青木ともこ議員の個人質問①枇杷島特構のJR2橋の早期掛替で治水促進を(2019年3月6日)
枇杷島地区周辺における 庄内川の治水対策について
なぜ「枇杷島特構」のJR東海道本線と新幹線の橋の掛け替えが進まないのか
【青木議員】名古屋市に甚大な被害をもたらした東海豪雨から今年で19年。庄内川に沿って流れる新川が決壊した西区では、市内最大の被害をこうむりました。100年に1度と言われる記録的豪雨にくわえて、2000年当時、庄内川の堤防整備率が26%と、全国平均54%をはるかに下回っていたこと、そのうえ新川の治水対策もたいへん遅れていたことが、被害拡大の大きな要因とされました。
本市は、この災害を教訓にして、国と愛知県に対し、庄内川と新川の緊急整備を要望。その後、両河川一体の治水対策が着手され、河川の拡張や堤防の強化などが2005年に完了しました。そして、これとほぼ同時期に、さらなる治水対策として、西区枇杷島地区周辺で始まったのが、国による「枇杷島地区特定構造物改築事業」、通称「枇杷島特構」です。
お手元の資料「枇杷島特構」の内容をご覧ください。この事業は、東海豪雨当時、庄内川に架かる3つの橋のひとつ、県道枇杷島橋に洪水が衝突する危険な状況にあり、また、この付近の川幅の狭さが流れを妨げていることから、3つの橋を高く架け替え、河川を掘り広げる工事で、2002年に開始しました。
県道枇杷島橋の架け替えは、ようやく2021年着工のめどが立っていますが、残る2つの橋、下流側のJR東海道本線と新幹線の架け替えは、国がJRと協議中で、17年が過ぎようという今も進展がありません。
今後、約50年に1度という規模の洪水が庄内川で発生した場合、氾濫被害の想定は、浸水面積約6,100ヘクタール、約52万人、約24万世帯にもおよび、「枇杷島特構」が完了すれば、これらの被害は解消できるとされています。そこで、緑政土木局長におたずねします。
JRの2つの鉄道橋の架け替えを進めるために、これまで国に対し、どのような働きかけをされてきましたか。また、国はこれまで、どのように回答してきたのでしょうか。お聞かせください。
庄内川の整備は2011年から国に要望している(局長)
【局長】毎年、庄内川流域の関係自治体から成る愛知県庄内川整備促進期成同盟会、あるいは市独自でも国に対し庄内川の整備促進について要望しており、2001年よりこの中で枇杷島地区の整備についても要望をしています。国からは、鋭意庄内川の整備推進を図っていきたいとの回答を得ています。
遅れの原因を明らかにするよう国に強く働きかけを
【青木議員】「枇杷島特構」の計画期間は2031年までです。一昨年9月時点の進捗率は16%。相当遅れています。鉄道橋の架け替えに、JRが協力する姿勢になっていないのか、それとも、新幹線と在来線を架け替えるという前例のない計画にそもそも無理があるのか、いずれにしても、課題を明らかにすべきです。そこで、再度おたずねします。
市民の生命と財産をあずかる本市として、この治水対策の重要性をどう認識しておられますか。ここまで遅れている鉄道橋の架け替えに、何が支障となっているのか、課題を明らかにするよう、国に強く働きかけてください。
整備は重要な課題、早期着手を国に要望する(局長)
【局長】批杷島地区には3つの橋りょうが近接し、国は最も橋桁が低く流下阻害が大きい県道批把島橋から架け替えを行うとしている。JR橋りょうの架け替えは、事業主体の国から鉄道事業者と工事方法等について調整を行っていると聞いており、国に課題解決と早期の事業着手に向け要望していきます。
ただちに要望を(意見)
【青木議員】ただちに要望してください。東海豪雨の甚大な被害と危機感から、速やかに策定され、完成を期したこの事業がどれほど遅れてしまっているか。それによって名古屋市民らが抱え続けるリスクはどれほどか。かたや、JRはリニアに邁進し、本市もまるで一蓮托生のようにのめりこんでいます。何を最優先にすべきかを念頭に、この「枇杷島特構」の重大な遅れを解決するため、河村市長も先頭に立って、国への要望、JRには協力を求め、強く働きかけてくださるようお願いします。
キーワード:環境と防災、まちづくり、青木ともこ