くれまつ順子議員の個人質問①名鉄・JRでも敬老パスを(2017年11月29日)
敬老パスのJR・私鉄への利用拡大について
くれまつ順子 議員
名鉄・JRで敬老パスが使えないのは不平等ではないか
【くれまつ議員】敬老パスのJR・私鉄への利用拡大について、党市議団が独自に行いました守山区民のみなさんへのアンケート結果を踏まえて、市長に質問します。
6月議会では名鉄沿線の市民62名の訪問聞き取り調査をご紹介しました。62名のうち51名が拡大に賛成され、パスをもっていない方39名のうち33名が名鉄で使えるようになればパスを使うと答えておられました。
今回市議団で行った調査は、6月から8月まで守山区の名鉄瀬戸線沿線とJR新守山駅沿線にお住いの世帯に返信用封筒をつけて配布し、798人の方から返信をいただきました。敬老パスをもっておられる方は558人でその方に、名鉄・JRへの利用拡大がされた場合に、「名鉄・JRに敬老パスを使って利用されますか」とお聞きしました。94%の方が名鉄・JRを利用すると回答されました。一方敬老パスを持っておられない方75名にも対象交通の拡大についてお聞きしたところ、60人、80%の方が名鉄やJRを利用したいと回答されました。名鉄瀬戸線とJR沿線の方は利用拡大の要望が大きいのがわかりました。敬老パス制度について多くの方が意見を書かれ、自由意見蘭には、次のような、「地下鉄が通っていない守山区は不平等」と訴えるものがありました。「守山区は地下鉄が通っていないため敬老パスは他の区に比べると不公平です。守山区民は日常の足である名鉄瀬戸線を利用できる様にするべきである。」
市長、この声を聞いて、どう思われますか。税金は守山区にお住まいの方も同じように払っているのです。名鉄・JRなどが地下鉄に代る公共交通として重要な役割を担っている地域では、名鉄・JRで敬老パスが使えないために、市民が不自由に思っています。
そこで、市長に伺います。公共交通である名鉄・JRで敬老パスが使えないのが不平等だという市民意見について、どのように受け止められましたか。
不平等だとは思ってる。交通系に乗れない人との不平等もあり、苦しみながら考えている(市長)
【市長】たしかに、地下鉄や市バスがないとこはみんないやだわね。もう一つは車いすの人達のようなバスに乗れない、たいへん不自由な人から見ればもっと高齢者福祉は平等であるべきではないかというのが出てくると思いますよ。なんとか考えなあかんということで苦しんどるんだがね。名鉄タクシーが一割引きでやってくれるようになったもんで、わしも古出来町まで帰るのにタクシー乗っていく。1割安いと便利なので、こないだ敬老パスを払ってもらいましたけどね。不平等がないようにどういうふうにするかと。なんでも乗れるようにする、名鉄とJRも一つですけど、そこばっかやってますと、交通系に乗れない人と、ものすごい不平等が生じると思いますよ。苦しみながら考えています。不平等だとは思っています。
140億円の上限撤廃での制度改革が必要
【くれまつ議員】敬老パスの利用拡大を実現していくために、事業費をどう考えるのか、事業費の上限設定について、伺います。敬老パスについては「事業費が142億円を超えると見込まれる場合には、新たな見直しを行う」という考え方のもと、現在、「新たな敬老パス制度のあり方」について検討を進めています。先の6月議会では、私の質問に対して、市長は、「私鉄への利用拡大を検討する」というマニフェストを守ること、「値上げはしない」との答弁でありました。健康福祉局長は、「実態把握調査の結果やICカードの年間を通じた乗車実績の分析をもとに、JRや私鉄などへの対象交通の拡大をはじめ、議会からのご要望を踏まえ、限られた財源の中で、より使い勝手がよく、かつ持続可能な敬老パス制度を検討する」「今年度方向性を整理する」との答弁でした。高齢者数の伸びにより、敬老パスの事業費が増えていくことは予想されています。今年度敬老パスの予算は140億円となり、来年度には142億円をこえるかという状況で、上限枠の範囲で制度設計すれば、利用者の負担をお願いするか、利用の制限か、そのようなことを考えなくてはなりません。しかし、市長は、値上げはしないという考えを示されています。利用制限をしたら、敬老パスによる効果が小さくなってしまいます。市長、ここは上限を取り払って制度設計をすべきです。
ここで敬老パスの事業は、4つのすぐれた効果、社会参加効果、健康効果、経済効果、環境効果があるという市の調査報告があります。市民アンケートでも「外に出かけることが容易だと病気になりにくい」「医療費削減につながる」「健康のため出かけることが多くなる」と健康効果についてのご意見がありました。外出して買い物や食事をし、消費支出は1回あたり4200円という試算で、敬老パスの事業費131億円に対して経済効果は316億円という本市の調査です。市民アンケートでは、「マイカー利用をやめ、敬老パスをもらって名鉄・JRを利用したい」とのご意見もありました。高齢者のマイカー事故も多発しております。マイカー使用を控え公共交通への乗り換えにより、温室効果ガスCO2排出抑制に貢献します。
敬老パス事業によって市民にとって有益な効果をもたらしているにも関わらず、142億円という事業費の上限の範囲で制度設計をすることは、敬老パス事業による健康効果や社会参加効果、経済効果、環境効果も抑制していくことになるのではないでしょうか。
敬老パスは高齢者福祉の増進をはかる名古屋市の福祉の象徴というべき施策です。
事業費について、上限枠にとらわれず、高齢者の方の交付率を高めることをめざし、JR・私鉄への利用拡大を行うべきと考えますが、市長の見解を求めます。
上げずに堅持する(市長)
【市長】上げずに堅持するという、そういう気持ちで頑張っていかないかんと思います。
上限枠にとらわれないで行くのか(再質問)
【くれまつ議員】上げずにということは、上限枠にとらわれないで、上げないで行くという理解でよろしいか。
142億円を維持する(市長)
【市長】142億を維持するということで、まあ、やっていくということ。
上限枠を取り払って制度設計を(意見)
【くれまつ議員】142億円の範囲で新たな制度設計を行うことになれば値上げはしない、一方で利用者の利用が制限されることになる。敬老パスのいろいろな有効な効果が縮小されていくことになる。新たな制度設計に当たっては上限枠は取り払って敬老パスのいろいろな効果が広げられるよう制度をしていくよう求めます。