高橋ゆうすけ議員の議案外質問②(2018年9月21日)
中村区役所への地中熱利用を
高橋ゆうすけ 議員
市の施設の移転改築時に地中熱ヒートポンプシステムの導入で、年間通して15度の安定した地中熱の利用を
【高橋議員】冷暖房を行うにあたっては、地中熱を利用した冷暖房システムの利用促進も挙げられています。これは一年を通して安定した温度となっている地中の熱を、ヒートポンプや空気循環・水循環といった仕組みで建物内の温度管理に利用するというものです。今日はその中で、ヒートポンプシステムについて提案をしたいと思います。(パネル掲示)地中熱利用ヒートポンプシステムは、地中に設置された地中熱交換機に不凍液等を循環させ、室内に設置したヒートポンプによって熱交換させることによって冷房や暖房などに利用するもので、設置場所を問いません。地中の熱を取り出すために電力を必要としますが、必要となる電力量を大幅に削減させることができるものです。環境省の資料によると、特に6月から9月の冷房の必要となる時期には、70%近くの節電になるとの報告もあります。電力消費が抑えられれば、CO2発生量を大きく抑えることが可能であり、また空調の排熱によるヒートアイランド現象の抑制にもつながるため、導入するオフィスも広がりつつあります。
名古屋市の地下5mの温度も、年間通して15度前後と安定していると言われており、地中熱を利用できる条件は整っています。本市が率先して地中熱利用を進めていくべきです。たとえば本市施設の老朽化に伴う移転改築等を行う際、地中熱ヒートポンプシステムを導入するということも必要ではないでしょうか。
現在移転改築が予定されている中村区役所の改築基本計画では、基本方針に「(5)環境に配慮した施設」として、「太陽光発電などの再生可能エネルギーの利用、建物の断熱性能向上や省エネ機器の採用を図るなど、環境に配慮した施設とします」「『名古屋市役所環境行動計画2030』に基づき、温室効果ガス排出量削減等の環境配慮に取り組む施設とします」とありますが、まずは中村区役所に地中熱利用ヒートポンプを設置してみてはいかがですか。
民間事業者のノウハウを活かした提案を求めている(局長)
【市民経済局長】中村区役所等複合庁舎等整備事業は、今年8月から設計・施工を一括で担う事業者を公募している。この公募は、具体的な仕様に基づいた発注ではなく、市が求める施設の機能や性能を規定して発注しており、それ以上の部分は事業者の提案に委ねている。この機能や性能の一部として「環境に配慮した施設」等の項目も盛り込んでおり、現在民間事業者のノウハウを活かした提案を求めている。
今後、民間事業者から具体的な提案がされてくるので、環境配慮の観点も含め、最適な提案を選定したい。
未来に環境負債を残さないためにも、地中熱利用など、できることに取り組め(再質問)
【高橋議員】中村区役所新庁舎については事業者からの提案に委ねているとのことでしたが、今後、市がどれだけCO2削減を進めていくのかを考えれば、もっと積極的な提案がされても良かったのではないでしょうか。未来に環境負債を残さないようにするためにも、できることにとにかく取り組む、その姿勢は今後さらに求められてくるでしょう。
全国でも、公共施設に地中熱を導入する自治体も広まりつつあります。仙台市では市役所分庁舎で導入、今後進められる本庁舎の建て替えにあたっても環境負荷の低減を図るために地中熱利用も含めた環境配慮技術の導入を検討がされているそうです。県内では豊明市や西尾市などでも地中熱が利用されています。
そこで環境局長に再質問させていただきます。本気でCO2の削減を進めるためにも、学校や体育館、区役所など本市施設への地中熱利用ヒートポンプシステムの導入を積極的に進める方針を具体化してはいかがですか。
市施設の新築・改築には自然エネルギーの活用を働きかけたい(再質問)
【環境局長】市施設への導入は、最新技術の情理収集に努めるほか、他都市の事例などを調査し、導入に向けた研究を進め、本市施設の新築・改築を行う際には、関係局に対し、地中熱を含めた自然エネルギーの活用を働きかけていきたい。
本気になって考えよ(意見)
【高橋議員】関係局に働きかけるとの回答をいただきました。CO2削減は環境局だけで考える課題ではありません。市全体で考えていく課題であり、市の施策として非常に大事な視点です。導入に当たっては費用対効果の課題等もあるかもしれませんが、環境に対してどれだけ配慮するのか、本気になって考えていただきたいと思います。
また地中熱だけではなく、太陽光発電や蓄電システムなどと組み合わせることによって、エネルギーを地産地消することができ、災害発生時の電源の確保にもつながります。今後、本市の公共施設の建て替えや改修を進める際、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化も含めた、環境への配慮を本気で進める計画も立てていただきたいと、強く要望しておきます。
キーワード:環境と防災、まちづくり、高橋ゆうすけ