山口清明議員 議員報酬についての議案質疑(2019年3月6日)

議会が自主的に市民の声を聴いて報酬額を決めれば、その結果を尊重し受け入れるのか

議会から条例案も出されるが、与党会派もいるのになぜ市長が出すのか


【山口議員】追加提出された第80号議案「名古屋市議会の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の一部改正について」4点、市長にうかがいます。
 議員報酬について市民の声はどうか。日本共産党市議団が昨年実施した市政アンケートでは、1万2千通の回答のなかで、800万円にすべきが44%、第三者機関を設けて市民の声を聴き報酬額を見直すが41%。1450万円のままで良いはわずか6%でした。

 市民の声を聞かずに、800万円からいきなり8割も年間650万円、いっきに8割も報酬を引き上げたことに、市民はいまでも厳しい視線を向けています。
 条例案は、議員報酬の制度値を年800万円とするものですが、報酬はいくらが適正か、だけでなく、どう決めるか、が重要です。議会のお手盛りではなく、市長からの押しつけでもなく、適正な報酬額は、市民の参加を得て決めるべきではないでしょうか。
 議員報酬は形式的には市長から条例提案することになっていますが、二元代表制の下、議会が主体的に決めるべきです。

 議会から何の提案もないので市長から提案する、というのならともかく、今議会には既に二つの条例案が議員から提案されており、市長の与党会派も存在しています。あなたの市長就任当初とは事情が違います。
 議員報酬について、なぜあえて市長から提案するのですか。二元代表制の下、議員報酬は市民の声を聴いて議会が主体的に決めるものと考えませんか。

タウンミーティングやってない以上は自分で出さざるを得ない(市長)

【市長】議会の皆さんが自ら議会基本条例16条に基づいて決められたように、民意に基づいて自分たちの給料を決める。皆さん民意の代表、大変立派な人なんです。ですからその中核の議員報酬を16区でそれぞれ、みんなが出てきて、そこでいろんな意見を言ってもらう。議員さんも、必要だったら必要だといえばいいじゃないですか。
 市民集会で市民に説明するの、やらないかんて。それがやられとらんもんで、自分で出さざるを得ないですよ。タウンミーティングやってない以上は出さざるを得ないということです。

共産党は市民参加で決めようと条例提案している。議会が自主的に市民の声を聴いて報酬額を決めれば、その結果を尊重し受け入れるのか

【山口議員】私たちは、議員報酬は市民参加で決めようと条例提案しています。市長も、提案理由説明で、「議会自らが、しっかりと市民の理解と納得を得て決めていかなければならない」と述べられました。
 市長、議会が自主的に市民の声を聴いて報酬額を決めれば、あなたはその結果を尊重し、受け入れますか。それとも市民と議会が自主的に結論を出しても、あなたが提案する800万円との結果以外は受け入れないのでしょうか。

皆さんが本当に総出で議論して市民が了解できる金額が出てきたら当然従う(市長)

【市長】会津若松市で、10年ほど前、2年ぐらいかかりました。市民総出で議論して750万円というところで決着しました。僕は議会がやられて市民の皆さんの納得が得られる、了解できる金額が出てきたら当然、市民の案ですから従う。拒絶することはできませんよ。

800万円を適正とする根拠は何か。政治の家業化・職業化をこばむためか

【山口議員】報酬額について、何を判断基準にするか、どこで検討するか、も問題です。
 あなたが800万円を適正とする根拠は何か、市民並み給与にすることで「政治の家業化・職業化」をこばむという「政治ボランティア化」論に基づくものですか。ボランティア議員を標榜した市長与党会派の相次ぐ不祥事をみれば、この考え方はすでに破綻しているのではありませんか。

賃金センサスで60歳、管理職、大卒で確か792万円で市長をやろうと提案した(市長)

【市長】最初は市長の話があり、厚生労働省の賃金センサス、60歳で管理職、大卒ということで確か792万円、それでやろうと。一つの生き方だと自分で提案して、全員一致で可決しました。だったら皆さんもどうですかという話です。そのときに、皆さん800万円でやると公約された方がぎょうさんおるじゃないですか。あれどうなったんですか。そのときの公約をみんなでまもろうということです。
 横浜のほうが高いというなら、それならそれでタウンミーティングでいわなきゃならんですよ。いったん800万円に下げたんですから。それをやってほしい。

参考人制度や公聴会制度等もフルに活用し、市民参加の第三者機関で検討すべきではないか


【山口議員】議員報酬について、名古屋市議会基本条例では「本市の財政規模、事務の範囲、議員活動に専念できる制度的な保障、公選としての職務や責任等を考慮」するとしています。これこそが報酬額を決める合理的な判断基準ではないでしょうか。
 一方、報酬審議会は、議員報酬の判断基準について「職員の給与改定の状況や規模の類する他の政令指定都市等の議員の報酬額との均衡等を考慮する」としています。
 報酬審議会は「市長の強い政治信念に基づいている今回の諮問内容は、審議になじまない」「諮問内容が妥当であると申し述べることはできない」とあなたの条例案を門前払いしました。
 市長、800万円が妥当か否かは、議会の下で、参考人制度や公聴会制度等もフルに活用し、市民参加の第三者機関で検討すべきではありませんか。

報酬審の考え方じゃなく、いったん800万円に決めた(市長)

【市長】報酬審というのはお手盛りがない報酬をだいたい統一的にやるところですけど。議員報酬というのはそれこそ民主主義ですから、あるところは高く、あるところは安い、そんでいいんですよ。報酬審の考え方じゃなくて。それで皆さんいったん800万円に決めた。

議会が市民の声を聴いて額を決めたら拒否できないことを確認しました(意見)

【山口議員】議会が市民の声を聴いて額を決める、こういう仕組みを作って、結論出したら尊重する、拒否できないという答弁をしっかりいただいたと思います。あとは委員会に委ねて終わります。

参考(議会基本条例・抜粋)
・議員定数及び議員報酬に関しては、別に条例で定める。これらの条例について、これを制定し、又は改廃するときは、議会基本条例の趣旨を踏まえ、これを提出する。この場合、民意を聴取するため、参考人制度、公聴会制度等を活用することができる。
・議員報酬については、地方自治法の趣旨を踏まえ、本市の財政規模、事務の範囲、議員活動に専念できる制度的な保障、公選としての職務や責任等を考慮し、別に条例で定める。

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