西山あさみ議員の個人質問①長時間労働解消を(2018年3月5日)
まず市職員の長時間労働の解消を
西山あさみ議員
「サービス残業の実態がある」という認識はあるか。どのような改善策をとってきたか
【西山議員】2015年12月25日電通の新入社員だった高橋まつりさんが長時間労働やパワハラ等の劣悪な労働環境の中で自殺に追い込まれた問題が世論を動かし、国会でも働き方に関する議論がおこなわれています。
本市でも働き方改革の推進に関する予算が市民経済局からあがっています。
働き方が問題となっているのは民間企業だけではありません。厚生労働省は2016年10月〜2017年6月のまで間、長時間労働や賃金不払い、安全管理などの労働関係法令に違反した疑いで送検された企業などの一覧を公式サイトで公表し、その中には山口県の「宇部市上下水道局」が含まれるなど自治体職場の働き方も例外ではありません。
長時間労働や劣悪な労働環境は、職員の健康悪化にかかわる問題であり、市民サービスにかかわる問題です。心のゆとりや職員同士のコミュニケーションがとれてこそ、新たな発想や提案、市民サービスの向上につながります。
本市は2010年職員に対するアンケート調査を実施しており、主にサービス残業の有無に焦点をあてたものになっていましたが、人事委員会勧告でも「サービス残業の実態があるとの回答が相当数に及び、事態の深刻さを認識すべきものと考えられる」と述べています。
超過勤務の縮減についても、勧告の中で私が調べた限りでもこの10年間ずっと喫緊の課題などと記述されています。
人事委員会勧告にある「サービス残業の実態がある」という認識はありますか。
アンケート結果を受けて、サービス残業や長時間労働の抑制、働きやすい職場環境にするためにどんなことをおこなってきましたか。
適正な超過勤務の管理がなされている(局長)
【総務局長】超過勤務は、所属長による事前命令を徹底するとともに、事後確認を確実かつ速やかに行うこととし、この手続きを適正に行うことで、いわゆるサービス残業が生じなくなると考えている。人事主管課や管理職員を対象とした研修や会議など様々な場において徹底を指示し、各所属で適正な超過勤務の管理がされていると認識している。
長時間労働の抑制には、全庁的に毎週水曜日、毎月8日及び24日を定時退庁日とし、7月及び8月を定時退庁強化月間としている。
各所属において超過勤務の目標時間数を設定し、これに対する実績状況を把握することや、長時間労働者に対して業務分担の見直しなど超越勤務解消のためのヒアリングを実施することにしている。適正な超過勤務の管理や長時間労働の抑制など、職員が働きやすい職場環境にするため、様々な取り組みを行っている。
名古屋市では非常時を上回る超過勤務が常態化している。これをどう受け止めているか
【西山議員】厚生労働相が過労死のリスクが高まると位置づける「過労死ライン」は月80時間で、これは「月~金まで毎日3~4時間の残業をして、毎週土日のどちらかに4時間の休日出勤」というもので、家族との時間はほとんどまともに取れません。
昨年、衆院選、投開票日前日の10月21日、兵庫県川西市の選挙管理委員会に所属する職員の男性が、勤務中に事故を起こし、軽乗用車を運転していた相手女性が死亡、同乗の女性も大けがを追う事故がありました。男性職員は9月19日以降、1か月間1日も休みがなく、残業時間は100時間を超えており市役所の勤務時間に関する資料を押収し捜査がおこなわれています。
京都市では、2013年10月、長時間残業による精神疾患が原因で職員が自殺。遺族は2016年6月市を相手取り損害賠償を求めて奈良地裁に提訴。市は今年1月、安全配慮義務違反を認めて5千万円を支払うことで和解する方針を固め2月定例会に関連議案が提出されると報道されています。男性職員が亡くなる直前の1カ月間の残業時間は100時間30分に上っていたそうです。
では、本市職員の働き方はどうでしょうか。
総務局長は毎年「総実勤務時間の短縮」(2016年からは「職員のワーク・ライフ・バランスの推進について」)という通知を出し、長時間労働の是正や休暇の取得率向上に取り組んでいます。通知では、年間360時間・月45時間、本庁・区役所等では年間600時間を超えて超過勤務を命じてはならない、となっています。
しかし実際には、年間600時間を超えて働いた職員が多数おり、2014年度237人、2015年度268人、2016年度294人と年々増えています。
2011年に発生した東日本大震災の後、本市も東日本大震災を踏まえたさまざまな対応におわれ、超過勤務時間の上位6人を消防局職員が占めたことがありました。
1番多かった職員で1279時間。消防局職員を除いて超過勤務が多かったのは区役所職員で998時間でした。
5年経過した2016年の年間超過勤務時間数はどうでしょうか。
1番多い職員で1326時間、1254時間、1252時間と続いて、上位5人が観光文化交流局、子ども青少年局、教育委員会となっています。 1000時間以上の超過勤務をおこなった職員は、2015年で11人、2016年で16人とやはり前年より増えています。
非常時にやむを得ず超過勤務が増えてしまうことはあるでしょうが、現在は通常時で非常時を上回る超過勤務がおこなわれているのです。
このような状況になっていることを、ワーク・ライフ・バランスを推進する総務局としてどう受け止めていますか。
適正な超過勤務の管理に取り組む必要がある(局長)
【局長】超過勤務は、臨時的、突発的な業務に適切に対応するために、一定程度発生するが、ワーク・ライフ・バランスを推進していく上で、超過勤務を縮減していくことは、職員の健康管理や職務への意欲向上の観点からも、大変重要なことです。
特定の職員に超過勤務が偏ることがないよう、各所属が業務の効率的な遂行や業務分担の見直しを通じて業務の平準化を行い、適正な超過勤務の管理に取り組む必要がある。
少なくとも600時間以上の残業をおこなっている職員がいる職場には人員を増やべき
【西山議員】滋賀県では2015年、土木事務所において労使協定で決められた1カ月100時間を超える残業があったことや、年間1000時間を超える時間外勤務を行った職員が20人にのぼったことにより長時間労働の改善が大きな課題となっていました。
2017年1月に滋賀県の人事委員会が時間外労働に関する職員アンケートを実施し、超過勤務がなくならない理由として “業務量が多く、現在の人員では対応できない。”が一般職で66.5%、管理職で59.1%と圧倒的1位となったことで、県議会では職員定数を10人増やす条例が可決され、昭和55年以来、37年ぶりに職員を増やしています。
冒頭に示した2010年の人事委員会勧告のアンケート調査の中には、自由意見に、業務量、人員数、予算枠等のアンバランスを指摘するものが圧倒的に多かった。と述べられています。
1000時間を超えるような超過勤務が増え続ける要因はやはり、総務局がこの間続けてきた人員削減の方針にあるのではないでしょうか。少なくとも600時間以上の残業をおこなっている職員がいる職場については人員を増やす対応をおこなうべきだと思いますが、見解をお聞きします。
必要度・重要度の高い事務事業を行う職場等には増員している(局長)
【局長】超過勤務が多い職員が所属する職場には、業務の効率的な遂行や業務分担の見直しを通じて業務の平準化を行い、必要に応じて各局内で定員を調整するなどして、適正化を図る。
全庁的な定員管理は、民営化や委託化、嘱託化などで、職員の業務を減らし、削減できる定員の一部で、必要度・重要度の高い事務事業を行う職場等に増員を行っている。
1000時間以上もの超過勤務を行う職員がいる状況を異常事態だと思わないのか(再質問)
【西山議員】サービス残業について答弁はいただきましたけれど、サービス残業はないと考えているというような答弁でした。しかし実際には、人事委員会の勧告の中で、アンケート調査の中でも相当数のサービス残業があると回答があると言われているわけですから、実際の事態を把握ができていないとまず指摘させていただきます。
そして長時間労働について問題意識も感じられないような答弁でした。
1,000時間以上もの超過勤務を行う職員がいるこの状況を異常事態だと思わないのですか。異常事態だと認識しているか、していないか、お答えください。
1,000時間以上の超過勤務は望ましくない(局長)
【局長】2016年度には、名古屋城本丸御殿の第二期公開、児童相談所の児童虐待相談への対応、県費負担教職員の権限移譲など、臨時的、突発的な業務による長時間労働が発生している。しかし、1,000時間以上の超過勤務を行うことは望ましいことだとは考えておらず、各局に対し、業務の効率化や平準化などを行い、長時間労働を抑制するよう、今後も継続して指導していきたい。
公務員も人員増に舵をきる時が来ている(意見)
【西山議員】年間1,000時間以上の超過勤務というのは、1年中、過労死ラインを超える80~100時間の残業をしていたことになります。観光文化交流局職員の2016年5月の超過勤務はその月だけで203時間。子ども青少年局職員は同じ年の6月から12月まで半年間、毎月105時間~122時間の超過勤務です。これを異常事態だと思わないこと自体が異常です。
答弁にあった業務分担の見直し、効率的な業務運営は少なくとも10年前から人事委員会に指摘されています。10年かかっても減るどころか増え続けているわけですから、やり方が間違っているんです。
国では人事院が公務員の人事管理に関する報告の中で「マネジメント強化、業務合理化等を進めてもなお恒常的に長時間の超過勤務を行わざるを得ない場合には、業務量に応じた要因が確保される必要がある」と述べています。公務員も人員増に舵をきる時が来ています。
行政責任を持ちながら超過勤務を縮減していくためには、人員増に舵をきるべきだということを申しあげて質問を終わります。
キーワード:税、地方自治体と住民参加、西山あさみ