2019年11月議会
江上博之議員の議案外質問②名古屋高速黄金IC拡張(2019年11月26日)
名古屋高速道路黄金インターチェンジの拡張について
江上博之議員
通過交通を都心から排除するという、これまでの市の説明に反する
【江上議員】リニア開通に向け、名古屋駅に自動車でアクセスしやすいようにと、高速道路経路変更を進めています。中川区黄金インターに、現在の東方面との出入り口に加え、西方面との出入り口を建設し、名古屋駅へ行きやすくするといいます。百船町では、現在5m幅員道路を15m~20m道路に拡幅し地域を分断する都市計画道路まで提案しています。そのために、計40軒以上の立ち退きを求める計画です。中川区のこの地域は、1970年代から80年代初めに現高速道路建設において九重、百船の2町内で、150軒以上立ち退きを求められました。再度立ち退きを求めるものです。この地域にとって、高速道路は、害はあっても利益はありません。まさに、高速道路の犠牲者です。
そもそも都市高速道路について名古屋市はどう説明してきたのでしょうか。名古屋高速道路公社40年史の中で、職員による「名古屋高速道路の建設の歴史を振り返って」という座談会が掲載されています。その中である職員であった方が、高速道路建設の理由に「通過交通を都心から排除しよう、都心部に関係のない交通は都心に入ることなく排除しよう」と対策を立てたことを述べています。都心域で渋滞になるのを防ぎ、都心域から通過交通を排除することが大きな目的ではなかったでしょうか。
そこで3点について住宅都市局長に質問します。
1点目。名古屋駅という都心域に自動車を流入しやすくするというのは都市高速道路の今までの説明に反するのではありませんか。回答を求めます。
リニア開業に伴い交通需要の増加が予想されるため(局長)
【住宅都市局長】名古屋駅周辺では、再開発の進展やリニア開業に伴い、名古屋駅周辺を発着する交通需要の増加が予想され、それに対応するため、名古屋高速道路において、名古屋駅直近の黄金出入口をフルインターチェンジ化し、名古屋駅西側とのアクセス強化を図るとともに、名古屋駅西側の平面道路の交通に転換させることで、平面道路の交通混雑の緩和が図れる。
地域分断をやむを得ないと判断した理由は
【江上議員】地域コミュニティ分断の問題です。特に百船町での高速道路出入り口で分断されてしまいます。この地域では今でも子どもさんがほとんどいません。高齢者の一人暮らしが多い地域です。20mの道路で分断して、町内間の行き来を困難にします。都市高速道路の理念に反する道路建設のために、地域分断をやむを得ないと判断する理由をお答えください。
道路状況等から望ましい。可能な限り町内間の行き来の確保に努める(局長)
【住宅都市局長】追加する黄金出入口は、さまざまな案を検討してきたが、周辺の道路状況、構造、交通処理等の観点から、現在の案が望ましい。地域の方々には、可能な限り町内間の行き来の確保に努める。
都市計画道路は「住民の理解・納得を得る」姿勢で交渉にあたるか
【江上議員】9月19日、22日に、地元説明会が行われています。「この案で決定なのか」「反対があれば、計画を見直すのか」などの質問に、市側は、「最適な計画であると認識しており、この計画で事業をすすめさせていただきたい」と回答しており、住民の理解と納得を得て事業を進めるという姿勢をとっていません。
高齢者の方で、立ち退くのは嫌だが、どうしてもというなら、移転先、その後の面倒もきちんと見てくれることが条件だ、という声にどう答えますか。高齢者の一人暮らしが入れるアパートはないし、市営住宅は遠く離れたところしかない。「移転に当たって死ぬまで面倒を見てくれるのか」このような声です。高速道路建設にあたっては、名古屋市議会や県議会の要望を受け、3条件8項目というものがあります。
条件の1に、「都市高速道路に面する沿線住民は、直接的な利益を受けることなく、むしろ実害を被ることになると考えられる。したがって、都市発展の犠牲となるこれらの沿線住民には、従来の事業による補償基準にこだわらず、犠牲度を十分救済できるような格別な配慮を払うべきである。」そして、8項目の1に、「住民の理解と納得を得る」とあります。そこで質問します。
住民の理解と納得を得て行うことを名古屋市は約束しています。高齢者、特に一人暮らしの方の思いを実現するためには、移転後も生活の面倒を見る補償が必要です。この姿勢をもって交渉にあたりますか。
移転対象者には理解と納得が得られるよう、きめ細やかに対応したい(局長)
【住宅都市局長】移転対象となる方々には、名古屋市議会の3条件(昭和45年5月)、及び愛知県議会の8項目(昭和47年3月)を尊重し、要望を伺い、理解・納得を得られるよう、補償を含めた生活再建などの点について丁寧に説明を重ね、事業予定者と一体となって、きめ細やかな対応に努める。
自動車流入を促進する高速道路は時代に逆行。高速道路建設で土地収用を行った例はあるか
【江上議員】都心域である名古屋駅への自動車流入を促進するような都市高速道路建設は行ってこなかったわけですから方針転換です。そのために地域や高齢者に犠牲を強いるなど認められません。
そもそも少子・高齢化の時代の名古屋駅をどうするのか、もっと歩行者中心に公共交通優先にする都市計画こそ必要で、自動車流入促進など時代逆行です。
住宅都市局長に再質問します。今、地域では「どうせ、強制的に土地収用があるから」と、あらめムードがあります。しかし、名古屋高速道路建設で土地収用を行ったことはないと思います。いかがでしょうか。
高速道路建設で土地収用の事例はない(局長)
【住宅都市局長】これまでの名古屋高速道路の建設において、移転に係る土地収用を行った事例はない。移転対象となる方々には、事業予定者と一体となって、きめ細やかな対応に努める。
地域を分断する事業は行うべきではない(要望)
【江上議員】少子高齢化・人口減少時代の地域を分断するような事業は行うべきではないと申し上げておきます。
キーワード:環境と防災、まちづくり、江上ひろゆき