柴田民雄議員の2017決算に対する反対討論(2018年10月17日)
委託や統合などで福祉・サービスを縮小・解体。市民の意見を聞かず、自分勝手な市政運営は許せない(2017決算)
柴田民雄 議員
安倍政権いいなりに 民間委託や統廃合
【柴田議員】日本共産党名古屋市会議員団を代表し、2017年度名古屋市一般会計決算認定案に対して、反対の立場から討論を行います。
この年も河村市政は、安倍政権の方針言いなりに、民間委託で人減らしを行い、公共施設の統廃合を推進しました。
要介護認定事務の集約・委託化で 大混乱
まず、要介護認定事務の集約化・外部委託化を、現場を詳しく知らないまま「委託ありき」で進めたことで、「介護認定の決定に従前よりも大幅な期間を要する事態が発生し、大きな混乱を招いた」と、監査委員からも指摘を受ける重大事態を引き起こしました。介護認定という介護保険制度の根幹にかかわる部分は、直営に戻すべきであり、委託化を前提とした介護保険会計への繰出は認められません。
市立幼稚園や図書館、若宮商業高校などの統廃合や廃止計画に市民は猛反対
また、3つの幼稚園の廃止計画、図書館の規模縮小・指定管理を進めるアクティブライブラリー構想、若宮商業高校の廃校計画など、相次ぐ教育施設の統廃合計画を打ち出しました。しかし、いずれも当事者を中心に市民の大きな反対運動が起こり、その中で若宮商業高校の廃校方針は撤回に追い込まれました。
公立保育園の民間移管推進に、引き受け法人がゼロの事案も
この年3つの公立保育所が民間移管され、公募要件を緩和したまま、さらに6ヶ所の民間移管の準備がすすめられました。民間保育園からは、「待機児童対策で受け入れを増やす上に、公立の運営まで引き受けるのは質を保つ限界を超えている」との声が上がっています。引き受ける法人の応募がゼロという事態にまで至った民間移管は、ストップすべきです。
学校給食調理業務の民間委託を8校に拡大、衛生面の不安への対応で経費増
小学校給食調理業務の民間委託は2年目となり、前年度の3校に続き、新たに5つの小学校へ委託を広げました。こちらは前年度に相次いだトラブルの反省から委託要件を厳しくしたため委託料が上昇したことに加え、衛生面が不安だと「衛生等指導員」を追加配置せざるを得なくなり、目的とする経費削減効果はほぼ打ち消されました。直営に戻すべきです。
減税財源を確保するために統廃合や民間移管を推進
これらの市民サービス削減・人減らしの「テコ」とされてきたのが、意図的に財源不足を作り出す、市民税減税です。
減税の経済効果は少ないとの検証結果
市民税減税は、例えば個人市民税で見ると、市民全体の人口のたった1割以下のお金持ちに、減税総額の6割近くの約50億円をプレゼントするという「金持ち減税」です。ではそのプレゼントをもらった皆さんが、経済効果をもたらしてくれたかと言えば、この年の11月に報告された市民税減税の検証結果でも、経済効果はほとんど無い、むしろ減税しない方が指標は伸びるというシミュレーション結果が明らかとなりました。
この検証結果を受けて、法人市民税の方は廃止が決まりましたが、個人市民税のほうも、きっぱり廃止すべきです。
過大な需要予測に基づく大型事業を推進
こうして市民税減税を「テコ」に市民サービスを低下させてきた一方で、将来の市民の暮らしに大きなツケを回す、過大な需要予測に基づく大型事業を推進しました。
名駅南巨大地下通路は中止を
「リニア」開業を見据えた街づくりの一環として計画された、笹島交差点から南に向けての巨大地下通路の整備では、その必要性として、「名駅通の歩行者量の増加」や、「名古屋駅からの距離感の軽減」などが挙げられていました。しかし、この年、ささしまライブ24地区の「まちびらき」後の歩行者量の調査結果では、休日のピーク時ですら、予測量の6割程度にしか達しませんでした。あおなみ線、ウエルカムバスの利用客数も増えており、不要な地下通路計画は中止すべきです。
中空の発着回数は前年より減
中部国際空港2本目滑走路建設促進期成同盟会負担金の支出も認められません。現空港の旅客数は当初目標値に届かず、旅客機と貨物機合計の航空機発着数は、前年度に比べ減少しています。全国的視野で見れば空港数は過剰です。2本目を作る必要はありません。
市民を無視した天守閣木造復元
また、市民合意の無い2022年完成を目指す天守閣木造化のための基本設計などの事業費支出は認められません。「木造化すれば入場者が現在の倍近くに増え、505億円もの建設費が入場料だけで賄える」と言う根拠もあいまいです。石垣の保全修復問題、バリアフリー問題などを解決しないまま強引に推進したことが、文化庁への「現状変更許可」申請すらできないという事態につながっています。いったん立ち止まって市民の声を聞くべきです。
市民の暮らし優先の市政に
以上、反対の主な理由を申し上げました。改めて、市民の暮らしや福祉の願いを実現する市政へと舵を切り変えることを求めて、討論を終わります。
キーワード:福祉・介護・医療、環境と防災、まちづくり、大型開発・ムダ遣い見直し、平和と人権、市民生活、税、地方自治体と住民参加、柴田たみお