名港議会 高橋ゆうすけ議員の一般質問①再生可能エネルギー(2018年11月5日)

名古屋港での再生可能エネルギーの利活用について
                     高橋ゆうすけ 議員

新舞子風力発電所2号機の撤去取りやめは歓迎するが、収支見通しと3月定例会で撤去といったことへの検証を問う
【高橋議員】今年の3月定例会で審議された当初予算の中で、新舞子マリンパークに設置されている2基の風力発電のうち2号機の撤去費用が計上されました。このことについて私は本会議で質問を行いましたが、今回、撤去せずに残すための補正予算が提案されました。大きな方針転換が行われたことから、改めて質問をしたいと思います。
 まずこの間の経緯を確認します。新舞子マリンパークに設置された風力発電は2005年2月、名古屋港から排出される温室効果ガスの削減を図ることを目的として供用が開始されました。ここで発電された電気が、毎年管理組合の売電事業として一定の収入を得ていたわけですが、昨年1月、2号機においてギアボックスが故障、その後1年以上発電を停止していました。点検した結果、ギアボックスの補修には、製造メーカーのあるデンマークからの機器の調達等により、多額の費用を要すると試算、施設の老朽化状況を踏まえた収支見通しなどを検討した結果、経費負担を最小限に抑えるため、2号機の撤去費用が計上されました。
 今回、2号機撤去等を取り下げるための減額補正が出され、今後補修し、

再度利用することとの提案がされています。再生可能エネルギーである風力発電が息を吹き返すことに、私は嬉しい気持ちもありますが、複雑な気持ちもあります。3月定例会で議論した中身は何だったのか、再度使用できるのであればなぜその時に提案されなかったのか。さらに言えば補修に多額の費用が必要になり赤字が膨れ上がるとされた検証自体が不十分なものだったのか。状況が大きく変わったから必要経費も変わったのか。議会が振り回された感が拭い去れません。
 そこでお聞きします。今回、風力発電2号機の撤去を取りやめるにあたって、収支の見通しが大きく変わったのか、変わったのであれば何が変わったのでしょうか。また、3月定例会の際に説明された内容と異なる提案が今回されたことについて、果たしてそれまでの検証が正しいものだったのか、どのように認識をされているのか、お答えください。

風力発電所2号機の経緯
・当初(2017年度):故障したギアボックスの繍修費が高額で、収支見通しから、経費負担を最小限にとどめるため2号機を撤去(2018年1月地元説明)
・2018年3月・・・名古屋港管理敵合議会で撤去予算を議決
・2018年3月・・・国の政策。再生可能エネルギーの主力電源化を目指す「再エネ加速化・最大化促進プログラム(2018年3月環境省)」
・2018年7月・・・国の政策。地方公共団体は取組を加速化最大化する必要があるとする「第5次エネルギー基本計画(2018年7月閣議決定)」
・2018年7月・・・地元から「シンボルとして2基とも残してほしい」の要請
・2018年9月・・・予防保全の考え方を導入して工法を見直し、収支改善を図る方針に変更、地球温暖化対策に係る情勢を再認識し、2号機の補修、稼働継続を行う
新舞子マリンパーク
風力発電所2号機
仕様 850kW × 2基
発電量
 売電 約230万kWh/年
 供給 16万kWh/年
供用開始 2005年2月

補修費や発電機の取替えなどで売電収入が減少し、撤去より収支見込みが悪いと試算したが、今回工法の見直し等を行った(部長)
【建設部長】3月定例会での2号機の補修にかかる検証としては、故障したギアボックス(風車の羽の回転を伝える主要機器)を補修した後、発電機は故障した時点で取替えるという補修計画としていた。このため、発電停止期間が長く、売電収入が減少するうえ、補修費が割高だったため、撤去と比較し、収支見込みが悪かった。
 2号機再稼働による収支見通しは、今回、予防保全の考え方を導入し、ギアボックスと発電機の同時補修で、工事費の削減が図られ、工事期間の短縮が可能となり発電期間が確保できたことから、売電収入の増加が見込めるようになった。

水族館等を活用した太陽光パネル設置や地中熱等の再生可能エネルギーの利用計画を(意見)
【高橋議員】検証自体は問題なかったとのことですが、結果としては大きく収支見通しが変わる見込みとなったわけで、検証の幅が狭かったわけです。今回のことをしっかりと反省し、今後に生かしていただきたいと要望し、風力発電2号機撤去取り下げについては引き続き委員会で議論をしたいと思います。

今後の名古屋港における再生可能エネルギーのあり方等を考えよ
【高橋議員】今回、改めて風力発電を利用することとした背景には、今年3月に環境省が出した再エネ加速化・最大化促進プログラム2018年版があると聞いています。このプログラムでは、「1.脱炭素社会実現のために、再エネを主力エネルギー源とすることが必要」とされ、かつ、「地域資源である再エネを・・・地方公共団体が、担い手となって、自ら開発して、自ら消費し、または収益を地域経済に循環させる取組を加速化・最大化していく必要が」あるとされています。
 地球温暖化が進み、今年の夏、名古屋市では35度以上の猛暑日が36日、最高40.3度を記録。周辺市町でも熱中症などによる被害が拡大する中、低炭素社会の実現は喫緊の課題です。そういった中でこれまで管理組合が運用してきた風力発電は、温暖化対策としても重要な役割を果たしてきたと私は評価しています。
 また、再エネ加速化・最大化プログラムの中では、「災害時にも途絶しにくい自律的なエネルギー源」として、再エネに取り組むことが必要とされています。この夏、日本全国で様々な災害が発生する中、北海道胆振東部地震では北海道全体がブラックアウトするなど、電力の集中・大型化による問題も明らかとなった今、災害時の物資の受け入れ港ともなる本港において、電力を確保するための方策として、太陽光や風力、そしてこれまで活用されてこなかった様々な再生可能エネルギーの利活用についても考えていかなければなりません。
 私は、風力発電2号機の撤去費が計上された3月定例会で、撤去するとしても、この地域の跡地利用として、再生可能エネルギーによる発電も視野に入れていくべきと提案しましたが、当局からは「情勢を注視し、改めてその取扱いを検討する」という積極性に乏しい答弁しかありませんでした。しかし情勢は、地域を主体とする再省畜エネ活用の促進へと舵を取り始めています。倉庫・建屋の屋根や壁面を利用した太陽光発電の設置など、本港でできることはまだまだあるはずです。
 そこでお聞きします。管理組合は国の方針をどのように受け止め、今後本港における再生可能エネルギーの在り方について、どのように考えているのでしょうか。本港における再生可能エネルギー政策を独自に作成する必要があるのではありませんか、お答えください。(再エネ加速化・最大化促進プログラム2018年版の概要。)

国の政策で風力発電所の収支改善に努めて継続、名古屋港の再生可能エネルギーのあり方を検討する(室長)
【企画調整室長】2018年3月に環境省の「再エネ加速化・最大化促進プロクラム」が策定され、7月には第5次エネルギー基本計画」が閣議決定され、国の新たな政策を踏まえ、再生可能エネルギーの取組を着実に進めていくことが必要と考えています。
 まずは、既存施設の有効活用を図ることとし、新舞子マリンパーク風力発電所は、環境振興基金の収支改善に努めつつ稼働継続するとともに、名古屋港における再生可能エネルギーのあり方について検討していきます。

名古屋港水族館メインプールの観客席屋根などを利用した太陽光パネル設置のほか、これまで利用してこなかった再生可能熱エネルギーを利用したシステムを本港施設へ導入を(再質問)
【高橋議員】再生可能エネルギーについては、今後、新たなエネルギーについて、より一層利用促進を図らなければなりません。この地域で災害による停電が発生したとしても、港湾機能が停止せずに、支援物資の受け入れができるような、電力の確保策を準備しておくことは非常に重要なことです。そのためにも本港で何ができるか、本気で考え示していただきたい。たとえば名古屋港水族館メインプールの観客席屋根などを利用して太陽光パネルを設置し、水族館の魅力向上とともに、環境へ配慮した施設とすることを検討してはいかがですか。また本港の所有する建屋等の屋根を利用した太陽光パネルの設置も進めてはいかがですか。
 風力や太陽光による発電はもちろんのこと、ヒートアイランド現象の抑制などのためには、外気への排熱を伴わない地中の熱や太陽熱を利用した冷暖房や給湯システム等の構築による省エネ化も検討すべきです。たとえば地中熱利用ヒートポンプシステムは、年間を通じて安定した温度となっている地中の熱を熱交換器によって取り出して空調に利用し、排熱はすべて地中に戻すため、都心部で発生しやすいヒートアイランド現象の抑制に大きな役割を発揮しており、国においても、導入促進を促しています。省エネ化の実証実験として建てられた石巻港湾合同庁舎においても、太陽光パネル・リチウムイオン蓄電池の設置に加え、地中熱利用ヒートポンプの設置によって、大幅なCO2削減が実現されていることが、国土交通省の検証においても評価されています。この夏、非常に暑かった愛知・名古屋だからこそ、環境にこれでもかというぐらい配慮した計画をすすめていこうではありませんか。そのためにも、本港施設へ地中熱など、これまで利用してこなかった再生可能熱エネルギーを利用したシステムの導入を行ってはいかがですか。

名古屋港水族館や上屋等、本組合施設での太陽光パネルの設置の検討結果は「事業採算性や耐荷重等に課題」。今後の導入可能性を研究する(室長)
【企画調整室長】名古屋港水族館や上屋等、本組合施設での太陽光パネルの設置は、2012年~2014年度に検討を行い、事業採算性や耐荷重等の課題がありました。
 今後は、太陽光発電や地中熱等の再生可能エネルギー設備の技術革新や経済性の向上等に期待しつつ、本組合施設への導入の可能性に関する研究を進めていきます。

軽量化や発電効率も改善されたので、積極的に導入を検討し、温室効果ガス削減に本気で取り組め(意見)
【高橋議員】太陽光パネルの設置については一度検討されたとのことでしたが、その後技術革新も進んでいます。相当の軽量化も図られており、また発電効率も上がってきていますので、積極的に導入を検討していただきたいと思います。温室効果ガスの削減は全地球規模の課題であり、本気で取り組んでいかなければなりません。このことも踏まえ、管理組合には先頭に立つ気概で取り組んでいただきたいと要望しておきます。

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