岡田ゆき子議員の個人質問②就労継続支援A型事業所(2018年3月5日)

就労継続支援A型事業所の事業に支援を

   岡田ゆき子議員

生産性も含めた助言・相談が行政でできる仕組みを
【岡田議員】昨年8月、A型事業所である株式会社障害者支援機構パドマの経営破綻による倒産で、多くの障害者が賃金未払いのまま解雇され、行き場を失うという事件が起きました。解雇された障害者を支援するために、支える会が結成され、定期的にお互いの状況を確認し励ましあう場を作りましたが、実際は、未払い賃金の請求のための書類作りや労基署での聞き取りなど、当事者には多くの負担がかかっています。今年1月30日には、未払い賃金の支払いを求めて、名古屋地裁で債権者集会が行われました。
 しかし破産管財人からは、書類不備などのために賃金が確定できない旨の報告があり、未払い賃金制度の利用も全く進みません。障害当事者の受けた被害と精神的なショックは計り知れません。
 一般企業であれば経営難で倒産、解雇はありますが、A型事業所は、企業に就職することが困難な障害者が、雇用契約に基づき、労働の機会を得て、知識能力の向上のために必要な訓練を行う、障害者福祉総合法に位置付けられ、税金が投入される事業です。企業だから倒産することもある、仕方がないで終わらせるわけにはいきません。
 今回の事件以降、厚生労働省は全国の実態把握を始めていますが、A型事業所の8割が最賃に届かない生産活動であったため、本来、事業の運営に充てるべき給付費が賃金に充てられる状況が続いています。
 主旨に則り、障害者の特性に合わせた仕事の開拓に力を入れる事業所がある一方、収益を上げることが困難であったり、給付費を当てにした悪しき事業所が急増したことも事実です。こうした実態を一定把握していながら国が抜本的な対策を示してこなかったことに、そもそもの問題があったと考えます。
 現在のA型事業所は福祉事業という側面と雇用契約に基づく労働という2つの側面があります。これに対して、福祉行政と中小企業支援など、行政間で連携できることを考えていただきたい。倉敷市では、障害者を大量解雇したA型事業所の事件を受け、A型事業所の経営改善に向けて、経営者を対象にした研修や中小企業診断士や経営アドバイザーの配置を行います。
 障害者が自立して働く目標を持ち、居場所にもなっていたこのA型事業所を、しっかり運営してもらうために、生産性も含めて助言・相談が行政でできる仕組みを作っていただきたい。現在検討されることは何か、お聞きします。

真摯に事業を行っている事業所や事業所を利用する障害者の方々などの思いを尊重しながら、事業所支援の仕組みについて考えたい(局長)
【健康福祉局長】昨年8月のこの事件に先立ち、本市では、平成29年3月の厚生労働省の通知に基づき、市内102か所のA型事業所に対し実態調査を行い、そのうち生産活動収入において利用者の最低賃金が賄えていない83か所の事業所に対し、8月未を期日に経営改善計画書の提出をお願いし、現在、提出された経営改善計画等の内容について順次、事業所からの聞き取りを行っている。
 聞き取りの中で、倉敷市で予定されている経営に関する研修や経営アドバイザーの配置等の要望は、現状では聞いていませんが、利用者の様々な障害特性に配慮しながら最低賃金を賄うだけの仕事を創出することに苦心している状況を多くの事業所から聞いています。
 引き続き丁寧に聞き取りを行う中で、真摯にA型事業を行っている事業所やA型事業所を利用する障害者の方々などの思いを尊重しながら、事業所支援の仕組みについて考えていきたい。

障害のある人の人権を守る観点で、市がしっかり支援を(意見)
【岡田議員】すでに賃金未払いの状態が8ヶ月続いており、その苦悩は計り知れません。実態調査と適正な運営を確保することが最も重要です。実態調査で、最低賃金を賄うだけの仕事の確保に、多くの事業所が苦心しているということですから、事業所支援の仕組みに国と市が責任を持つことを求めます。
 今回、名古屋も含め他都市での起きた、賃金未払いのまま解雇という最悪の事態をきっかけに、事業所指定や監査指導の在り方など国の制度設計そのものの問題が指摘されています。あくまでも福祉事業でありますから、障害のある人の人権を守る観点で、市がしっかり支援していくよう要望します。

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