2019年6月定例会

田口一登議員の議案質疑 議員報酬800万円の根拠について(2019年6月21日)

報酬800万円がふさわしいという根拠はなにか。市民意見も聞かずに提案したのはなぜか
                         田口一登議員

まず800万円に戻し、第3者機関を設置し、民意を聴取しながら検討、決定すべき
【田口議員】お尋ねする前に、議員報酬の額についての日本共産党の見解を述べておきます。現行の特例値である1450万円は、3年余り前に市民の声も聞かないで、それまでの800万円から一気に引き上げたものであり、いまでも市民は厳しい視線を向けています。そこで、まずは引き上げ前の800万円に戻し、その上で、新たな報酬額については、市民参加の第3者機関を設置し、民意を聴取しながら検討し決定すべきであります。800万円という金額は同じでも、わが方は特例値であり、減税ナゴヤの条例案は制度値として定めるというものです。

800万円を制度値とする根拠はなにか
【田口議員】800万円を制度値とする根拠について質問します。議員報酬の額を検討する際のメルクマールは、議会基本条例に明示されています。「本市の財政規模、事務の範囲、議員活動に専念できる制度的な保障、公選としての職務や責任等を考慮」して定めるというものです。800万円が、①本市の財政規模、②事務の範囲、③議員活動に専念できる制度的な保障、④公選としての職務や責任、という4つのメルクマールのそれぞれに照らして適切な額というのであれば、その根拠を示していただきたい。

出直し選挙後に可決した金額。厚労省賃金構造基本統計調査に基づく(減税議員)
【手塚議員】議会基本条例の前文には、「名古屋市会は、選挙で選ばれた議員で構成される市民の代表であり、市民自治の要である」との記載があり、市民との同質性が求められることが第一義と考える。
 最近の議員報酬額は、2011年の出直し選挙後、民意の成案を得るまでの間とされたが、可決した議員報酬800万円の意義は重要で、我々が帰結すべき場所と考えている。
 800万円は、河村市長が当選した当時の厚生労働省の賃金構造基本統計調査に基づき、市民との同質性を勘案し、提案されたことを根拠にしている。

過去最低の投票率で、民意を決定づけるような争点にはならなかったのではないか
【田口議員】「800万円は市議選で示された民意」という提案理由についてです。8年前の出直し市議選では議員報酬問題が大争点となり、圧倒的な民意を踏まえて市議会は、全会一致で800万円の特例値を定めました。しかし、今回の市議選では、ある新聞が投票日翌日の社説で、「『市議報酬半減』や……天守閣の木造復元などが真の争点にはならず、有権者の心に届くような熱のこもった論戦が少なかったこと」が、過去最低の投票率となった「証左」だと書いているように、民意を決定づけるような争点にはならなかったのではないでしょうか。それでも、800万円が民意だと断言できるのか、お答えください。

民意なく変更された以降初めてとなる選挙では、十分な争点だった(減税議員)
【手塚議員】2016年2月定例会で、民意による成案を得ることがなく変更された議員報酬は、それ以降初めてとなる選挙では、十分な争点であったと解している。
 本年3月に特例条例の期間が改定されたことを念頭に考えると、4月に行われた選挙の結果は、民意であったと言える妥当性は高いと考える。

「政治ボランティア化」という政治理念にもとづいているのか
【田口議員】議員報酬800万円恒久化に込められた政治理念についてです。先の2月定例会に市長が提出した800万円恒久化条例案は、「議員はボランティアで家業化しない」などとする「政治ボランティア化」という市長の政治理念にもとづくものでした。今回の条例案も、「政治ボランティア化」という政治理念にもとづいているのか、お尋ねします。

机上の空論ではなく、政治ボランティア化を理念と掲げ、目指し、途上にいる(減税議員)
【手塚議員】我々の代表である河村市長が政治ボランティア化と政治理念や信条を掲げており、我々がそのことに賛同していることは確かだ。一方、議会基本条例にあるように市長と議員は相互に独立対等な立場で、緊密な関係を保ちながら、市政を運営していく仕組みになっている。
 それぞれ直接選挙で選ばれていることから、選挙の際に条例案を重要公約で掲げており、市民との同質性という考えのもと、今回、議員提出させていただいた。
 さきの議会では、議員から不祥事のデパートと揶揄される厳しい指摘や、政治ボランティア化は机上の空論であるとの声もいただきましたが、我々は、それを理念と掲げ、目指し、途上にいると解している。
 改めて市民からお預かりした14議席により、さまざまな懸念を払しょくし、名古屋市政をより市民の視点に立ったものとしていくつもりです。

公聴会など民意を聴取するための機会を設けたのか
【田口議員】条例案の提出にあたって、民意を聴取する手続きを踏まえているのか伺います。市長が議員報酬に関する条例案を提出する際には、市長の第3者機関である特別職報酬等審議会に諮問し、答申を得なければなりません。一方、議会基本条例では、議員報酬に関する条例を提出する際には、「民意を聴取するため、参考人制度、公聴会制度等を活用することができる」とされています。それでは今回の条例案の提出にあたって、公聴会など民意を聴取するための機会を設けたのか否か、お答えください。

選挙での議席数、得票数、得票率が民意だ(減税議員)
【手塚議員】民意の確認での判断基準は、今回の改選の議席数、得票数、得票率はもとより、選挙期間中に訴えた主要公約であり看板公約の「市議報酬800万円化」による市民への支持の広がりは大きかったものと実感しております。
 会派別では第3会派ですが、党派別では第2党という結果になった。
 また、2016年2月定例会の再議時の当会派による討論のとおり、我々自身がアンケート調査したその結果や報道機関の諷査から、現行の議員報酬への理解は未だ得られていない状況が続いていると解しており、今回、議員提出となりますが、選挙結果に対する民意への責任を果たす意義を込めての提案です。

800万円が適切という明確な根拠は示されなかったし、民意の聴取もされなかった(意見)
【田口議員】議会基本条例で明示されている4つのメルクマールに照らして、800万円が適切な報酬額だという明確な根拠を示していただけませんでした。
 私は、4つのメルクマールのうち、「議員活動に専念できる制度的な保障」という点については、800万円でも議員活動に専念することは可能だと考えています。しかし、本市の財政規模や事務の範囲、公選としての職務や責任に照らして、800万円がふさわしい額なのか。この点については、私も明確な根拠を持ち合わせていません。
 また、今回の条例案の提出にあたっては、民意を聴取する特別な機会を設けておられません。2月定例会での800万円恒久化条例案に対する質疑で、減税市議は、「市内16区でタウンミーティングを開いて市民の意見を聞いて」という「市長の思いは伝わった」と述べています。この市長の思いが伝わっていないのではないでしょうか。
 制度値の改定にこだわると、クリアしなければならない課題があれこれ出てきます。ですから、まずは特例値を800万円に戻す。その上で、第3者機関で検討し、明確な根拠にもとづいた適切な報酬額を決定するというのが、理にかなっていると考えます。
 以上、申し上げて、引き続きの質疑は所管の委員会に委ねて、質問を終わります。

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