を示すことで、多様な生き方の理解促進につながっています。そして自治体の動きに応えるように企業などでも理解が進んでいます。
そこで総務局長に伺います。本市においても当事者の思いを受け止め、支援の気持ちを示すためにパートナーシップ宣誓制度を行う考えはありませんか。
他の自治体の取り組みを調査し、当事者や有識者の意見等を聞きたい(局長)
【総務局長】本市としては、平成28年3月に策定した「男女平等参画基本計画2020」に基づき、男女平等参画推進セン夕一などにおいて、講座などによる意識啓発や相談による支援、また、職員に対する研修のほか、庁内の関係部署が集まった情報交換会などに積極的に取り組んでいます。
昨年11月にセクシュアル・マイノリティに関する市政アンケートを実施し、その結果、セクシュアル・マイノリティに対する偏見や差別が問題であると感じている市民が多数いることが分かり、正しい理解を深めるための意識啓発が大切と考えています。
他の自治体では、パートナーシップ宣誓制度やコミュニティスペース、専門相談窓口の設置、LGBT支援宣言など、セクシュアル・マイノリティに対する支援として様々な取り組みを行っていることも承知しており、本市職員も大阪市淀川区や東京都世田谷区などを視察して状況を調べています。
当事者のニ一ズも多様であると思うので、パートナーシップ宣誓制度に限らず、他の自治体の様々な取り組みを更に調査し、当事者や有識者の意見等を聞いていきたい。
意見を聞く場は(再質問)
【西山議員】当事者や有識者の意見を聞く場をどのように設けるお考えですか。
今後よく検討していく(総務局長)
【総務局長】意見聴取の具体的な方法は今後よく検討していく。
市長選で公約していたが(再々質問)
【西山議員】河村市長にお聞きします。河村市長は、同性パートナーシップ制度について市長選挙のマニフェストにも触れられていますが、4月18日付の中日新聞“候補者にぶつける100の質問”で「市長になったらLGBT(性的少数者)への考えは。同性パートナーシップに取り組むつもりはあるか」に対して「あります」と回答しています。
そこで市長に伺います。同性パートナーシップに取り組むつもりがあると回答した市長、本市においても世田谷区や伊賀市、札幌市などのようにパートナーシップ宣誓を行う考えでいいですね。
約束したことは、その通りです。もうちょっと待っとってちょう(市長)
【市長】新聞で約束したということはウソは言ってないので、その通りです。役所は時間がかかるみたいなので時間がほしいと。関市の市長には確認していろいろ相談してきた。もうちょっと待っとってちょうということ。
パートナー制度をやるんですね(再々再質問)
【西山議員】やるのかやらないのか。同性パートナーシップ制度はつくるということでいいか。
新聞にかいてあることは本当です(市長)
【市長】新聞で書いてあることは本当ですので。
パートナーシップ制度の早期創設を(意見)
【西山議員】マニフェストにも男女平等や男女共同参画など男女だけを前提とした価値観のみにとどまらず、LGBTなど性のあり方の多様性についての議論、ここは()書きで、同性パートナーシップ制度などや理解を進めると、同性パートナーシップ制度とわざわざ強調して書かれていますから、河村市長は同性パートナーシップ制度を始める考えだということはわかっています。伊賀市では、平成28年12月に開催されたLGBTをテーマとした講演に市長が参加し、当事者の思いを知り、そこからたった3か月後の今年4月からパートナーシップ宣誓を開始しています。
総務局長からは当事者や有識者の意見を聞くとありましたので、さまざまな方からの声が反映されるような仕組みをつくって本市として多様性を尊重することと共に、当事者の声に応えてパートナーシップ制度を早期に創設していただくことを求めます。
キーワード:平和と人権、市民生活、西山あさみ