2018年6月定例会
藤井ひろき議員の議案外質問①(2018年6月22日)
介護保険の利用料軽減を
藤井ひろき議員
低所得高齢者を対象に介護サービス利用料を軽減すべきでは
【藤井議員】先日、老々介護をされている皆さんにお会いしてきました。認知症の夫を介護する女性からは「在宅介護を前面に推し進めるのであれば、介護する人のフォローをしっかりしてほしい」、神経障害で膝から下がマヒして歩行が困難な妻を介護する男性からは「自分の息子や娘に、自分たちの介護を頼れる時代ではなくなった」などの声がありました。
80代2人暮らし夫婦の老々介護の実態を、紹介します。要介護5、障害者1級の妻を夫が介護しています。妻は、ベッドから降り立つことはできますが、歩行はできず、寝たきりに近い状態です。「できるだけ、自宅で過ごしたい」という妻の希望に応えて、デイサービスを週4日利用され、残り3日間は、ヘルパーを利用しています。月の介護保険利用料は6万円を超えるため、高額介護サービス費を利用しています。上限額24,600円ですが、介護に関する費用はこれだけではすみません。「自分の飯は自炊するが妻には、柔らかい美味しい物を食べさせたい」と、妻の毎日の夕食は配食サービスを利用します。この夕食代で月19,200円かかります。これは介護保険の対象外です。同じく対象にならない紙おむつ代が月3,000円ほど、他にも介護に関わる日常生活費を合わせますと、介護に関する費用は、毎月5万円を超えます。
介護保険利用料の一割負担と、保険外の負担を合わせた介護関連費用が、在宅介護で大きな負担となっています。夫婦の年金、月169,000円から、アパートの家賃や社会保険料を引き、介護に関する費用を引きますと残り7万円ほど。これが月の日常生活に使える金額です。夫は話します。「連れ添って55年、長年支え合ってきたが、日々の介護で、ゆううつになる時もある」。こういった声や相談は少なくありません。
わが会派はこの間、この場で介護保険利用料の減免を求めてきました。2011年3月定例会では、「低所得者のための利用料の減免を行なう御意思はありませんか」のわが会派の質問に対し、河村市長は「せっかく御指摘があったので、ちょっと一遍勉強させていただいて」と答弁しています。
勉強している間に何が起きたか。1割負担が、一定の所得がある方には2割負担へと増えました。保険料も利用料も負担が重くなってきただけではありませんか。愛知県下54の自治体では、どうでしょうか。21市町(しまち)において、介護保険利用料の低所得者減免を実施しています。そのうち9自治体が一般会計からの繰り入れを行なっています。「介護保険制度は全国一律の制度だから、法制度の枠組みの中で対応を」と名古屋市はいつも言っていますが、これだけの自治体が独自に低所得者減免を行なっています。
在宅で介護をがんばっている、低所得高齢者を対象にした介護保険利用料減免、たとえば非課税世帯の在宅介護において、まずはデイサービスやヘルパーなどの利用料を軽減すべきと考えますが、いかがですか。
「全国一律」制度なので、介護負担の軽減を国に要望している(健康福祉局長)
【健康福祉局長】介護保険制度は全国一律の制度であることから、利用料の負担軽減については、本来、法制度の枠組みの中で対応するべきものと考える。
本市では、法制度の枠組みの中での低所得者の利用料負担軽減として、平成30年1月から、認知症高齢者グループホームに入居する低所得の方に対する居住費の助成を行っている。
全額市費による低所得者の方に対する利用料の負担軽減は困難なので、利用料の負担軽減について必要な措置を講ずるよう、大都市民生主管局長会議等の要望活動を通じ、国に対し要望している。
保険外の介護負担は「全国一律」ではない。市は実態を把握しているのか(再質問)
【藤井議員】河村市長の「一遍勉強させていただいて」の答弁から7年、そして国に対して十数年に渡って、要望し続けてきただけで何の変化もありません。県下では、すでに約4割の自治体が取り組んでいるのです。この春の値上げで、県下で一番高くなりました。せめて、利用料減免に、一歩踏み出すべきです。
在宅介護をされている、低所得高齢者の負担について今回、指摘しました。「介護保険制度は全国一律の」とのご答弁ですが、保険外の負担は「全国一律」ではありません。
介護保険以外にも介護に関する負担がある。在宅介護のこの負担が重いと考えていますか。今回紹介したような在宅介護の低所得高齢者の負担や実態について、当局は具体的に把握していますか。お答えください。
低所得者にとっては介護関連の費用が負担になると考える(健康福祉局長)
【健康福祉局長】市では、要介護高齢者の介護実態を把握するため、介護保険在宅サービス利用者調査を3年ごとに実施しています。
在宅介護をしている低所得の高齢者の状況によっては、介護関連の費用が負担になることがあり、利用料の負担軽減について必要な措置を講ずるよう、大都市民生主管局長会議等の要望活動を通じ、国に対し要望している。
聞き取り調査でリアルな実態を把握し、市独自の負担軽減策を(要望)
【藤井議員】在宅サービス利用者調査では、「介護に関する悩みや心配事について」の質問で「介護に要する費用の負担が大きい」の選択肢はありますが、毎月、いくら払っているのか、保険外の負担がどれだけあるのかについては聞いてないじゃありませんか。
これでは在宅介護をしている低所得高齢者の負担や実態について、リアルに把握するのは難しいと考えます。直接聞き取り調査を行って、その実態を把握してください。
低所得の在宅介護サービス利用者に対して、市独自に支援する考えは
【藤井議員】介護保険以外に、低所得の在宅高齢者の介護に対し、自治体独自のサービスが行われているところもあります。
たとえば新潟市では、在宅の要介護高齢者を介護している方に、介護サービス利用支援給付費を支給しています。要介護3~5で市民税非課税世帯に該当する65歳以上の高齢者を在宅で介護している同居の家族に、月額8,000円、年4回(7,10,1,4月)支給しており、年5,000件を超す実績であると伺いました。介護保険以外にも独自の仕組みをつくり、介護者の負担軽減につなげているのです。
名古屋市として、低所得者の介護保険利用者に対し、費用負担を少しでも軽くする施策ができないでしょうか。在宅で介護をされる場合、介護保険以外にも費用がかかり、低所得の在宅介護者には負担が重いと考えます。負担軽減のため、在宅で介護している同居の家族に、市独自の介護サービス利用支援給付費を行う考えはありませんか。
(国の)制度の枠組みで対応すべきと考える(健康福祉局長)
【健康福祉局長】在宅の要介護者を介護している方への給付制度も「全国一律」の介護保険制度の枠組みの中で対応すべきものと考えており、必要な介護サービスを安心して利用いただけるよう相談体制の充実等に努めます。
他自治体のように、市独自に負担軽減に取り組むべき(要望)
【藤井議員】保険外の負担に対し、介護支援給付費や紙おむつの支給などに取組んでいる自治体もあります。「在宅介護をされている低所得の高齢者にとって、その方の状況によっては、介護関連の費用が負担になることがある」と答弁されました。負担を認めるのであれば、本市でも独自に利用者負担の軽減に取り組むよう、強く要望します。