高橋ゆうすけ議員の個人質問②敬老パスについて(2019年3月4日)

敬老パスの利用制限は必要ない

定上限142億円にとらわれることなく、名鉄・JRなどの私鉄への利用拡大を



【高橋議員】先の代表質問の中で、交付年齢・一部負担金はそのままに、名鉄やJRなどの私鉄への利用拡大の方向性が示され、私の住む南区では本当に切実な要望であり、この週末の間でも多くの方から歓迎の声が寄せられています。一方、事業費142億円という暫定上限の維持、財源確保策の一つとして利用制限の検討も示された。そのことには多くの不安の声もあがっています。
 昨年市が行ったアンケート、居住地域別の結果では私鉄沿線で「差が大きく、よくないと思う」とした人が多いとしていますが、分析の仕方が間違っているのではないでしょうか。実際に南区のみなさんに話をお聞きすると、自分の住む地域で敬老パスが使えないことから感じる不満という地域間格差であり、利用金額の差ではないという声が大半です。

 私鉄への拡大を進めるにあたっては、暫定上限142億円を維持しながら、拡大に必要な9億円の財源確保のための方策の一つとして利用限度額の設定を示されましたが、この142億円という金額が一人歩きしていると思えてなりません。社会福祉審議会の意見具申では、敬老パスの「税投入額の枠や一般会計に占める割合をどの程度で抑えるか」と割合でみることも示しています。調べたところ、敬老パス事業費が過去最大とされた2003年は一般会計に占める事業費の割合は1.34%、暫定上限が定められた2015年は1.3%、そして来年度予算では1.14%と減少しています。この間の高齢化率は2003年が17%、2018年が24%と増えているにも関わらずです。2015年と同様の1.3%を新年度予算に当てはめれば156億円。今より14億円増えることとなり、私鉄への拡大に必要な9億円を利用者に新たな負担として押し付ける必要もないではありませんか。
 健康福祉局長、142億円という暫定上限にとらわれることなく、名鉄・JRなどの私鉄への利用拡大を進めていくべきではありませんか。

2013年の審議会の意見をもとに142億円を事業費の暫定上限額とする(局長)

【局長】敬老パスのあり方は、2013年に社会福祉審議会から、持続可能な制度運営のためには、「将来見通しを見定め、その上で税投入額の枠や一般会計に占める割合をどの程度で抑えるかということを想定し、見直し方針の検討を行う必要がある。」との意見を頂いた。これを踏まえ、2014年度に、一部負担金導入前の過去最大の事業費であった2003年度の138億円をベースに消費税8%分を加味して換算した142億円を事業費の暫定上限額として設定し、予算がその額を超えると見込まれる場合は、新たな見直しを行うこととした。

制度の目的を大切にするならば利用上限は設けるべきではない

【高橋議員】今、一番焦点となっているのが利用上限額の設定。9億円の財源確保のためには18万から20万円の上限設定が必要と答えられました。この金額は毎日使うと仮定して、1日平均で550円ほど、地下鉄一往復できるかどうかという金額です。
この週末、南区でお話をお聞きしてきました。障害者や高齢者の移動支援をされているガイドヘルパーやボランティアをされている方からは、「市バス・地下鉄に一緒に乗ってサポートしてきたが、敬老パスがあったからボランティアでやれてきた。上限あったら今まで通りにできない」との話があり、また高齢者サロンに通う方からは「毎日サロンに行って色々お話するのが楽しみだったけど、それも自制しないといけないのかね」と不安な思いを語られました。普段そこまで使っていないという方でも「なんとなく使うことをためらいそうだ」と心理的圧迫感を感じていること、駅から離れた地域に住む方からは「駅から離れたところに住む人には使うなということか」と利用上限の設定に懐疑的な声も寄せられました。
 どれだけ使うかは、その人の居住地域や生活事情などもあります。それを制限するというのは、今まで通り使えない人を生み出すことです。名古屋敬老パス条例第一条で示されている、「高齢者の社会参加を支援し、もって高齢者の福祉の増進を図る」目的から離れ、地域による不公平をなくすどころか、逆に生み出すこととなると言わざるを得ません。
 利用上限を設けるということは、生活上必要な人に対しても敬老パスの利用を抑制することとなり、高齢者の社会参加という敬老パス制度の目的が達成できなくなるのではありませんか。制度の目的を大切にするならば利用上限は設けるべきではないと考えますが、見解をお伺いします。

利用限度額の設定は財源を確保する方策の1つ(局長)

【局長】利用限度額の設定は、事業費の暫定上限額142億円を維持しながら対象交通拡大に係る財源を確保する方策の1つとして、高齢者の社会参加を支援する生きがい施策としての趣旨を十分に踏まえながら、検討を進めている。

一般会計に占める割合は下がっている。利用限度額を設けなくても拡大できる(再質問)


【高橋議員】敬老パスについて、健康福祉局長は社会福祉審議会の意見具申を引用して「一般会計に占める割合」にも触れられた。もう一度言いますが、事業費が過去最大とされた2003年は1.34%、来年度予算では1.14%です。2015年と同様の1.3%を新年度予算に当てはめれば156億円。今より14億円増えるんです。利用限度額の設定、必要ないではありませんか。南区に住む方の多くは市バスと地下鉄を乗り継いで出かける方も多く、一回の外出で800円から900円はかかります。もし20万円を制限としたら、毎日使うと仮定すると、一日平均550円程度。毎日出かけることもできなくなる。出かけなければ喫茶店に入ることも、買い物をすることもなくなります。利用上限を設けたら、高齢者の社会参加という敬老パスの目的も達成できず、経済効果をも抑制させ、地域による不公平を逆に生み出すこととなるのではありませんか。健康福祉局長の見解をお伺いいたします。

2019年度中には制度のあり方の方向性を決定したい(局長)

【局長】利用限度額は、事業費の暫定上限額142億円を維持しながら対象交通拡大に係る財源を確保する方策の1つとして検討を進めている。
 対象交通の拡大とその財源確保策は、2019年度中に制度のあり方の方向性を決定してまいりたい。

使ってもらってこそ効果を発揮する敬老バス、利用上限を設けることなく、名鉄・JRなどの私鉄への拡大を(意見)

【高橋議員】健康福祉局長からの答弁は到底納得できるものではありません。地下鉄で一往復できればいいんですか。高齢者にあと何回しか使えないと考えさせるんですか。私の住む南区から名駅に行くには名鉄でも往復で700円。やっぱり毎日使えないんですよ。これでは敬老パスの、高齢者の社会参加を支援し、福祉の増進を図る目的を果たせないではありませんか。上限設けたら市バス・地下鉄を乗り継ぐ人にはますます使いにくいものになってしまう、社会福祉審議会からも指摘されている新たな格差を生み出すことになるんです。
 使ってもらってこそ効果を発揮する敬老バス、利用格差をなくすためには、利用上限を設けることなく、名鉄・JRなどの私鉄への拡大を進めていくことこそが唯一の解決策だと強く申し上げて、私の質問を終わります。

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