田口一登議員の代表質問④基金の活用を(2019年3月1日)

基金、いわゆる「ため込み金」について

国保料の引下げや敬老パスの利用拡大などの実現のために基金の活用を

【田口議員】2019年度末の特定目的基金及び財政調整基金の残高は464億5千万円と、2009年度末の294億8千万円から169億7千万円、1.6倍にも増えることが見込まれています。使い道が自由な財政調整基金が、本市が目安としている100億円を超えて積み上がるのを抑えるために、新たな名目の基金が相次いで創設されています。
 地方自治体の基金が大幅に積み増しされているのは全国的な傾向であり、財務省や財界はこれに目をつけ、地方交付税の削減を言い出しています。これにたいして総務省は、自治体への事務連絡で、「優先的に取り組むべき事業への活用を図るなど、適正な管理・運営に努められたい」と、基金の積極的な活用を呼びかけています。
 そこで、市長にお尋ねします。基金をため込むだけでなく、国保料の引き下げや敬老パスのJR・私鉄への利用拡大、小学校給食費の無償化など市民要望の実現のために活用したらどうですか。

日本は金余りだ。公債償還基金など積んどく理由がわからん(市長)

【市長】私もかねがね言っておって、貧富の差が激しいでいかんですけども、実は日本はものすごい金余りで、大変な状況になっております。UFJが新年に来たもんで、去年どれくらい余ったって聞いたら6兆円ですよ。そういう状況ですので、基金も、特に公債償還基金ですか、何でこんなもん2000億円も積んでおかなきゃならんという話しをしていまして、全体に一変見直して、名古屋の投資、他の給付でもいいんだけれども、一遍考えたい。

リニア基金の財源となる新明小学校跡地の売却先はJR東海か、それとも地権者か。用地代にはJR東海からの移転補償費が含まれるのではないか

【田口議員】来年度予算で創設され、100億円が積み立てられる「リニア関連名古屋駅周辺地区まちづくり基金」についてお尋ねします。
この基金は、リニア開業を前提にした名古屋駅周辺開発の推進を目的とするものです。その原資は、新明小学校跡地の西側半分の売却によって賄うとされています。新明小学校は統合によって2010年3月に閉校し、当時、市は西側半分の売却手続きを進めていましたが、公告の1週間後に入札を中止。そして、2012年に教育委員会から住宅都市局に所管が変更されています。その後、住宅都市局は、リニア事業の代替地として検討してきました。
 住宅都市局長にお尋ねします。新明小学校跡地の西側半分をリニア事業の代替地として売却するということであれば、売却先はリニア「名古屋駅」地上部の用地買収を進めているJR東海ですか。それとも、用地買収によって移転しなければならない地権者ですか。そうであれば、地権者が名古屋市に支払う用地代には、JR東海からの移転補償費が含まれると考えますが、いかがですか。

移転補償費が含まれるかどうかについて、市は関係ない(局長)

【局長】本市は、2014年12月に中央新幹線の建設とその開業を見据えた地域づくり等に関する基本合意書を、愛知県と東海旅客鉄道の三者で締結しており、その中で、用地取得等に相互に連携・協力して取り組むものとしています。
 また、全国新幹線鉄道整備法第13条第4項には、「地方公共団体は…新幹線鉄道に関し、その建設に要する土地の取得のあっせんその他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」とされている。
 これらを踏まえ、新明小学校跡地の西側敷地は、リニア中央新幹線の建設に要する代替地として、地権者にあっせんする。
 なお、地権者が名古屋市に支払う用地代にJR東海からの移転補償費が含まれるかどうかは、各地権者が決める事項であり、市として承知するものではない。

教育よりリニア関連開発を優先するのが、市長の言う『未来につながる積極的な投資』なのか。跡地売却益は教育のために活用すべきだ

【田口議員】新明小学校跡地は、明治34年に名古屋市立広井尋常小学校が建設されて以降、新明小学校の閉校まで、100年余の間、地域の児童の学び舎となってきました。教育のために使われてきた市有地を売って得た収入は、本来は子どもたちの健やかな成長のために使われるべきものではないでしょうか。
 市長、新明小学校跡地の売却収入は、リニア関連開発の基金に積み立てるのではなく、教育のために活用すべきではありませんか。子どもたちの教育よりもリニア関連開発を優先するというのが、市長のいう〝未来につながる積極的な投資〟なんですか。お答えください。

基金を積むことには賛成ではないが、リニアは成功させなきゃいかん(市長)

【市長】リニアを成功させることは必要だから。その中でいろいろ考えなきゃいけないが、めちゃくちゃ基金を積むのは、私もそもそも賛成ではありません。経済学も間違えてるであかん。50~60年前の新幹線やなんかを世界銀行からの借金で作った時とは全然違いますのでね、今は。ですが、リニアは成功させなきゃいかんということです。

代替地あっせんはリニア事業者が行うべきで、一民間企業の事業のために市有地をあっせんする必要はない。新明小学校跡地の売却収入は、教育のために活用すべきではないか(再質問)

【田口議員】リニア関連名古屋駅周辺開発の基金について再質問します。
 新明小学校跡地のいきさつについて、2011年2月10日付けのある新聞が次のように報じています。「新明小学校の跡地の売却を、市が中止したことが分かった。JR東海のリニア中央新幹線構想を見据え、市総務局の担当者は『名駅前でまとまった市有地は貴重。今売却するより、持っていることに価値がある』と話している」。この新聞記事では、当時、総務局の企画調整監だった堀場副市長が、「用地買収で代替地の必要性も出てくる。一大プロジェクトを円滑に進めるのに、あの土地は欠かせない」と話した、と伝えられています。
 住宅都市局長は、新明小学校跡地の西側半分をリニア建設の代替地として地権者にあっせんする、地権者に売却すると答弁されました。代替地を用意するのはJR東海がやらなければいけないことではありませんか。名古屋市が、一民間企業の行う事業のために、市有地を差し出さなければならないいわれはないと考えます。
 そこで、市長にお尋ねします。用地買収を進めているのはJR東海ですから、移転する地権者は、JR東海から移転補償費を受け取ります。ですから、この跡地を買う地権者が名古屋市に支払う用地代には、当然、移転補償費も含まれるでしょう。結果としては、学校の跡地を、JR東海に売却するということになると思うのです。
 市長、リニア関連の開発を推進するという立場に立ったとしても、教育の場だった学校の跡地とその売却収入をリニア関連開発のために、JR東海のために使う。このことに、何の違和感も覚えないのですか。本来は、売却収入100億円が見込まれていますが、教育のために使う土地ではありませんか。お答えください。

リニアはとにかく成功させなきゃ。名古屋とJR東海は協力してやる(市長)

【市長】リニアは成功させなきゃあかんでしょ。商売を盛り上げるのは、どえらい基本的な事ですからね、福祉を充実させるのにおいて。リニア新幹線は名古屋にとって、とにかく成功させなきゃいかんじゃないですか。あの辺ではなかなか土地が無いわな、正直言って。だから、どっちがどっちをやるといって、それは名古屋とJR東海は協力してやるという認識でいいと私は思いますよ。

学校を統合で廃校にし、跡地をJR東海、大企業のために使うという性質の基金だ(意見)

【田口議員】リニア建設はそのものも様々な問題がありますし、名古屋駅の周辺開発、2000億円超と言われますが、実際いくらになるのか、駅のスーパーターミナル化についていえば、JR東海がどれだけ負担するのか、まだはっきりしない。今日はその議論をする気はないが、そういう問題もあります。
 今回の基金についていえば、学校を統合で廃校にして、その跡地はJR東海、大企業のために使うという性質のものだということを指摘しておきます。

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