青木ともこ議員の議案外質問②(2018年9月21日)
リニア名古屋駅付近に推定される断層への認識について
青木ともこ議員
名古屋都心部の推定断層とリニアルートが交差のおそれ
【青木議員】断層が引き起こす地震は、熊本、大阪北部、北海道胆振東部と、各地で甚大な被害をもたらしています。現在、確認されているだけでも2000本以上の断層が全国に存在するといわれますが、各地の地震災害には、これまで見つかっていなかった断層が引き起こしたとされる事例が相次いで報告され、「未知の断層」への警戒が高まっています。
2016年4月発生の熊本地震が、活断層によるものと評価されたことを受け、本市付近に推定される断層、いわゆる「堀川・尼ケ坂断層」などの調査が行われました。こちらのパネルをご覧ください。本市が過去の調査研究にもとづき推定断層の位置を赤い線で示し、公表したものです。防災危機管理局は、同年12月、推定断層について「地表に撓曲(たわみ)が確認されており、これを生じさせる断層の可能性は否定できない」との調査結果を公表。対策を講じる必要があるとして、現在、国に詳細な調査を求めています。名古屋の都心部を南北に縦断するといわれる断層、「もしものことがあれば」、その影響を考えると、一刻も早い解明が急がれます。 そして、もうひとつの問題として、今回取りあげたいのは、この推定断層にリニアが交差するかもしれないということです。このパネルの図に、JR東海が公表しているリニアのルートを黄色で示して重ねると、このようになります。
JR東海が2027年の名古屋開業をめざすリニアについて、私は繰り返し取りあげてきましたが、2015年6月の本会議では、南アルプスの中央構造線など、日本第1級の活断層を通過するリニアの危険性について、多くの専門家が警戒していることを指摘しました。
危機管理の視点から大いに問題があるリニアですが、事業のあり方についても、ここで一言触れます。ビジネス雑誌の大手「日経ビジネス」8月20日号は、「リニア新幹線 夢か、悪夢か」と題して、リニアを大々的に特集しました。見出しには、「陸のコンコルド」「談合が生まれる構図」「第3の森加計問題」など、多面的にリニア事業の実態に切り込み、注目されました。
何かと疑問が広がるリニアですが、話を戻しますと、本市には、「堀川・尼ケ坂」の解明を急ぐとともに、リニア事業の安全性にも、関係自治体として、危機管理の視点で注視していく責任があると考えます。
この問題には、リニア沿線住民の関心が高く、各地の工事説明会や公聴会で質問が相次ぎました。JR東海の回答は、「断層については自社の調査で問題はないと判断している」というものでした。そこで防災危機管理局長にお尋ねします。
本市付近に推定される断層の調査結果に照らして、「自社の調査で問題はない」というJR東海の回答をどう受け止めておられますか。見解をお聞かせください。
断層の評価を実施するよう、国への働きかけが重要(局長)
【防災危機管理局長】推定断層は、2016年度に本市が専門家とともに行った調査結果で、「明確な地層の変位は確認されなかったが、地表をたわませるような断層の可能性は否定できない」とされた一方、「断層の有無を明らかにするためには、国による詳細な調査が必要」とされたところです。
鉄道事業者が実施した調査はリニア中央新幹線の事業区域を対象にしたもの。市の調査区域とは異なるが、所定の手続きや指針に基づいてボーリング調査等を実施し、推定されている断層は事業区域周辺には達していないと判断されたものです。
この調査結果は、推定されている断層について知見を高める上で参考になる一方で、断層の有無を明らかにすることは、専門性が高く技術的知見を要するため、国で断層の評価を実施するよう働きかけを行っていくことが重要です。
一刻も早い国による専門的な調査を国に求めるべき(再質問)
【青木議員】JR東海が実施した調査の結果は参考になるが、断層の有無を明らかにするには、高い専門性と技術的知見を要するので、国の評価が必要とのお答えでした。私は、堀川・尼ケ坂断層の調査研究に関わる、専門家の方に直接うかがいましたが、JR東海の見解はひとつの説としても、あらゆる可能性を追求する立場で見れば、十分な調査とは言えず、やはり国による専門的な調査が必要との見解でした。そこで、おたずねします。
本市は2016年12月に推定断層の調査結果を発表して以降、国に対し断層の評価を要望してきたわけですが、すでに2年近くが経過しています。国はどのように回答しているのでしょうか。この間にも、「未知の断層」が関わるとされる地震災害が相次いでいます。堀川・尼ケ坂断層の可能性に、解明が急がれます。本市としては、国に対し、一層強く求めていくべきではありませんか。見解を求めます。
国に本市付近に推定される断層の評価を強く求める(局長)
【防災危機管理局長】国は、2012年度から全国をエリアに分けて評価を行う「地域評価」を順次実施しており、九州、関東、中国及び四国地域の評価を終え、現在、中日本地域に係る評価に着手していると聞いている。市としては、国において断層の評価を実施するよう、強く働きかけたい。
1日も早く調査が進むよう、国に働きかけを(意見)
【青木議員】防災危機管理局長から「国に強く働きかけていく」との決意をお聴きしました。1日も早く調査が進むことを期待します。そして、リニアについては、事業の安全性を注視して頂き、必要に応じて、防災危機管理の立場から意見を述べてくださいますことをお願いいたします。
キーワード:環境と防災、まちづくり、大型開発・ムダ遣い見直し、リニア、青木ともこ