名港議会 高橋ゆうすけ議員の一般質問 再生可能エネルギ(2018年3月27日)

名古屋港における再生可能エネルギーについて

風力発電機の故障・撤去後の名古屋港での再生可能エネルギーの展望を描け
  高橋ゆうすけ議員

新舞子マリンパーク風力発電所2号機の障で撤去となった経緯は何か
【高橋議員】管理組合は名古屋港から排出される温室効果ガスの削減を図ることを目的として、2005年2月より、新舞子マリンパークにおいて、2機の風力発電の供用を始めました。管理組合の売電事業として毎年一定の収入を得ていた風力発電ですが、昨年1月、2号機においてギアボックスが故障して以降、現在1年以上発電を停止、補修もされていないままとなっています。その間この2号機の状態についての調査検討が行われたのかと思いますが、この1年間、2号機に対する補修については、どのような討がなされてきたのでしょうか。お答えください。

1号機(左)と2号機(右)

 この2号機については来年度予算案の中で、撤去するための費用が計上されています。その背景として、壊れたギアボックスを修繕したとしても、老朽化への対応による補修費の増大が懸念されているためとのことです。
 現在設置されている風力発電機は本来、耐用年数20年。しかし今回の予算案が可決されて、撤去されれば、2号機は13年で運用を停止することとなります。想定していた期間より早い段階での撤去だからこそ、このような事態を招いた検証をしていく必要があります。そもそも今回、なぜ耐用年数より早く、撤去せざるを得なくなったのでしょうか。2号機の補修を行い、今後の維持補修費も含めた場合、収支見通しは立たないということでしょうか、立たないのであればそれは何故なのでしょうか、お答えください。
デンマーク製のギアボックスの修理費が高額なため撤去することにした
【建設部長】新舞子マリンパーク風力発電所の2号機は、2017年1月に故障が発生し運転を停止しています。点検の結果、風車の羽根の回転を発電機に伝える主要な機器であるギヤボックスの故障が判明。その補修には、製造メーカーのあるデンマークからの機器の調達等により、多額の費用を要すると試算され、風力発電所の果たす役割とともに、施設の老朽化を踏まえた収支見通しや民間事業者への譲渡など1号機を含めた風力発電所のあり方について検討してきた。
 これら検討結果を踏まえ、経費負担を最小限に抑えるため、2号機は、2018年度予算に撤去費用を計上した。

風力発電所の温室効果ガス削減効果と成果はどんなものか
【高橋議員】風力発電は、単純に収支状況だけを見ればよいものではないと私は思っています。管理組合が風力発電を設置した目的は、先に述べた通り、名古屋港から排出される温室効果ガスの削減です。それは名古屋港の大気環境を改善し、そこで働く人や訪れる人たちの健康を守るためにも非常に大事な視点だと思います。これまで風力発電が担ってきた効果の検証も併せて行う必要性もあります。そこでお伺いします。2005年に売電を開始してからこれまで、温室効果ガスの削減効果はどれほどあったのでしょうか。管理組合としてその成果はどのように捉えているのでしょうか。

風車2基の平均年間発電量は一般家庭500世帯分に相当する約230万KWh
【企画調整室長】新舞子マリンパーク風力発電所は、港湾管理者が自ら率先して再生可能エネルギーを活用した電力供給源を確保し、温室効果ガスの削減を図ることを目的に、2005年2月に供用を開始した。2005年度から2016年度までの風車2基による平均年間発電量は、一般家庭の約500世帯分に相当する約230万キロワットアワー(KWh)(*)であり、温室効果ガス削減量は、二酸化炭素換算で1年当たり平均約1,100トンを削減している。
 新舞子マリンパーク風力発電所は、名古屋港における再生可能エネルギー設備の先導的役割を果たしており、2015年10月には、本組合が誘致した大規模太陽光発電設備「ソーラーパーク新舞子」が南5区にオープンするなど、港内各所で民間企業によるメガソーラーが立地している。この他、新舞子マリンパーク風力発電所は、地球温暖化問題や再生可能エネルギーに関する環境啓発の一助となっている。
 * 環境省HP  「家庭からの二酸化炭素排出童の推計に係る実態調査全国試験調査」(平成26年10月~平成27年9月)、世帯当たりの電気の年間消費量:4,397KWh

今後の温室効果ガス削減に向けた取組・方針は何か
【高橋議員】2号機を撤去した後は、1号機のみで発電事業が行われることになります。そして2025年には1号機も20年を経過することから撤去も想定されます。撤去した後のことについてのことも考えていかなければなりません。風力発電がなくなれば、それだけ他のエネルギーに頼ることとなり、温室効果ガスの排出につながってしまうわけですから、名古屋港の温室効果ガスの削減を今後どのように進めていくのかも大事な視点となるのではないでしょうか。
 管理組合として、今後の温室効果ガス削減に向けた取り組み・方針について、どのように考えているのか、お答えください。

民間事業者を支援し太陽光発電を促し、温室効果ガス削減に取り組む
【企画調整室長】温室効果ガス削減に向けた取組として、稼働中の1号機を耐用年数に達する2024年度を見据え、適正な維持管理で稼働を継続、太陽光発電では、臨港地区の規制緩和により、民間事業者によるメガソーラーが港内各所で立地しており、引き続き、進出を希望する民間事業者を支援し、名古屋港における太陽光発電設備の立地を促していく。鍋田ふ頭のコンテナターミナルでは、ターミナル運営会社が荷役機械の低炭素化をはじめ太陽光発電設備の活用を図っており、本組合も協力してきた。
 今後も民間事業者の取組を支援するなど、名古屋港の温室効果ガス削減に向けて、引き続き取り組んでいく。

計画時の風況調査の方法や発電量見込みは適正だったのか(再質問)
【高橋議員】これまで温室効果ガスの削減や環境啓発に一定の成果はあったというものの、今回は機器の調達・今後の老朽化を踏まえた収支見通しなどから、経費負担を最小限に抑えるために撤去いるとのことでした。機械だから想定よりも早く壊れるということもありうるでしょう。そういった不測の事態も予測した収支見通しを立てる必要もあったはずですが、今回の故障で、その見通しが立たなくなってしまったわけです。そもそもこの場所への風力発電設備の整備そのものが適切だったのか、疑問を感じざるをえません。調べたところ、風力発電整備前の風況見込みは地上高65m地点で6m/s。一方実際に運用開始後の風況の平均値は5.3m/sです。どうしてこのような誤差が生じてしまったのでしょうか。そもそもこのような大きな誤差を生じさせないための詳細な調査・検討は行われなかったのでしょうか。そこでお尋ねします。風力発電設置前の風況調査について、どれだけの期間、どのような方法で行ったのでしょうか。また、この場所における風力発電は当初の見込み通りの効率で発電されたのでしょうか。

NEDOの「マニュアル」に基いた測定で推計したが、実際は下回った
【建設部長】新舞子マリンパーク風力発電所は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)発行の「風況精査マニュアル」に基づき、2000年7月から2001年6月までの1年間、高さ20mにおける風況観測を実施した結果をもとに、実際に設置する高さ65mにおける平均風速を毎秒6mと推算し、風力発電所の年間発電量を約300万キロワットアワーと想定したが、実際には、当地区の風況状況や点検・故障などによる運転停止で、年間発電量は平均約230万キロワットアワーとなっている。
これまでの運用実績を踏まえ、風力発電事業をどうするのか
【高橋議員】2号機を撤去した後、跡地には風力発電が再整備されるのかどうか。その方向性についてははっきりと示されていません。いったいどうなっていくのでしょうか。温室効果ガスの削減に寄与してきた風力発電事業について、否定するものではありません。今後も温室効果ガスの削減を進めるためにもこの地域で再び、風力発電を含めた再生可能エネルギーを利用した発電というものも視野に入れた跡地利用を検討していくべきだと思います。そこでお聞きしますが、跡地利用については、これまでの運用を通して明らかになったことをきちんと検証したうえで、再度の風力発電整備、もしくは他の再生可能エネルギーへの転換など、色々と考えられるかと思いますが、管理組合としては風力発電事業の今後について、どのように考えているのでしょうか。

採算が展望できるようになった場合などには検討する
【企画調整室長】年間発電量の実績は当初計画を下回る結果となったが、重大な故障がなければ2号機の運用を継続できたと考えている。
 風力発電を取り巻く情勢を注視し、風力発電技術の進歩による発電効率の向上と、設備費の低廉化が図られる等、事業採算が展望できるようになった場合、あるいは民間事業者から名古屋港内において風力発電事業に取り組む意向が示された場合は、改めてその取扱いを検討する。

今後の再生可能エネルギーに関する環境啓発のとりくみはどうするのか
【高橋議員】環境啓発の一助となってきたということですが、あの大きな風車が一基なくなれば、大きく印象は変わります。また、1号機については現時点では方向性は決まっていないようですが、利用できなくなった際に2号機と同様撤去されたら、再生可能エネルギー事業の後退として見られてしまうのではないか、不安を感じるところです。これまで本港での再生可能エネルギーについて、先導的役割を果たしてきたということですが、これで終わりではなく、今後の環境啓発についてもしっかりとしたビジョンを持って進めていかなければならないと考えますが、管理組合として、今後の再生可能エネルギーに関する環境啓発について、どのように考えているのか、お答えください。

風力発電所1号機や太陽光発電を通じて広くアピールし環境啓発する
【企画調整室長】新舞子マリンパーク風力発電所は、再生可能エネルギーに関する環境啓発の役割を担っており、名古屋港内では、風力発電所に続き、本組合が誘致しました「ソーラーパーク新舞子」を始めとするメガソーラーが立地している。
 環境イベント等においてパンフレット、パネル展示による啓発や新舞子マリンパークを訪れた人々に対して風力による発電量の表示など、環境啓発活動を行ってきたが、引き続き、稼働中の風力発電所1号機や太陽光発電を通じて広くアピールし、環境啓発に努める。

海を生かした再生可能エネルギーを研究機関と連携して研究するなど、温室効果ガス削減のために何ができるか、方向性を明確に持つべきだ(意見)
【高橋議員】NEDOのマニュアルに基づき地上高20m地点における風況観測結果を基にして算出したとのことでしたが、実際の風況状況、点検故障などの運転停止の結果、予定より大きく下回る結果となったことについては、予測そのものが不十分だったためであり、それが収支見通しの甘さにつながったと指摘しておきます。
 民間事業者による再生可能エネルギーの整備の取り組みを支援することは名古屋港での温室効果ガス削減の取り組みとして大事なことです。それはそれで進めていただければと思います。これまで本港の風力発電が再生可能エネルギーに関する環境啓発、先導的役割を果たしてきたと。そんな中風力発電を1基なくすのですから、より主体的に今後の方向性を持って取り組んでいただきたいのです。
 私は風力発電にこだわるつもりはありません。海という立地を生かした再生可能エネルギーを、跡地で研究機関と連携した研究するということもありかと思います。本港での温室効果ガスを減らすために、管理組合として積極的に何ができるか、方向性を明確に持つべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。

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